・余弦の積                   Seiichi Manyama 氏

 F(n) = Πk=1〜n cos(kπ/(2n+1)} の値はきれいな式で書けるでしょうか?

例 F(1) = cos(π/(2・1+1) = cos(π/3) = 1/2


 at さんからのコメントです。(平成29年7月13日付け)

 「岩波 数学公式 U p.25」によれば、 F(n)=(1/2)n と書けるようです。


 DD++さんからのコメントです。(平成29年7月13日付け)

 倍角の公式と、補角公式 sin(π-θ) = sinθ から、

 2cos(π/(2n+1))・sin(π/(2n+1)) = sin(2π/(2n+1))

 2cos(2π/(2n+1))・sin(2π/(2n+1)) = sin(4π/(2n+1))

 2cos(3π/(2n+1))・sin(3π/(2n+1)) = sin(6π/(2n+1))

  ……

 2cos((n-1)π/(2n+1))・sin((n-1)π/(2n+1)) = sin(3π/(2n+1))

 2cos(nπ/(2n+1))・sin(nπ/(2n+1)) = sin(π/(2n+1))

 全部掛け合わせると sin は両辺同じものしかないので全て消え、さらに、2n で割ることで、
(1/2)n と求まります。


(コメント) 上手い!上手すぎる!!


 GAI さんからのコメントです。(平成29年7月13日付け)

 G(n) = Πk=1〜n sin(kπ/(2n+1)} にすれば、 G(n) = √(2n+1)/2n になるような気がする

んですが、atさんに公式集で確認して頂きたい。(あくまで数値計算から予想しただけの式)


(コメント) atさんに成り代わって調査してみました。「岩波 数学公式 U p.25」によれば、正
      解でした!


 at さんからのコメントです。(平成29年7月13日付け)

 「岩波 数学公式 U p.25」には次のような式が書いてあります。

Πr=1〜n ((sin(rπ/(2n+1)))^2-(sin(x))^2)

= Πr=1〜n ((cos(x))^2-(cos(rπ/(2n+1)))^2) = sin((2n+1)x)/(2^(2n)・sin(x)).

 この式において、x→0 とすれば、Πr=1〜n (sin(rπ/(2n+1)))^2 = (2n+1)/2^(2n) となります。

つまり、 G(n)^2=(2n+1)/2^(2n) となるので、GAIさんの予想は正しいと思われます。


 よおすけさんからのコメントです。(平成29年7月13日付け)

 参考になるかは分かりませんが、ここのHPの「お茶の間クイズ&パズル」の「余弦の和
や「数列と三角関数」に同じような話題があります。


 DD++さんからのコメントです。(平成29年7月14日付け)

 sin の方は cos とは異なり、結構テクニカルな計算が要求されますね。「四角形の面積」の
後半脱線したところでもそうですが、√(2n+1) をどこから持ってくるかが大問題なので...。

 いくつか方法を考えましたが、やっぱりこれが一番綺麗かな?

 2n次方程式 1+x+x^2+……+x^(2n) = 0 を考えます。これは、α=e^(π/(2n+1)*i) を用いて、

   x=α^2、α^4、α^6、 ……、α^(4n)

と解けるので、左辺は、(x-α^2)(x-α^4)(x-α^6)……(x-α^(4n)) と因数分解できます。

 つまり、 (x-α^2)(x-α^4)(x-α^6)……(x-α^(4n)) = 1+x+x^2+……+x^(2n)

 これは恒等式なので、x=1 を代入しても成立します。

  (1-α^2)(1-α^4)(1-α^6)……(1-α^(4n)) = 2n+1

 この正の平方根をとって、2^n で割ります。ついでに左辺は積の順番を入れ替えて根号を

共役複素数の組ごとにバラします。

√{(1-α^2)(1-α^(4n))}/2 * √{(1-α^4)(1-α^(4n-2))}/2 * … * √{(1-α^(2n))(1-α^(2n+2))}/2
=√(2n+1)/2^n

 共役複素数の性質を用いて、

  |1-α^2|/2 * |1-α^4|/2 * …… * |1-α^(2n)|/2 = √(2n+1)/2^n

 |α|=1 なので、複素数平面上の二等辺三角形を考えて、

  sin(arg(α)) * sin(arg(α^2)) * …… * sin(arg(α^n)) = √(2n+1)/2^n

ここで、α=e^(π/(2n+1)*i) だったことを思い出せば、左辺は求めたかった積そのものです。

 よって、その値は、 √(2n+1)/2^n となります。



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