三角形の面積の公式                   戻る

 三角形の面積の公式といえば、(底辺)×(高さ)÷2 で、お馴染みである。基本的に、面
積の公式は全て、この公式が出発点である。

例1.(三角形の2辺 a 、b とその間の角 θ が分かっているとき)

      S=(1/2)ab・sinθ   ((底辺)=a、(高さ)=b sinθ)

   例1.の変形バージョンとしては次の公式が有名だろう。

  △ABC の外接円、内接円の半径をそれぞれ R 、r とすると、

      S=abc/4R=rs

    ただし、sは、三角形の周の長さの半分。

(証明) S=abc/4R を示すには、正弦定理を用いればよい。

  正弦定理より、 sinθ=c/2R なので、

 S=(1/2)ab・sinθ=(1/2)ab・(c/2R)=abc/4R

 S=rs を示すには、△ABCを内接円の中心を頂点とする3つの小三角形に分割し、そ
の面積の総和を求めればよい。

 即ち、S=ar/2+br/2+cr/2=(a+b+c)r/2=rs  (証終)


  上記では、正弦定理を用いて、S=abc/4R を示したが、直接的に示す方法も知ら
 れている。

  左図において、 △ABH∽△AKC なので、

      AB : AK = AH : AC

   すなわち、 c : 2R = h : b より、 h=bc/2R

   よって、 S=ah/2=abc/4R

(コメント) 正弦定理を示す手法と同じですね!


例2.(座標平面上で、A( a , b )、B( c , d )、O( 0 ,0 ) のとき)

      S=(1/2)| ad−bc |   (|  |は絶対値を表す)


例3.(ベクトルを用いたとき)

   例2.の3点において、 とおくと、

           

  例3.を用いて、例2.は簡単に導かれる。


例4.(行列式を用いたとき)

   

  その行列式 det(A) は、det(A)=ad−bc なので、

           S=(1/2)|det(A)|


例5.(三角形の三辺 a 、b 、c が分かっているとき)

   ヘロンの公式  

       ただし、sは、三角形の周の長さの半分。

 余弦定理と、例1.の公式を用いて示される。ただ少しばかり、因数分解が大変かもしれ
ない。


例6.(例5.を初等的に導入)

  △ABHで、三平方の定理より、h2=c2−x2
  △AHCで、三平方の定理より、h2=b2−(a−x)2
 
この2つの式より、
           

 この x を、第1式に代入して、hが求まる。(因数分解の知識を要する。)

 実際に、

4a22=4a22−(c2+a2−b22

    =(2ac+c2+a2−b2)(2ac−c2−a2+b2

    ={(c+a)2−b2}{b2−(c−a)2

    =(a+b+c)(a−b+c)(a+b−c)(−a+b+c)

 2s=a+b+c とおくと、

4a22=2s(2s−2b)(2s−2c)(2s−2a)=16s(s−a)(s−b)(s−c) より、

  a22=4s(s−a)(s−b)(s−c)

 この結果を、S=(1/2)ah に代入して、

  ヘロンの公式   が得られる。


(参考文献: 石谷 茂 著 行列と行列式で楽しむ(現代数学社))


(追記) 平成25年11月25日付け

 今までヘロンの公式というと、

      (ただし、 2s=a+b+c )

の形でしか認識していなかったが、もっと別な形があることを、ある計算をしているときに気
づかされた。すなわち、次の式が成り立つ。

  16S2=(a2+b2+c22−2(a4+b4+c4

(証明) ヘロンの公式より、 2s=a+b+c に対して、

  16S2=2s(2s−2a)(2s−2b)(2s−2c)

      =(a+b+c)(−a+b+c)(a−b+c)(a+b−c)

      ={(b+c)2−a2}{a2−(b−c)2

      =−a4+{(b+c)2+(b−c)2}a2−(b+c)2(b−c)2

      =−a4+2(b2+c2)a2−b4+2b22−c4

      =−a4−b4−c4+2a22+2b22+2c22

      =(a2+b2+c22−2(a4+b4+c4)  (証明)


