数学検定に挑戦!                         戻る

 「数学検定」は毎年30万人ほどの方が受験される検定試験で、公益財団法人 日本数学
検定協会が運営している。問題レベルは、大体

 1級・・・大学程度 、準1級・・・高3程度 、2級・・・高2程度 、準2級・・・高1程度
 3級・・・中3程度 、4級 、・・・・・・

とされ、5級以上には、1次(計算技能)と2次(数理技能)が課され、両方合格しないと、数学
検定○級合格とはならない。

 最近、当HPの読者のMさんから、数学検定に関係するページがあればいいな〜というリク
エストがメールで寄せられた。受験料が高額なので、数学検定を受験しようとは全く思わない
が、どんな問題が出題されているか常々興味・関心があったので、ちょっと数学検定の問題
に挑戦し、その記録をまとめていきたいと思う。


問題1 次の計算をせよ。(1級1次レベル)

       Σp=1〜nΣq=1〜n (p+q) (ただし、p>q)

(解) 求める和は、

 Σq=1〜n-1Σp=2〜q+1 (p+q)=(3/2)Σq=1〜n-1q(q+1)=(n−1)n(n+1)/2  (終)

(コメント) 高校2年生程度の問題でした。


問題2 4次方程式 x4−4x−1=0 について、次の問いに答えよ。(1級1次レベル)

  (1) 上の方程式の実数解を求めよ。
  (2) 上の方程式の虚数解を求めよ。

(解)(1) x4=4x+1 の両辺に、2x2+1 を加えて、 x4+2x2+1=2x2+4x+2

     すなわち、 (x2+1)2=2(x+1)2 となり、次のように因数分解される。

      (x2+1+(x+1))(x2+1−(x+1))=0

     実数解は、2次方程式 x2+1−(x+1)=0 の解。

     よって、解の公式により、 x=(±√(4−2))/2

  (2) 虚数解は、2次方程式 x2+1+(x+1)=0 の解。

     よって、解の公式により、 x=(−±i・√(4+2))/2  (終)

(コメント) 高校2年生程度の問題でした。

 類題 次の方程式 x4−4x3+x2−3=0 を解きなさい。(1級1次レベル)

 因数分解出来なそうな雰囲気だが、次のような変形はすぐ思いつくだろう。

(解) 与式より、 x4+x2+1=4x3+4=4(x3+1)=4(x+1)(x2−x+1)

   ここで、 x4+x2+1=(x2+1)2−x2=(x2−x+1)(x2+x+1) なので、

    (x2−x+1)(x2+x+1)=4(x+1)(x2−x+1)

   すなわち、 (x2−x+1)(x2−3x−3)=0 を解いて、

    x=(1±i)/2 、(3±√21)/2  (終)

(コメント) 高校2年生程度の問題でした。


 よおすけさんから、準1級1次レベルの問題を頂きました。(平成27年2月7日付け)

 類題 整式 x8+x4+1 を整式 x2+x+1 で割ったときの商を求めなさい。

(解) x8+x4+1=x8+2x4+1−x4

           =(x4+1)2−x4

           =(x4+x2+1)(x4−x2+1)

           =(x2−x+1)(x2+x+1)(x4−x2+1)

  よって、求める商は、 (x2−x+1)(x4−x2+1)=x6−x5+x3−x+1  (終)

(よおすけさんからのコメント) 僕が解いたときは、直接筆算でやりましたが、私の備忘録
                  「ωの真実」に載っているやり方もありかな・・・って。

 実際に、ωを用いて解いてみました。

   F(x)=x8+x4+1 とおくと、 F(ω)=ω8+ω4+1=ω2+ω+1=0

  同様に、F(ω2)=ω16+ω8+1=ω2+ω+1=0

  よって、 F(x)は、 (x−ω)(x−ω2)=x2+x+1 で割り切れる。

  このとき、 x8+x4+1=(x2+x+1)(x6+ax5+bx4+cx3+dx2+ex+1) とおくと、

   右辺=x8+ax7+bx6+cx5+dx4+ex3+x2
         +x7+ax6+bx5+cx4+dx3+ex2+x
            +x6+ax5+bx4+cx3+dx2+ex+1

     =x8+(a+1)x7+(a+b+1)x6+(a+b+c)x5+(b+c+d)x4
                         +(c+d+e)x3+(d+e+1)x2+(e+1)x+1
  係数比較して、
            a=−1、b=0、c=1、d=0、e=−1

  よって、求める商は、 x6−x5+x3−x+1


 S(H)さんからのコメントです。(平成27年2月7日付け)

   (x2−x+1)(x2+x+1)(x4−x2+1) とQ上可約なので、明らか。

  x8+x4+1=(x6+ax5+bx4+cx3+dx2+ex+f)(x2+x+1)+px+q  が恒等式

 なので、a=-1、b=0、c=1、d=0、e=-1、f=1、p=0、q=0 を得る。


問題3 心臓形 x=2cosθ−cos2θ、y=2sinθ−sin2θ (0≦θ≦π) とx軸で囲ま
    れた図形の面積を求めよ。(1級1次レベル)

(解) dx/dθ=−2sinθ+2sin2θ、dy/dθ=2cosθ−2cos2θ

   dx/dθ=0 から、 θ=π/3 で、このとき、 x=3/2

   求める面積をSとおくと、

   S=∫-33/2 ydx−∫13/2 ydx

    =∫ππ/3 (2sinθ−sin2θ)(−2sinθ+2sin2θ)dθ
        −∫0π/3 (2sinθ−sin2θ)(−2sinθ+2sin2θ)dθ

    =2∫π/3π (2sin2θ+3sinθsin2θ+sin22θ)dθ
        +2∫0π/3 (2sin2θ+3sinθsin2θ+sin22θ)dθ

    =2∫0π (2sin2θ+3sinθsin2θ+sin22θ)dθ

    =2∫0π (1−cos2θ−(3/2)(cos3θ−cosθ)+(1−cos4θ)/2)dθ

    =2[θ−sin2θ/2−(3/2)(sin3θ/3−sinθ)+(θ−sin4θ/4)/2]0π

    =2(π+π/2)

    =3π  (終)

(コメント) 高校3年生程度の問題でした。

 ここで、 x=2cosθ−2cos2θ+1=2(1−cosθ)cosθ+1

      y=2sinθ−2sinθcosθ=2(1−cosθ)sinθ なので、

  r2=(x−1)2+y2=4(1−cosθ)2 より、極方程式は、 r=2(1−cosθ)

 このとき、求める面積は、

 S=(1/2)∫0π2dθ=2∫0π(1−2cosθ+cos2θ)dθ

  =2∫0π(1−2cosθ+(1+cos2θ)/2)dθ=3π と求められる。

(コメント) 極方程式を用いた方が簡単かも...。


問題4 心臓形 x=2cosθ−cos2θ、y=2sinθ−sin2θ (0≦θ≦π) をx軸のま
    わりに1回転してできる曲面の表面積を求めよ。(1級1次レベル)

