合同式
知らなくても特段不都合なことはないが、知っていれば大変重宝するのが「合同式」だろう。
中学入試でも暗に合同式を意識した問題が多数出題されている。高校入試や大学入試でも
合同式が活躍する場面は多い。合同式は、整数論的な思考をとても見通しよくしてくれる魔
法の道具である。
合同式 整数 a、b に対して、その差 a−b が、自然数 m で割り切れるとき、
a と b は m を法として合同である
といい、記号 a≡b (mod m) で表す。
つまり、m で割った余りが同じ数は、同じ(様な)数とみなそうということである。
合同式については、次の性質が成り立つ。
(反射律) a≡a (mod m)
(対称律) a≡b (mod m) ならば、 b≡a (mod m)
(推移律) a≡b (mod m)、b≡c (mod m) ならば、 a≡c (mod m)
このことから、整数を類別して考えることが可能となる。
合同式について、次のような演算が基本であろう。
a≡b (mod m)、c≡d (mod m) ならば、
a+c≡b+d (mod m) 、a−c≡b−d (mod m) 、ac≡bd (mod m)
a≡b (mod m) ならば、 ak≡bk (mod m)
例 1510を4で割った余りを求めよ。
(解) 15≡−1 (mod 4) より、 1510≡1 (mod 4) なので、
求める余りは、1 (終)
問題をもう少し難しくしてみた。
問題 20222022 を13で割った余りを求めよ。
(解) 2022≡7 (mod 13) で、
72=49≡10 (mod 13)
73≡70≡5 (mod 13)
74≡35≡9 (mod 13)
75≡63≡11 (mod 13)
76≡77≡−1 (mod 13) なので、 712≡1 (mod 13)
ここで、 2022=12×168+6 なので、
20222022=(712)168・76≡−1≡12 (mod 13)
以上から、 20222022 を13で割った余りは、12である。 (終)
問題 整数 a、b、c について、 a2+b2=c2 のとき、a、b のどちらか一方は偶数であ
ることを示せ。
(解) a、b の両方が奇数と仮定すると、 a2≡1 (mod 4) 、b2≡1 (mod 4) より、
c2=a2+b2≡2 (mod 4)
しかるに、 c≡0 (mod 4) のとき、 c2≡0 (mod 4)
c≡1 (mod 4) のとき、 c2≡1 (mod 4)
c≡2 (mod 4) のとき、 c2≡0 (mod 4)
c≡3 (mod 4) のとき、 c2≡1 (mod 4)
なので、 c2≡2 (mod 4) は起こりえない。
よって、a、b のどちらか一方は偶数である。 (終)
(コメント) 上記と同様の議論から、 c2≡0 または 1 (mod 3) であることが分かる。
合同式を用いた方程式の解法については、次の性質が重要である。
定理 ac≡bc (mod m)で、(c,m)=1 のとき、a≡b (mod m)
定理 aX≡b (mod m)は、(a,m)=1のとき、(mを法として)ただ一つの解をもつ。
例 8≡2 (mod 3) のとき、 両辺を2で割って、 4≡1 (mod 3)
例 7x≡2 (mod 4) は、4を法として、ただ一つの解を持つ。
実際に、 7≡−1 (mod 4) なので、 −x≡2 (mod 4) より、
x≡−2≡2 (mod 4)
(別解) 7x≡2 (mod 4) より、 7x=4k+2 (kは整数) と書ける。
このとき、 7・(−2)=4・(−4)+2 より、 7(x+2)=4(k+4)
7と4は互いに素なので、 x+2=4m (mは整数) と書ける。
このとき、 x=4m−2=4(m−1)+2≡2 (mod 4) (終)
例 10≡1 (mod 9) なので、100≡1 (mod 9)、1000≡1 (mod 9)、・・・
一般に、 10^n≡1 (mod 9) が成り立つ。
この事実を用いれば、654321を9で割った余りを求めることは、とても易しい。
実際に、 654321≡6+5+4+3+2+1≡21≡2+1≡3 より、余りは3となる。
この性質を用いる問題が、開成中学入試(2022年)で出題された。
問題 次の計算結果を9で割ったときの余りを求めよ。
1234567+2345671+3456712+4567123+5671234
5個の7桁の数を全部足して、その結果を9で割ってもよいのだが、次のようにすれば暗
算で求められる。
(解) 5個の7桁の数はすべて、1、2、3、4、5、6、7 で出来ている。
ここで、1+2+3+4+5+6+7=28≡1 (mod 9) なので、求める余りは、5 (終)
また、次のような問題も有名である。
問題 4桁の数Aとその逆順の数Bがある。A、Bで、大きい方から小さい方を引き、その
数字のうち0でない数を一つ隠匿し、それ以外の数を言ってもらうと、秘匿した数が
何かを言い当てることができる。これは何故か?
