5の倍数
4月の頃、日本の高校一年生は多分、 (x+1)(x−1)(x2+1)=x4−1 のような式の展
開を学ぶ。その中の因数 x2+1 について大変興味ある性質があることを最近知ることが
出来た。
x2+1 において、
x=2 とすると、 x2+1=5 は、5 の倍数である。
x=7 とすると、 x2+1=50=52×2 は、52 の倍数である。
x=57 とすると、 x2+1=3250=53×26 は、53 の倍数である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このように考えていくと、
どのような自然数 n に対しても、
x2+1 が、5n の倍数となるような自然数 x が存在する
ということが言えそうである。
実際に、この事実は正しい。
いま、ある自然数 xn に対して、xn2+1 が 5n の倍数であるとする。
上記の実験から、 x1=2 とすると、 x2=7=2+5=x1+5
x3=57=7+50=x2+52・2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そこで、 xn+1=xn+5n・an (n=1,2,3,・・・) とおくとき、条件を満たすような an が
定まるはずである。この an の定め方を考えればよい。
xn+12+1=(xn+5n・an)2+1
=(xn2+1)+2・5n・an・xn+52n・an2
=5n・{(xn2+1)/5n+2・an・xn}+5n+1・5n−1・an2
であることから、
xn+12+1 が、5n+1 の倍数であるためには、
(xn2+1)/5n+2・an・xn が 5 の倍数であればよい。
bn=(xn2+1)/5n とおき、bn を5で割った商を qn 、余りを rn とすると、
bn =5・qn + rn
よって、 (xn2+1)/5n+2・an・xn =5・qn + rn+2・an・xn
ところで、 x1=2 とすると、 xn+1=xn+5n・an の構成から、
xn ≡ 2 (mod 5)
したがって、
(xn2+1)/5n+2・an・xn =5・qn + rn+2・an・xn≡rn+4・an (mod 5)
よって、 (xn2+1)/5n+2・an・xn が 5 の倍数であるためには、an を、
an=rn
と定めればよい。
以上の考察をもとに、上記に述べた事実は次のようにして証明される。
(証明) 証明することは、
任意の自然数 n に対して、ある自然数 xn が存在して、xn2+1 は、5n の倍数
である。数学的帰納法により証明する。
n=1 のとき、 x1=2 とすると、 x12+1=5 は、5 の倍数で、命題は成り立つ。
n=k (k≧1)のとき、命題が成り立つものと仮定する。
すなわち、 ある自然数 xk が存在して、xk2+1 は、5k の倍数である。
そこで、 (xk2+1)/5k を、5 で割った余りを ak とし、xk+1=xk+5k・ak とおく。
このとき、 xk+12+1=(xk+5k・ak)2+1
=(xk2+1)+2・5k・ak・xk+52k・ak2
=5k・{(xk2+1)/5k+2・ak・xk}+5k+1・5k−1・ak2
ここで、 x1=2 より、 xk ≡ 2 (mod 5) なので、
(xk2+1)/5k+2・ak・xk≡ak+4ak=5ak≡0 (mod 5)
よって、 (xk2+1)/5k+2・ak・xk は、5 の倍数となり、xk+12+1 は、5k+1 の倍数
となる。これは、命題が n=k+1 のときも成り立つことを示す。
したがって、すべての自然数 n に対して、命題は成り立つ。 (証終)
(コメント) 上記では、x=2 を初期条件としたが、x=3 としても、x2+1=10 は、5 の
倍数となる。この場合の存在が気になる(別に無視してもよい...)のだが、上記
と同様な議論は可能なのだろうか?これについては今後の研究課題としよう。
(参考文献: 数学セミナー編集部 大学でどのような数学を学ぶのか (日本評論社))
(追記) 漸化式が分かっていれば、解を求めるプログラムを作ることも容易であろう。
Excel のVBAで下記のように作ってみた。
Sub 倍数()
Dim a, x As Double
Dim n As Integer
Range("a2").Select
x = 2
For n = 1 To 20
Cells(n + 1, 1).Value = n
Cells(n + 1, 2).Value = x
a = (x ^ 2 + 1) / 5 ^ n Mod 5
x = x + (5 ^ n) * a
Cells(n + 2, 1).Value = n + 1
Cells(n + 2, 2).Value = x
Next n
End Sub
Excel を起動し、[ツール]−[マクロ]−[Visual Basic Editor] とクリックして、Editor
を起動し、[挿入]−[標準モジュール] を選択して、上記を記述して、実行してみてください。
残念ながら、Excel の限界なのか、オーバーフローで途中で止まってしまうことはご容赦
ください。
次のような計算結果が得られるようである。
|
当HPがいつもお世話になっているオンライン整数列大辞典の中のA048898に同様な数
列が並ぶ。代数学的に多項式 x2+1 の意味を考えれば当然なのかな?