(コメント) この式変形により、ヘロンの公式に解析的な手法が適用可となる。今、そのよう
      な問題を考察中である。

 ヘロンの公式が適用されるのは、辺の長さがすべて整数の場合と相場が決まっているが、
上記のような公式の形であれば、辺の長さに多少平方根などの無理数があっても計算の大
変さはそれほどでもないだろう。

例 △ABCにおいて、3辺の長さが であるとき、△ABCの面積を求めよ。

(解) 16S2=(2+3+6)2−2(4+9+36)=121−98=23 より、

     S=(√23)/4  (終)

(別解) cosθ=(2+3−6)/(2)=−1/(2) より、 sinθ=(√23)/(2

    よって、 S=(1/2)・(√23)/(2)=(√23)/4  (終)


(追記) 上記において、ベクトルを用いた三角形の面積の公式(例3)から、成分表示の
   (例2)は簡単に導かれると書いたが、(例2)そのものは、極座標系で考えた方が、
   はるかに簡単に導かれる。

  実際に、下図において、OA=L、OB=M とすると、△OAB の面積は、

三角形の面積  S=(1/2)|LMsin(β−α)|

  =(1/2)|LM(sinβcosα−cosβsinα)|

  =(1/2)|Msinβ・Lcosα−Mcosβ・Lsinα)|

 ここで、A(a,b)、B(c,d) とすれば、

  a=Lcosα 、b=Lsinα 、c=Mcosβ 、d=Msinβ

なので、  S=(1/2)| ad−bc |


(追記) 例6.において、ヘロンの公式の初等的証明を示したが、次のような証明がある
    ことを最近知った。

 ヘロンの公式における s−a、s−b、s−c の意味が分かって、思わず唸ってしまった。

 正直に告白すると、s−a などが、図形的にどんな意味があるのか、今まで深く考えたこ
とはなかった......f(^_^)

 以下の証明では、この認識がキーポイントになっている。

  △ABC において、BC=a、CA=b、AB=c
 とし、2s=a+b+c により、s を定める。
 
  △ABC の内心を I 、半径を r とする。

  I から各辺に下ろした垂線の足をそれぞれ P、
 Q、R とする。

  また、左図のように、2つの線分のなす角を
 α、β、γ とする。

  1つの頂点から引いた接線の長さは等しいか
 ら、 BP+CQ+AR=s が成り立つ。

 このとき、BP=s−CQ−AR=s−CQ−AQ=s−CA=s−b である。

同様にして、 CQ=s−c 、 AR=s−a が成り立つ。

α+β+γ=π なので、

  

よって、分母を払って、 

したがって、
       α+β+γ=π ならば、 

が成り立つ。このとき、

  

が成り立つので、 

したがって、求める△ABC の面積 S は、  で与えられ
る。

(注) とてもスッキリした証明で、エレガントですね!

(参考文献:浅見 汎 著 ヘロンの公式を導く(啓林 高数編 No.205) (啓林館))


(追記)  三角形の面積の公式の例2:

 (座標平面上で、A( a , b )、B( c , d )、O( 0 ,0 ) のとき)

      S=(1/2)| ad−bc |   (|  |は絶対値を表す)

は、ベクトルを用いたり(例3)、三角関数の加法定理を用いたり(追記)、いろいろな証明法

がある。最近、この証明を図形を用いて示した方がおられることを、偶然次のホームページ

で知った。

   「取れたて通信」 杜陵サークル2003年6月例会

 幾何的に鮮やかな証明であるので、ここで是非紹介したいと思う。

三角形の代わりに平行四辺形で示すことにする。

   左図のように、平行四辺形を切り分け、

  4つの三角形において、等積変形を行い、

  直角三角形にする。
   左図のように、左上図の右側、上側に

  あった直角三角形を、それぞれ左側、下

  側に平行移動させる。

 求める平行四辺形の面積は、左下図において、長方形3つ分の面積に等しい。
よって、
       S=a×d−c×b=ad−bc
である。

(注) 何となく、ad−bc の意味が分かったような気がします!