(解) 求める面積をSとおくと、

 (dx/dθ)2+(dy/dθ)2=(−2sinθ+2sin2θ)2+(2cosθ−2cos2θ)2

                =8(1−cosθ)=16sin2(θ/2) なので、

 S=−2π∫-33/2 y√(1+y’2)dx+2π∫13/2 y√(1+y’2)dx

  =−2π∫ππ/3 (2sinθ−sin2θ)・4sin(θ/2))dθ
        +2π∫0π/3 (2sinθ−sin2θ)・4sin(θ/2)dθ

  =−8π∫ππ/3 (2sinθsin(θ/2)−sin2θsin(θ/2))dθ
      +8π∫0π/3 (2sinθsin(θ/2)−sin2θsin(θ/2))dθ

  =−8π∫ππ/3 (cos(θ/2)−cos(3θ/2)+(1/2)(cos(5θ/2)−cos(3θ/2)))dθ
      +8π∫0π/3 (cos(θ/2)−(cos(3θ/2)+(1/2)(cos(5θ/2)−cos(3θ/2)))dθ

  =−8π∫ππ/3 (cos(θ/2)+(1/2)(cos(5θ/2)−3cos(3θ/2)))dθ
      +8π∫0π/3 (cos(θ/2)+(1/2)(cos(5θ/2)−3cos(3θ/2)))dθ

  =−8π[2sin(θ/2)+(1/5)sin(5θ/2)−sin(3θ/2)]ππ/3
      +8π[2sin(θ/2)+(1/5)sin(5θ/2)−sin(3θ/2)]0π/3

  =−8π(1+1/10−1−2−1/5−1)+8π(1+1/10−1)

  =−8π・(−31/10)+8π・(1/10)

  =128π/5  (終)

(コメント) 大学1年生程度の問題でした。ただ、計算が大変でしたね!


 よおすけさんが以前準1級を受験し合格されたとのことです。(平成26年12月28日付け)
ということは、問題を作問して投稿し採用されれば、作問料がいただけるということですね!

問題5 次の問いに答えよ。ただし、eは自然対数の底とする。(準1級1次レベル)

(1) 次の不定積分を求めよ。

  ∫1/(x2e1/x)dx

(2) 次の定積分を求めよ。

  ∫1/21 1//(x2e1/x)dx

(解)(1) 1/x=t とおくと、 dt/dx=−1/x2 なので、 (1/x2)dx=−dt

     よって、 与式=∫e-t(−dt)=e-t+C=e-1/x+C ただし、Cは積分定数

(2) (1)より、 与式=[e-1/x]1/21=e-1−e-2=(e−1)/e2  (終)

(コメント) 高校3年生程度の問題でした。


問題6 nを2以上の整数とするとき、分数 (15n+2)/(14n+3)が可約分数(分母、分子
    が約分できる分数)となるようなnの一般形を求めよ。また、そのときこの分数を約分
    して既約分数とした分数を求めよ。(1級2次レベル)

(解) 15n+2と14n+3の最大公約数をdとおくと、題意より、d>1 としてよい。

    15n+2=pd 、14n+3=qd  (p、qは互いに素な自然数)

  と書ける。このとき、 (−14p+15q)d=17 となり、17は素数なので、d=17

   15n+2=17p において、 15・1+2=17 なので、辺々引いて、

   15(n−1)=17(p−1)

   15と17は互いに素なので、 n−1=17k (kは自然数) とおける。

   すなわち、 n=17k+1 (kは自然数)

  このとき、 (15n+2)/(14n+3)=(15k+1)/(14k+1)  (終)

(コメント) 高校1年生程度の問題でした。


問題7 正の整数 a、b、c があり、a2、b2、c2 がこの順に公差d (d>0)の等差数列をな
    す。このとき、次の問いに答えよ。(1級2次レベル)

(1) 公差dは、24の倍数になることを証明せよ。

(2) 公差が最小値の24のときの a、b、c の値を求めよ。

(解) 題意より、b2−a2=c2−b2=d で、a2+c2=2b2 が成り立つ。

  平方数は3で割ると余りが 0または1なので、a2+c2=2b2 が成り立つことから、

 a2、b2、c2 は、すべて3の倍数か、または、3で割った余りが1の自然数である。

 何れにしても、d=b2−a2=c2−b2 は、3の倍数となる。

 同様にして、平方数は8で割ると余りが 0または1または4なので、a2+c2=2b2 が成

り立つことから、a2、b2、c2 はすべて、8の倍数か、または、8で割った余りが1か、または、

8で割った余りが4の自然数である。

 何れにしても、d=b2−a2=c2−b2 は、8の倍数となる。

 以上から、3と8は互いに素なので、dは、3×8=24の倍数になる。

(2) b2−a2=c2−b2=24 より、

   (b+a)(b−a)=(c+b)(c−b)=24×1=12×2=8×3=6×4

 このとき、起こりうる可能性は、

 (イ) b+a=24、b−a=1

   これを満たす自然数解は存在しない。

 (ロ) b+a=12、b−a=2

   これを解いて、 b=7、a=5 このとき、c2=73 これを満たす自然数解は存在しない。

 (ハ) b+a=8、b−a=3

   これを満たす自然数解は存在しない。

 (ニ) b+a=6、b−a=4

   これを解いて、 b=5、a=1 このとき、c2=49 で、c=7

 以上から、求める値は、 a=1、b=5、c=7  (終)

(コメント) 高校2年生程度の問題でした。当初「24」をどこから捻出しようかと迷いましたが
      24=3×8 に気がつけば一気に解決することが出来ました。(2)はおまけの問題
      ですね!


問題8 数列{ an } (n=1、2、3、…)が、1,2,4,5,7,8,10,11,13,14,… で与え
    られている。このとき、次の問いに答えよ。(1級2次レベル)

(1) 第n項 an をnの式で表せ。
(2) 級数 S=Σk=1〜n2=1651 となるnの値を求めよ。

(解)(1) 階差数列は、 1,2,1,2,・・・ なので、その第n項は、 {3+(−1)}/2

     よって、n≧2のとき、 an=1+Σk=1〜n-1 {3+(−1)k}/2

                    =1+(3/2)(n−1)+{(−1)n-1−1}/4

                    =(6n−3+(−1)n-1)/4

      この式は、n=1のときも成立する。

     したがって、すべてのnに対して、 an=(6n−3+(−1)n-1)/4

(2) 数列{ an2}:12,22,42,52,72,82,102,112,132,142,162,172,192,・・・

  において、

 1+4+16+25+49+64+100+121+169+196+256+289+361=1651

 よって、 n=13 である。

(コメント) 高校2年生程度の問題でした。


問題9 a≧0、b≧0、c≧0 のとき、不等式 (a3+b3+c3)4≧(a4+b4+c4)3 が成り
    立つことを示せ。また、等号が成り立つ条件を求めよ。(1級2次レベル)