例をあげて考察しよう。
A=3852 とすると、B=2583 なので、 A−B=1269
このとき、 1+2+6+9=18≡0 (mod 9) となっている。
したがって、秘匿した数以外の数を聞いて、9で割り切れるように秘匿した数を答えれば
よい。
例えば、 「2、6、9」 と聞けば、和が17なので、秘匿した数は、1と分かる。
(追記) 令和4年6月12日付け
次の問題も合同式を用いれば容易に解決することが出来る。
問題 3737+1313 は、10で割り切れることを示せ。
(解) 374≡1 (mod 10) より、 3737≡(374)9・37≡7 (mod 10)
同様に、 134≡1 (mod 10) より、 1313≡(134)3・13≡3 (mod 10)
よって、 3737+1313≡7+3≡0 (mod 10) より、10で割り切れる。 (終)
(追記) 「数の性質」と題して、GAI さんからのご投稿です。(令和4年6月13日付け)
問題 N=11^100+22^100+33^100+44^100+55^100+66^100+77^100+88^100+99^100
を10で割った余りは?
(解) 11^100≡1 (mod 10)
22^100≡2^100 (mod 10) において、mod 10 で、2、4、8、6、2、4、8、6、・・・ と
「2、4、8、6」が繰り返すので、 22^100≡6 (mod 10)
33^100≡3^100 (mod 10) において、3^2≡-1 (mod 10) より、
3^4≡1 (mod 10) なので、 33^100≡1 (mod 10)
44^100≡4^100=2^200 (mod 10) において、44^100≡6 (mod 10)
55^100≡5^100≡5 (mod 10)
66^100≡6^100≡6 (mod 10)
77^100≡7^100 (mod 10) において、mod 10 で、7、9、3、1、7、9、3、1、・・・ と
「7、9、3、1」が繰り返すので、 77^100≡1 (mod 10)
88^100≡8^100 (mod 10) において、mod 10 で、8、4、2、6、8、4、2、6、・・・ と
「8、4、2、6」が繰り返すので、 88^100≡6 (mod 10)
99^100≡9^100 (mod 10) において、9≡-1 (mod 10) より、9^2≡1 (mod 10)
なので、 99^100≡1 (mod 10)
以上から、
N≡1+6+1+6+5+6+1+6+1=33≡3 (mod 10) なので、Nを10で割った余りは、3
である。 (終)
(コメント) WolframAlpha 先生に計算をお願いしたところ、
N≡1^4+2^4+3^4+4^4+5^4+6^4+7^4+8^4+9^4=15333≡3 (mod 10)
と計算を返してきた。
私と同じ発想の解をらすかるさんよりいただいた。(令和4年6月13日付け)
以下、合同式はすべてmod10
2^4=16≡6 、3^4=81≡1 、4^2=16≡6 、5^n≡5 、6^n≡6 、7^4=2401≡1 、8^4=4096≡6
9^2=81≡1
から、
N≡1^100+2^100+3^100+4^100+5^100+6^100+7^100+8^100+9^100
=1+(2^4)^25+(3^4)^25+(4^2)^50+5^100+6^100+(7^4)^25+(8^4)^25+(9^2)^50
≡1+6+1+6+5+6+1+6+1=33≡3
なので、3。
DD++ さんからのコメントです。(令和4年6月13日付け)
与式≡1+0+1+0+1+0+1+0+1≡1 (mod 2)
また、p=5 について、フェルマーの小定理((a,5)=1のとき、a4≡1(mod 5))を用いると、
与式≡1+1+1+1+0+1+1+1+1≡3 (mod 5)
よって、 与式≡3 (mod 10)
(コメント) N-1≡0 (mod 2) かつ、 N-1≡2 (mod 5) なので、
N-1=5k+2≡0 (mod 2)
よって、k≡0 (mod 2) となり、 k=2k’ とおける。
このとき、 N-1=10k’+2≡2 (mod 10) から、 N≡3 (mod 10) である。
GAI さんからのコメントです。(令和4年6月14日付け)
らすかるさん、DD++ さん、お二人とも性質を熟知されていることがビンビン伝わってきます。
ひょんなことから、5乗においては、
a=1、2、3、・・・、9 で、 a^5≡a (mod 10)
が成立していることに気付いて、これを活用できる問題として作成しておりました。
特に、DD++ さんの最も簡潔な近道に感激しました。なお、これが mod 100 となった場合は
どの様に対処できるのですか?
