有限拡大体の性質                          戻る

 有理数全体 は体(即ち、四則演算が可能な集合)である。2つの有理数 a、b に対して、

        a+b・i (i は、虚数単位)

の全体も体となる。これは、Q(i) と表される。(→参考:整数論の基礎知識

 高校の教科書(数学II)の問題に、

        を計算せよ。

というものがある。これは、分母の実数化を促す問題で、

       

となる。

 中学校で、分母に無理数がある場合には分母の有理化を行うという計算があるが、これ
は、数のおおよその値を把握するための計算であった。(→参考:手計算が面白い

 それでは、分母の実数化にはどんな意味が隠されているのか、今まではっきりと自覚する
ことはなかった。(単なる計算問題と思っていた!)

 この点に関して、当HPの掲示板「出会いの泉」にハンドルネーム「U」さんという方が意欲
的に警鐘をならしつつ投稿された。掲示板の書き込みは時間とともに消え去ってしまう運命
なので、Uさんの研究結果を記録として残すべく、そして、私の理解を深めるために、このペ
ージを起こすことにした。

       

の計算で特筆すべきことは、左辺がどんな分数であれ、必ず

        a+b・i (i は、虚数単位)

の形に表されるという点である。このことは、虚数単位 i を含む分数は結果的に存在意義
はなく、加法・減法・乗法のみが演算として許される集合(環といわれる!) Q[i] と実質的に
同じだということである。

 したがって、分母の実数化という計算の真実の意味は、

       Q(i)=Q[i]

という風になるのだろう。

 つまり、 Q(i) は、{ 1,i }を基底とする上の2次元ベクトル空間であるといえる。

このとき、Q(i) は、有理数体 の2次拡大体(2次体)といわれる。

 K を体 k の拡大体とし、α を K の元とする。

   a + bα + cα2 + ・・・ + dα  (a、b、c、・・・、d は k の元)

の集合は、 k を含むKの部分環で、α を含むものの中で最小のものである。

 この集合は、k[α] と書かれる。

 k[α] が、k 上有限次元であるとき、α は、k 上代数的な元という。

したがって、K が体 k の有限拡大体のとき、K の元は全て、k 上代数的となる。

 このことから、Q(i) の元は全て、Q上代数的となる。

つまり、必ず、a+b・i (i は、虚数単位)の形に表されるというわけだ。

 Q上既約な多項式 x3−2x−2 において、x3−2x−2 =0 の根を α とする。
  このとき、 α/(1+α) を、α の整式として表せ。


(解) α は、Q上代数的な元なので、Q(α)=Q[α] が成り立つ。

   Q[α] は、{ 1,α,α2 }を基底とする上の3次元ベクトル空間である。

   よって、 α/(1+α)=A+Bα+Cα2 と書ける。

   分母を払って整理すると、

      α=A+(A+B)α+(B+C)α2+Cα3

    α3=2+2α なので、

      A+2C+(A+B+2C−1)α+(B+C)α2=0

   { 1,α,α2 }は、1次独立なので、

      A+2C=0 、 A+B+2C−1=0 、 B+C=0

   これを解いて、 A=2 、 B=1 、 C=−1

   よって、  α/(1+α)=2+α−α2 (終)

練習問題 ・・・ Uさんが出題された問題です。

 Q上既約な多項式 x3−2x−2 において、x3−2x−2 =0 の根を α とする。
次の式をα の整式として表せ。

(1) (55+α+2α2+3α3+4α4+5α5+6α6+7α7
   /(194+α+8α2+27α3+64α4+125α5

(2) (194+4α+16α2+32α3+44α4+52α5+60α6+69α7+46α8
    −13α9−48α10−23α11+6α12+7α13
   /(117−2α−258α2−4630α3−37141α4
                  −188890α5−154063α6+16384α7+78125α8


 解答は、読者の方におまかせしよう。解答された方、こちらまでメールでご教示ください。


    空舟さんが上記の練習問題に取り組まれた。(平成23年12月26日付け)

    (1) とりあえず、分子、分母それぞれ剰余をとって、次数を下げます。その結果、分
      子、分母は、それぞれ次のような2次式になりました。

        (100α2+167α+161)/(386α2+683α+748)

      分母の逆元を求めて、分子とかけたものが答えになるはずです。

     数字があまりにも大きいので、むしろ一般化して、x2+px+q の逆元を計算しました。

      (x2+px+q)X-(x3+ax+b)Y=Z とおいて、普通の剰余環の逆元を求めるように計算。

     その結果、逆元 X/Z = {1/(q-pQ+Q2)}{1+ (x2-Qx+Qp-p2)/(p2-q-2)} を得ました。

     ここで、(pq-2)/(p2-q-2)=Q とおきました。

     後は、p=683/386、 q=748/386 を代入して、分子とかけて展開して、それから

     x3-2x-2 の剰余をとって、分母の386を忘れず合わせて終了です。

      (465235α2+581738α+5479146)/31932564

     となりました。

   (2) それぞれ剰余をとって次数を下げていくと大きな係数はだんだん小さくなり、結局
     定数しか残りませんでした。それで答えは、

       117/194

     ということになりました。(計算ではMaximaを駆使しました)

   ここで、実用的な事柄として、

    多項式 p(x)、q(x) について、p(x)=0 と q(x)=0 が共通解をもたないとき、

     a(x)p(x)+b(x)q(x)=1 となる多項式 a(x)、b(x) を得ることができる。


   これが、整数の場合と同様に成り立つようです。それで、具体的に先のような逆元を求
  めることができました。

  (コメント) 空舟さん、解答をありがとうございます。係数の大きさに圧倒されます!