(解) a、b、c がすべて0のとき、不等式は明らかに成り立つ。

 そこで、a、b、c のうち少なくとも一つは0でない場合を考える。不等式の対称性から一般

性を失うことなく、 a≠0 で、 a≧b≧c としてよい。

 x=b/a、y=c/a とおくと、 0≦x≦1 、 0≦y≦1

 このとき、示すべき不等式は、 (1+x3+y3)4≧(1+x4+y4)3 と書ける。

 0≦x≦1 、 0≦y≦1 より、 x3≧x4 、 y3≧y4

 よって、 1+x3+y3≧1+x4+y4 より、 (1+x3+y3)3≧(1+x4+y4)3

  1+x3+y3≧1なので、 (1+x3+y3)4≧(1+x3+y3)3

 以上から、 (1+x3+y3)4≧(1+x4+y4)3 が成り立つ。

 等号が成り立つのは、 x3=x4 、 y3=y4 、 (1+x3+y3)4=(1+x3+y3)3

 すなわち、 x3=x4 、 y3=y4 、 x3+y3=0 から、 x=y=0 のときに限る。

 したがって、a≧0、b≧0、c≧0 のとき、不等式 (a3+b3+c3)4≧(a4+b4+c4)3 が

成り立ち、等号が成り立つのは、a、b、c のうち少なくとも2つは0のときに限る。  (終)

(コメント) 高校2年生程度の問題でした。最初、両辺を展開して、左辺−右辺の計算から
      何とかしようとしましたが徒労に終わりました。


問題10 座標平面上の2点A(a,0)、B(0,b) (a>0、b>0)と原点Oを頂点とする直角三
     角形のつくる領域をD とする。D上で一様分布する2次元の確率変数(X,Y )の相関
     係ρ(X,Y)を求めたい。これを、次の(1)〜(3)の手続きにしたがって計算せよ。
                                            (1級2次レベル)
(1) この確率変数の密度関数f (x,y)を求めよ。

(2) 平均E(X)、E(Y)と分散σ2、σ2を求めよ。

(3) 上記の値を使って、相関係数ρ(X,Y)を求めよ。

(解)(1) △ABOの面積は、ab/2 なので、(x,y)∈Dにおいて、f (x,y)=k とおくと、

    abk/2=1 より、k=2/(ab) となり、

   (x,y)∈Dにおいて、f (x,y)=2/(ab)、Dに属さない点(x,y)において、f (x,y)=0

(2) E(X)=∫∫D xf (x,y)dxdy

      =2/(ab)∫0 x(∫0b-bx/ady)dx

      =2/(ab)∫0 (bx−bx2/a)dx

      =2/(ab)[bx2/2−bx3/(3a)]0=2/(ab)・ba2/6=a/3

 E(Y)=∫∫D yf (x,y)dxdy

      =2/(ab)∫0 (∫0b-bx/aydy)dx

      =2/(ab)∫0 (b−bx/a)2/2dx

      =1/(ab)[(−a/b)(b−bx/a)3/3]0=1/(ab)・(a/b)b3/3=b/3

 E(X2)=∫∫D2f (x,y)dxdy

    =2/(ab)∫02(∫0b-bx/ady)dx

    =2/(ab)∫0 (bx2−bx3/a)dx

      =2/(ab)[bx3/3−bx4/(4a)]0=2/(ab)・ba3/12=a2/6

 同様にして、 E(Y2)=b2/6

 このとき、 σ2=E(X2)−E(X)2=a2/6−a2/9=a2/18、σ2=b2/18

(3) 定義より、 ρ(X,Y)=Cov(X,Y)/(σσ) である。(Cov(X,Y):共分散)

そこで、E(XY)=∫∫D xyf (x,y)dxdy

    =2/(ab)∫0 x(∫0b-bx/aydy)dx

    =2/(ab)∫0 x(b−bx/a)2/2dx

    =1/(ab)∫0 (b2x−2b22/a+b23/a2)dx

    =b/a[x2/2−2x3/(3a)+x4/(4a2)]0=ab/12

  ここで、 Cov(X,Y)=E((X−E(X)(Y−E(Y))=E(XY)−E(X)E(Y)

なので、 Cov(X,Y)=ab/12−ab/9=−ab/36

 以上から、相関係数は、 ρ(X,Y)=(−ab/36)/(ab/18)=−1/2  (終)

(コメント) 大学1年生程度の問題でした。計算がちょっと大変でしたね。


 よおすけさんから問題を頂きました。(平成26年12月30日付け)

 今回は、2級2次レベルの問題で、多項式の積分です。同様の問題がよく出されています。
教科書の例題にもありますので、慣れている方なら問題ないでしょう。
(出典:第121回 2級2次 問題7)

問題11 座標平面上に、y=2x2−x+1 で表される放物線gと、y=x+5 で表される直
     線 l がある。このとき、次の問いに答えよ。(2級2次レベル)

(1) 放物線gと直線 l との交点の座標を求めよ。

(2) 放物線gと直線 l とで囲まれる部分の面積を求めなさい。

(解)(1) 2x2−x+1=x+5 より、 :2x2−2x−4=0 即ち、x2−x−2=0

      (x−2)(x+1)=0 より、 x=2、−1

     よって、交点の座標は、 (2,7)、(−1,4)

(2) 求める面積は、 2(2−(−1))3/6=9  (終)

(コメント) 高校2年生程度の問題でした。


問題12 2つの正方行列

     、 

 が与えられている。このとき、零行列でない3行2列の行列Xで、AX−XB=O (零行列) を
 満たすものの一例を求めよ。(1級2次レベル)

(解) det(A−λE)=λ3−5λ2−λ+5=(λ+1)(λ−1)(λ−5)=0 より、

     Aの固有値は、1、−1、5

  det(B−λE)=λ2−7λ+10=(λ−2)(λ−5) より、Bの固有値は、2、5

  Aの固有値5に属する固有ベクトルは、(A+E)(A−E)の列ベクトルから求められ、

  (0,1,1)である。(→ 参考:「固有ベクトルを求める」)

  また、Bの固有値5に属する固有ベクトルは、B−2Eの行ベクトルから求められ、

  (1,1)である。

 以上から、求める行列の一例として、X=(0,1,1)(1,1) をとればよい。すなわち、

       (終)

(コメント) 大学1年生程度の問題でした。6元1次連立方程式を解いてもよかったのですが、
      固有値と固有ベクトルを用いる誘惑に負けました!共通の固有値5に着目し、
      X=(0,1,1)(1,1) とすれば、AX=5(0,1,1)(1,1)で、また、
      XB=5(0,1,1)(1,1) から、 AX−XB=O (零行列)


問題13 底面が半径rの円で、高さがhである直円柱Rがある。この立体の密度が上面か
     らの距離に比例しているとき、この円柱の重心の位置を求めよ。(1級2次レベル)

(解) 題意より、求める重心の位置は、密度が端からの距離に比例する長さhの線分の重

  心の位置に等しい。比例定数をkとして、密度は、kxで与えられる。

  このとき、 ∫0h kxdx=kh2/2 、∫0h kx・xdx=kh3/3 より、重心の位置は、

  端より、 (kh3/3)/(kh2/2)=2h/3 の長さの地点にある。  (終)

(コメント) 大学1年生程度の問題でした。重心の計算は各質点のモーメントの合計が釣り
      合う点の計算になりますね!


