024 | 平成21年度後期 | 横浜国立大学 | 工学部 | ・・・ | 2次関数(数学T) | やや難 |
塾生よりホットな入試問題が入手できたので、どこの予備校よりも先に解答を公開したい
と思う。イメージ的に求める領域を類推することは可能だろうが、そのような解答では合格
点を得ることは難しいだろう。きっちりと論理的に求められる問題なので、計算で正確に求
めたい。
このようなタイプの入試問題は頻出問題で、いささか陳腐の感があるが、授業等では教え
きれない部分でもあるので、各個人の経験の有無が大きく影響を与える問題とも言えよう。
なお、この問題は包絡線の問題とも関連し、数学的には非常に面白い問題でもある。
当HPの次のページを参考にされると理解が進むことだろう。
曲線群の通過範囲 包絡線
横浜国立大学 工学部(2009)
放物線 y=x2 上に2点P( t , t2 )、Q( t+1 , (t+1)2 )をとる。次の問いに答えよ。
(1) t がすべての実数を動くとき、直線PQが通過する領域を求めよ。
(2) t が −1≦t≦0 の範囲を動くとき、線分PQが通過する領域を求め、図示せよ。
(解)(1) 直線PQの傾きは、 {(t+1)2−t2}/{(t+1)−t}=2t+1 なので、
直線PQの方程式は、 y=(2t+1)(x−t)+t2=(2t+1)x−t2−t
いま、点( x , y )が直線PQの通過する領域内の点とすると、
y=(2t+1)x−t2−t となる実数 t が存在する。
すなわち、t の2次方程式 t2+(1−2x)t+y−x=0 が実数解を持つ。
判別式をDとすると、
D=(1−2x)2−4(y−x)=1+4x2−4y≧0
よって、 y≦x2+1/4 が求める領域を表す。
(2) 線分PQが通過する領域内の点を( x , y )とすると、 −1≦x≦1 が成り立つ。
y=F(t)=(2t+1)x−t2−t=−t2+(2x−1)t+x=−{t−(x−1/2)}2+x2+1/4
より、軸の方程式は、 t=x−1/2 である。また、上式が線分PQを表すためには、
t≦x≦t+1 すなわち、 x−1≦t≦x
でなければならない。これらのことに注意して、場合に分けて考える。
(イ) x−1/2≦−1 すなわち −1≦x≦−1/2 のとき、
x−1≦t≦x と −1≦t≦0 の交わりは、 −1≦t≦x
この範囲で、関数 y=F(t) の値域を求めれば、 F(x)≦y≦F(−1)
すなわち、 F(x)=(2x+1)x−x2−x=x2 、F(−1)=−x−1+1=−x より、
x2 ≦ y ≦ −x となる。
(ロ) −1≦x−1/2≦−1/2 すなわち −1/2≦x≦0 のとき、
x−1≦t≦x と −1≦t≦0 の交わりは、 −1≦t≦x
この範囲で、関数 y=F(t) の値域を求めれば、 F(x)≦y≦x2+1/4
すなわち、 x2 ≦ y ≦ x2+1/4 となる。
(ハ) −1/2≦x−1/2≦0 すなわち 0≦x≦1/2 のとき、
x−1≦t≦x と −1≦t≦0 の交わりは、 x−1≦t≦0
この範囲で、関数 y=F(t) の値域を求めれば、 F(x−1)≦y≦x2+1/4
すなわち、 F(x−1)=(2x−1)x−(x−1)2−(x−1)=x2 より、
x2 ≦ y ≦ x2+1/4 となる。
(ニ) x−1/2≧0 すなわち 1/2≦x≦1 のとき、
x−1≦t≦x と −1≦t≦0 の交わりは、 x−1≦t≦0
この範囲で、関数 y=F(t) の値域を求めれば、 F(x−1)≦y≦F(x)
すなわち、 x2 ≦ y ≦ x となる。
これらを図示して、下図を得る。