らすかるさんからのコメントです。(令和4年6月14日付け)
なお、これが mod 100 となった場合はどの様に対処できるのですか?
以下、合同式はすべて mod 100。
n^2≡n の解は、0、1、25、76 (つまり、この4つは何乗しても mod 100 で不変)
2^20=1048576≡76 、3^20=3486784401≡1 、4^10=1048576≡76 、5^2=25≡25
6^5=7776≡76 、7^4=2401≡1 、8^20=1152921504606846976≡76 、9^10=3486784401≡1
ここで、 11^10=25937424601≡1 なので、
N=11^100+22^100+33^100+44^100+55^100+66^100+77^100+88^100+99^100
=11^100(1^100+2^100+3^100+4^100+5^100+6^100+7^100+8^100+9^100)
={(11^10)^10}{1+(2^20)^5+(3^20)^5+(4^10)^10+(5^2)^50+(6^5)^20+(7^4)^25+(8^20)^5+(9^10)^10}
≡1・(1+76+1+76+25+76+1+76+1)=333≡33
となり、100で割った余りは、33。
DD++ さんからのコメントです。(令和4年6月14日付け)
オイラーのトーシェント関数を使います。
オイラーの定理より、a が 5 の倍数でないとき、 a^φ(25)=a^20≡1 (mod 25) なので、
与式≡1+1+1+1+0+1+1+1+1≡8 (mod 25)
また、 与式≡1+0+1+0+1+0+1+0+1≡1 (mod 4)
よって、 与式≡33 (mod 100)
ついでに 1000 で割る場合も。
オイラーの定理より、a が 5 の倍数でないとき、a^φ(125)=a^100≡1 (mod125) なので、
与式≡1+1+1+1+0+1+1+1+1≡8 (mod 125)
また、 与式≡1+0+1+0+1+0+1+0+1≡5 (mod 8)
よって、 与式≡133 (mod 1000)
#10000 で割るとなると、手を変えないといけませんね。
(コメント) N≡8 (mod 25) 、N≡1 (mod 4) より、
N-1≡7 (mod 25) 、N-1≡0 (mod 4)
このとき、 N-1=25k+7 で、 25k+7≡0 (mod 4) 即ち、 k+3≡0 (mod 4)
そこで、k=4k’+1 とおけるので、N-1=100k’+32 より、 N=100k’+33≡33 (mod 100)
同様にして、
N≡8 (mod 125) 、N≡5 (mod 8) より、
N-5≡3 (mod 125) 、N-5≡0 (mod 8)
このとき、 N-5=125k+3 で、 125k+3≡0 (mod 8) 即ち、 k≡1 (mod 8)
そこで、k=8k’+1 とおけるので、N-5=1000k’+125+3=1000k’+128 より、
N=1000k’+133≡133 (mod 1000)
GAI さんからのコメントです。(令和4年6月16日付け)
a=1、2、3、・・・、9 で、 a^5≡a (mod 10)
から、5乗は元に戻す力が特別と感じた。では、mod 100、mod 1000、・・・、mod 10^n では
どんな数字が対応できるか、調べてみることにした。
a^5≡a (mod 100) を満たす整数 a は、{1,7,24,25,32,43,49,51,57,68,75,76,93,99}
a^5≡a (mod 1000) を満たす整数 a は、
{1,57,125,193,249,251,307,375,376,432,443,499,501,557,568,624,625,693,749,751,807,875,943,999}
そこで、これを系統別に、
1->51->251
・ ・・・・ ->751
・ ->01->501
2->32->432
3->43->443
・ ・・・・->943
・ ->93->193
・ ・・・・->693
4->24->624
5->25->125
・ ・・・・->625
・ ->75->375
・ ・・・・->875
6->76->376
7->57->557
・ ->07->307
・ ・・・・->807
8->68->568
9->49->249
・ ・・・・->749
・ ->99->499
・ ・・・・->999
という風に、前に満足している整数の頭に、新たな数字を付け加えることで繋げていけるも
のを探してみることにする。
次の候補は、
{1,443,624,625,807,1249,1251,1693,1875,2057,2499,2501,2943, 3125,3307,3568,3749,3751,
4193,4375,4557,4999,5001,5443,5625,5807, 6249,6251,6432,6693,6875,7057,7499,7501,