    S(H)さんからのコメントです。(平成24年1月31日付け)

     練習問題に空舟さんが取り組まれておられたので、別の視座から追試したところ、
     (世界一短い定理:Q(α)=Q[α] のみを使います。)

       (55+α+2α2+3α3+4α4+5α5+6α6+7α7
          /(194+α+8α2+27α3+64α4+125α5

      が左辺の元、したがって、aα2 + bα + c と一意的に表現される!なる視座で、
      分母をはらい整理し、

        161 - 1366a - 772b - 748c +  (167 - 2138a - 1520b - 683c)α
                                 +   (100 - 1520a - 683b - 386c)α2

      Q上3次の拡大体(で、1、α、α2 がQ上線型独立をつかうと次を解けばよい)

       {161 - 1366*a - 772*b - 748*c=0, 167 - 2138*a - 1520*b -  683*c=0
                               , 100 - 1520*a - 683*b - 386*c=0}

      を「Wolfram|Alpha」に挿入し、解を、aα2 + bα + c に代入し答え。

      「計算ではMaximaを駆使しました」と空舟さん。Maxima がミスをしたのかもしれま
      せん。(途中が伏せてあるのでわかりませんが...。)

       ところで、もう一問:

       (55+α+2α2+3α3+4α4+5α5+6α6+7α7
          /(194+α+8α2+27α3+64α4+125α5

      を解とする3次方程式を創作し、F[X]=0 の解をβとするとき、他の解が(∈Q[β]
      でないことに留意 )

       σ[β]=-((116276074206*I*β^2)/(1536062201*Sqrt[19])) +
            ((-18588975415993129437314259380413 +
             21*I*Sqrt[197970509704538237555447469669863821432657096\
           893991368108534019])*β)/37177950831986258874628518760826 +
            (453943487050089557 - 304165603040508613*I*Sqrt[19])/
           1494870061805634687

      となり、あとひとつは、σ[σ[β]]であることを自明でも示してください。

      今回のは、「微分ガロア理論」の例と違いが分かる為の問題提起です。

      上は、飯高先生がガロア理論の講義で、梅村 浩 多元数理科学専攻教授氏が
      俎上に載せておられるテーマにも直ぐ壁にぶちあたり困難に立ち向かう導入例と
      してよいので、最初に學生に問われた問です。


 空舟さんからのコメントです。(平成24年1月31日付け)

 互除法の計算では、Maxima で確認しつつ、割と手計算ベースで行いました。(ちょっと確
認すると、互除法の計算が間違っているように見えました)手計算のメモがもうないので、ど
う間違えたか調べることはあきらめて、今後こんな問題では、互除法よりも連立方程式を使
う方法を検討します...!

 ところで、「も解」の話題については以前より気になっていました。今の所、巡回関数は3次
では公式的に得られるが、一般には容易に得られず、巡回関数が分かっている式をいじくっ
て別の式の巡回関数を得る、あるいは、工夫して巡回関数が分かるような式を構成するなど
のような世界なのではないかと理解しています。

 さて、(係数がよりかわいい)問題が「解の巡回」にありましたので、そちらを考察しました。

 3次方程式 x3−3x+1=0 の解を α とするとき、次の問いに答えよ。

  (1) (3α2+5α+7)/α の最小多項式 p(x) を求めよ。

 f(x)=x3−3x+1 の解αに対して、 g(α)=(3α2+5α+7)/α を解とする方程式は、
resultant(f(g(x)−y+x),f(x),x) に現れることを利用する。

 これを計算すると、3次式の因数が複数あるので、どれかを判別するために、
resultant(f(y−g(x)+x),f(x),x) にも現れることを利用する。共通して存在する因数は、1つ
しかなかったので、それが、すなわち、 p(y)=y3−36y2+195y+1619 と得る。

 p(x)=0 の解を、α1、α2、α3 とするとき、

  (2) α2 を、α1 の2次式 F(α1) で表せ。


 y=g(x)=3x+5+7/x=−7x2+3x+26

[7/x=7(−x3+3x)/x の整理を暗算でやったら、2回も間違えました...]

 ay2+by+c=x となる a、b、c がほしい。 y2=・・・−208x2−19x+718 より

 −208a−7b=0 、−19a+3b=1 、718a+26b+c=0

これを解かせると、 a=−7/757 、 b=208/757 、 c=−382/757

 f(x) の巡回関数 x2−2 を利用して、

 F(y)=g(x2−2)=−7(x2−2)2+3(x2−2)+26
          =・・・
          =10x2+7x−8=10(y−3x−26)/7+7x−8

 これに、 x=ay2+by+c と上記 a、b、c を代入させると、

   F(y)=−(19y2−1646y+35210)/757

  (3) α2 を、α1 の1次分数式 G(α1) で表せ。

 (y+a)(37y2−1532y+10238) が1次式となるように... a=200/37

そういうわけで、F(y)の分母分子に、37y+200を掛けさせて、

 G(y)=757(257y+223)/{757(37y+200)}=(257y+223)/(37y+200)
 (ここで約分できることは普遍なのだろうか...?)

  (4) Q[x]/(p(x)Q[x]) は体であることを示せ。

 任意の元 A(x)≠0 について、逆元の存在を確かめる。

 p(x)は既約なので、[既約な3次式 f(x)=0 の解αの2次式たちが解だから]

A(x)とp(x)は共通因数を持たない。よって、互除法によって、A(x)B(x)+p(x)C(x)=1 を構成

できる。B(x)がA(x)の逆元となる。他の要件はたぶん自明と思う。

  (5) Q[x]において、(p(x)Q[x]) は極大イデアルであることを示せ。

 (p(x)Q[x]) 以外の何かを含むイデアルRがあったとすると、その何かA(x)は、p(x)で割

った剰余が≠0であるから、上記のB(x)を掛けることで、A(x)B(x)=−p(x)C(x)+1∈R とな

り、すなわち、1∈R であるから、RはQ[x]自体となってしまう。よって、(p(x)Q[x]) は極大

イデアルである。

  (6) p(x)=0 の判別式Dを求めよ。

 f(x)=x3−3x+1 の解を x1、x2、x3、 p(y)の解を y1、y2、y3 とかく。

 f(x)=0 の判別式 D'=81(カンニングによる。)は既知とする方針で、

  D={(y1−y2)(y3−y2)(y1−y3)}2={(g(x1)−g(x2))(g(x3)−g(x2))(g(x1)−g(x3))}2

   ={(−7(x1+x2)+3)(x1−x2)・・・}2

   =[−73(x1+x2)(x2+x3)(x3+x1)+72・3{(x1+x2)(x2+x3)+・・・}
                                  −7・32{(x1+x2)+・・・}+33]2・D'

