t | → | 1 | 1 | → | t | (実数の世界) | |||
微分 | 積分 | ( s の世界) |
ラプラス変換を用いた解法 (演算子法で与えた解法と比較してみて下さい。)をいくつか
見ておこう。
例 題 斉次線形1階微分方程式 Y’−4Y=0 を、初期条件 Y(0)=1 のもとで求
めよ。
(解) 関数 Y のラプラス変換を、F(s) とする。
このとき、Y’ のラプラス変換は、sF(s)−Y(0)=sF(s)−1
なので、与えられた微分方程式のラプラス変換は、
sF(s)−1−4F(s)=0 すなわち、 (s−4)F(s)=1
よって、 F(s)=1/(s−4) となる。
ラプラス変換の単一性とラプラス変換対表より、求める解は、
Y=e4t
となる。 (終)
例 題 斉次線形2階微分方程式 Y”+4Y=0 を、初期条件 Y(0)=1
、Y’(0)=0
のもとで求めよ。
(解) 関数 Y のラプラス変換を、F(s) とする。
このとき、Y’ のラプラス変換は、sF(s)−Y(0)=sF(s)−1 で、
Y” のラプラス変換は、s(sF(s)−1)−Y’(0)=s2F(s)−s
なので、与えられた微分方程式のラプラス変換は、
s2F(s)+4F(s)=s すなわち、 (s2+4)F(s)=s
よって、 F(s)=s/(s2+4) となる。
ラプラス変換の単一性とラプラス変換対表より、求める解は、
Y=cos2t
となる。 (終)
例 題 斉次線形3階微分方程式 Y(3)−4Y’=0 を、
初期条件 Y(0)=0 、Y’(0)=1 、Y”(0)=0 のもとで、求めよ。
(解) 関数 Y のラプラス変換を、F(s) とする。
このとき、Y’ のラプラス変換は、sF(s)−Y(0)=sF(s)
Y” のラプラス変換は、s(sF(s))−Y’(0)=s2F(s)−1
Y(3) のラプラス変換は、s(s2F(s)−1)−Y”(0)=s3F(s)−s
なので、与えられた微分方程式のラプラス変換は、
s3F(s)−s−4(sF(s))=0 すなわち、 (s3−4s)F(s)=s
よって、
ラプラス変換の単一性とラプラス変換対表より、求める解は、
となる。 (終)
この解答をみて、あなたも、「これって、ズルじゃない?」と思っていただけたら、私の安心
するところである。
読者のために、練習問題を残しておこう。
練習問題 斉次線形2階微分方程式 3Y”−2Y’−Y=0 を、
初期条件 Y(0)=1 、Y’(0)=0 のもとで求めよ。
(Hint) 関数 Y のラプラス変換を F(s) とすると、
F(s)=(3s−2)/(3s2−2s−1)
となる。このとき、 F(s)=[3・{1/(s+(1/3))}+1/(s−1)]/4 なので、
Y={3e(-1/3)t+et}/2 ・・・・ (出来たかな?)
(追記) 上記の例題では、ラプラス変換対表を用いて、一般解を求めたが、私的には、あ
まり好ましい解法とはいえない。そのような場合、実は、計算によって求める方法
が確立している。それが、ラプラス逆変換である。
ラプラス変換では、関数 f(t) として、t<0 では、0 とし、t>0 でのみ考える。以下では、
すべて、t>0 として話を進める。
今、ラプラス変換 に対して、 を求めることを、ラプラス逆変換という。 右辺の積分は、複素積分で、その値 の計算には、留数定理が用いられる。 |
上記で、i は虚数単位、B は、右上図のような虚軸に平行な積分路で、ブロムウィッチ‐
ワグナーの積分路といわれる。
右辺の積分計算で、留数定理を使った計算に単純化するため、次の定理が利用される。
Jordan の補助定理
F(s) は、|s|→ ∞ で連続で、 s → ∞ のとき、F(s) → 0 とする。このとき、下図の
ような、半径Rの半円弧の積分路 L について、
が成り立つ。 (証明は、このホームページのレベル を超えるので 略) このJordan の補助定理により、 ラプラス逆変換における積分路とし て、閉曲線が選択できることになり、 その結果として、留数定理が使える ようになった、ということである。 |
それでは、いくつかの場合について、ラプラス逆変換を計算してみよう。
(例) 以下の計算で、Cは、被積分関数の特異点をすべて含む閉曲線とする。
となる。
となる。
何れも、この計算結果は、前に示したラプラス変換対表のものと一致する。