目の和                                   戻る

 当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さんが、サイコロの目の和について考察され
た。(平成26年9月1日付け)

 2つのサイコロの目の和kは、母関数 (x+x2+x3+x4+x5+x6)2 の展開式の xk の係数で考
察されることから、この通常のサイコロと同等な役割を演じる2つのサイコロの有り様を考察
する。(通常の1〜6の目を逸脱する。)

 母関数は、 (x+x2+x3+x4+x5+x6)2=x2(x+1)2(x2-x+1)2(x2+x+1)2 と因数分解されること
から、ここに出現する因数に着目し、これを2グループ[P|Q]に分けること(ただし、xはどちら
も1個含む)を考える。

 今、a=x+1、b=x2-x+1、c=x2+x+1 とすると、{a,a,b,b,c,c} を2つに分ける組合せを作る
ことから、

[P|Q]=[1|a2b2c2] ・・・・・ (1)  、[a|ab2c2] ・・・・・ (2)  、[b|a2bc2] ・・・・・ (3)
    [c|a2b2c] ・・・・・ (4)  、[a2|b2c2] ・・・・・ (5)  、[b2|a2c2] ・・・・・ (6)
    [c2|a2b2] ・・・・・ (7)  、[ab|abc2] ・・・・・ (8)  、[bc|a2bc] ・・・・・ (9)
    [ac|ab2c] ・・・・・ (10)  、[a2b|bc2] ・・・・・ (11)  、[a2c|b2c] ・・・・・ (12)
    [ab2|ac2] ・・・・・ (13)

 そのそれぞれに対して、2つのサイコロの母関数として構成できる式 f、g が

(1)→ f=x
    g=xa2b2c2=x11+2x10+3x9+4x8+5x7+6x6+5x5+4x4+3x3+2x2+x
(2)→ f=xa=x2+x
    g=xab2c2= x10+x9+2x8+2x7+3x6+3x5+2x4+2x3+x2+x
(3)→ f=xb=x3-x2+x
    g=xa2bc2= x9+3x8+5x7+6x6+6x5+6x4+5x3+3x2+x
(4)→ f=x3+x2+x
    g=xa2b2c=x9+x8+x7+2x6+2x5+2x4+x3+x2+x
(5)→ f=xa2=x3+2x2+x
    g=xb2c2= x9+2x7+3x5+2x3+x
(6)→ f= xb2 = x5-2x4+3x3-2x2+x
    g=xa2c2 = x7+4x6+8x5+10x4+8x3+4x2+x
(7)→ f= xc2 = x5+2x4+3x3+2x2+x
    g=xa2b2 = x7+2x4+x
(8)→ f=xab = x4+x
    g=xabc2 = x8+2x7+3x6+3x5+3x4+3x3+2x2+x
(9)→ f=xbc = x5+x3+x
    g=xa2bc = x7+2x6+2x5+2x4+2x3+2x2+x
(10)→ f=xac = x4+2x3+2x2+x
     g=xab2c = x8+x6+x5+x4+x3+x
(11)→ f=xa2b = x5+x4+x2+x
     g=xbc2 = x7+x6+2x5+x4+2x3+x2+x
(12)→ f=xa2c= x5+3x4+4x3+3x2+x
     g=xb2c = x7-x6+2x5-x4+2x3-x2+x
(13)→ f=xab2 = x6-x5+x4+x3-x2+x
     g=xac2 = x6+3x5+5x4+5x3+3x2+x

 さて、この中から係数が負となる(3)、(6)、(12)、(13)を除外して残りの組合せでの2つ
の目のパターンになおすと、

(1) P{1}、Q{1,2,2,3,3,3,4,4,4,4,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,8,8,8,8,9,9,9,10,10,11}
(2) P{1,2}、Q{1,2,3,3,4,4,5,5,5,6,6,6,7,7,8,8,9,10}
(4) P{1,2,3}、Q{1,2,3,4,4,5,5,6,6,7,8,9}
(5) P{1,2,2,3}、Q{1,3,3,5,5,5,7,7,9}
(7) P{1,2,2,3,3,3,4,4,5}、Q{1,4,4,7}
(8) P{1,4}、Q{1,2,2,3,3,3,4,4,4,5,5,5,6,6,6,7,7,8}
(9) P{1.3.5}、Q{1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7}
(10) P{1,2,2,3,3,4}、Q{1,3,4,5,6,8}
(11) P{1,2,4,5}、Q{1,2,3,3,4,5,5,6,7}