(追記)・・・平成18年2月12日付け

 上記において、ヘロンの公式の証明を2つほどあげたが、次のような証明も興味深い。

 △ABC において、BC=a、CA=b、AB=c とし、2s=a+b+c により、s を定める。

ここでも、やはり、 AG=s−a 、BH=s−b という事実が有効である。

(証明)  いま、△ABCの辺BCに接する傍接円 I を考え、

    その半径を r とする。

    このとき、△IKB∽△BHI なので、

       IK : BK=BH : IH が成り立つ。

    また、AL=s なので、 BK=BL=s−AB となり、

       BK=s−c

    である。 よって、 BH=s−b なので、

      r : s−c = s−b : r から、

        

    が成り立つ。

 また、△AGI∽△ALI より、 IG : IL=AG : AL なので、 r : r = s−a : s

よって、 rs=r (s−a) が成り立つ。

 △ABCの面積をSとすると、 S=rs なので、 S=r (s−a)

したがって、 S2=S・S=rs・r (s−a)=s(s−a)(s−b)(s−c) より

  ヘロンの公式  

を得る。(証終)

この証明の副産物として、次の美しい定理が成り立つ。

        

   ただし、r、 r、 r は上記と同様に定まる傍接円の半径とする。

(証明)
      、 、

  なので、

 1/r+1/r+1/r

=r(1/(s−b)(s−c)+1/(s−c)(s−a)+1/(s−a)(s−b))

=r/(s−a)(s−b)(s−c)・{s−a+s−b+s−c}

=rs/(s−a)(s−b)(s−c)

=S/(S2/s)

=s/S

=1/r

 が成り立つ。  (証終)


(コメント) この公式を眺めていると、「内接円のある性質 」で得られた公式

          1/hA+1/hB+1/hC=1/r

(ただし、hA、hB、hCは、△ABCの頂点 A、B、C より各対辺に下ろした垂線の長さである。)

 に形が似ていることに気づかされる。何か深遠なる法則で統制されているように感じる。

(参考文献: 中村文則氏(札幌旭丘高校)のHP「三角形の面積をひも解く」)


 三角形の内接円の半径は、三角形の面積を利用して簡単に求められる。

  △ABCにおいて、内接円の半径を r 、三角形
の周の長さの半分を p とすると、

   △ABC=p・r

が成り立つからである。

 ただし、 p=(a+b+c)/2

また、 円外の1点から円に引いた接線の長さは等しい ので、点Cから引いた接線の長さ

x は、 x=(a+b−c)/2 で求められる。

 特に、C=90°の直角三角形の場合は、x=r なので、面積を利用しなくても、内接円の

半径 r は、 r=(a+b−c)/2 と求められる。

 この公式は、接線の長さを用いるのが最速であるが、△ABC=p・r からも求めることが
できる。

 C=90°の直角三角形なので、 △ABC=ab/2

 よって、 ab/2=r・(a+b+c)/2 より、 ab=r・(a+b+c)

 また、三平方の定理より、 a2+b2=c2 なので、 (a+b)2−2ab=c2

 よって、 2ab=(a+b)2−c2=(a+b+c)(a+b−c) なので、

    (a+b+c)(a+b−c)/2=r・(a+b+c)

  したがって、 r=(a+b−c)/2 が成り立つ。


(追記) 当HP読者のK.S.さんが、「三角形の面積の公式」をまとめられた。
                                      (平成24年2月25日付け)

 上記にはない公式も含まれ、興味は尽きない...。参考になります。K.S.さんに感謝し
ます。

(1) S=底辺×高さ÷2 (小学生)

(2) S=(1/2)ah (中学生)

(3) S=(1/2)absinC (三角比)

(4) S=abc/(4R) (R:外接円の半径)