問題14 0<x<1における微分方程式 u”(x)=−π2sin(πx) を満たし、2点境界条
     件 u(0)=0、u’(1)=0 を満たす解 u(x) を求めよ。(1級1次レベル)

(解) u’(x)=πcos(πx)+C (Cは任意定数)

  u’(1)=0 より、−π+C=0 なので、C=π  よって、 u’(x)=πcos(πx)+π

  さらに、u(x)=sin(πx)+πx+D (Dは任意定数)において、u(0)=0 より、D=0

  よって、 u(x)=sin(πx)+πx  (終)

(コメント) 大学1年生程度の問題でした。微分方程式という言葉は知らなくても不定積分
      の計算で、高校3年生程度かも...。


問題15 次の行列Aの階数を調べよ。ただし、xyz≠0 とする。(1級1次レベル)

    

(解) z=0 のとき、行列Aは基本変形により、

    

となり、y≠0 のときは、階数4、y=0 のときは、階数2となる。以下、z≠0 とする。

 行列Aは基本変形により、

    

となり、xz+y≠0 のとき、階数4、xz+y=0 のときは、階数2となる。

 以上をまとめると、xz+y≠0 のとき、階数4、xz+y=0 のときは、階数2となる。 (終)

(コメント) 大学1年生程度の問題でした。私の数学の論文に階数を用いたものがあるので、
      懐かしい計算でした!


問題16 ωをx3=1 の虚数解の1つとするとき、次の行列式Dの2乗の値を求めよ。
                                             (1級1次レベル)
    

(解) 行列式の計算公式により(→ 参考:「行列の必須技法」)

  D={(ω2+1)2−(ω+1)2}{−(ω2−1)2−(ω−1)2

   =(ω2+ω+2)(ω2−ω)(−ω4+ω2+2ω−2)

 ω3=1、ω2+ω+1=0 であるので、D=1・(ω2−ω)(−3)=−3(ω2−ω)

 よって、 D2=9(ω2−ω)2=9(ω4−2ω3+ω2)=9・(−3)=−27  (終)

(コメント) 大学1年生程度の問題でした。


問題17 次の連立方程式の実数解の組を求めよ。(1級1次レベル)

  (3−6y/(x+y))2+(3+6y/(x−y))2=82 、xy=2

(解) 第一式を変形して、 9(x−y)2/(x+y)2+9(x+y)2/(x−y)2=82

  そこで、 (x−y)2/(x+y)2=X とおくと、 9X+9/X=82 より、

   9X2−82X+9=0 で、(9X−1)(X−9)=0 より、 X=1/9、9

  X=1/9 のとき、 (x−y)/(x+y)=1/3、−1/3

   (x−y)/(x+y)=1/3 のとき、 x−2y=0 より、 x=2y

  xy=2 に代入して、2y2=2 より、 y=1、−1

   よって、(x,y)=(2,1)、(−2,−1)

   (x−y)/(x+y)=−1/3 のとき、 2x−y=0 より、 y=2x

  xy=2 に代入して、2x2=2 より、 x=1、−1

   よって、(x,y)=(1,2)、(−1,−2)

  X=9 のとき、 (x−y)/(x+y)=3、−3

   (x−y)/(x+y)=3 のとき、 x+2y=0 より、 x=−2y

  xy=2 に代入して、2y2=−2 より、 実数解はない。

   (x−y)/(x+y)=−3 のとき、 2x+y=0 より、 y=−2x

  xy=2 に代入して、2x2=−2 より、 実数解はない。

 以上から、 (x,y)=±(1,2)、±(2,1)  (終)

(コメント) 高校1年生程度の問題でした。


問題18 いくつかの続いた正の整数の和が1000であるとき、この続いた整数の組を求
     めよ。(準1級2次レベル)

(解) 初項をa、項数n とすると、末項は、a+n−1なので、そのn項の和は、

   n(2a+n−1)/2=1000 すなわち、 n(n+2a−1)=2000=24・53

   ここで、 n+2a−1>n で、n+2a−1とnは偶奇が反対の正の整数である。

   よって、起こりえる可能性は、

   (n,n+2a−1)=(5,400)、(25,80)、(16,125)

   (n,n+2a−1)=(5,400) のとき、 n=5、a=198

   (n,n+2a−1)=(25,80) のとき、 n=25、a=28

   (n,n+2a−1)=(16,125) のとき、 n=16、a=55

 以上から、求める数列は、

  198、199、200、201、202

  28、29、30、・・・、52

  55、56、57、・・・、70  (終)

(コメント) 高校2年生程度の問題でした。


問題19 3−y3=331 を満たす正の整数 x 、y を求めよ。(1級1次レベル)

(解) (x−y)(x2+xy+y2)=331 において、x−y<x2+xy+y2 で、331は素数なので、

   x−y=1 、x2+xy+y2=331

  x=y+1を第2式に代入して整理すると、y2+y−110=0

   (y+11)(y−10)=0 より、 y=10 で、x=11  (終)

(コメント) 高校1年生程度の問題でした。ただし、公式 x3−y3=(x−y)(x2+xy+y2
      は、現在の学習指導要領では、高校2年で学習することになっている。


問題20 複素数平面上の点zに対して、z,2z,z2 が表す点をそれぞれA、B、Cとすると
     き、次の問いに答えよ。(1級1次レベル)

(1) △ABCが∠C=90°の直角二等辺三角形であるとき、△ABCの面積を求めよ。
(2) z≠0 のとき、AC=2BC を満たす点Aの軌跡は円を表す。この円の半径を求めよ。

(解)(1) 題意より、 2z−z2=±i・(z−z2) z≠0 としてよいので、

       2−z=±i・(1−z) より、 (1±i)z=2±i すなわち、 z=(3±i)/2

     このとき、 z・=5/2 なので、△ABCの面積をSとおくと、

     S=(1/2)(z−z2)(2

      =(1/2)(5/2−(5/2)(z+)+(5/2)2

      =(1/2)(5/2−(5/2)・3+(5/2)2

      =5/8

(2) 題意より、 |z2−z|=2|z2−2z|で、z≠0 より、 |z−1|=2|z−2|

  このとき、点Aは、点(5/3)と点(3)を結ぶ線分を直径とする円周上にあり、求める半径

  は、 (1/2)(3−(5/3))=2/3 となる。  (終)

(コメント) 高校2年生程度の問題でした。


問題21 a を定数とする。このとき、実数全体を定義域とする確率密度関数

  f(x) = a(x−x3) (0≦x≦1 のとき) 、 f(x) = 0 (x<0,x>1 のとき)

について、次の問いに答えよ。(1級1次レベル)

(1) a の値を求めよ。

(2) f(x) が定める確率分布の分散を求めよ。(1級1次レベル)

(解) (1) ∫01a(x−x3)dx=a(1/2−1/4)=(1/4)a=1 より、 a = 4

(2) ∫01x・a(x−x3)dx=∫01a(x2−x4)dx=(2/15)a=8/15

   ∫012・a(x−x3)dx=∫01a(x3−x5)dx=(2/15)a=1/3

  よって、求める分散は、 1/3−(8/15)2=11/225  (終)