 このいずれのサイコロの組合せであろうが、2つのサイコロの目の和Xにおける確率分布
P(X)は、

 
2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
P(X) 1/36 2/36 3/36 4/36 5/36 6/36 5/36 4/36 3/36 2/36 1/36

と同型となる。勿論、通常の正6面体をサイコロの構造物とするならば、(10)における組合せ
{1,2,2,3,3,4}と{1,3,4,5,6,8}の目を使うとよい。

※マージャンをやるとき、親は、例えば(11)パターンから構成される。1、2、4、5の数字の一
 つが書かれたおみくじと 1、2、3、3、4、5、5、6、7 の数字が書かれた9本の筮竹から一つを
 引いてその和をとりゲームを始めるのも風流というものである。


(追記) GAI さんから新しい問題をいただきました。(平成28年11月21日付け)

 遊びで、n回さいころを投げて出た目の和をSnとしたとき、Sn≦n+6 となる確率が式で表せ
ないかを求めていたら、やたらとめんどくさい作業となり、しかも、出た結果はあまり美しい式
とはいえない代物になった。果たして、この式でいいのだろうか?の疑問だけが残った。

 手際よく出せる方法を思い付く方がおられましたら御一報を。


 at さんからのコメントです。(平成28年11月21日付け)

 Sn≦n+6 となる確率を P(n) とすると、

P(n)
=(Σ[k=n,n+6]([x^k](x+x^2+x^3+x^4+x^5+x^6)^n))/6^n
=(Σ[k=0,6]([x^k](1+x+x^2+x^3+x^4+x^5)^n))/6^n
=(Σ[k=0,6]([x^k](1+x+x^2+x^3+x^4+x^5+x^6)^n) - n)/6^n
=(Σ[k=0,6]([x^k](1+x+x^2+x^3+ … )^n) - n)/6^n
=(Σ[k=0,6]([x^k](1/(1-x))^n) - n)/6^n
=(Σ[k=0,6]comb(n+k-1,k) - n)/6^n
=(n^6+21*n^5+175*n^4+735*n^3+1624*n^2+1044*n+720)/(720*6^n).


 DD++さんからのコメントです。(平成28年11月21日付け)

 n+6個のマルの間もしくは右端のn+6箇所中n箇所に仕切りを入れる、ただし一番右の仕
切りの右以外でマルが7個連続してはいけないと考えて、

  {C(n+6,6)-n}/6^n

で終わりじゃないでしょうか?


 GAI さんからのコメントです。(平成28年11月22日付け)

 私はすぐに

 (Σ[k=n,n+6]([x^k](x+x^2+x^3+x^4+x^5+x^6)^n))

から10数個のデータ数(6,26,81,206,457,918,1709,・・・)を集め、これから第6次階差数列ま
で構成したとき、始めて一次式の一般項が定まったので、これを元に一歩一歩元の数列の
一般項へ向かって行きました。

 結果的に正に最後に示された式にヘトヘトになりながら辿り着いたという訳でした。これを
因数分解しても、何の変化も起きずこんな式でいいのかな〜って感じでした。

 この結果まで、

 (Σ[k=0,6]([x^k](1+x+x^2+x^3+x^4+x^5+x^6)^n) - n)/6^n

と、nを引く発想が思いもつかない。

 (Σ[k=0,6]([x^k](1+x+x^2+x^3+ … )^n) - n)/6^n

と、x^6を越えて何処までも加える転換が思ってもいない。さらに、

 (Σ[k=0,6]comb(n+k-1,k) - n)/6^n

と、こんな組合せ関数に切り替るなんて想像だにできない。いやーお見事です。

 さらに、因数分解できないと嘆いていたら見事に、

 (n+1)*(n+2)*(n*3)*(n+4)*(n+5)*(n+6)/720=C(n+6,6)

なる式に集約できるんですね。DD++さんの如何にも華麗な数学的思考による一行結果です
ね。ただあまりに本質のえぐりだしなので、実はまだ理解が及んでいません・・・。