(5) S=(a+b+c)r/2=sr (r:内接円の半径)

(6) S=√(s(s−a)(s−b)(s−c) (ヘロンの公式)

(7) S=√(r・r・r・r) (r、r、r:傍接円の半径)

(8) S=(1/2)a2sinBsinC/sin(B+C) (1辺と両端角)

(9) S=(1/2)√(|22−(2) (ベクトル)

(10) S=(1/2)|x12−x21| (平面ベクトル)

(11) S=(1/2)|AB×AC| (空間ベクトル)

(12) S=(1/2)|Im(Z12~)|=(1/4)|Z12~−Z1~Z2| (複素平面)

(13) S=△ABC=△PAB+△PBC+△PCA (符号付き面積)


(追記) 当HP読者のK.S.さんから、「四角形の面積の公式」をメールで頂いた。
                                      (平成25年6月22日付け)

 特別な場合の公式であるが、私の高校時代、教科書に載っていたような気がする。K.S.
さんに感謝します。

 四角形ABCDにおいて、対角線ACとBDのなす角をθとするとき、面積Sは、

    S=(1/2)AC・BDsinθ

で与えられる。

 証明は、対角線に平行な平行四辺形(頂点ABCDを辺上にもつ)を作ると、平行四辺形の
半分になる事からわかる。


例7.(直角三角形の内接円と斜辺の接点が分かっているとき)

 HPサイト「数の不思議世界」で、HN「壊れた扉」さんが平成27年2月18日付けで面白い
定理を紹介されている。オリジナルではないとのことだが、証明に挑戦してみた。

定理 直角三角形ABCの内接円が斜辺ABと接する点をDとすると、△ABCの面積Sは、

   S=AD・BD  で求められる。

(証明) △ABCの内接円の半径を r とすると、例1.より、

  S=rs=r(AB+BC+CA)/2

 ここで、 AB=AD+BD 、BC=BD+r 、CA=AD+r なので、

  S=r(AD+BD+r)=r2+r(AD+BD)

 また、三平方の定理より、 AB2=BC2+CA2 が成り立つので、

  (AD+BD)2=(BD+r)2+(AD+r)2

 展開して整理すると、 AD・BD=r(AD+BD)+r2

 以上から、 S=AD・BD が成り立つ。  (証終)


(追記) 令和3年6月21日付け

 △ABC の内接円の半径を r 、sを三角形の周の長さの半分とすると、

   △ABC の面積Sは、 S=rs で与えられる。

 よく知られた公式であり、大学受験でも有用であるので、読者のために練習問題を残して
おこう。

練習問題  下図のように、直角三角形ABCに正方形PQRSが内接している。このとき、
       △AQPの内接円の半径 r を求めよ。

       

(解) AP=3x/5、AQ=4x/5 なので、 3 : x=5 : 4−4x/5

  これを解いて、 x=60/37 なので、 AP=36/37 、AQ=48/37

 よって、 △AQP=(1/2)(36/37)(48/37)=864/1369

 ここで、s=(36/37+48/37+60/37)/2=72/37 なので、

  (72/37)r=864/1369 より、 r=12/37  (終)


(コメント) △ABC=6 なので、△ABCの内接円の半径Rは、 R=1

     よって、 r=1×(x/5)=12/37

 とした方が簡明かな?


(追記) 令和3年6月22日付け

 上記の練習問題では、直角三角形の3辺の長さを与えたが、内接円の半径を与えて、直
角三角形の辺の長さを求める問題を考えてみよう。

練習問題  下図のように、斜辺の長さが15の直角三角形ABCに正方形PQRSが内接し
       ている。△BRQ、△CPSの内接円の半径がそれぞれ180/111、135/111
       であるとき、直角三角形の辺AB、ACの長さを求めよ。

       

(解)  AP=bx/15、AQ=ax/15 なので、 b : x=15 : a−ax/15

  これを解いて、 x=15ab/(ab+225) なので、

  AP=ab2/(ab+225) 、AQ=a2b/(ab+225)

