フェルマーの定理
フェルマーの定理というと、
方程式 Xn+Yn=Zn (n は3以上の自然数)を満たす自然数解(X,Y,Z)はない
という定理を思い浮かべる人が多いだろう。
この定理は、1995年に、アンドリュー・ワイルズ によって肯定的に解決されるまで、300
年以上もの長い間、フェルマーの予想と呼ばれ、数学者たちを悩まし続けた。
当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さんからのご投稿です。
(平成29年6月11日付け)
まず、3つの不思議な分数関数の展開式での係数を計算機で出したものを見る。
(→ 計算結果)
M1=Vec(Ser((1+53*x+9*x^2)/((1+x)*(1-83*x+x^2))))
M2=Vec(Ser((2-26*x-12*x^2)/((1+x)*(1-83*x+x^2))))
M3=Vec(Ser((2+8*x-10*x^2)/((1+x)*(1-83*x+x^2))))
この一見ランダムに見える3つの数に、何と驚くべきことに、M1[i]^3+M2[i]^3 と M3[i]^3 に
は一つ違いしか差が起きていないことを見る。すなわち、各成分の2番目の数に対し、
135^3+138^3=5088447 、172^3=5088448
で、その差が1であることになる。今でこそフェルマーの予想は証明されてしまったが、当時
はまだその域にはなく、こんなにも微妙な組み合わせが驚くほどたくさん、しかも、無数に、
大きな数ではそれこそ殆んどと言っていいくらいに等しく感じられるものが実在していること
を教えてくれる。
こんなものを嗅ぎ出し、それを具体的に示せたラマヌジャンは、フェルマーの予想の証明
より遥かに強力で天分に恵まれた(インドの神様が教えてくれるという記述が信じられる)
人物であることがわかる。他にも彼の名前は頻繁にみかけるので、そのスケールは計り知
れない。
Seiichi Manyama さんからのコメントです。(平成29年6月11日付け)
去年同じことを考えていたようなので(もう覚えていない…)、参考までに覗いてみてくださ
い。(→ 「仕事の部屋160814」)
P.82 という根拠は、例えば、こちらを参考にしてください。同じ内容が載っています。
しかし、ここでいうフェルマーの定理とは、
定理 (a,n)=1のとき、aφ(n)≡1(mod n)
のことである。(証明は、こちらを参照)
ただし、φ(n) はオイラーの関数といわれ、n より小さい自然数のうち、n
と互いに素なもの
の個数を表す。
本によっては、両者を区別するために、後者を、フェルマーの小定理と呼ぶことが多い。
初等整数論では基本的な定理であり、多くの理論的基礎になっている。
フェルマーの定理によれば、任意の奇素数 p に対して、 2p−1≡ 1 (mod p )が成
り立つ。
例 2365を23で割った余りを求めよ。(令和2年10月17日付け)
(解) 奇素数23に対して、 222≡ 1 (mod 23 )が成り立つ。
ところで、 365=22×16+13 なので、
2365≡213=1024×8=8192≡4 (mod 23)
以上から、2365を23で割った余りは、4である。 (終)
フェルマーの定理を純粋に活用すれば、上記のような計算となるのだが、効率を考えれば
次のように解いてもいいだろう。
(別解) 211≡1 (mod 23) なので、
2365≡211×33+2≡22=4 (mod 23) (終)
ところで、この事実を少し変形して、 2p−1≡ 1 (mod p2 ) を満たす奇素数 p を
考えた場合、実はそれほどないらしい。
p<6×109 (←60億!)の範囲では、p=1093、3511 のみである。
p=1093 の場合について、
広島工業大学 大川研究室のHPの中の数学の問題コーナー(問題79)に、解説が載っ
ている。
また、3p−1≡ 1 (mod p2 ) を満たす素数 p (p>3)についても同様で、
p<109 (←10億!)の範囲では、p=11、1006003 のみである。
大川研究室の解説を見ても分かるように、その証明は、実に巧妙で用意周到である。目
標を着実に視野に入れながら計算を実行しないと、思わず迷路に入ってしまうような、そん
な気分である。
(参考文献:和田秀男 著 数の世界 整数論への道(岩波書店))
(追記) 強引に計算を推し進めた解答は、こちらを参照。