(コメント) n回さいころを投げて出た目の和Snが n+6以下となる確率を求める場合、「1」
     がn+6個並んでいるものにしきり棒をn本(入れる場所は「1」の間及び右端の「1」
     の右側)入れて、左からk−1番目とk番目のしきり棒の間の「1」の総数がk回目に
     出た目の数となり、左からn番目のしきり棒までの「1」の総数がSnとなる。

    ただし、「1」は7個連続してはいけないので、「1」としきり棒の間に連続6個の「1」を
   入れる場合を除かなくてはいけない。その場合の数は、n通り。

    したがって、Snが n+6以下となる場合の数は、n+6n−n=n+66−n(通り)


 DD++さんからのコメントです。(平成28年11月23日付け)

 サイコロをn回投げて合計がこうなる出方は何通りか、というのはよくある問題です。「n」の
場合は明らかに1通りで、「n+1以下」や「ちょうどn+2」程度なら正直に数えてもなんとかなりま
すが、「n+5以下」などになると正直に数えるのはなかなか大変。

 そこで、「n+6ちょうどor以下」程度までならスパッと出せる便利な方法を、誘導付き問題と
いう形で紹介します。
(有名な求め方だと思い込んでいたのですが、検索してみたら案外そうでもなかったようで…)

[A] サイコロを3回投げて合計が8になる目の出方を考えることにします。2つの仕切りで3つ
  の区画を用意して、それぞれに出た目の数だけマルを書くことにします。

 例えば、目が「2,5,1」と出た場合、「oolooooolo」と書くことにします。

(1) 目が「4,1,3」と出た場合の記号列はどうなるでしょう?
(2) 目の合計が8になる場合、どのような性質を持つ記号列が出来上がるでしょう?
(3) そのような記号列は全部で何通りあるでしょう?
 (ヒント:先にマルを書いておいて後から仕切りを入れると考えると楽です)
(4) サイコロを3回振って合計が8になる目の出方は何通りあるでしょう?

[B] サイコロを3回投げて合計が8以下になる目の出方を考えることにします。3つの仕切り
  で4つの区画を用意して、左の3つにはそれぞれに出た目の数だけマルを書き、一番右
  の区画には合計が8未満ならば合計を8から引いた数だけマルを書き、合計が8以上な
  らば何も書かないことにします。

 例えば、目が「2,2,3」と出た場合、合計は7なので「ooloolooolo」と書くことにします。

(1) 目が「3,1,2」と出た場合の記号列はどうなるでしょう?
(2) 目が「1,1,6」と出た場合の記号列はどうなるでしょう?
(3) 目の合計が8以下になる場合、どのような性質を持つ記号列が出来上がるでしょう?
(4) そのような記号列は全部で何通りあるでしょう?
  (ヒント:やはり先にマルを書いておいて後から仕切りを入れると考えると楽です)
(5) サイコロを3回振って合計が8以下になる目の出方は何通りあるでしょう?

[C] サイコロを3回投げて合計が9になる目の出方を考えることにします。[A]と同じように考
  えて、何通りあるか求めてください。
  (ヒント:「8」と「9」では、ただ範囲が違うだけでは済まないので注意してください)

[D] サイコロを3回投げて合計が9以下になる目の出方を考えることにします。[B]と同じよう
  に考えて、何通りあるか求めてください。
  (ヒント:「8以下」と「9以下」では、ただ範囲が違うだけでは済まないので注意してください)


 GAI さんが上記の問題群を考察されました。(平成28年11月23日付け)

 誘導に従ってやってみました。

[A](1) 目が「4,1,3」と出た場合の記号列はどうなるでしょう?

 o1ooo1oooo 、o1oooo1ooo 、ooo1o1oooo 、ooo1oooo1o 、oooo1o1ooo 、oooo1ooo1o


 DD++さんからのコメントです。(平成28年11月23日付け)

 これは5番目の「oooo1o1ooo」だけを想定していました。実際の目の出方と数えるものが一
対一になっていないといけないわけなので、6パターン作っちゃうとまずいです。
 問題の方にきちんと「出た目の順に左から対応させる」と誤解を生じないように書いておく
べきでしたね。


(2) 目の合計が8になる場合、どのような性質を持つ記号列が出来上がるでしょう?