   (x1+x2)(x2+x3)(x3+x1)=(x1+x2+x3)(x12+x23+x31)−x123=1

   (x1+x2)(x2+x3)+・・・=(x1+x2+x3)2+(x12+x23+x31)=−3

   (x1+x2)+・・・=2(x1+x2+x3)=0 等によって、

  D=(−73+72・3・(−3)+33)2・81=(−757)2・81=46416969

  (ここで、コンピュータが p(y)から求める値と一致しなかったので、ここにきて、(2)の計算
   間違い[訂正済]が発覚したわけです。)

  (7) より高次の方程式で、(2)のような巡回群 G が作用し、解の軌道 G(α1
    が全てを尽くすような具体例をあげ、それらを証明せよ。


 以前の考察を流用して、方程式 x4+5x3+5x2−5x−5=0 について、f(x)=−x2−2x
は巡回関数となるはずです。

 この考察をしていて、n次方程式が有理多項式な解全体で巡回関数を持つならば、

  x=f(cos(2π・2/q) [k=0、1、・・・、n−1]
 where 2n≡±1 (mod q)、f は、n−1次の多項式

と言う風な感じに書けるのではないか?と思いつきました。まだ考察は煮詰まっていません
ので、自信ありませんけれど...。


 S(H)さんからのコメントです。(平成24年2月1日付け)

 空舟さんの(1)についての解法は、少々迂遠で、
Sylvester行列で5行5列のresultant[αy−(3α2+5α+7),f[α],α]から獲ます。

     空舟さんからのコメントです。(平成24年2月1日付け)

      成程です!

 (7)の「方程式 x4+5x3+5x2−5x−5=0 について、f(x)=−x2−2x は巡回関数とな
るはずです。」について、

 σ[α]=−α2−2α で、αを通る群<σ>の軌道は、

  {−α2−2α,α3+3α2−α−5,−α3−2α2+2α,α}

でOKです。

 「p(y)=y3−36y2+195y+1619 と得る。p(x)=0 の解を、α1、α2、α3 とすると
き、(2) α2 を、α1 の2次式 F(α1) で表せ。」について、「も解」は、
これに、x=ay2+by+c=x と上記 a、b、c を代入させると、

   F(y)=−(19y2−1646y+35210)/757

とありますが、正しければ、p(−(19y2−1646y+35210)/757)を因数分解すると、p(y)
が因数に出現すべきで、そうならぬので、何処かにミスが...。

 私が為すと、

 {α,(−79α2+1266α+17750)/757,(79α2−2023α+9502)/757}
となりました。

 「も解」型問題の解決法に「MA3D5 Galois theory」の80頁の素直な発想が在るので、噛
み砕いて、以下をあるところに質問しましたが...待てど暮らせど解答がつきませんでした。

 質問 ・・・ A、B、C を求める過程をもお願いします。紫枠こそ注視され証明を!

 なぜ解答がつかぬのか不可解です........ 是非お願い致します。

 p(y)=y3−36y2+195y+1619 についても、この手法で!

 上は、飯高先生が体論の講義の最初に必ず手計算で為し板書しなさい、と學生に促され
た問です。


 空舟さんからのコメントです。(平成24年2月1日付け)

 正しくは、 F(y)=−10(y−3x−26)/7+7x−8 で、そうすると上記と一致しました。

 n次方程式が有理多項式な解全体で巡回関数を持つならば、その解が、

   x=f(w) [wは、1の原始何とか乗根]  f は有理多項式

みたいに書けるのではないかと疑っていますが まだまだ考察が進みません。
MA3D5 Galois theory」を読んでみます。


 土筆の子さんが、次の練習問題に挑戦されました。(平成24年4月6日付け)

 「も解」の問題(→ 参考:「S(H)さんからの話題」)のおかげで、多項式のイデアルの意
味が分かってきました。(計算には、Mathmatica ver.8 を使っています。)

練習問題 ・・・ Uさんが出題された問題です。

 Q上既約な多項式 x3−2x−2 において、x3−2x−2 =0 の根を α とする。
次の式をα の整式として表せ。

(1) (55+α+2α2+3α3+4α4+5α5+6α6+7α7
   /(194+α+8α2+27α3+64α4+125α5

(2) (194+4α+16α2+32α3+44α4+52α5+60α6+69α7+46α8
    −13α9−48α10−23α11+6α12+7α13
   /(117−2α−258α2−4630α3−37141α4
                  −188890α5−154063α6+16384α7+78125α8


 まず、(1)について、

In[33]:= f[x_] := x^3 - 2*x - 2
In[42]:= PolynomialRemainder[ 55 + α + 2 α^2 + 3 α^3 + 4 α^4 + 5 α^5 +6 α^6 + 7 α^7, f[α], α]
Out[42]= 161 + 167 α + 100 α^2
In[43]:= PolynomialRemainder[194 + α + 8 α^2 + 27 α^3 + 64 α^4 + 125 α^5, f[α], α]
Out[43]= 748 + 683 α + 386 α^2

(161 + 167 α + 100 α^2)/(748 + 683 α + 386 α^2)

Out[56]= (161 + 167 α + 100 α^2)/(748 + 683 α + 386 α^2)
In[53]:= PolynomialRemainder[ Expand[(748 + 683 α + 386 α^2) (a*α^2 + b*α + c)], f[α], α]
Out[53]= 1366 a + 772 b + 748 c + (2138 a + 1520 b + 683 c) α + (1520 a +683 b + 386 c) α^2
In[57]:= Solve[1366 a + 772 b + 748 c == 1 && 2138 a + 1520 b + 683 c
                                  == 0&&1520 a + 683 b + 386 c == 0, {a, b, c}]
Out[57]= {{a -> -(13359/34146782), b -> -(35482/51220173),c -> 141691/51220173}}
In[58]:= a*α^2 + b*α + c /. {a -> -(13359/34146782), b ->-(35482/51220173),c -> 141691/51220173}
Out[58]= 141691/51220173 - (35482 α)/51220173 - (13359 α^2)/34146782
In[61]:= Together[ Expand[{161 + 167 α + 100 α^2}*{141691/51220173 -(35482 α)
                                         /51220173 - (13359 α^2)/34146782}]]
Out[61]= {( 45624502 + 35899590 α + 10034815 α^2 - 13789259 α^3 -4007700 α^4)/102440346}
In[62]:= PolynomialRemainder[ 45624502 + 35899590 α + 10034815 α^2
                                       -13789259 α^3 - 4007700 α^4, f[α], α]
Out[62]= 18045984 + 305672 α + 2019415 α^2
In[65]:= Simplify[(18045984 + 305672 α + 2019415 α^2)/102440346]
Out[65]= (18045984 + 305672 α + 2019415 α^2)/102440346