(コメント) 言葉の定義が把握されていれば容易ですね。


問題22 (問題文一部改題)

 A、B、Cは、相異なる1〜9のうちの数字で、3桁の数ABCを平方してある整数を掛けたら
6桁の数ABCABCになる。このようなABCで考えられるものをすべてあげよ。(2級2次)

(コメント) 1432×7=143143 になるので、解の一つは「143」であるが、解がこれだ
      けという自信が持てない...。


 公益財団法人日本数学検定協会の発表する模範解答に期待していたら、単に「143」と
書いてあるだけで素っ気ない。(平成28年6月30日付け)

 そこで、解が「143」となる道筋を整理したいと思う。

 mod3で、3桁の数ABCは、A+B+C 、6桁の数ABCABCは、2(A+B+C)

 かけ算するある整数をNとおくと、題意より、 N(A+B+C)2≡2(A+B+C) (mod3)

 すなわち、 (A+B+C)(N(A+B+C)−2)≡0 (mod3)

 これより、 A+B+C≡0 (mod3) ならば、 Nは任意

A+B+C≡1 (mod3) ならば、 N≡2 (mod3)

A+B+C≡2 (mod3) ならば、2N−2≡0 (mod3) すなわち、N≡1 (mod3)

 解の「143」、N=7は、この場合である。


 DD++さんからのコメントです。(平成28年6月30日付け)

 x=ABC、N=「ある整数」とすると、Nx2=1001x つまり、Nx=1001

1001=7×11×13 の約数のうち3桁の数は、11×13=143 のみ。


(コメント) なるほど!自然な解法ですね。「合同式」という策に溺れてしまいました。
      DD++さんに感謝します。


問題23 (問題文一部改題)・・・よおすけさんから問題をいただきました。
                                      (平成30年8月31日付け)

図1 図2 図3
   

 図1のような、正五角形を2個組み合わせた図形があり、はじめ8個の頂点(○の位置)に、
図2のようにそれぞれ1〜7の番号が書いてあるコマを置き、中央上段の位置は空けておき
ます。

 これらのコマを、図3のように矢印の方向に、空いている位置に移動します。図3は、1と2
のコマを移動したところを表しています。次に3のコマを空いている位置に移動します。

 コマの移動の仕方について、次の2種類を考えます。

 大循環(Tとします)・・・すべてのコマを矢印の方向に1回ずつ空いている位置に移動し、最
              後に中央上段にあるコマを右上の空いている位置に移動する。

 小循環(Sとします)・・・右側の3つのコマは移動しないで、左側の4つのコマを矢印の方向
              に1回ずつ空いている位置に移動し、最後に中央上段にあるコマを
              中央下段に移動する。

 TとSをこの順に施すことを1回の操作と考えます。図2の状態からこの操作を繰り返すと、
操作が終わったときに中央下段にくるコマは、あるいくつかのコマに決まります。

 どのコマになるか、理由を述べて答えなさい。(2級2次レベル)

(解) コマの移動の仕方から、操作前に「2」の位置にあるコマが中央下段にくるので、求め
   るコマは、2と4である。  (終)


 よおすけさんから問題を頂きました。(平成30年10月15日付け)

 今回は、準1級2次レベルの問題で、問題パターンがほぼ同じなのでまとめてみました。

問題24

(1) 実数 x、y、z が x+y+z=2 を満たすならば、 xy+yz+zx<2 が成り立つことを示し
   なさい。(第220回準1級2次)

(2) 実数 x、y、z が xy+yz+zx=3 を満たすならば、 x+y+z≧3 または x+y+z≦−3
   が成り立つことを示しなさい。(第243回準1級2次)


(解)(1) (x+y+z)2=x2+y2+z2+2(xy+yz+zx) より、

     4=x2+y2+z2+2(xy+yz+zx) なので、 4−2(xy+yz+zx)=x2+y2+z2

     ところで、x+y+z=2 より、実数 x、y、z のうち少なくとも一つは0でないので、

       x2+y2+z2>0  したがって、 xy+yz+zx<2

(2) (x+y+z)2=x2+y2+z2+2(xy+yz+zx) より、(x+y+z)2=x2+y2+z2+6

  ところで、 2(x2+y2+z2)≧(x2+y2)+(y2+z2)+(x2+z2)≧2(xy+yz+zx)=6

  より、 x2+y2+z2≧3

 よって、 (x+y+z)2=x2+y2+z2+6≧9 より、

   x+y+z≧3 または x+y+z≦−3 が成り立つ。  (終)


 りらひいさんからのコメントです。(平成30年10月16日付け)

 解いてみましたが、少し時間がかかってしまいました。

(1) z=2-x-y より、

  xy+yz+zx=xy+(x+y)(2-x-y)=-x^2-xy-y^2+2x+2y=-(x+y/2-1)^2-3/4*y^2+y+1

        =-(x+y/2-1)^2-3/4*(y-2/3)^2+4/3≦4/3<2

(2) x+y=0 を仮定すると、条件が xy=3 となるが、これらを満たす実数の組は存在しないた
  め、x+y≠0である。

  z=(3-xy)/(x+y)=(3-((x+y)^2-(x-y)^2)/4)/(x+y)=-(x+y)/4+(3+(x-y)^2/4)/(x+y)

 より、

  (x+y+z)^2=(3/4*(x+y)+(3+(x-y)^2/4)/(x+y))^2

        =(3/4*(x+y)-(3+(x-y)^2/4)/(x+y))^2+3(3+(x-y)^2/4)

        =(3/4*(x+y)-(3+(x-y)^2/4)/(x+y))^2+3/4*(x-y)^2+9≧9

 よって、x+y+z≧3 または x+y+z≦-3


 らすかるさんからのコメントです。(平成30年10月16日付け)

 (x+y+z)^2=3(xy+yz+zx)+{(x+y-2z)^2+3(x-y)^2}/4≧3(xy+yz+zx) から、

 x+y+z=2 のとき、 3(xy+yz+zx)≦(x+y+z)^2=4 すなわち、xy+yz+zx≦4/3<2

 xy+yz+zx=3 のとき、 (x+y+z)^2≧3(xy+yz+zx)=9 なので、 |x+y+z|≧3


 りらひいさんからのコメントです。(平成30年10月17日付け)

 らすかるさんの

 (x+y+z)^2=3(xy+yz+zx)+{(x+y-2z)^2+3(x-y)^2}/4≧3(xy+yz+zx)

ということは・・・、次の関係式を使うと自由に問題が作れるということですね。高い次数の問
題は解く気がおきないでしょうけど。

 nを2以上の整数、x[1],…,x[n]を実数とすると、次の式が成り立つ。

(Σ[i=1〜n]x[i])^2
=(n/(n-1))*{ 2*(Σ[i<j]x[i]x[j]) + Σ[k=1〜n-1]((Σ[i=1〜k]x[i])-k*x[k+1])^2/(k(k+1)) }


 GAI さんからのコメントです。(平成30年10月17日付け)

 らすかるさんの変形式でもよくこんな式が成立するなと感心していましたが、これがこんな
一般式に広げられるとは驚きです。確かに、

(x1+x2+x3+x4)^2=8/3*(x1*x2+x1*x3+x1*x4+x2*x3+x2*x4+x3*x4)+
                    1/9*{(x1+x2+x3-3*x4)^2+2*(x1+x2-2*x3)^2+6*(x1-x2)^2)}

(x1+x2+x3+x4+x5)^2
=5/2*(x1*x2+x1*x3+x1*x4+x1*x5+x2*x3+x2*x4+x2*x5+x3*x4+x3*x5+x4*x5)+
 1/48*{3*(x1+x2+x3+x4-4*x5)^2+5*(x1+x2+x3-3*x4)^2+10*(x1+x2-2*x3)^2+30*(x1-x2)^2)}

........................................