 8個の〇の間に2つの仕切りを入れるパターン

(3) そのような記号列は全部で何通りあるでしょう?

 C(7,2)

(4) サイコロを3回投げて合計が8になる目の出方は何通りあるでしょう?

 C(7,2)=7*6/(2*1)=21(通り)

[B](1) 目が「3,1,2」と出た場合の記号列はどうなるでしょう?

 o1oo1ooo1oo、o1ooo1oo1oo、oo1o1ooo1oo、oo1ooo1o1oo、ooo1o1oo1oo、ooo1oo1o1oo

(2) 目が「1,1,6」と出た場合の記号列はどうなるでしょう?

 o1o1oooooo1 、o1oooooo1o1 、oooooo1o1o1

(3) 目の合計が8以下になる場合、どのような性質を持つ記号列が出来上がるでしょう?

 o*o*o*o*o*o*o*o*

 〇の間と最後の右端(*の位置)の8カ所の中から任意の3つを選んで仕切りを作るもの

(4) そのような記号列は全部で何通りあるでしょう?

 C(8,3)

(5) サイコロを3回投げて合計が8以下になる目の出方は何通りあるでしょう?

 C(8,3)=8*7*6/(3*2*1)=56(通り)

[C] サイコロを3回投げて合計が9になる目の出方は何通りあるか求めてください。

 C(8,2)-3=25(通り)

(o1o1ooooooo 、o1ooooooo1o 、ooooooo1o1o の3パターンは除外する。)

[D] サイコロを3回投げて合計が9以下になる目の出方は何通りあるか求めてください。

 C(9,3)-3=81(通り)

 (o1o1ooooooo1、o1ooooooo1o1、ooooooo1o1o1 の3パターンは除外する。)

 これらの仕組みから、Sn≦n+6 なるさいころの目の出方が C(n+6,6)-n なる計算で出てく
るのですね。仕切りを入れる場所の変更や除外するものを除く作業はなかなか思い付きま
せんでした。


 DD++さんからのコメントです。(平成28年11月23日付け)

 階差数列の計算でヘトヘトになってしまったGAIさんのために、もう1つ有用そうな計算を紹
介。順列組合せと数列が絡んだ場合や高階階差数列から元に戻す場合に、快刀乱麻の威
力を発揮する(かもしれない)ものです。

 下降階乗冪というものを以下のように定義します。(→ 参考:「数列の和の求め方」)

 n^(k_) = n*(n-1)*(n-2)*(n-3)*……*(n-k+1)

 つまり、普通のk乗は同じものをk回掛けますが、下降階乗冪は1ずつ引きながらk回掛けま
す。また、k=0 の場合は n^(0_)=1 です。
下線(_)は実際はkの下に書きますが、ここでは止むを得ずこうやって書いておきます。

 一般項が A[n] = n^(k_) で表される数列の階差数列を計算してみましょう。

 階差数列を A'[n] で表すことにすると、

A'[n] = A[n+1] - A[n]
= (n+1)*n*(n-1)*(n-2)*(n-3)*……*(n-k+2) - n*(n-1)*(n-2)*(n-3)*……*(n-k+1)
= n*(n-1)*(n-2)*(n-3)*……*(n-k+2) {(n+1)-(n-k+1)}
= k*n^{(k-1)_}

となります。つまり、 A[n] = n^(k_) ならば、A'[n] = k*n^{(k-1)_} です。
(重要:なんだかどこかで見たことある公式にそっくりですね?)

 もちろん、階差数列からもとの数列を求めるときには、A[n] の定数部分は A'[n] に影響し
ないことを考えて、

  A'[n] = n^(k_) ならば A[n] = (1/(k+1)) n^{(k+1)_} + C (Cは和分定数)

です。(重要:やっぱりどこかで見たことある公式にそっくりですね?)