 よって、 PC=b−ab2/(ab+225)=225b/(ab+225)

      QB=a−a2b/(ab+225)=225a/(ab+225)

直角三角形ABCの内接円の半径 r は、(a−r)+(b−r)=15 より、r=(a+b−15)/2

 したがって、内接円O1の半径が180/111であることから、

  (a+b−15)/2・(QB/15)=15a(a+b−15)/(2(ab+225))=180/111

 すなわち、 111a(a+b−15)=24(ab+225)

 同様に、内接円O2の半径が135/111であることから、

  (a+b−15)/2・(PC/15)=15b(a+b−15)/(2(ab+225))=135/111

 すなわち、 111b(a+b−15)=18(ab+225)

 よって、a=(4/3)b なので、第2式に代入して整理すると、47b2−333b−810=0

 b>0 に注意して、これを解くと、 b=9 で、このとき、a=12

(注意) a=(4/3)b と、a2+b2=225 から、 a=12、b=9 を求めてもよい。


(コメント) 適当に数値設定したので、問題設定が見え見えで汚くなってしまいました!


 DD++さんからのコメントです。(令和3年6月23日付け)

 未知数が a、b、x の 3 つであるのに対し、制約が多すぎて、この図形は存在できないん
じゃないでしょうか。実際、記事にある答えの数値では、直角三角形 ABC で三平方の定理
が成立していないように見えます。


 らすかるさんからのコメントです。(令和3年6月23日付け)

 三平方どころか、a=(16±8√14)/5 で、(16+8√14)/5≒9.2>(斜辺)、(16-8√14)/5<0 な
のでどちらも不適ですね。


(コメント) 確かに、斜辺の長さが8の直角三角形ABCに正方形PQRSが内接し、△BRQ、
      △CPSの内接円の半径がそれぞれ2、1 という設定では、三平方の定理が成立
      していなかったですね!もっと慎重に数値設定すべきでした。上記では、設定を修
      正したものです。内接円の半径がもっと綺麗になればいいのですが、それは今後
      の研究課題とします。


 GAI さんからのコメントです。(令和3年6月24日付け)

 左図のように、3、4、5の三辺を持つ直角三角
形で、斜辺に正方形の一辺を有する内接するも
のを考えたとき、3つの隙間にできる各直角三
角形 △APQ、△RBQ、△SPC に内接する内接
円の各半径 r1、r2、r3 を求めると、

  r1=12/37 、r2=20/37 、r3=15/37

 となるが、これは、

  r1 : r2 : r3=12 : 20 : 15=3*4 : 4*5 : 5*3

でもあることから、今度は、5、12、13の三辺を持つ直角三角形で、同じく斜辺に内接する正
方形の一辺を重ねたとき、3つの隙間での各直角三角形の内接円の半径の比率は、

  5*12 : 12*13 : 5*13=60 : 156 : 65

となるものなんでしょうか?

(追伸) 一般に、3辺の長さがA、B、C (A2+B2=C2) である直角三角形では、中に一辺が
     x の正方形を斜辺に重なる様に内接してるとき、3か所にできる直角三角形での内
     接円の半径 r1、r2、r3 は、

  r1=(A*B)^2/((A+B+C)*(A*B+C^2))

  r2=A^2*B*C/((A+B+C)*(A*B+C^2))

  r3=A*B^2*C/((A+B+C)*(A*B+C^2))

即ち、 r1 : r2 : r3=A*B : A*C : B*C を満たす。

 また、上図において、AQ=a、AP=b として

  a=A*k 、b=B*k 、x=C*k

 ただし、k=A*B/(A*B+C^2) にて計算しておけばよい。


(コメント) 斜辺の長さが15で、a=12、b=9のとき、r2=180/111 、r3=135/111
      なので、確かに、 r2 : r3=180/111 : 135/111=4 : 3=12*15 : 9*15
      が言えていますね。新しい視座ですね!