これが、答えです。(2)については、

In[45]:= PolynomialRemainder[ 194 + 4 α + 16 α^2 + 32 α^3 + 44 α^4 + 52α^5 + 60 α^6 + 69 α^7
                     +46 α^8 - 13 α^9 - 48 α^10 - 23 α^11 + 6 α^12 + 7 α^13, f[α], α]
Out[45]= 194
In[46]:= PolynomialRemainder[ 117 - 2 α - 258 α^2 - 4630 α^3 - 37141 α^4- 188890 α^5
                                   -154063 α^6 + 16384 α^7 + 78125 α^8, f[α], α]
Out[46]= 117
In[47]:= 194/117
Out[47]= 194/117


これが、答えです。


 S(H)さんからのコメントです。(平成24年2月2日付け)

 「も解」型の問題を既に解いたでしょうが、別の、いわば不変式論視座から、すぱっと導出
したいでしょう。

 f[x]=0   E: x3 - x2 - 4x - 1 = 0 の解をαとするとき、X=Aα2+Bα+C∈Q[α]を解とする
3次方程式 F[X]=0 の創作を!今回の「もの創り」 「お産」には何ら苦痛を伴わない。

 導出過程を明記し、結論を!せっかく創ったのに幸か不幸か不変であったなら、
                 A=__________、B=_______、C____________.
と飯高先生が親族を見舞うたびに人生の有限を実感され、「も解」型の問題も瞬時に解決し
たほうがよいと學生に薦められた発想です。

 上のせっかく創ったのに幸か不幸か不変であったなら視座から、も瞬時に解き、より高
次の代数方程式について研究し、その努力の結晶を研究室の机上にと飯高先生....。


 空舟さんからのコメントです。(平成24年2月2日付け)

 x3 - x2 - 4x - 1 = 0 において、x=√13・(t+1/t)/3+1/3 とおいて、

  13((√13)t6 -5t3 +√13)/(27t3)=0 より、 t3=(5±3i) / 2√13

 そこで、これを見て、ふと

  x+x5+x8+x12  where x=cos(2π/13)+ i・sin(2π/13) を打ち込んでみると、

  root of  x3 - x2 - 4x - 1

 惜しいが、符号が違うということは、例えば、

  x+x5+x21+x25 where x=cos(2π/26)+ i・sin(2π/26)

とすれば、 root of  x3 - x2 - 4x - 1

 x3 - x2 - 4x - 1 = 0 の解は、x=cos(2π/26)+ i・sin(2π/26) を使って次の a、b、c のよ

うに書ける。

 a=x+x5+x21+x25 、b=x3+x11+x15+x23 、c=x7+x9+x17+x19

 x13=-1 に注意して、 a2=-b-2c+4 また a+b+c=1 より、b=a2-2a-2 、 c=-a2+a+3

これらの巡回関数を獲ました。


 S(H)さんからのコメントです。(平成24年2月2日付け)

 f[X]=X4 + 52X3 - 26X2 - 12X + 1 とし、f[X]=0 の解をαとする。唐突ですが、

(1)  σ[α]=-(64(-1 + α)2α(1 + α)4)/(1 - 6α + α2)4 を解とする4次方程式を多様な発
  想で産んで下さい。

 反復が重要なので、

 σ2[α]=σ・σ[α]=σ[σ[α]] をきちんと求めて下さい。 σ2[α] を解とする4次方程式を
産んで下さい。

 σ3[α] をきちんと求めて下さい。σ3[α] を解とする4次方程式を産んで下さい。

 此処まで為し、何かにお気づきでしょう!

(2)  Q[X]/<f[X]> はQの正規拡大体であることを証明願います。

(3)  f[X] の解をαとしましたが、σ[α]=-(64(-1 + α)2α(1 + α)4)/(1 - 6α + α2)4 や上
  で求めたσn[α] ∈Q[α] (n=2、3) は、世界一短い定理 Q(α)=Q[α] から自明と云わず、
  αの3次以下の多項式表現を多様な発想で為して下さい。(導出過程を明記願います)

  σ[α]=-(64(-1 + α)2α(1 + α)4)/(1 - 6α + α2)4=______________________∈Q[α]
  σ2[α]=___________________________________________________=______________________∈Q[α]
  σ3[α]=___________________________________________________=______________________∈Q[α]

(4) σ[α]=-(64(-1 + α)2α(1 + α)4)/(1 - 6α + α2)4=______________________∈Q[α] の最右辺
 をρ[α] とする。n∈N について、ρn[α]を全て求め、「も解」であることを証明して下さい。

 ρ2012[α]を本当に求め、ρ2012[α] を解とする4次方程式を産んで下さい。

 反復が重要なを参照し、上を解いてください。遡及を続けてみます。(→ カオス
(私の拙い日々の投稿達も半永久的に遺物として消滅しないのでしょうか?)

 上は、飯高先生が体論の講義の最初に講義した世界一短い定理 Q(α)=Q[α] が具体
例で把握がなされているか、必ず 手計算等で為しなさいと學生に促された問です。

 以下は、飯高先生が体論の講義の最初に講義した世界一短い定理 Q(α)=Q[α] が具
体例で把握がなされているか、必ず 手計算等で為しなさいと學生に促された問です。

 今度は、E: x3 - x2 - 4x - 1 = 0 の解をαとするとき、有理式X=(aα+b)/(α+c) ∈Q(α)
を解とする。

(1) 3次方程式 F[X]=0 の創作を!今回の「もの創り」「お産」には何ら苦痛を伴わない。

  導出過程を明記し、結論を:_______________________________________________=0

 せっかく創ったのに幸か不幸か不変であったなら、 a=_______、b=_______、c________ と飯高先
生が親族を見舞うたびに人生の有限を実感され、「も解」型の問題も瞬時に解決したほうが
よいと學生に薦められた発想です。

 今回の発想を、幸か不幸か不変要求し、瞬時に、「も解」ゲット法と命名します。

(2) 上の、せっかく創ったのに幸か不幸か不変であったなら視座から、次も、
  (有理式 X=(aα+b)/(α+c) ∈Q(α)を解とする)瞬時に解き、より高次の代数方程式に
  ついて研究し、その努力の結晶を研究室の机上にと飯高先生....。

 獲た「も解」 σ[α]=(aα+b)/(α+c)=__________ から、σn[α] (n∈N) をきちんと求めて下
さい。そして、それを多項式表現して下さい。Q[α]∋σn[α]=___________.