 というわけで、多項式の数列はこれを使っても求められます。

 例えば、A[1]=1 で、階差数列が A'[n]=2n+3 の場合は、A'[n] = 2n+3 = 2*n^(1_)+3 なので、

A[n] = 2*(1/2)n^(2_)+3*n^(1_)+C としておいて、
(重要:webテキストで書くとわかりにくいですが、紙に書いてみれば「よくやっている計算」で
    あることがわかると思います)

 n=1 を代入すれば、1=3+C から C=-2

よって、A[n] = 2*(1/2)n^(2_)+3*n^(1_)-2 = n(n-1)+3n-2 = n^2+2n-2

 例えば、A[1]=1 で、階差数列が A'[n]=n^2+2n+3 の場合は、

 A'[n] = n^2+2n+3 = (n^2-n)+3n+3 = n^(2_)+3n^(1_)+3 なので、

 A[n] = (1/3)n^(3_)+(3/2)*n^(2_)+3*n^(1_)+C としておいて、n=1 を代入すれば、1=3+C から
C=-2

よって、A[n] = (1/3)n^(3_)+(3/2)*n^(2_)+3*n^(1_)-2 で、あとは展開整理すればおしまい。

 これだけだと、普通に求めるのに比べてかえって手間ですが、高階階差数列から出発の
場合はとてつもない威力を発揮します。例えば、GAIさんがヘトヘトになったというコレ。

 6,26,81,206,457,918,1709,……

 第五階差数列(第六じゃないですよね?)が、n+6 になり、各階差数列の初項もわかってい
るので、

 A'''''[n] = n+6 = n^(1_)+6 より、A''''[n] = (1/2)n^(2_)+6n^(1_)+C で、n=1 を代入して 21=6+C
より C=15

 A'''[n] = (1/6)n^(3_)+3n^(2_)+15n^(1_)+D で、n=1 を代入して 35=15+D より D=20

 A''[n] = (1/24)n^(4_)+n^(3_)+(15/2)n^(2_)+20n^(1_)+E で、n=1 を代入して 35=20+E より
E=15

 A'[n] = (1/120)n^(5_)+(1/4)n^(4_)+(5/2)n^(3_)+10n^(2_)+15n^(1_)+F で、n=1 を代入して
20=15+F より F=5

 A[n] = (1/720)n^(6_)+(1/20)n^(5_)+(5/8)n^(4_)+(10/3)n^(3_)+(15/2)n^(2_)+5n^(1_)+G で、
n=1 を代入して 6=5+G より G=1

 よって、A[n] = (1/720)n^(6_)+(1/20)n^(5_)+(5/8)n^(4_)+(10/3)n^(3_)+(15/2)n^(2_)+5n^(1_)+1

つまり、
A[n] = (1/720)n(n-1)(n-2)(n-3)(n-4)(n-5)+(1/20)n(n-1)(n-2)(n-3)(n-4)
                  +(5/8)n(n-1)(n-2)(n-3)+(10/3)n(n-1)(n-2)+(15/2)n(n-1)+5n+1

 最後に、これを展開整理するのだけは大変ですが、上手に整理すれば正面から挑むほど
ヘトヘトにはならないんじゃないかと思います。

 あるいは、問題設定が「n+6以下」なのは「n+5以下」まではすんなり綺麗に出たからなのだ
ろうと思いますが、「n+5以下」までの結果から「n+6以下」も

  (n+1)(n+2)(n+3)(n+4)(n+5)(n+6)=(n+6)^(6_)

絡みの式になるんじゃないかと先に予想がついているならば、m=n+6と置き換えて、

 B'''''[m] = m = m^(1_) より、B''''[m] = (1/2)m^(2_)+C で、m=7(つまりn=1)を代入して、
21=21+C より C=0

 B'''[m] = (1/6)m^(3_)+D で、m=7 を代入して 35=35+D より D=0

 B''[m] = (1/24)m^(4_)+E で、m=7 を代入して 35=35+E より E=0

 B'[m] = (1/120)m^(5_)+F で、m=7 を代入して 20=21+F より F=-1

 B[m] = (1/720)m^(6_)-m^(1_)+G で、m=7 を代入して 6=1-1+G より G=6

 よって、B[m]=(1/720)m^(6_)-m+6 つまり、A[n]=(1/720)(n+6)^(6_)-n とやると最後まで楽
ですね。


 特に、順列組合せのときには式が下降階乗冪と絡むことが多いので(というかnPkそのもの
なので)、そこでの階差数列や総和計算などでは下降階乗冪を使いこなせると計算がグッと
楽になることがほとんどです。

 例として、先日の「自然数の冪乗和と組合せでの絶妙な調和」での式変形も下降階乗冪の
性質を明に暗に利用しています。
(記号を定義するのが面倒だったので愚直に積を書いてますし、性質の証明を途中で丸ごと
なぞったりしていますが)