が成立していくことはビックリです。


 DD++さんからのコメントです。(平成30年10月17日付け)

 意外とみんなやり方が違うものなのですね。私ならこうかな。

(1) 6(xy+yz+zx) = 2(x+y+z)^2 - (x-y)^2 - (y-z)^2 - (z-x)^2 ≦ 8 より

  xy+yz+zx ≦ 4/3 < 2

(2) 2(x+y+z)^2 = (x-y)^2 + (y-z)^2 + (z-x)^2 + 6(xy+yz+zx) ≧ 18 より

  (x+y+z)^2 ≧ 9 すなわち x+y+z ≦ -3 または x+y+z ≧3


(コメント) DD++さんの式変形、美しいですね。参考になります!


 よおすけさんからのコメントです。(平成30年10月17日付け)

 公式の解答は以下の通りでした。

(1) 実数 x、y、z が x+y+z=2 を満たすとき、

  2(xy+yz+zx)=(x+y+z)^2-(x^2+y^2+z^2)=4-(x^2+y^2+z^2)

  x+y+z=2 より、(x,y,z)≠(0,0,0) であるから、 x^2+y^2+z^2>0

 よって、 2(xy+yz+zx)<4 すなわち、 xy+yz+zx<2

※管理人様の解答とほぼ同じ

(2) xy+yz+zx=3 なので、

 (x+y+z)^2-9=(x+y+z)^2-3×3=(x+y+z)^2-3(xy+yz+zx)

=x^2+y^2+z^2+2(xy+yz+zx)-3(xy+yz+zx)

=x^2+y^2+z^2-(xy+yz+zx)=1/2{(x-y)^2+(y-z)^2+(z-x)^2}

 x、y、z は実数より、 {(x-y)^2+(y-z)^2+(z-x)^2}≧0

 よって、 (x+y+z)^2-9≧0 すなわち、 (x+y+z)^2≧9 がわかり

 x+y+z≧3 または x+y+z≦-3

※DD++さんの解答に、式変形の補足を加えたものと同じ


 りらひいさんからのコメントです。(平成30年10月19日付け)

 対称性を持たせたものですけど、別解を作りました。

 a、b、c を a+b+c=0 かつ (a,b,c)≠(0,0,0) を満たす実数とする。

 (x+y+z)2= 3(xy+yz+zx)+{(ax+by+cz)2+(bx+cy+az)2+(cx+ay+bz)2}/(a2+b2+c2)≦3(xy+yz+zx)

が成り立つので、あとは、x+y+z の値か xy+yz+zx の値を代入すればよい。

 a、b、c に条件を満たす自由な数を入れれば解答が完成します。

 (a,b,c)=(1,-1,0) ならば、DD++さんの解答と一致。

(おまけ) まったく需要はなさそうですが、なんとなく作ってしまったのでおいておきます。

 mを自然数とする。

(Σ[i=0〜2^m-1]x[i])^2
={ 2^(m+1)*(Σ[0≦i<j≦2^m-1]x[i]x[j])
 + Σ[k=1〜m]2^(m-k)*(Σ[i=0〜2^(m-k)-1]((Σ[j=0〜2^(k-1)-1]x[i*2^k+j])
                          -(Σ[j=2^(k-1)〜2^k-1]x[i*2^k+j]))^2) } / (2^m-1)


 よおすけさんから問題を頂きました。(平成30年10月26日付け)

問題25 ∠AOB=90°である直角三角形OABがあります。頂点Oから辺ABに垂線を引き、
     ABとの交点をHとします。OA=a、OB=b、AH=c、BH=d、OH=h とするとき、次の問い
     に答えなさい。

 (1) h2=cd が成り立つことを証明しなさい。

 (2) a2/h2=1+(c/d) が成り立つことを証明しなさい。(2級2次レベル)

※出典:第125回 数学検定2級2次 問題1

(解)(1) △OAH∽△BOH なので、 c : h=h : d より、 h2=cd が成り立つ。

(2) (1)より、 a2/h2=a2/cd

  △OAH∽△BAO なので、 a : c=c+d : a より、 a2/c=c+d

  よって、 a2/h2=(c+d)/d=1+c/d


(コメント) 逆ピタゴラスの定理を用いれば、次のような解になります。

     a2/h2=a2(1/a2+1/b2)=1+a2/b2

    また、 a/c=b/h 、a/h=b/d より、 a2/c=b2/d すなわち、 a2/b2=c/d

    よって、 a2/h2=1+c/d が成り立つ。


 よおすけさんから問題を頂きました。(平成30年11月12日付け)

問題26 複素数 z=cos(2π/2018)+i・sin(2π/2018) について、次の式の値を求めなさい。
      ただし、i は虚数単位を表します。

(1) (1-z)(1-z^2)(1-z^3)・・・(1-z^2016)(1-z^2017)

(2) 1/(1-z)+1/(1-z^2)+1/(1-z^3)+・・+1/(1-z^2016)+1/(1-z^2017)

(出典)第327回 実用数学技能検定1級1次 問題2


類題 次の問いに答えよ。

 z=cos(2π/n)+i・sin(2π/n)、nを2以上の自然数とするとき、

   (1-z)(1-z^2)(1-z^3)・・・(1-z^(n-1))

を求めよ。ただし、iは虚数単位とする。(2002年 北海道大学理系 問題4改題)


 問題26(1)は、類題で、n=2018とすればよいので、類題を示すことにする。これは有名
問題かな?