(3) 幸か不幸か不変要求し、瞬時に「も解」ゲット法で、東大の問題が瞬時に(___秒で)解け
  た感想を記し、

(4) 東大の問題の設問の仕方がいただけない点をあげて解説願います。

 幸か不幸か不変要求し、瞬時に「も解」ゲット法なるアングルは如何でしたか?


 「Q上既約な多項式 x3−2x−2 において、x3−2x−2 =0 の根を α とする」ということ

は、αは、Q上代数的な元であり、また、 F(x)=x3−2x−2 とおくと、 F(x)・Q[x] は多

項式環 Q[x] のイデアルになる。(←多項式環 Q[x] は単項イデアル域であるので、既

約多項式 F(x) により生成される!)

 このとき、 商環 Q[x]/(F(x)・Q[x])=Q[α]=Q(α) が成り立つ。

この手法により、いろいろな Q の有限拡大体を構成することができる。

 この考え方により、Uさんはいろいろな問題に挑戦された。

問題1  x7=1 (ただし、x ≠ 1)のとき、

   

 の式の値を求めよ。(横浜市立大学)

 この問題に対して何も考えずに受験数学風に解けば、次のようになるであろう。

(解) 与式=(x+x2+x4+x5)/(1+x2+x4+x6)+x3/(1+x6

      =(x+x2+x3+x4+2x5+2x7+x8+x9+x10+x11)/(1+x2+x4+2x6+x8+x10+x12

      =(x+x2+x3+x4+2x5+2+x+x2+x3+x4)/(1+x2+x4+2x6+x+x3+x5

      =2(1+x+x2+x3+x4+x5)/(1+x+x2+x3+x4+x5+2x6

   ここで、 x7=1 より、 1+x+x2+x3+x4+x5+x6=0 なので、

        与式=−2x6/x6=−2

   となる。(終)

 この問題を、Uさんは、 Q[x]/(F(x)・Q[x])=Q[α]=Q(α) ということを意識して次の
ように解かれた。

(解) Q[x]/(F(x)・Q[x])において、 1+x2 、1+x4 、1+x6 の逆元は、x の多項式

   で表される。 実際に、1+x+x2+x3+x4+x5+x6=0 に注意して、

     (1+x2)(1+x+x4+x5)=1

     (1+x4)(1+x+x2+x3)=1

     (1+x6)(1+x+x3+x5)=1

   が成り立つので、

    与式=x(1+x+x4+x5)+x2(1+x+x2+x3)+x3(1+x+x3+x5

       =x+x2+x5+x6+x2+x3+x4+x5+x3+x4+x6+x8

       =2(x+x2+x3+x4+x5+x6

       =−2

(コメント) 腕力で解いた場合に比べ、何かスッキリした解答で美しいですね!やはり、数学
      の問題は本質を見極めていれば美しく解けるように出来ているのでしょう!

 この視点に立って、先の問題を再考してみよう。

(再掲) Q上既約な多項式 x3−2x−2 において、x3−2x−2 =0 の根を α とする。
  このとき、 α/(1+α) を、α の整式として表せ。


(解) F(x)=x3−2x−2 として、 Q[x]/(F(x)・Q[x])において、

   (1+x)(−1−x+x2)=−1−x+x2−x−x2+x3=−1−2x+2x+2=1

  より、1+x の逆元は、 −1−x+x2 である。

   よって、

 与式=α・(−1−α+α2)=−α−α2+α3=−α−α2+2α+2=2+α−α2

                                                   (終)

 当HPがいつもお世話になっているHN「zk43」さんからのコメントです。
                                     (平成23年10月10日付け)

 問題1 を、 1/(x+1/x)+1/(x2+1/x2)+1/(x3+1/x3)=−2 と書きなおして、
x=e2πi/7 とすると、余弦の逆数和になるので、エクセルで計算してみました。

 すると、n を奇数、x=e2mπi/n、(m,n)=1 として、

  1/(x+1/x)+1/(x2+1/x2)+・・・+1/(x(n-1)/2+1/x(n-1)/2)

 =x/(1+x2)+x2/(1+x4)+・・・+x(n-1)/2/(1+xn-1)

の値は、n≡1 (mod 4) のとき、 (n−1)/4

     n≡3 (mod 4) のとき、 −(n+1)/4

と一般化されるみたいです。エクセル計算なので、証明は分かりません。
(正弦や余弦の逆数和の公式ってあったでしょうか?)

 空舟さんからのコメントです。(平成23年10月10日付け)

 上記のzk43さんの結果がとても興味深かったので、ちょっと計算してみたところ、うまく証
明できました。

 示すことは、 Σ[k=1,n] 1/(xk+1/xk)=n/2  ただし、n≡1 (mod 4) のとき

                          =−n/2  ただし、n≡3 (mod 4) のとき

と同値になります。(k=n のとき、1/2 で、k<n のときが上の値の2つ分に相当するため)

 m と n が素ならば、m=1だけ考えれば、他のときは項を並べ替えただけなので省略で
きます。すなわち、

  xk+1/xk=2cos(2π/n)

と考えます。cosθの n 倍角の公式から、解と係数の関係を使えば、逆数和を求めること
ができます。すなわち、(cosθ+i・sinθ)=1 を展開して実数部分を取り出して、

sin2θ=1−cos2θ としたときに、cosθの作る n 次方程式に注目して、

 解の逆数和=(cosθの1次の係数)/(−定数項)=n・in-1 を得ます。これを使うと、恒等
式の証明が完了すると思います。

 このような直接調べるのが大変な恒等式について、背景が分かるとうれしい気分になりま
すね。

 zk43さんからのコメントです。(平成23年10月10日付け)