(→ 参考:「p進数体の初歩」)
(追々記) 平成18年5月1日当HPがいつもお世話になっている、らすかるさんから、上記
表の n=12 からオーバーフローによる桁落ちが起きているというご指摘をいた
だいた。
私自身も「何か変だな?」と思いつつ、そのままにしてしまっていた。再計算させ
たところ、やはり違っていた。お詫びして訂正させていただきます。上記の表は、
訂正済みのものです。
当HPがいつもお世話になっているHN「FN」さんが、上記の命題を一般化された。
(平成23年7月26日付け)
(1) p は奇素数、c は整数とする。x2+c が p の倍数となるような自然数 x が存在
するとき、どのような自然数 n に対しても、x2+c が pn の倍数となるような自然
数 x が存在する。
これを証明してください。
攻略法さんが、上記問題の解について考察されました。(平成23年7月28日付け)
x2+0≡0 (mod 5n) 1 5 2 5 3 25 4 25 5 125 6 125 7 625 8 625 9 3125 10 3125 |
x2+1≡0 (mod 5n) 1 2 2 7 3 57 4 182 5 2057 6 14557 7 45807 8 280182 9 280182 10 6139557 |
x2+2≡0 (mod 5n) 解なし x2+3≡0 (mod 5n) 解なし |
||
x2+4≡0 (mod 5n) 1 1 2 11 3 11 4 261 5 5261 6 17761 7 142761 8 611511 9 1392761 10 17017761 |
また、次も題意を満たします。(→参考サイト:「http://oeis.org/A034939」
x2+0≡0 (mod 5n) 1 5 2 5 3 25 4 25 5 125 6 125 7 625 8 625 9 3125 10 3125 |
x2+1≡0 (mod 5n) 1 2 2 7 3 57 4 182 5 1068 6 1068 7 32318 8 110443 9 280182 10 3626068 |
x2+2≡0 (mod 5n) 解なし x2+3≡0 (mod 5n) 解なし |
||
x2+4≡0 (mod 5n) 1 1 2 11 3 11 4 261 5 989 6 2136 7 13489 8 169739 9 560364 10 2513489 |
FNさんの考察の続きです。(平成23年7月26日付け)
もっと一般的な状況を考えるために、合同式を使って書きます。
(1) 任意の自然数 n に対して、x2+c≡0 (mod pn) が整数解を持つための必要
十分条件は、x2+c≡0 (mod p) が整数解を持つことである。
ただし、p は奇素数、c は p の倍数でない整数とする。
これが、どの程度一般化できるかを考えます。
p を素数、f(x) を整数係数の多項式として、
「任意の自然数 n に対して、f(x)≡0 (mod pn) が整数解を持つための必要十分
条件は f(x)≡0 (mod p) が整数解を持つことである」
がどの程度成り立つかです。必要性は当たり前で、十分性が問題です。
n=1 で成り立てば、すべての n で成り立つという強い性質が、そういつでも成り立つとは
思えません。
(1)で、p は奇素数でないといけません。p=2 のときは成り立ちません。
x2+1≡0 (mod 2) は解を持ちますが、x2+1≡0 (mod 4) は解を持ちません。
(2) f(x)=xk+c については成り立つか。
(3) f(x)=x2+bx+c については成り立つか。
(4) f(x)=ax+b については成り立つか。
必要なら、p になんらかの条件をつけてもかまいません。成り立つでしょうか。(2)(3)(4)は
順不同です。どれが易しいのか難しいのかわかりません。
FNさんより、上記の問題と(2)(3)についてコメントをいただきました。
(平成23年8月4日付け)
k と c が、p の倍数でないとき成り立つようです。即ち
(2) p
は素数、k は、p の倍数でない自然数、c は、p の倍数でない整数であるとする。
任意の自然数 n
に対して、xk+c≡0 (mod pn)
が解を持つための必要十分条件は、
xk+c≡0 (mod p) が解を持つことである。
ほとんど (1)
と同じで証明できます。(1) の証明自体が、もともとの問題
「x2+1≡0 (mod 5n) は、すべての自然数 n に対して解を持つ」
の証明とほとんど同じですから、同じやり方でここまでは証明できるということになります。