 GAIさんは、よくこの辺の式変形で苦労していらっしゃる印象がありますので、身につけれ
ば今後楽になるかもしれないと思い、紹介させていただきました。


 GAI さんからのコメントです。(平成28年11月23日付け)

 これは面白い!こんな便利な方法は是非数列(特に階差数列)の分野においては教科書
に入れるべきですよ。後に学習する微分や積分のいい導入にもなれるし、関連性を示すた
めにも絶対必要になるものです。分野を超えてお互いが有機的に関連し合っていることを認
識させることこそ数学の本質なのだから、文部科学省は是非このサイトを参考にすべし。旧
来の教科書的階差数列だけでさんざん苦労した本人が本気で主張しているのだから間違い
なしです。


 GAI さんからのコメントです。(平成28年11月28日付け)

 通常の多項式での展開では、

 (n^2-3*n+1)(n^3+2*n^2+3*n+4)=n^5-n^4-2*n^3-3*n^2-9*n+4

なるものに収まるが、下降階乗冪というものを、

 n^(k_) = n*(n-1)*(n-2)*(n-3)*……*(n-k+1)

のように定義すると、

 (n^(2_)-3*n^(1_)+1)(n^(3_)+2*n^(2_)+3*n^(1_)+4)
=n^(5_)+5*n^(4_)+3*n^(3_)-5*n^(2_)-18*n^(1_)+4(共に=n^5-5*n^4+8*n^3-9*n^2-13*n+4)

なるものに変化する。そこで、上昇階乗冪というものを、

 n^(k~) = n*(n+1)*(n+2)*(n+3)*……*(n+k-1)

のように定義すると、

  (n^(2~)-3*n^(1~)+1)(n^(3~)+2*n^(2~)+3*n^(1~)+4)

の展開式は如何なる上昇階乗冪の式で表せるか?


 HN「酔狂な人」さんからのコメントです。(平成28年11月24付け)

 Sn≦n+k (0≦k≦11)となる確率を考えます。

 i 回目のさいころの目から1を引いたものを Xi とすると、Xi (i=1,2,・・・,n)は、0,1,2,3,4,5の値を
等確率でとる。

 X1+X2+・・・・+Xn=Sn-n であるから、X1+X2+・・・・+Xn≦k となる確率である。

 X0=k-(X1+X2+・・・・+Xn) とすれば、 X0+X1+X2+・・・・+Xn=k で、Xi (i=0,1,2,・・・,n) は、0以
上の整数で、Xi (i=1,2,・・・,n) は、5以下である。

 5以下という条件がなければ、異なる n+1 個のものから重複を許して k 個とる重複組合せ
で、H(n+1,k)=C(n+k,k)通りある。

 k≦5 ならば、条件 Xi≦5 (i=1,2,・・・,n) は成り立つので、求める確率は、C(n+k,k)/6^n

 k≧6 だと、C(n+k,k)通りの中には、Xi≧6 となるものも入っている。このようなものを引か
なければならないが、k≦11であるから、Xi≧6 となる i は、あっても1個である。

 X1≧6となるものを数える。Y1=X1-6 とすると、X0+Y1+X2+X3+・・・+Xn=k-6

上と同様に考えて、この数は、H(n+1,k-6)=C(n+k-6,k-6)

X2≧6、・・・、Xn≧6 等についても同じだから、求める確率は、{C(n+k,k)-C(n+k-6,k-6)・n}/6^n

 r<0 のときは、C(n,r)=0 と決めておけば、この式は、0≦k≦11 で成り立つ。

 特に、k=6 のときは、{C(n+6,6)-C(n,0)・n}/6^n={C(n+6,6)-n}/6^n である。


 at さんからのコメントです。(平成28年11月24付け)

 サイコロをn回投げて出た目の合計がある値以下になるような場合の数についての一般式
は次のようになると思います。

 サイコロをn回投げて出た目の合計が n+m 以下になるような目の出方が a(n,m) 通りある
とすると、

a(n,m)
=[x^(n+m)](((x+x^2+x^3+x^4+x^5+x^6)^n)/(1-x))
=[x^(n+m)](((x*(1+x+x^2+x^3+x^4+x^5))^n)/(1-x))
=[x^(n+m)]((x^n*(1-x^6)^n/(1-x)^n)/(1-x))
=[x^m](((1-x^6)^n)/(1-x)^(n+1))
=Σ[k=0,floor(m/6)]((-1)^k)*comb(n,k)*comb(n+m-6*k,m-6*k).