 空舟さん、お返事ありがとうございます。ガロア生誕200年ということで、ガロア理論をお
さらいしていて、たまたま当サイトの記述を見つけて考えてみた次第です。

 複素数を持ち出して考えましたが、既約多項式 1+x+x2+・・・+xn-1 を使った拡大
体の中で考えるとか、単位円に接する正n角形を考えて、初等幾何で証明するとかもある
かと思いますが、今は分かりません...。

 FNさんからの続報です。(平成23年10月12日付け)

 x/(1+x2)+x2/(1+x4)+・・・+x(n-1)/2/(1+xn-1)

の値は、n≡1 (mod 4) のとき、 (n−1)/4

     n≡3 (mod 4) のとき、 −(n+1)/4

について、「有限拡大体の性質」のところにある n=7 のときの証明のやりかたのままでやっ
てみました。n が素数のときはできました。証明の都合で少しだけ変えました。

 項数が (n-1)/2 なのを、後の (n-1)/2 項をつけてn-1項にしました。空舟さんの式とも少
しだけ違います。もちろん実質的には同じです。

(証明) p を奇素数とし、x を 1 の原始p乗根とする。このとき、

 Z=x/(1+x2)+x2/(1+x4)+・・・+xp-1/(1+x2(p-1)) の値は、

 p≡1 (mod 4) のとき、 (p−1)/2

 p≡3 (mod 4) のとき、 −(p+1)/2

であることを示す。(p-1)/2=m とおくと、p=2m+1で、x2m+1=1 かつ、1+x+x2+・・・・+x2m=0

 まず、sがpで割れないとき、(1+xs)(1+x2s+x4s+・・・・+x2ms)=1 が成り立つ。

実際に、左辺は、1+xs+x2s+x3s+x4s+・・・・+x2ms+x(2m+1)s となるが、最後の項は1で、

s、x2s、x3s、x4s、・・・、x2ms は全体として、x、x2、・・・・、x2m であるから、これらに1を加

えて0、従って、全部で1になる。このとき、1/(1+xs)=1+x2s+x4s+・・・・+x2ms=Σ(k=0〜m) x2ks

だから、

Z=Σ(s=1〜2m) xs/(1+x2s)=Σ(s=1〜2m) xsΣ(k=0〜m) x4ks=Σ(s=1〜2m,k=0〜m) x(4k+1)s

 p≡3 (mod 4) のとき、4k+1≡0 (mod p) となることはないから、

任意の t (1≦t≦2m) と k (0≦k≦m) に対して、(4k+1)s=t となる s ((1≦s≦2m) が一意

的に定まる。従って、Σ(s=1〜2m,k=0〜m) x(4k+1)s において、xt (1≦t≦2m)はすべて丁

度 m+1個現れる。x0=1 は一度も現れない。

 従って、 Z=(m+1)(x+x2+・・・・+x2m)=(m+1)(-1)=-(m+1)=-(p+1)/2

 p≡1 (mod 4) とする。 k=m/2 のとき、4k+1≡0 (mod p) となる。

それ以外に、4k+1≡0 (mod p) となることはない。

 任意の t (1≦t≦2m) と k (0≦k≦m、k≠m/2) に対して、(4k+1)s=t となる s ((1≦s≦2m)

が一意的に定まる。従って、xt (1≦t≦2m)はすべて丁度m個現れる。x0=1 は、k=m/2 の

ときだから、2m個現れる。

 従って、 Z=m(x+x2+・・・・+x2m)+2m=-m+2m=m=(p-1)/2  (証終)

 もう少し精密な、従って、面倒な議論をすれば素数でないときもできそうな気がします。で
も方法を変える方がいいようです。

 FNさんからの続報です。(平成23年10月13日付け)

 「有限拡大体の性質」にあるもともとの問題1を少し変えてみました。

 x7=1 (ただし、x≠1) のとき、x/(x2-1)+x2/(x4-1)+x3/(x6-1) の式の値を求めよ。

しかし、これは綺麗な値になりません。そこでもう少し変えてみました。

 x7=1 (ただし、x≠1) のとき、x/(x2-1)+x2/(x4-1)-x3/(x6-1) の式の値を求めよ。

 答は、0になります。普通に計算すればできます。単なる計算で別に面白くもありません。
しかし、幾何学的な意味があります。x/(x2-1)=1/(x-1/x) 等ですが、複素平面での単位円
を考えたとき、x-1/x、x2-1/x2 等は単位円に内接する正7角形の対角線の長さに i をか
けたものになります。

 従って、上の式は正7角形の対角線(辺を含む)の長さの逆数に関する関係式になります。
これは「正7角形のある性質」にある 「1/a=1/b+1/c」です。さて、この関係、即ち、上の式
ですが、これは一般化できるでしょうか。

 まず、n=11のときに似たような関係が成り立つでしょうか?

 FNさんからの続報です。(平成23年10月14日付け)

 n=11のときは、どうやら無理みたいです。n=7だけの孤立した現象なのでしょうか。もう
少し簡単なことを考えてみます。

 xを1の原始7乗根とするとき、A=x+x2+x4 、B=x3+x5+x6 の値を求めよ。

 もともとの問題 Z=x/(1+x2)+x2/(1+x4)+x3/(x6 + 1) は有理数でした。

 これは、Galois拡大Q(x)/QのGalois群(位数6の巡回群)の1つの生成元σ:x→x3 によっ
てZが不変であるからです。A、Bは、σ(A)=B、σ(B)=A を満たしますから、有理数体Qの元
ではありません。σ2で不変ですから、Q上2次の体の元になります。すなわち、有理数と√
を1つ使ってかけます。もちろん、こんなことは知らなくて普通に解けます。解いてみてくださ
い。

 空舟さんからのコメントです。(平成23年10月14日付け)