「(3) f(x)=x2+bx+c については成り立つか。」について、「 p は奇素数」は当然必要。
b が偶数のときは、平方完成により、(1)に帰着できます。b=2B とすると、
x2+bx+c=x2+2Bx+c=(x+B)2−B2+c≡0 (mod pn)
従って、−B2+c
が p の倍数でないとき成り立ちます。B2−c は判別式ですから、判別
式が p の倍数でないときということもできます。
b の偶奇が本質的でないなら、「判別式が p の倍数でないとき」が条件である可能性が
ありますがそんなに甘くないかもしれません。
FNさんが、
(1) 任意の自然数 n に対して、x2+c≡0 (mod pn) が整数解を持つための必要
十分条件は、x2+c≡0 (mod p) が整数解を持つことである。
ただし、p は奇素数、c は p の倍数でない整数とする。
について、証明を与えられた。(平成23年8月2日付け)
(証明) x2+c≡0 (mod pn) を、<n> とおく。n≧1として、<n>が解を持つとき、
<n+1>が解を持つことを示せば十分である。
<n>の解を、x とする。<n+1>の解で、x+pn・y
の形であるものを求めよう。
(<n+1>の解は、<n>の解であるから、<n+1>の解はすべてこの形で得られる。)
(x+pn・y)2+c≡0 (mod pn+1)
より、x2+2xypn+p2n・y2+c≡0 (mod pn+1)
n≧1
だから、2n≧n+1
で、p2n・y2≡0 (mod pn+1)
ここで、x2+c≡0 (mod pn)
であるから、x2+c=pn・z
と書ける。
これらを代入して、pn・(z+2xy)≡0 (mod pn+1)
これは、 z+2xy≡0 (mod p)
と同値である。
x2+c≡0 (mod p) で、c≡0 (mod p)
でないから、x≡0 (mod p)でない。
また、p は、2でないから、2x≡0 (mod p) でない。従って、2xは、mod p
で逆元を
持つ。 2xy≡−z (mod p) より、 y≡−z(2x)-1 (mod p)
このとき、x+pn・y は、<n+1>の解である。 (証終)
この証明から、<n>の解に対して、<n+1>の解が、mod pn+1 で一意的であること
も示されている。
<1>は、体における2次方程式であるから、解は2個以下である。また、x
が解であれ
ば、−x も解であり、p≠2 より、x と −x は、mod p で異なる。
従って、<1>が解を持てば、解は、mod p で、ちょうど2個になり、<n>も mod pn
でちょうど2個の解を持つ。
p=2 のとき、この命題が成り立たないのは明らかですが、
x2+c≡0 (mod 2n) ・・・ <n>
の解について、どのようなことが言えるでしょうか。
まず、つまらないケース、即ち、c=−a2 (a
は整数)
のときは、x2+c=x2−a2=0 は
整数解を持つから、当然、<n>は解を持ちます。これ以外の場合、有限個のn
を除いて、
<n>は解を持たないような気がします。少し表現を変えます。
(A) c
は整数とする。x2≡c (mod 2n) が無限に多くの自然数 n に対して解を持
つなら、c
は平方数(整数の平方)である。
これは正しいでしょうか。正しいなら証明を、正しくないなら反例をあげてください。
FNさんからのコメントです。(平成23年8月7日付け)
これは全然間違いでした。奇素数の場合と同様なことが成り立つようです。ただし、n=1
では駄目で、n=3で解を持つことが必要十分条件でした。(A)では、c を右辺に書きました
が、(1)と同様に左辺に c がある形で書きます。
(1A) 任意の自然数 n に対して、x2+c≡0 (mod 2n) が整数解を持つための必
要十分条件は、x2+c≡0 (mod 8) が整数解を持つことである。ただし、c は
奇数とする。
x2+c≡0 (mod 2n) を<n>とする。n≧3として、<n>が解を持てば、<n+1>が
解を持つことを示せば十分である。
x が<n>の解であるとする。即ち、x2+c≡0 (mod 2n)
c は奇数だから、x も奇数。y=x+2n-1 とおく。y2=x2+2nx+22n-2
n≧3より、2n−2≧n+1 従って、y2+c≡x2+c+2nx≡x2+c+2n (mod 2n+1)
mod 2n+1 で考えると、x2+c は、0 か 2n のどちらかに合同である。
前者であれば、x が、後者であれば、y が、<n+1>の解である。
(だから、(A)の反例としては、例えば、c=17、33、-7等があります。)
「5の倍数」の話題について、山梨県在住のT.A.さんより、平成19年3月14日にメール