7943,8125,8307,8749,8751, 9193,9375,9376,9557,9999}
となるので、これにつなげていく。
こうして次々と繋がっていける列で、次のものが見つかった。あとは、これをOEISで検索し
ヒットしたものの掲載分を参考につけています。
A063006(A224474)より、
M1=[1, 5, 7, 8, 1, 2, 4, 7, 5, 3, 6, 1, 0, 8, 4, 7, 8, 4, 5, 1,・・・];
1,51,751,8751,18751,218751,4218751,74218751,574218751,3574218751,
つまり、
[51^5≡51(mod 10^2)、751^5≡751(mod 10^3)、8751^5≡8751(mod 10^4)、・・・ が成立する。]
A120817より、
M2=[2, 3, 4, 6, 8, 1, 9, 7, 8, 9, 9, 4, 3, 6, 2, 3, 0, 1, 4, 0,・・・];
2,32,432,6432,86432,186432,9186432,79186432,879186432,9879186432,
A290373より、
M31=[3, 4, 9, 2, 2, 9, 7, 0, 9, 1, 8, 5, 6, 7, 4, 0, 4, 6, 3, 0,・・・];
3,43,943,2943,22943,922943,7922943,7922943,907922943,1907922943,
A290375より、
M32=[3, 9, 1, 4, 0, 7, 3, 3, 3, 8, 1, 4, 6, 9, 9, 2, 5, 1, 8, 8,・・・];
3,93,193,4193,4193,704193,3704193,33704193,333704193,8333704193,
A091664(A216092)より、
M4=[4, 2, 6, 0, 9, 8, 2, 1, 2, 8, 1, 9, 9, 5, 2, 6, 5, 2, 2, 9,・・・];
4,24,624,624,90624,890624,2890624,12890624,212890624,8212890624,
A091663(A216093)より、
M51=[5, 7, 3, 9, 0, 1, 7, 8, 7, 1, 8, 0, 0, 4, 7, 3, 4, 7, 7, 0,・・・];
5,75,375,9375,9375,109375,7109375,87109375,787109375,1787109375,
A018247(A007185)より、
M52=[5, 2, 6, 0, 9, 8, 2, 1, 2, 8, 1, 9, 9, 5, 2, 6, 5, 2, 2, 9,・・・];
5,25,625,625,90625,890625,2890625,12890625,212890625,8212890625,
(ただしこれは5乗に限らず、何乗でも成立していく。)
A018248(A016090)より、
M6=[6, 7, 3, 9, 0, 1, 7, 8, 7, 1, 8, 0, 0, 4, 7, 3, 4, 7, 7, 0,・・・];
6,76,376,9376,9376,109376,7109376,87109376,787109376,1787109376,
(ただしこれは5乗に限らず、何乗でも成立していく。)
A290372より、
M71=[7, 0, 8, 5, 9, 2, 6, 6, 6, 1, 8, 5, 3, 0, 0, 7, 4, 8, 1, 1,・・・];
7,7,807,5807,95807,295807,6295807,66295807,666295807,1666295807,
A290374より、
M72=[7, 5, 0, 7, 7, 0, 2, 9, 0, 8, 1, 4, 3, 2, 5, 9, 5, 3, 6, 9,・・・];
7,57,57,7057,77057,77057,2077057,92077057,92077057,8092077057,
A120818より、
M8=[8, 6, 5, 3, 1, 8, 0, 2, 1, 0, 0, 5, 6, 3, 7, 6, 9, 8, 5, 9,・・・];
8,68,568,3568,13568,813568,813568,20813568,120813568,120813568,
A091661(A224473)より、
M9=[9, 4, 2, 1, 8, 7, 5, 2, 4, 6, 3, 8, 9, 1, 5, 2, 1, 5, 4, 8,・・・];
9,49,249,1249,81249,781249,5781249,25781249,425781249,6425781249,
確かに、5乗は、mod 10 に限らず、他の mod 10^n での世界でも元の数に引き戻すこと
が出来る役割を担い続けることが出来そうです。(各1〜9に続く系統が存在する。)
GAI さんからのコメントです。(令和4年6月17日付け)
最も集客を集めるべき乗は何だろう?