 「x7=1 (ただし、x≠1)のとき、x/(x2-1)+x2/(x4-1)-x3/(x6-1) の式の値を求めよ。」

は、次のように書いた方が自然でしょう。

 x7=1 (ただし、x≠1) のとき、x/(x2-1)+x2/(x4-1)+x4/(x8-1) の式の値を求めよ。

 ユークリッドの互除法などで、x6+x5+x4+x3+x2+x+1 を法とする逆元を考えると、例えば、

P(x)=1+2x2+3x4+4x6+5x8+6x10+7x12 によって、(1-x2)・P(x)=-7 を得ることができます。

x・P(x)+x2・P(x2)+x4・P(x4) を計算すると、x6+x5+x4+x3+x2+x+1 の定数倍となり、0を得ます。

 同じように計算すると、

 x15=1 (ただし、x≠1) のとき、x/(x2-1)+x2/(x4-1)+x4/(x8-1)+x8/(x16-1) の値が 0

になることも確認できました。三角関数を使って考えることも試してみましたが、うまくできま
せんでした。

 FNさんからのコメントです。(平成23年10月14日付け)

 一般化できるようですね。

 x2-1=1 (ただし、x≠1) のとき、

   x/(x2-1)+x2/(x4-1)+x4/(x8-1)+・・・+x2n-1/(x2-1)=0

 x/(x2-1)+x2/(x4-1)+x4/(x8-1)+・・・+x2n-1/(x2-1)=x(1+x+x2+・・・・+x2n-2)/(x2-1) が成

り立つようです。数学的帰納法で証明できそうです。

 FNさんからの続報です。(平成23年10月16日付け)

 xを1の原始7乗根とするとき、A=x+x2+x4 、B=x3+x5+x6 の値を求めよ。

について、x が1の原始7乗根というだけでは、A、Bの値は確定しませんでした。A、Bの値を
確定するためには、x を特定する必要があります。

 x=cos(2π/7)+i・sin(2π/7)のとき、A=x+x2+x4 、B=x3+x5+x6 の値を求めよ。

問題としてどちらの方がいいかは微妙です。なお、元の問題、すなわち、問題1の2つの解
答についてですが、分数と考えれば、通分をする前に分母の有理化をするのが正しいので
(x2+1)(1+x+x4+x5)=1等を使って分母を有理化するべきですが、これに気がつくのは普通は
無理かなと思います。

 分数式と考えれば、通分するしかないところでしょう。あるいは、最後の項を x4/(x+1) とし
てから通分かもしれませんが...。確かに理論的には、分母の有理化をした方がいいとは
思います。

 次の問題2についてですが、(1+x3)(1+x+x2)=1 も成り立ちますから、分母の有理化による
方法でも同じ様にできます。


問題2  x5=1 (ただし、x ≠ 1)のとき、

   

 の式の値を求めよ。(大阪薬科大学)

 この問題に対して何も考えずに受験数学風に解けば、次のようになるであろう。

(解) 


1+x+x2+x3+x4=0 より、
                     
よって、
       

この2次方程式を解いて、
                  
よって、
       

となる。(終)

 この場合、式の値は2つ存在する。しかも2数は互いに共役である。

Uさんからの耳寄り情報によれば、共役は、昔は共軛と書いていたそうである。(私は、共役
で教わった世代です!) 「軛」は難しい字であるが、訓読みでは「くびき」と読む。馬車で馬
を二頭横につなぐときに使う棒のことで、2つの値が1つの対となって働く様子が目に浮かぶ
ような絶妙な訳語であった。しかし,常用漢字外であったため、音だけとって共役と書かれる
ようになり、今では意味がよく分からないものとなってしまった。(残念!!)

 上記の問題に対して、

     (1+x)(1+x2+x4)=1

     (1+x2)(1+x3+x4)=1

     (1+x4)(1+x+x3)=1

が成り立つのだが、この場合、受験数学風な解に勝るような解法が思いつかない!

きっと、この場合は、特殊なのだろう...。


問題3  Q上既約な多項式 x3+X+1 の零点を θ とするとき、体 Q(θ) の元 1+θ2
     のノルムを計算せよ。(出典:van der Waerden 著 Moderne Algebra
 
(Uさんは、こう表現すべき問を、高校では背景を故意に隠匿していると嘆いておられます。)

 ここで、体 Q(θ) の元 γ のノルムとは、Q(θ) の基底を {v1,v2,・・・,v} とするとき、

           γ・(v1,v2,・・・,v)=(v1,v2,・・・,v)A

で定まる n 次の正方行列 A の行列式の値をいう。

              N(γ)=det A

 このことを確認して、問題を解いてみよう。

(解) γ=1+θ2 とおく。 θ3+θ+1=0 なので、Q(θ) の基底として、{1,θ,θ2

 とするとき、  γ・1=1+θ2

          γ・θ=θ+θ3=θ−θ−1=−1

          γ・θ2=θ2+θ4=θ2+θ・θ3=θ2+θ・(−θ−1)=−θ

 よって、  γ・(1,θ,θ2)=(1,θ,θ2)A

             

と書けるので、 体 Q(θ) の元 1+θ2 のノルムは、 detA=1 である。(終)

(補足) det(γE−A)=0 から、γを解に持つ方程式 γ3−γ2−1=0 が生成される。

    このとき、 γ のノルムは、方程式 γ3−γ2−1=0 における解と係数の関係から、

       3つ解の積=−(−1)/1=1

   と求めてもよい。


 空舟さんが、例の予想について考察されました。(平成24年2月3日付け)

 有理係数n次方程式が有理多項式な解全体で巡回関数を持つならば、その解は、

  x=f(w) [wは、e2πi/k]  f は有理多項式、k はある自然数

のような形で書けるのではないかと疑っています。しばらくの間、「例の予想」と名付けてみ
ます。今回は、特に、n=2 の場合について考察しました。

 n=2 の時は、いつでも巡回関数となりますが、(x2+ax+b に対して、a-x)

いつでも、x=f(w) [wは1の原始何とか乗根]と書けるためには、定数項、定数倍を後付けす
れば、あらゆる√mたちが、x=f(w) [wは1の原始何とか乗根]という形で構成できればよい
わけです。

 √(-1)は、xの4乗根そのもので、√2、√(-2)は、xの8乗根wによって、w+1/wやw+w3
構成できます。

 pが奇素数の時、p乗根の適当な多項式をとると、以下のようにして、√p あるいは√(-p)
を構成できます。pk [k=1、2、・・・、n-1]たちを平方剰余の違いで、A、Bに分け、

  A=Σpk [平方剰余達] 、 B=Σpk [非平方剰余達]