をいただいた。そのメールでは、「5の倍数」での話を見事に一般化されたレポートが添付さ
れていたのだが、こちらの不手際でそのままになってしまっていた。T.A.さんにお詫びする
とともに、T.A.さんからのレポートを整理していきたいと思う。(平成23年8月4日付け)
<xn2+1≡0 (mod pn)
の解について>
定理1 x2+1≡0 (mod p) が異なる2つの解を持つとき、全ての自然数 n につ
いて、x2+1≡0 (mod pn) は、mod pn に関して合同でない2つの解を
持つ。ただし、p は奇素数とする。
(証明) 数学的帰納法による。
n=1 のときは、明らかに成り立つ。
いま、x2+1≡0 (mod pn) は、mod pn に関して合同でない2つの解を持つと仮定する。
このとき、x2+1≡0 (mod pn+1) を満たす x は、x2+1≡0 (mod pn)
を満たすから、
数学的帰納法の仮定により、mod pn に関して合同でない2つの解を持つ。
そのうちの1つを、x≡a (mod pn) とすると、x2+1≡0 (mod pn+1) を満たす x は、
x=a+pn・y
と表されるから、
0≡(a+pn・y)2+1=a2+1+2a・pn・y+p2n・y2≡a2+1+2a・pn・y (mod pn+1)
が成り立つ。
さらに、 a2+1≡0 (mod pn)
であるから、a2+1=pn・b
とおくと、
pn・b+2a・pn・y≡0 (mod pn+1) すなわち、 b+2ay≡0 (mod p)
が成り立つ。
ここで、2a≡0 (mod p) でないから、y に関するこの方程式は、mod p
に関してただ
一つの解を持つ。
したがって、x2+1≡0 (mod pn+1)
の解は、x2+1≡0 (mod pn) の2つの解から、
それぞれ1つずつの解を得ることになり、mod pn+1 に関して合同でない2つの解を持つ。
よって、数学的帰納法により、上記の命題が証明された。 (証終)
※ 実は、「F(α)≡0 (mod p) 、F’(α)≡0でない (mod p) ならば、
F(β)≡0 (mod pn) 、β≡α (mod p) を満たすβがただ一つ存在する」
ことが容易に示せる。
定理2 a2+1≡0 (mod p)
のとき、apn-1は、x2+1≡0 (mod pn) の解で
ある。ただし、p は素数。
※ 以下の証明で、次の事実を用いる。
(α,p)=(β,p)=1、p|n のとき、
α≡β (mod n) ならば、αp≡βp (mod np)
実際に、 α=β+nk (kは整数) とおくと、
αp=(β+nk)p=βp+p・βp-1・nk+・・・+(nk)p
p は、n の約数なので、 p・β・nk+・・・+(nk)p≡0 (mod np)
よって、 αp≡βp (mod np)
(証明) a2≡−1 (mod p) の両辺を p 乗することにより、
(a2)p≡(−1)p=−1 (mod p2)
を得る。
さらに、p 乗して、(a2)p2≡(−1)p=−1 (mod p3)
、・・・・・・
したがって、 (a2)pn-1≡−1 (mod pn) より、
(apn-1)2≡−1 (mod pn)
が成り立つ。 (証終)
(イ) p=5 のとき、 22+1≡0 (mod 5) 、32+1≡0 (mod 5) であるから、全て
の自然数 n について、xn2+1≡0 (mod 5n)
は、(mod 5n に関して合同でない)
2つの解を持ち、その解は、xn=25n-1 、35n-1 であることが分かる。
また、x≡a (mod 5n) ならば、x≡a (mod 5) なので、仮に、a≡2 (mod 5)で
あれば、2a≡−1 (mod 5)より、b+2ay≡0 (mod 5)
において、y=b とすること
により、b+2ab≡0 (mod 5) となる。
したがって、 x=a+5n・b 、a2+1=5n・b
より、 x≡a2+a+1 (mod 5n+1) は、
x2+1≡0 (mod 5n+1)
の解になっていることが分かる。
つまり、x1≡2 (mod 5)
、xn+1≡xn2+xn+1 (mod 5n+1) によって与えられる数
列 { xn } は、x2+1≡0 (mod 5n)
の解になっているのである。
さらに、3≡−2 (mod 5) であるから、yn≡−xn
(mod 5n)
とおくと、
(−yn)2+1≡xn2+1≡0 (mod 5n)
より、yn も、x2+1≡0 (mod 5n) の解になっ
ていることが分かる。このときの数列 { yn } の漸化式は、
y1=3 (mod 5)