mod 10 では、a^5≡a を満たすaは、{1,2,3,4,5,6,7,8,9} とフル数字でよかった。
これを mod 100 にすると、{1,7,24,25,32,43,49,51,57,68,75,76,93,99} であり、チョット物足り
ない。
そこで、a^k≡a (mod 100) が多くの a を集められる k は如何に?で調査してみると、何
と、
gp > for(a=1,99,if(lift(Mod(a^21,100))==a,print1(a",")))
1,3,4,7,8,9,11,12,13,16,17,19,21,23,24,25,27,28,29,31,32,33,36,37,39,41,43,44,47,48,49,51,52,53,
56,57,59,61,63,64,67,68,69,71,72,73,75,76,77,79,81,83,84,87,88,89,91,92,93,96,97,99,
この列がA075821に載る。(内容的には他の視点で集まった数列)
62/99(約62.6%)ものものが採用可能となり、ダントツであった。
不思議なことに k は他の k=41,61,81,101,・・・・ でも同じ a が並んだ。
また、mod 1000 では、k=101,201,301,・・・・
これで集まる a の割合が、504/999=56/111(約50.5%)でダントツでした。
ここで採用される a の値が、これとは全くかけ離れた内容でのA122987と一致することに
驚いた。
この2つの関係はどうなっているんだろう?
DD++ さんからのコメントです。(令和4年6月17日付け)
この列がA075821に載る。(内容的には他の視点で集まった数列)
コメントを読む限り、まさしく 21 乗の下 2 桁として作られた列のようですが。
不思議なことに k は他の k=41,61,81,101,・・・・ でも同じ a が並んだ。
また、mod 1000 では、k=101,201,301,・・・・
えっと、先日の問題の流れを受ければ、この結果はごく自然なものに思えますが、どこを
不思議と思っておられるのでしょうか?
GAI さんからのコメントです。(令和4年6月17日付け)
a41=a21*a20≡a*a20=a21≡a (mod 100)
そうか、不思議でもなんでもないですね。
A122987での説明がよくわからないのですが、これが、a^101≡a (mod 1000) で集める a
と同じになるのはどうしてなのかな?という意味で問いかけておりました。
DD++ さんからのコメントです。(令和4年6月17日付け)
なるほど、確かに立方数の下 3 桁との一致は少し考えないといけませんね。以下でどうで
しょう。
以下、合同式は断りがない限り mod1000 とします。
101 乗の下 3 桁が元の数に戻る数は、必ずある立方数の下 3 桁に出現します。
なぜならば、a^101≡a であれば、b≡a^67 とすると、b^3≡a^201≡a^101≡a だからです。
立方数の下3桁に出現する数は、その101乗の下3桁が元の数に一致します。
なぜなら、以下の 2 つから、立方数と下 3 桁が一致する a について a^101-a は 1000 の
倍数だからです。
(1) 立方数は 5 と互いに素である、またはそれ自体 125 の倍数です。
よって、a も同じく 5 と互いに素である、またはそれ自体 125 の倍数です。
つまり、a^φ(125)-1 すなわち a^100-1 または a のいずれかが 125 の倍数です。
したがって、a(a^100-1) は 125 の倍数です。
(2) 立方数は奇数である、またはそれ自体 8 の倍数です。
よって 、a も同じく奇数である、またはそれ自体 8 の倍数です。
つまり、a^2-1 または a のいずれかが 8 の倍数です。
したがって、a(a^100-1)=a(a^2-1)(a^98+a^96+……+a^2+1) は 8 の倍数です。
GAI さんからのコメントです。(令和4年6月18日付け)
a^21≡a (mod 100) が最も a の相当数が見つかるが、これを満たす a の集合は、
Mod(a^3,100)での余りが取り得る数に対応し、a^101≡a (mod 1000) が最も a の相当数
が見つかるが、これを満たす a の集合は、Mod(a^3,1000)での余りが取り得る数に対応し
ている。
<プログラムでの確認>
gp > {S=[];}for(a=1,99,r=lift(Mod(a^3,10^2));S=concat(S,[r]));S=vecsort(Set(S))
%41 = [0, 1, 3, 4, 7, 8, 9, 11, 12, 13, 16, 17, 19, 21, 23, 24, 25, 27,
28, 29, 31, 32, 33, 36, 37,
39, 41, 43, 44, 47, 48, 49, 51, 52, 53, 56, 57, 59, 61, 63, 64, 67,
68, 69, 71, 72, 73, 75,
76, 77, 79, 81, 83, 84, 87, 88, 89, 91, 92, 93, 96, 97, 99]