(追記) 令和4年3月22日付け

 平成30年度の灘高校入試で、次の問題が出題された。内接円に関係する問題で、興味
があり解いてみた。問題は若干改題しました。

問題  下図のように、△ABCと点 I を中心とする円があり、この円は辺AB、BC、CAに
    接している。ただし、AB=17、AC=25、AI=10で、△ABI+△ACI=126とする。

    

 このとき、辺BCの長さを求めよ。

(解) △ABI+△ACI=126 から、 17r/2+25r/2=21r=126 より、 r=6

 点 I より、辺AB、ACに垂線を下ろし、その足をそれぞれH、Kとおく。

このとき、 AH=AK=8 なので、 BC=(17−8)+(25−8)=26  (終)


(コメント) 三角関数を用いれば、次のようにも解けるだろう。

 ∠BAI=∠CAI=θ とおくと、△ABI+△ACI=126 から、

  (1/2)・17・10sinθ+(1/2)・10・25sinθ=210sinθ=126

 よって、 sinθ=3/5 で、 cos2θ=1−2sin2θ=7/25

 余弦定理より、 BC2=289+625−850・(7/25)=676 なので、 BC=26

#当初、AB=8、AC=10、AI=5、△ABI+△ACI=27と問題設定を予定していたが、
 検算すると、矛盾のある図形となってしまった。灘高校の数値設定に感動しました。


 DD++ さんからのコメントです。(令和4年3月25日付け)

 上記の問題、面積の情報を削除しても三角形がユニークに定まりますよね。すなわち、以
下の問題は(中学範囲に制限しなければ)ちゃんと解けるはず。

 「三角形 ABC の内心を I とする。AB=17, AC=25, AI=10 のとき、BC を求めよ。」

 さて、綺麗な解き方はあるでしょうか?


 らすかるさんからのコメントです。(令和4年3月26日付け)

 とりあえず綺麗でも何でもない「普通の」解き方ですが

 AB=c、BC=a、CA=b とおくと、△ABCの面積Sは、

  S=(1/4)√{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}

なので、内接円の半径 r は、

  r=2S/(a+b+c)=(1/2)√{(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)/(a+b+c)}

 Aから内接円の接点までの距離をs、Bから内接円の接点までの距離をt、Cから内接円の
接点までの距離をu とおくと、

  a=t+u、b=u+s、c=s+t なので、 s=(-a+b+c)/2

 AI=d とおくと、 d^2=s^2+r^2=bc-2abc/(a+b+c)

 これを a について解くと、 a=(bc-d^2)(b+c)/(bc+d^2) なので、b=25、c=17、d=10 を代入
して、 a=26 である。

(追記) これを計算していて気付いたのですが、上記の s、t、u を使うと、

  面積は、 S=√{stu(s+t+u)}

  内接円の半径は、 r=√{stu/(s+t+u)}

という綺麗な式で表せるんですね。


(コメント) 内接円の半径を r とすると、sin∠BAI=r/10、cos∠BAI=√(100−r2)/10

 円外の1点から引いた接線の長さが等しいことから、 BC=42−2√(100−r2

 よって、 △ABC=r(42−√(100−r2))

一方、△ABC=(1/2)・17・25・2(r/10)・(√(100−r2)/10)=(17/4)r√(100−r2

なので、 (17/4)r√(100−r2)=r(42−√(100−r2))

 すなわち、 √(100−r2)=8 より、 r=6 なので、 BC=26 と定まる。


(注) √(100−r2)=x として、 sin∠BAI=r/10、cos∠BAI=x/10

 円外の1点から引いた接線の長さが等しいことから、 BC=42−2x

 よって、 △ABC=r(42−x)

一方、△ABC=(1/2)・17・25・2(r/10)・(x/10)=(17/4)rx

なので、 (17/4)rx=r(42−x) より、 x=8 なので、、 BC=26 と定まる。

(上記の計算から分かるように、√(100−r2)の r は求める必要はないようです。)