、yn+1=−xn+1≡−xn2−xn−1≡−yn2+yn−1 (mod 5n+1) で
与えられる。
上記の数列 { xn }、{ yn }
の初めの12項を調べてみると、下の表のようになる。
xn=(xn)(5) | yn | |
n=1 | 2=2(5) | 3 |
n=2 | 7=12(5) | 18 |
n=3 | 57=212(5) | 68 |
n=4 | 182=1212(5) | 443 |
n=5 | 2057=31212(5) | 1068 |
n=6 | 14557=431212(5) | 1068 |
n=7 | 45807=2431212(5) | 32318 |
n=8 | 280182=32431212(5) | 110443 |
n=9 | 280182=032431212(5) | 1672943 |
n=10 | 6139557=3032431212(5) | 3626068 |
n=11 | 25670807=23032431212(5) | 23157318 |
n=12 | 123327057=223032431212(5) | 120813568 |
※因みに、・・・2230324312121(5) と限りなく続けていくと、この数は、整数Zの世界
では無限大に発散していくが、5進整数Z5の世界では、x2+1=0 を満たす。すなわ
ち、i(虚数単位)に相当する数に収束する。
(ロ) p=13
のときは、xn=513n-1、813n-1
とすればよい。
また、y=9b とすれば、b+2ay≡0 (mod 13) を満たすから、
x1=5、xn+1≡9xn2+xn+9 (mod 13n+1)
とすればよい。また、yn
については、
y1=8、yn+1≡−9yn2+yn−9 (mod 13n+1)
(ハ) p=17
のときは、
x1=4、xn+1≡2xn2+xn+2 (mod 17n+1)
とすればよい。また、yn
については、
y1=13、yn+1≡−2yn2+yn−2 (mod 17n+1)
以下、同様である。
(コメント) x2+1≡0 (mod pn) の解の構造など明解で感動しました!T.A.さんに感
謝します。
<x2+1≡0 (mod p) の解について> ただし、p は奇素数とする。
次の事実が知られている。
定 理 x2+1≡0 (mod p) が整数解 a を持つための必要十分条件は、
p≡1 (mod 4) が成り立つことである。
この定理は、FNさんが示された事実とも大いに関係があるだろう。
(証明) 必要であること:
x2+1≡0 (mod p) が整数解 a を持つので、 a2≡−1 (mod p) が成り立つ。
両辺を (p−1)/2 乗して、 (−1)(p-1)/2≡(a2)(p-1)/2≡ap-1
a と p は互いに素なので、フェルマーの定理より、 ap-1≡1 (mod p)
したがって、 (−1)(p-1)/2≡1 (mod p) が成り立つ。
ところで、p は奇素数なので、 p−1≡0 (mod 2) である。
よって、 (−1)(p-1)/2≡1 (mod p) が成り立つとき、
(p−1)/2≡0 (mod 2) すなわち、 p≡1 (mod 4) が成り立つ。
十分であること:
p≡1 (mod 4) が成り立つものとする。このとき、 (p−1)/2≡0 (mod 2) で、
(p−1)/2 は偶数である。
そこで、 x=1・2・3・4・・・・・{(p−1)/2} とおくと、x は整数で、
x2=[1・2・3・4・・・・・{(p−1)/2}]2 となる。
また、ウィルソンの定理より、 (p−1)!≡−1 (mod p) が成り立つ。
ここで、
(p−1)!=1・2・・・・{(p−1)/2}{(p−1)/2+1}・・・・(p−2)(p−1)
=1・2・・・・{(p−1)/2}{(p+1)/2}・・・・(p−2)(p−1)
=1・2・・・・{(p−1)/2}{p−(p−1)/2}・・・・(p−2)(p−1)
≡1・2・・・・{(p−1)/2}{−(p−1)/2}・・・・(−2)(−1) (mod p)
≡(−1)(p-1)/2[1・2・・・・{(p−1)/2}]2 (mod p)
と書けるので、 (−1)(p-1)/2・x2≡−1 (mod p) が成り立つ。
(p−1)/2 は偶数であるので、 (−1)(p-1)/2=1 より、 x2≡−1 (mod p)
すなわち、x2+1≡0 (mod p) を満たす整数解 a(=1・2・3・4・・・・・{(p−1)/2})
が
存在する。
以上により、命題は示された。 (証終)
(参考文献: 前田芳孝 著 「x2+y2 の表す自然数」 数学の並木道(日本評論社))
以下、工事中