 例えば、サイコロをn回投げて出た目の合計が n+20 以下になるような目の出方は、

a(n,20)=Σ[k=0,floor(20/6)]((-1)^k)*comb(n,k)*comb(n+20-6*k,20-6*k)

=(n^20+210*n^19+20615*n^18+1256850*n^17+53327946*n^16+1644373620*n^15
+37241515630*n^14+616435648500*n^13+7310477555381*n^12+58847443421130*n^11
+296423805436395*n^10+916910295543450*n^9+3585602355374896*n^8
+29587750291349040*n^7+165765596231189360*n^6+292523063716951200*n^5
+892810852862011776*n^4+2682991146263616000*n^3+3803338193326848000*n^2
+4292627688437760000*n+2432902008176640000)/2432902008176640000


 GAI さんからのコメントです。(平成28年11月25日付け)

 atさんの式:f(n,m)=Σ[k=0,floor(m/6)]((-1)^k)*comb(n,k)*comb(n+m-6*k,m-6*k) と酔狂
な人さんの式:g(n,m)={C(n+m,m)-C(n+m-6,m-6)・n} (m≦11) を調べてみたら、m=0,1,・・・,11
まで全く同じnの式を構成し、m=12に対しては、

f(n,12)=1/479001600*n^12 + 13/79833600*n^11 + 247/43545600*n^10 + 169/1451520*n^9
+ 22711/14515200*n^8 + 10541/806400*n^7 + 2819941/43545600*n^6+ 54331/290304*n^5
+ 3823319/10886400*n^4 + 1263637/1814400*n^3 + 865891/415800*n^2 + 44441/27720*n + 1

g(n,12)=1/479001600*n^12 + 13/79833600*n^11 + 247/43545600*n^10 + 169/1451520*n^9
+ 22711/14515200*n^8 + 10541/806400*n^7 + 2819941/43545600*n^6 + 54331/290304*n^5
+ 3823319/10886400*n^4 + 1263637/1814400*n^3 + 657991/415800*n^2 + 58301/27720*n + 1

と、僅かにn^2とnの係数に違いがでるだけになっていました。

 似ているけどどこか異なる2つの式から、こうも同じ結果が出現させられることに驚きです。


(追記) 令和3年12月23日付け

 3個のさいころを投げて、その目の和について考える。

 このとき、

 目の和が9となる目の出方は、

 1と2と6 、1と3と5 、1と4と4 、2と2と5 、2と3と4 、3と3と3 の6種類

 目の和が10となる目の出方は、

 1と3と6 、1と4と5 、2と4と4 、2と2と6 、2と3と5 、3と3と4 の6種類

 目の和が11となる目の出方は、

 1と4と6 、1と5と5 、2と4と5 、2と3と6 、3と3と5 、3と4と4 の6種類

 目の和が12となる目の出方は、

 1と5と6 、2と5と5 、2と4と6 、3と3と6 、3と4と5 、4と4と4 の6種類

と種類は同数であるが、実際に、さいころを投げてみると、目の和が10や11の方が、9や
12よりも起こりやすい。

 それは、目の和が10や11になる目の出方を順列を考えて計算すると、27通りであるの
に対して、目の和が9や12になる目の出方は25通りであるからである。

 同様の確からしさは、決して種類では決まらないと言うことである。


 目の和に関する次の問題も興味深い。

問題 正しいさいころをn回投げる。そのとき、出る目の和がmの倍数となる確率P(m)を
   求めよ。

 解答は、「さいころの目の和」を参照。


(追記) 令和5年9月8日付け

 普通、「さいころ」というと立方体をイメージする。6つの面には、数字の 1、2、・・・、5、6
が割り振られ、その目の出やすさは等確率である。

 今、nを自然数とし、1からnまでの整数が等確率で現れる特殊な「さいころ」を考える。

このさいころを2個投げて、目の和がkとなる確率pを求めたい。

 当然、起こりうるkの値の範囲は、 2≦k≦2n である。

 いくつか実験してみます。

 n=1 のとき、 p2=1 である。

 n=2 のとき、 p2=1/4 、p3=1/2(=2/4) 、p4=1/4

 n=3 のとき、起こりうるすべての場合の数は、9通りなので、

  p2=1/9 、p3=2/9 、p4=1/3(=3/9) 、p5=2/9 、p6=1/9

 このことから、目の和がkとなる場合の数は、1辺の長さがkの正方形内にある格子点の
数を数えることによって求められることが分かる。

  