gp > {T=[];}for(a=0,99,if(lift(Mod(a^21,10^2))==a,T=concat(T,[a])));T
%42 = [0, 1, 3, 4, 7, 8, 9, 11, 12, 13, 16, 17, 19, 21, 23, 24, 25, 27, 28, 29, 31, 32, 33, 36, 37,
39, 41, 43, 44, 47, 48, 49, 51, 52, 53, 56, 57, 59, 61, 63, 64, 67,
68, 69, 71, 72, 73, 75,
76, 77, 79, 81, 83, 84, 87, 88, 89, 91, 92, 93, 96, 97, 99]
結果は長くなるので省略していますが、結果は同じになりました。
gp > {S=[];}for(a=1,999,r=lift(Mod(a^3,10^3));S=concat(S,[r]));S=vecsort(Set(S))
gp > {T=[];}for(a=0,999,if(lift(Mod(a^101,10^3))==a,T=concat(T,[a])));T
そこで、mod 10000 を調べてみたら、a^501≡a (mod 10000) が最も a の相当数が見つ
かり、4509個ある。(ダントツの多さ)
({T=[];}for(a=0,9999,if(lift(Mod(a^501,10^4))==a,T=concat(T,[a])));T で求まる集合Tの要素数
#Tが#T=4509)
ところが、a^3を10000で割ったときの余りが取り得る総数は5050個となり、
({S=[];}for(a=1,9999,r=lift(Mod(a^3,10^4));S=concat(S,[r]));S=vecsort(Set(S)) で求まる集合
Sでの#S=5050)
上2つの広がりは起こりませんでした。
DD++ さんからのコメントです。(令和4年6月18日付け)
おそらくですが、
mod100 の場合は、a^n の n として「2 以上かつ 20 と互いに素」であることが要求されるの
で n=3 が最小
mod1000 の場合は、a^n の n として「3 以上かつ 100 と互いに素」であることが要求される
ので n=3 が最小
mod10000 の場合は、a^n の n として「4 以上かつ 500 と互いに素」であることが要求され
るので n=7 が最小
となるのではないでしょうかね?
GAI さんからのコメントです。(令和4年6月19日付け)
{S=[];}for(n=1,9999,r=lift(Mod(n^7,10^4));S=concat(S,[r]));S=vecsort(Set(S))
{T=[];}for(n=0,9999,if(lift(Mod(n^501,10^4))==n,T=concat(T,[n])));T
に対して、 #S=#T=4509
しかも、
gp > S==T
% = 1 (S、T の2つの集合内容が全く同一を示す。)
の結果となり、DD++さんの推測は見事に実証できました。
ちなみに、mod 100000では、
{S=[];}for(n=1,99999,r=lift(Mod(n^7,10^5));S=concat(S,[r]));S=vecsort(Set(S))
{T=[];}for(n=0,99999,if(lift(Mod(n^5001,10^5))==n,T=concat(T,[n])));T
の対応で、2つの集合は同一を見ました。(#S=#T=42517)
(追記) 令和5年2月14日付け
次の九州大学前期理系(2016)の問題は、合同式の適当な練習問題になるだろう。
問題 自然数nに対して、10n を13で割った余りを an とおく。以下の問いに答えよ。
(1) an+1 は、10an を13で割った余りに等しいことを示せ。
(2) a1 、a2 、・・・、a6 を求めよ。
(3) 以下の3条件を満たす自然数Nをすべて求めよ。
(i) Nを十進法で表示したとき、6桁となる。
(ii) Nを十進法で表示して、最初と最後の桁の数字を取り除くと、2016となる。
(iii) Nは13で割り切れる。
(解)(1) 10n≡an (mod 13) 、10n+1≡an+1 (mod 13) より、
an+1≡10・an (mod 13) なので、an+1 は、10an を13で割った余りに等しい。
(2) 101≡10 (mod 13) より、a1=10
a2≡100≡9 (mod 13) より、a2=9
a3≡90≡12 (mod 13) より、a3=12
a4≡120≡3 (mod 13) より、a4=3
a5≡30≡4 (mod 13) より、a5=4
a6≡40≡1 (mod 13) より、a6=1
(3) 題意より、 N=m・105+n+20160 と書ける。
105≡4 (mod 13) 、20160≡10 (mod 13) なので、
N≡4m+n+10≡0 (mod 13) であるためには、
(m,n)=(2,8)、(3,4)、(4,0)、(5,9)、(6,5)、(7,1)、(9,6)
以上から、求めるNは、
220168、320164、420160、520169、620165、720161、920166 (終)
以下、工事中!