曲線に遊ぶ                               戻る

 曲線の概形を思い通りに描けるようになったのは、私の場合、高校3年生の頃であろう
か。微分という武器を用いて、種々の曲線の概形を描くことは密かな楽しみでもあった。

 ただ、全てが手計算によるものなので、あまり複雑なものを描くことはできなかった。

 昨今の描画ソフトの進歩は著しい。関数式さえ分かれば、あんなものも、こんなものもとい
うくらいに鮮やかに描いてくれる。

 このページでは、昔出来なかったことを描画ソフトを武器として、いろいろな曲線の概形に
挑戦したいと思う。

 標準的な曲線の概形については、当HPの中の「いろいろな曲線」にまとめられている。

 また、これから描かれる曲線の方程式には、ガウスの記号やら絶対値やらが複雑に絡
み合ってくる。その結果として、思いもかけない美しい曲線の概形が出現するわけで、ほと
んど感動的な出会いになると思う。

例 (x−[ x+1/2 ])2+(y−[ y+1/2 ])2=1/16

   


(コメント) たった一つの関数式で、平面上無限に広がる円が描けるわけで、「これはスゴ
      イ!」と思いました。こんなことに感動できる感性を大切にしたいですね!

例 (x−[ x+1/2 ])2+(y−[ y+1/2 ])2=5/16

  


(コメント) 右辺の数字が、1/16 から5/16 に変わっただけなのに模様がガラリと様変わ
      りですね!でも、じっと見つめていると、やはり無数の円が...。

例 (x−2|x|/x)2+(y−2|y|/y)2=5

  


(コメント) 式は絶対値を使って込みいっているのに、出来る図形は単純!できれい。
      この形は星芒形に似ているが、関係はなさそう...?

例 4−x4−4y2+9x2=0

  


(コメント) この曲線は、悪魔の曲線と言われるそうだ。(何でだろう?)
      x2 や y2 の係数をいろいろ変えてみると結構面白い!

(追記) 平成21年9月4日付け

 上図ではグラフ描画ソフトを用いたので、うっかり漸近線が存在することを忘れてしまった。
このことを、広島工業大学の大川研究室よりご指摘いただいた。大川研究室に感謝します。

 上記の曲線は、漸近線として、 y=±x を持つ。

実際に、 y4−x4−4y2+9x2=0 より、(y/x)4−1−4(y/x)2・(1/x)2+9/x2=0

 よって、 x → ±∞ のとき、 y/x → ±1

 さらに、分子の有理化を2回行うことにより、

 x → ±∞ のとき、 y±x → 0 であることが分かる。

 よって、曲線 y4−x4−4y2+9x2=0 は、漸近線 y=±x を持つ。 (終)


例 (x2+y2+12x+9)2−4(2x+3)3=0

  


(コメント) この曲線は、三尖点曲線と言われるそうだ。フリーハンドでも書けそうな図だが、
      微妙な曲線が数学らしい!

例 2(4−x2)−(x2−4y−2)2=0

  


(コメント) この曲線は、2角曲線と言われるそうだ。
      角と言われれば角だが、耳にも見えるネ!


 ks さんからのコメントです。(令和5年8月6日付け)

 不等式 |x|+|y|≦1 や x2+y2≦1 で表される領域は、それぞれ正方形と円になる。
このように、連立式ではなくて、一つの式で、長方形や三角形を表すことができるでしょうか?


(コメント) 参考 → 「絶対値について


 らすかるさんからのコメントです。(令和5年8月6日付け)

 不等号すら使わずにできます。以下は、すべて内部を含む領域です。

・4頂点が (-1,1)、(-1,-1)、(1,-1)、(1,1) である正方形(辺が軸に平行)

→  |1−x|+|1+x|+|1−y|+|1+y|=4

・4頂点が (0,1)、(-1,0)、(0,-1)、(1,0) である正方形(頂点が軸上)

→  |1−x−y|+|1−x+y|+|1+x−y|+|1+x+y|=4

・半径1の円

→ x2+y2+|x2+y2−1|=1

・横の長さがa、縦の長さがbの長方形

→ |a−2x|+|a+2x|+|b−2y|+|b+2y|=2(a+b)

・重心が原点で、一つの頂点が (0,a) である正三角形

→ |a+x−y|+|a−x−y|+|a+2y|=3a

・重心が原点で、一つの頂点が (0,a) である正六角形

→ |a−2x|+|a+2x|+|a+x+y|+|a+x−y|
 +|a−x+y|+|a−x−y|=6a

・3頂点が (a,b)、(c,d)、(e,f) である三角形

→  |(ad−bc+bx−dx+cy−ay)(ad−bc+be−de+cf−af)|
  +|(cf−de+dx−fx+ey−cy)(cf−de+da−fa+eb−cb)|
  +|(eb−fa+fx−bx+ay−ey)(eb−fa+fc−bc+ad−ed)|=(ad+cf+eb−bc−de−fa)2


 ks さんからのコメントです。(令和5年8月7日付け)

 らすかるさん、ありがとうございます。驚きの結果ですね。値がうまく相殺されるのですね。

 円や六角形、自由な三角形も方程式で!絶対値は、場合分けなど不便の記号だとばか
り思っていましたが、便利な記号なんですね。


 GAI さんからのコメントです。(令和5年8月10日付け)

・3頂点が (a,b)、(c,d)、(e,f) である三角形

→  |(ad−bc+bx−dx+cy−ay)
(ad−bc+be−de+cf−af)|
  +|(cf−de+dx−fx+ey−cy)
(cf−de+da−fa+eb−cb)|
  +|(eb−fa+fx−bx+ay−ey)
(eb−fa+fc−bc+ad−ed)|=(ad+cf+eb−bc−de−fa)2

について計算していたら、

(ad-bc+be-de+cf-af)=(cf-de+da-fa+eb-cb)=(eb-fa+fc-bc+ad-ed)=(ad+cf+eb-bc-de-fa)

が成り立つようなんです。従って、求める式は、

|ad-bc+bx-dx+cy-ay|+|cf-de+dx-fx+ey-cy|+|eb-fa+fx-bx+ay-ey|=|ad+cf+eb-bc-de-fa|

と表してはいけませんかね?


 らすかるさんからのコメントです。(令和5年8月10日付け)

 確かにそうですね。全く気づきませんでした。



  以下、工事中!