掲示板の話題
平成18年12月3日、混沌さんの書き込みがあった。
他所のHPで次の問題が話題になっているという。
a=b2−2 、b=c2−2 、c=a2−2 を満たす実数 (a ,b ,c ) の組のうち、
a ,b ,c が整数にならないのは何組あるか?
この問題に対して、当HPがいつもお世話になっている、「らすかる」さんや「我疑う故に存
在する我」さんが解答を寄せている。(詳しくは、こちら → ヨッシーの八方掲示板 29378)
これに関して、「Chaos」さんは、
f(x)=x2−2 として、 y=f(f(f(x)))の性質
から問題を解こうと提案されている。
計算では、なかなか辛いこの問題も、y=f(f(f(x)))のグラフを書けば、明らかとなる。
上記のグラフから、方程式 f(f(f(x)))=x の解で整数解でないものは丁度6個あるこ
とが直ちに分かる。
(コメント) 上記で、 y=f(x) の合成を何回繰り返しても、次の3点
( 2 , 2 ) 、 ( 1 , −1 ) 、 ( −1 , −1 )
が不動点になるところが興味深いですね!何か別な問題が作れそうです。
(追記) 平成18年12月9日付け
上記のグラフを考えているとき、何故かチェビシェフの多項式のことが頭をよぎった。
cosnθ を、加法定理を用いて展開した式において、cosθ=X として得られる多項式が
チェビシェフの多項式であるが、我疑う故に存在する我さんの解答を見ていると、正にこの
発想が生かされていると感じたからだ。
混沌さんの、12月8日付けの書き込み
中高1でも頷く易しい問から始め、世界の多くの人々が探求中の超難問達へ誘うべく
例が在りましたので報告まで ; ヨッシーの八方掲示板 29378
を見て、この意を強くした。
チェビシェフの多項式 T2(X)=2X2−1 は、とても魅力的な性質を持つことが、混沌さ
んの提示された問題から伺える。
上記のHPに記載された解法をなぞってみることにしよう。
方程式 T2(X)=X を満たす点 ( x , x ) は不動点と言われる。
2X2−1=X より、 2X2−X−1=0
よって、 (2X+1)(X−1)=0 から、X=−1/2、1
したがって、 不動点は、 ( −1/2 , −1/2 ) 、 ( 1 , 1 ) である。
この不動点は、合成関数 T2(T2(X)) の不動点でもある。
ところで、 T2(T2(X))=8X4−8X2+1 に対して、この不動点を求めてみよう。
T2(T2(X))=X から、方程式 8X4−8X2−X+1=0 が得られる。
上記の事実から、この左辺は、 2X2−X−1 で割り切れる。
よって、 (2X2−X−1)(4X2+2X−1)=0 より、
このとき、
は、興味ある振る舞いを示す。(これは当然かな?)
T2(α)=2α2−1 において、 4α2+2α−1=0 から、
2T2(α)=4α2−2=1−2α−2=−2α−1
解と係数の関係から、 2α+2β=−1 なので、 2T2(α)=2β
よって、 T2(α)=β が成り立つ。 同様にして、 T2(β)=α
(コメント) 合成関数 T2(T2(X)) の不動点は、4個あって、内2つは写像 T2 で、自分自
身に移り、他の2つは写像 T2 で、互いに移りあう関係なのですね!
当HPがいつもお世話になっているHN「FN」さんが、この話題を考察された。
(平成23年8月27日付け)
冒頭の問題において、「a ,b ,c が整数にならない」は余り良い表現ではなく、「a
,b ,c
が相異なる」と書くべきだと思いますが、要するに、つまらないケースは除くということです。
f(x)=x2−2 としたとき、f(f(f(x)))=x を満たす実数の個数を問題にするのですが、
そのとき当然含まれる f(x)=x の解はつまらないから除こうということです。
この話題を多少一般化します。
f(x) を実数係数の2次式とかにするのはちょっと飛躍がありすぎるので、f(x)=x2−k
(k は実数)にします。
k を実数とし、f(x)=x2−k とする。f(f(f(x)))=x の実数解で、f(x)=x の解で
はないものの個数を求めよ。
f(f(f(x)))−x は8次式で、2次式 f(x)−x で割り切れ、その商
g(x) は6次式です。
( f(x)−x =0 が重解をもたない、即ち、k≠−1/4 のときは、ほぼ明らか。一般の場合
の証明は、「解の巡回」にある)
よって、問題は、g(x)=0 の実数解の個数を求めよということです。(証明の必要あり?)
g(x) は、6次式だから、解は高々6個です。当然、実数解も高々6個です。また、a
が実数
解であれば、f(a)、f(f(a)) も実数解です。そして、a、f(a)、f(f(a))は異なります。
従って、実数解の個数は、0個、3個、6個のどれかですが、3個はなさそうです。
(6次方程式が重解を持たないで、3個の実数解を持つことはありそうにない)
k=2 のとき、6個であることは冒頭に書いてあります。
k=0 のとき、0個であることは容易にわかります。
k=1 のとき、Maxima でグラフを書いてみたところ、0個のようです。
k=3 のときは、6個のようです。
一般の k について、解くのはかなり難しいだろうと思います。特定の k やある範囲の k
について何かわかることはないでしょうか。まず、k=1、3、4 や k<0
の場合とかで何か
わかることはないでしょうか。ほとんど同じなので、f(f(f(x)))=x の実数解の個数として
もかまいません。「解の巡回」の話題とも関係しますが、直接役にたつことはあまりなさそう
です。k=2、4 の場合は「解の巡回」の現象が起こります。