# 面積の条件がなくても、「BC=26」が分かるんですね!感動しました。DD++ さんに感謝
  します。らすかるさん、解答をありがとうございます。


 DD++ さんのご教示を受け、矛盾のない問題設定を考えてみた。

 CA=b、AB=c とおいて、AI=5、r=3 となるようにしたい。

 このとき、 BC=b+c−8 で、 s=b+c−4 なので、 △ABC=3(b+c−4)

 一方、 △ABC=(1/2)・bc・2(3/5)(4/5)=12bc/25 なので、

  12bc/25=3(b+c−4) すなわち、 4bc=25(b+c−4)

 これより、 (4b−25)(4c−25)=225 となる。

 b、c (b≦c) が整数という条件を付加して、

 (4b−25,4c−25)=(15,15)、(3,75) から、 (b,c)=(10,10)、(7,25)

 このうち、 b=7、c=25 を採用すれば、題意を満たす。

 このとき、 △ABI+△ACI=48 である。


 りらひいさんからのコメントです。(令和4年3月27日付け)

 わたしも最初はらすかるさんと同じような方法で解きました。その後、別の方法でも解いて
みました。綺麗な解き方にはなりませんでしたが、一応書いてみます。

 BC=a、CA=b、AB=c、∠A=2α、∠B=2β、∠C=2γ、AI=d とおく。

 ∠CAI=∠BAI=α、∠ABI=∠CBI=β、∠BCI=∠ACI=γ となる。

 ∠A+∠B+∠C=π より、 α+β+γ=π/2 なので、

 ∠AIB = π-(α+β) = π-(π/2-γ) = π/2+γ

 ∠AIC = π-(α+γ) = π-(π/2-β) = π/2+β

 △AIBに正弦定理を使うと、 (sinβ)/d=(sin∠AIB)/c より、sinβ=(d/c)*cosγ なので、

 (sinβ)^2+(cosβ)^2=1 に代入して、 (d/c)^2*(cosγ)^2+(cosβ)^2=1 … @

 △AICに正弦定理を使うと、 (sinγ)/d=(sin∠AIC)/b より、sinγ=(d/b)*cosβ なので、

 (sinγ)^2+(cosγ)^2=1 に代入して、 (d/b)^2*(cosβ)^2+(cosγ)^2=1 … A

@Aを連立して解くと、

 (cosγ)^2=c^2(b^2-d^2)/(b^2*c^2-d^4) 、(cosβ)^2=b^2(c^2-d^2)/(b^2*c^2-d^4)

よって、 a= b*cos(2γ) + c*cos(2β)

      = b*(2*(cosγ)^2-1) + c*(2*(cosβ)^2-1)

      = b*(2*c^2(b^2-d^2)/(b^2*c^2-d^4)-1) + c*(2*b^2(c^2-d^2)/(b^2*c^2-d^4)-1)

      = (b+c)*(bc-d^2)/(bc+d^2)

なので、b=25、c=17、d=10 を代入して、a=26 を得る。


#らすかるさんの解法のd^2の計算で、分子の3次、2次の項が消えたり、上の解法のaの計
 算で約分ができたりするので、何かしら綺麗な解き方があってもよさそうな気もします。


 スモークマンさんからのコメントです。(令和4年3月27日付け)

 計算だけなら、以下のようにして求めてみました ^^。

 A、B、Cから内接円の接点までの距離をそれぞれ s、t、u とおく。

 また、∠A/2=α とおくと、 sinα=r/d 、cosα=s/d

 ここで、 △ABC=AB*AC*sin(2α)/2=AB*AC*(rs/d^2)=(s+t+u)*r なので、

 17*25*s=(17+25-s)*100 より、 17s=4(42-s) すなわち、21s=4*42 より、 s=8

 よって、 t=17-8=9 、u=25-8=17 なので、 BC=t+u=9+17=26

 ちなみに、 r=√(10^2-8^2)=6 である。



  以下、工事中!