 A、Bを解とする2次方程式 F(X) を考えますと、 A+B=-1 であり、

 (p-1)/2 が偶数[つまり、p=4N+1]のときには、-1が平方剰余であり、A2=(N-1)A+NB+2N と
なり、 AB=-A-A2=-N(A+B)-2N=-N

 よって、F(X)=X2+X-N であり、 A、B=(-1±√(1+4N))/2=(-1±√p)/2

 (p-1)/2 が奇数[つまり、p=4N-1]のときには、-1は非平方剰余であり、A2=(N-1)A+NB と
なり、 AB=-A-A2=-N(A+B)=N

 よって、F(X)=X2+X+N であり、 A、B=(-1±√(1-4N))/2=(-1±√(-p))/2

 4p乗根の多項式によって、√pあるいは√(-p)のもう一方を得ることができます。
(A-Bを複素数平面上で90度回転させれば良いから)

 合成数については、√(pq)を解に含む方程式を作るには、例えば、√(35)の場合、次の
ように、

  A=x+x3+x9+1/x+1/x3+1/x9=√7 where x=cos(2π/28)+i・sin(2π/28)
  B=y+y4-1= 1/2+√5/2
  C=y2+y3-1= 1/2-√5/2 where y=cos(2π/5)+i・sin(2π/5)

 これらから、AB-ACで、√(35)を構成できます。AB-ACは、1の140乗根の適当な多項式
で表される...という風にして、p、qを元に構成すれば良いです。

 以上から、有理係数の2次方程式の解は、

  x=f(w) [wは1の原始何とか乗根]  f は有理多項式

という形で表すことができるということが示されたと思います。3次では考察が難しくなりそう
な予感...。


 FNさんからのコメントです。(平成24年2月3日付け)

 巡回関数をもつときというのは巡回拡大の場合で、巡回拡大はアーベル拡大ですから、ク
ロネッカーの定理の特殊な場合になります。

クロネッカーの定理

 有理数体上のアーベル拡大体は、ある円分拡大体Q(e2πi/k)に含まれる。

 特殊な場合とは言っても、多分証明は相当難しいと思います。Galois理論はもちろんです
が、かなり高度な数論がいるようです。クロネッカーの定理は、例えば、岩波講座基礎数学
数論U p274にあります。

 2次拡大の場合は、いわゆる、ガウスの和(空舟さんのA-B、ただしA=Σpk のpは、1の原
始p乗根の間違いでしょう)を考えるのが普通のようです。空舟さんのやられてるのと同じで
す。

 3次以上は相当難しいと思います。3次の巡回拡大について、次のことが成り立つらしい
です。(多分この問題の解決には役立たないでしょうが...。)

 a、b は有理数で、f(x)=x3-3(a2+ab+b2)x-a33 は既約であるとする。このとき、f(x)=0 の
最小分解体は、有理数体上3次の巡回拡大である。即ち、f(x)=0 の巡回関数が存在する。

 p、qが有理数で、f(x)=x3+px+q とする。f(x)=0 の最小分解体が3次の巡回拡大ならば、
即ち、f(x)=0 の巡回関数が存在するなら、有理数 a、b が存在して、
 f(x)=x3-3(a2+ab+b2)x-a33
とかける。

 3次の場合、巡回関数が存在するための必要十分条件は、判別式が有理数の平方であ
ることです(既約性は仮定して)。これを使えば前半はできました。後半がわかりません。


 空舟さんからのコメントです。(平成24年2月4日付け)

 ありがとうございます。そのような定理が既にあるのでしたか...。

 3次方程式が巡回関数 B=f(A)、C=f(B)、A=f(C) を持つとします。そうすると、

 1=(A+B+C)/k を使って、A2を、A、B、Cの線形結合。A(A+B+C)=kAなので、AB+ACは、A、
B、Cの線形結合。AB+BC+CAは定数であるから、BCは、A、B、Cの線形結合。

 循環的に考えて、CA、ABも同様であり、結局、

 AA=pA+qB+rC 、AB=xA+yB+zC 、AC=yA+zB+xC

と書けます。BB、BC、BA等も循環的に同様に書けるはずです。

 A(A+B+C)=kA によって、 p+x+y=k 、q+y+z=0 、r+z+x=0

 また、可換:AB-BA=0 の条件を計算して見ると、z2-yz-xz+kz+y2-xy+x2=0 となるので、
z≠0 かつ k=-(z2-yz-xz+y2-xy+x2)/z とkが規定されます。

 AB+BC+CA=(x+y+z)(A+B+C)、 ABC=(xy-z2)(A+B+C) を得ますので、A、B、C は、

  X3-kX2+(x+y+z)kX+(z2-xy)k=0 の解と書けます。この時、

 AA=(k-x-y)A+(-y-z)B+(-x-z)C と k=A+B+C から、B、Cを消去すれば、

  B(A)=(AA-(k-y+z)A+(x+z)k)/(x-y) 、C(A)=(AA-(k-x+z)A+(y+z)k)/(y-x)

なんだか話が循環してしまいました。まとめますと、

 巡回関数を持つ3次方程式の解は、適当なx、y、z(z≠0)によって、

  AA=(k-x-y)A+(-y-z)B+(-x-z)C
  AB=xA+yB+zC
  AC=yA+zB+xC where k=-(z2-yz-xz+y2-xy+x2)/z

を満たす必要があり、逆に、これ達及びA→B→Cと循環して得られる式達を満たすA、B、C
は、上に書いたような巡回関数を持つ3次方程式の解となります。
(もちろんこれと円分体の関係が気になるのです..)

 積ができる線形空間という話題は、それ自体でちょっと面白いと思います。今回でのベクト
ル(a,b,c)=aA+bB+cCは、以下の行列と対応付けられます。

  ka+x(b-a)+y(c-a) 、x(a-b)+z(c-b)  、y(a-c)+z(b-c)
  y(b-a)+z(c-a)  、kb+x(c-b)+y(a-b) 、x(b-c)+y(a-c)
  z(b-a)+x(c-a)   、 z(a-b)+y(c-b)  、kc+x(a-c)+y(b-c)

 これにより、ベクトルの積を行列積として扱えます。各行を合計してkで割れば、ベクトルに
復元できます。今回の考察では、n=3が特に効いていないように見えるので、一般的なnに
対してもある程度同様になりそうに思います。



  以下、工事中