(解) z^n=1 より、zはn次方程式 x^n-1=0 の解である。

   よって、 x^n-1=(x-1)(x-z)(x-z^2)(x-z^3)・・・(x-z^(n-1)) と因数分解される。

   また、 x^n-1=(x-1)(x^(n-1)+x^(n-2)+・・・+1) なので、

    (x-z)(x-z^2)(x-z^3)・・・(x-z^(n-1))=(x^(n-1)+x^(n-2)+・・・+1)

   x=1 とおくと、 (1-z)(1-z^2)(1-z^3)・・・(1-z^(n-1))=n  (終)


 さて、(2)を解いてみよう。

(解) 項が全部で2017個あり、z^2018=1 であることに注意して、

 1/(1-z)+1/(1-z^2017)=1/(1-z)+z/(z-1)=(1-z)/(1-z)=1

 1/(1-z^2)+1/(1-z^2016)=1/(1-z^2)+z^2/(z^2-1)=(1-z^2)/(1-z^2)=1

  ・・・・・・・・・・・・・・・・

 1/(1-z^1008)+1/(1-z^1010)

=1/(1-z^1008)+z^1008/(z^1008-1)=(1-z^1008)/(1-z^1008)=1

 また、 z^1009=cosπ+i・sinπ=−1 なので、  1/(1-z^1009)=1/2

 よって、求める値は、 1×1008+1/2=2017/2  (終)


 よおすけさんから問題を頂きました。(平成30年12月4日付け)

問題27 F[n]=2^(2n)+1 (n=0,1,2,・・・) をフェルマー数といいます。

例 F[0]=2^1+1=3 、F[1]=2^2+1=5 、F[2]=2^4+1=17 、F[3]=2^8+1=257 、F[4]=2^16+1=65537
  はいずれも素数ですが、F[5]=2^32+1=4294967297 は合成数です。
  (→ 4294967297=641×6700417)

 実は、F[n](n≧5)の中に、素数であることが確かめられたものはまだ1つもありません。

 ここでは、比較的簡単な考察によってわかるフェルマー数の性質について考えます。次の
問いに答えなさい。

(1) m、n を m<n を満たす 0 以上の整数とします。このとき、F[n]-2 は、F[m]で割り切れ
  ることを示しなさい。

(2) 次の命題は真ですか偽ですか。真ならばそのことを証明し、偽ならば反例を挙げなさ
  い。
     『相異なる2つのフェルマー数の最大公約数はつねに1である。』

(出典:第238回 実用数学技能検定準1級2次 問題5)


(解)(1) F[n]-2=2^(2n)-1=2^(2n-1)・2-1=(2^(2n-1)-1)(2^(2n-1)+1)=(2^(2n-1)-1)F[n-1]

      2^(2n-1)-1=2^(2n-2)・2-1=(2^(2n-2)-1)(2^(2n-2)+1)=(2^(2n-2)-1)F[n-2]

    よって、 F[n]-2=(2^(2n-2)-1)F[n-2]F[n-1] より、帰納的に、

         F[n]-2=F[0]F[1]・・・F[n-2]F[n-1]

    が成り立つので、F[n]-2 は、F[m]で割り切れる。(mは m<n を満たす 0 以上の整数)

(2) 2つのフェルマー数 F[m]、F[n] (m<n)が1以外の共通因数pを持つと仮定すると、

   (1)より、 2=F[n]-F[0]F[1]・・・F[n-2]F[n-1] はpで割り切れる。すなわち、 p=2

   しかるに、フェルマー数 F[n]=2^(2n)+1 は奇数なので、これは矛盾する。

   よって、相異なる2つのフェルマー数は互いに素となり、命題は真である。  (終)


 ハンニバル・フォーチュンさんからのコメントです。(平成30年12月9日付け)

 『相異なる2つのフェルマー数の最大公約数はつねに1である。』が真ならば、素数は無限
個ある、というわけですね……。


 よおすけさんから問題を頂きました。(平成30年12月23日付け)

問題28 適当な定数 a、b、c および p、q をとると、5次以下の任意の多項式 f(x) につい
     て、常に
           ∫-11 f(x)dx=af(p)+bf(0)+cf(q)

     が成立するようにできます。このような a、b、c、p、q を求めなさい。
     ただし、p<0<q とします。

(出典:第223回実用数学技能検定準1級2次 問題7)


 りらひいさんから解答をいただきました。(平成30年12月24日付け)

 f(x)=1 のとき、 2=a+b+c …(1)

 f(x)=2x のとき、 0=ap+cq …(2)

 f(x)=3x^2 のとき、 2=3ap^2+3cq^2 …(3)

 f(x)=4x^3 のとき、 0=4ap^3+4cq^3 …(4)

 f(x)=5x^4 のとき、 2=5ap^4+5cq^4 …(5)

 f(x)=6x^5 のとき、 0=6ap^5+6cq^5 …(6)

 このとき、 (2)*p^2-(4)/4 より、 0=cp^2q-cq^3 で、p<0<q なので、c=0 または p=-q

 c=0 とすると、(2)より、ap=0 となるが、(3)の右辺が 0 となり不適。よって、p=-q

 (2)より、a=c で、(3)より、2=6cq^2 …(7) また、(5)より、2=10cq^4 …(8)

 (7)-(8)より、0=6cq^2-10cq^4 で、c≠0、q>0 なので、q=√(3/5) より、c=5/9

 (1)より、b=8/9

 以上から、 a=5/9 、b=8/9 、c=5/9 、p=-√(3/5) 、q=√(3/5)

 これらは、たしかに(1)〜(6)を満たす。

 また、積分の線型性から5次以下の任意の多項式に関しても成り立つ。


(コメント) 流石!準1級ですね...。難問でした。

 りらひいさんの解答を参考に私も考えてみました。

(解) 5次以下の任意の多項式 f(x) を f(x)=Ax5+Bx4+Cx3+Dx2+Ex+F とおくと、

 ∫-11 f(x)dx=2B/5+2D/3+2F

また、af(p)+bf(0)+cf(q)

=(ap5+cq5)A+(ap4+cq4)B+(ap3+cq3)C+(ap2+cq2)D+(ap+cq)E+(a+b+c)F

で、A、B、C、D、E、F について恒等的に成り立つので、係数比較して、

    ap5+cq5=0 ・・・ (1)

    ap4+cq4=2/5 ・・・ (2)

    ap3+cq3=0 ・・・ (3)

    ap2+cq2=2/3 ・・・ (4)

    ap+cq=0 ・・・ (5)

    a+b+c=2 ・・・ (6)

 (3)(4)(5)より、 a≠0、c≠0 である。

 (3)(5)より、 ap3+cq3=ap3−ap・q2=ap(p+q)(p−q)=0 で、ap(p−q)≠0 から、

  p=−q

 (5)より、 (c−a)q=0 で、q≠0 より、 a=c

 (2)より、 ap4=1/5 で、(4)より、 ap2=1/3 なので、p2=3/5 よって、a=c=5/9

 よって、 p=−√(3/5) 、q=√(3/5)

 最後に、(6)より、 b=8/9

 以上から、5次以下の任意の多項式 f(x) について、

    ∫-11 f(x)dx=(5/9)f(−√(3/5))+(8/9)f(0)+(5/9)f(√(3/5))

が成り立つ。  (終)


 ハンニバル・フォーチュンさんからのコメントです。(平成30年12月27日付け)

 ガウス・ルジャンドル求積法の特別な場合だったのですね。


 よおすけさんから問題を頂きました。(令和元年7月26日付け)

問題29 x=2cos(2π/7) を零点に持つ有理数係数の多項式P(x)のうち、次数が最小かつ
     最高次の係数が1であるものを求めなさい。
    (出典:第213回実用数学技能検定1級1次 問題2)