 よって、起こり得るすべての場合の数は、n2通りで、

 2≦k≦n のとき、 p=(k−1)/n2

 k=n+1 のとき、 p=n/n2=1/n

 n+2≦k≦2n のとき、 p=(2n−k+1)/n2


(確かめ) 2(1/n2+2/n2+・・・+(n−1)/n2)+n/n2=1 である。


 次に、このさいころを3個投げて、目の和がkとなる確率pを求めたい。

 当然、起こりうるkの値の範囲は、 3≦k≦3n である。

 いくつか実験してみます。

 n=1 のとき、 p3=1 である。

 n=2 のとき、 p3=1/8 、p4=3/8 、p5=3/8 、p6=1/8

 n=3 のとき、起こりうるすべての場合の数は、27通りなので、

  p3=1/27 、p4=1/9(=3/27) 、p5=2/9(=6/27) 、p6=7/27 、

  p7=2/9(=6/27) 、p8=1/9(=3/27) 、p9=1/27

 このことから、目の和が k となる場合の数は、k=6 のときに対称性が崩れていることが
分かる。実際に図示すると、

 

 場合の数の増減する様子を2次元的に図示すると、次のようになる。

#赤色の点が実際は省かれる。

 求める場合の数は、基本的には三角数の計算であるが、途中に例外的な場合が現れ、
数え上げに工夫が必要である。

 n=4 のとき、起こりうるすべての場合の数は、64通り

k=3 となるのは、(1,1,1) の1通り

k=4 となるのは、(1,1,2)、(1,2,1)、(2,1,1) の3通り

k=5 となるのは、

  (1,1,3)、(1,3,1)、(3,1,1)、(1,2,2)、(2,1,2)、(2,2,1) の6通り

k=6 となるのは、、

  (1,1,4)、(1,4,1)、(4,1,1)、(1,2,3)、(1,3,2)、(2,1,3)、(2,3,1)、
  (3,1,2)、(3,2,1)、(2,2,2) の10通り

k=7 となるのは、

  (1,2,4)、(1,4,2)、(2,1,4)、(2,4,1)、(4,1,2)、(4,2,1)、(1,3,3)、
  (3,1,3)、(3,3,1)、(2,2,3)、(2,3,2)、(3,2,2) の12通り

k=8 となるのは、

  (1,3,4)、(1,4,3)、(3,1,4)、(3,4,1)、(4,1,3)、(4,3,1)、(2,2,4)、
  (2,4,2)、(4,2,2)、(2,3,3)、(3,2,3)、(3,3,2) の12通り

k=9 となるのは、

  (1,4,4)、(4,1,4)、(4,4,1)、(2,3,4)、(2,4,3)、(3,2,4)、(3,4,2)、
  (4,2,3)、(4,3,2)、(3,3,3) の10通り

k=10 となるのは、

  (2,4,4)、(4,2,4)、(4,4,2)、(3,3,4)、(3,4,3)、(4,3,3) の6通り

k=11 となるのは、(3,4,4)、(4,3,4)、(4,4,3) の3通り

k=12 となるのは、(4,4,4) の1通り

以上から、

  p3=1/64 、p4=3/64 、p5=3/32(=6/64) 、p6=5/32(=10/64) 、

  p7=3/16(=12/64) 、p8=3/16(=12/64) 、p9=5/32(=10/64) 、

  p10=3/32(=6/64) 、p11=3/64 、p12=1/64

である。

 上記で、「1,3,6,10」や「10,6,3,1」は三角数であるが、「12」は三角数ではない。

「10」の次の三角数は、「15」なので、3だけ少ない数になっている。これは、正三角形の角

が3つ省かれたと考えれば合点がいく。



  以下、工事中!