 らすかるさんからのコメントです。(令和元年7月26日付け)

 y=2cos(4π/7)、z=2cos(8π/7) とすると、x+y+z=-1、xy+yz+zx=-2、xyz=1 なので、

2cos(2π/7)は、x^3+x^2-2x-1=0 の解。x^3+x^2-2x-1 は既約なので、これが条件を満た

す解。


 GAIさんからのコメントです。(令和元年7月26日付け)

 x^3+x^2-2*x-1=0 ・・・ ほとんどらすかるさんと同時刻に返事してしまいました。

 では、同じく、 x=2*sin(2π/7)、x=2*tan(2π/7) を 零点に持つ有理数係数の多項式の
うち、次数が最小かつ最高次の係数が1であるものをそれぞれ求めなさい。


 らすかるさんからのコメントです。(令和元年7月26日付け)

 {sin(2π/7)}^2+{cos(2π/7)}^2=1 から、x=2sin(2π/7)のとき、√(4-x^2)=2cos(2π/7) なの

で、2cos(2π/7) が、x^3+x^2-2x-1=0 の解であることから、2sin(2π/7) は、

  (4-x^2)^(3/2)+(4-x^2)-2(4-x^2)^(1/2)-1=0 の解

 整理して、 x^6-7x^4+14x^2-7=0

 これは既約なので、2sin(2π/7)の最小多項式

 {tan(2π/7)}^2+1=1/{cos(2π/7)}^2 から、x=2tan(2π/7) のとき、

√{16/(x^2+4)}=2cos(2π/7) なので、2cos(2π/7) が、x^3+x^2-2x-1=0 の解であることか

ら、2tan(2π/7) は、{16/(x^2+4)}^(3/2)+{16/(x^2+4)}-2{16/(x^2+4)}^(1/2)-1=0 の解

 整理して、 x^6-84x^4+560x^2-448=0

 これは既約なので、2tan(2π/7)の最小多項式

(補足) 2sin(2π/7)の最小多項式 x^6-7x^4+14x^2-7=0 の6解は、

 ±2sin(2π/7) 、±2sin(4π/7) 、±2sin(8π/7)

 2tan(2π/7) の最小多項式 x^6-84x^4+560x^2-448=0 の6解は、

 ±2tan(π/7) 、±2tan(2π/7) 、±2tan(4π/7)

となっていました。

※±2sin(8π/7)=干2sin(π/7)、±2tan(4π/7)=干2tan(3π/7) ですが、下記の構造を考え
 ると、±2sin(8π/7)、±2tan(4π/7) と書く方が綺麗です。

 ちなみに、2sin(2π/7)、2sin(4π/7)、2sin(8π/7) の3解を持つ三次方程式は、

  x^3-(√7)x^2+(√7)=0

 -2sin(2π/7)、-2sin(4π/7)、-2sin(8π/7) の3解を持つ三次方程式は、

  x^3+(√7)x^2-(√7)=0

で、

{x^3-(√7)x^2+(√7)}{x^3+(√7)x^2-(√7)} = (x^3)^2-7(x^2-1)^2 = x^6-7x^4+14x^2-7

 2tan(π/7)、2tan(2π/7)、2tan(4π/7) の3解を持つ三次方程式は、

  x^3+(2√7)x^2-28x+(8√7)=0

 -2tan(π/7)、-2tan(2π/7)、-2tan(4π/7) の3解を持つ三次方程式は、

  x^3-(2√7)x^2-28x-(8√7)=0

で、

{x^3+(2√7)x^2-28x+(8√7)}{x^3-(2√7)x^2-28x-(8√7)}
= (x^3-28x)^2-7(2x^2+8)^2 = x^6-84x^4+560x^2-448

のようになっていますので、

 2sin(2π/7)/√7 の最小多項式は、x^3-x^2+1/7=0

 tan(2π/7)/√7 の最小多項式は、x^3+x^2-x+1/7=0

ということもわかります。


 よおすけさんからのコメントです。(令和元年7月27日付け)

(別解の一例) 2π/7=θ とすると、2π=7θ で、7θ=4θ+3θと考えると、2π-4θ=3θ

より、cos(2π-4θ)=cos3θ すなわち、 cos4θ=cos3θ

cos4θ=8(cosθ)^4-8(cosθ)^2+1、cos3θ=4(cosθ)^3-3cosθで、2cosθ=x だから、

cos4θ=1/2(x^4-4x^2+2)、cos3θ=1/2(x^3-3x)となり、cos4θ=cos3θへそれぞれ置き換え

ると、x^4-4x^2+2=x^3-3x より、x^4-x^3-4x^2+3x+2=0

 左辺の x^4-x^3-4x^2+3x+2 をさらに因数分解できるか調べると、(x-2)(x^3+x^2-2x-1) と
なったため、次数が最小の多項式は、x^4-x^3-4x^2+3x+2ではない。

 これより、x≠2だから、次数が最小のxの多項式は、x^3+x^2-2x-1


問題30 x^5−x^4−1を因数分解せよ。(1級1次レベル)

 この問題をパっと見てすぐ因数分解できる方は相当の因数分解マニアであろう。

 一番エレガントな解法は、次のようなものだろう。

(解) x^5−x^4−1=x^5−x^4+x^3−x^3−1

            =x^3(x^2−x+1)−(x−1)(x^2−x+1)

            =(x^2−x+1)(x^3−x+1)  (終)

 また、「オメガ(ω)の真実」に注意すれば、次のような解法も可能だろう。

(解) 1の3乗根をωとすると、 ω^3=1、ω^2+ω+1=0 なので、

 x=−ω を代入すると、 x^5−x^4−1=−ω^5−ω^4−1=−ω^2−ω−1=0

 x=−ω~ を代入すると、 x^5−x^4−1=−ω~^5−ω~^4−1=−ω~^2−ω~−1=0

 よって、x^5−x^4−1は、(x+ω)(x+ω~)=x^2−x+1で割り切れる。

 (x^5−x^4−1)÷(x^2−x+1)=x^3−x+1 なので、

 x^5−x^4−1=(x^3−x−1)(x^2−x+1)  (終)

 また、手数がかかるが次のような解法もありえるだろう。

(解) x^5−x^4−1=(x^3+ax^2+bx+c)(x^2+dx+e) とおける。

 x^4の係数を比較して、 d+a=−1

 x^3の係数を比較して、 e+ad+b=0

 x^2の係数を比較して、 ae+bd+c=0

 xの係数を比較して、 be+cd=0

 定数項を比較して、 ce=−1 なので、 c=1、e=−1 または c=−1、e=1

c=1、e=−1 とすると、 d+a=−1 、ad+b=1 、−a+bd+1=0 、−b+d=0

  b=d なので、 a+b=−1 、b(a+1)=1 、a−1=b^2

  b=−aー1 なので、 (a+1)^2=−1 となり、この式を満たす実数aは存在しない。

c=−1、e=1 とすると、 d+a=−1 、ad+b=−1 、a+bd−1=0 、b−d=0

  b=d なので、 a+b=−1 、b(a+1)=−1 、a−1=−b^2

  b=−aー1 なので、 (a+1)^2=1 となり、 a=0、−2

   a=0 のとき、 b=−1

   a=−2 のとき、 b=1、b^2=3 を満たすbは存在しない。

 以上から、 x^5−x^4−1=(x^3−x−1)(x^2−x+1)  (終)



  以下、工事中!