かぎゅうせん                                       「いろいろな曲線」のページに戻る 
蝸牛線

 

 極方程式は、 

 この曲線は、パスカルの蝸牛線(別名リマソン(1650年))といわれる。

 a>b、a=b、a<b の各場合でグラフの形状が異なる。

特に、a=bのときは、心臓形(Cardioid)といわれる。

 a>b のとき

 a<b のとき

a<b のとき

   a=bのとき

a=b のとき(心臓形)    作図の原理
      
 直径OA(=a) の円周上を動く点Qがある。
Oを始点とし、直線OQ上に、PQ=P’Q=b
となる点P、P’をとる。
 このときの点P、P’の描く軌跡が蝸牛線と
いわれる曲線である。
 この曲線は螺獅線の一種である。螺獅線
における定直線が、定円となった場合が、こ
の蝸牛線である。

 蝸牛線のうち、特に、曲線 r=2cosθ+1 は、角を3等分する作図に用いられる。
それでは、角を3等分する方法を考えてみよう。

蝸牛線を用いた角の3等分   左図において、△OBCに余弦
 定理を用いて、
       BC=2cosθ
 であることが分かる。

  さらに、
 BH=OH−1
   =OCcos2θ−1
   =(2cos2θ+1)cos2θ−1
   =cos4θ+cos2θ
   =2cos3θcosθ

 従って、

 cosα=2cos3θcosθ÷2cosθ
    =cos3θ
 より、
    α=3θ

 よって、∠OCB=θ となり、∠OCB が ∠ABC の3等分を与えている。

 以上、計算により示したが、あまり美しい解答とはいえない。幾何的に示すには、次のよう
にすればよい。

幾何的な証明


(追記) 令和7年10月30日付け

 次の東北大学 後期理系(2001)の問題は、蝸牛線に関する問題である。

問題   0<a<1 であるような定数 a に対して、次の方程式で表される曲線Cを考える。
  C: a2(x2+y2)=(x2+y2−x)2
(1) Cの極方程式を求めよ。
(2) Cと x 軸および y 軸との交点の座標を求め、Cの概形を描け。
(3) a=1/ とする。C上の点の x 座標の最大値と最小値および y 座標の最大値と最
  小値をそれぞれ求めよ。

(解)(1) x=rcosθ、y=rsinθ とおくと、 a22=(r2−rcosθ)2 から、

 r=0 、a2=(r−cosθ)2 すなわち、 r=0 、r=cosθ±a

 ここで、r=cosθ−a は、r=cosθ+a に、θにπ+θ、r に−r を代入して得られる。

また、0<a<1 より、 cosθ=−a となるθを定めれば、r=0 となる。

 以上から、求める極方程式は、 r=cosθ+a となる。

(2) x=0 を代入して、 a22=y4 から、y=0 、y=±a

 よって、y 軸との交点は、 (0,0)、(0,±a)

次に、y=0 を代入して、 a22=(x2−x)2=x2(x−1)2 から、 x=0 、x=1±a

 よって、x 軸との交点は、 (0,0)、(1±a,0)

以上から、Cの概形は下図。

  

(3) a=1/ とすると、 r=cosθ+1/ から、 x=(cosθ+1/)cosθ

よって、 x=cos2θ+(1/)cosθ=(cosθ+1/(2))2−1/12

−1≦cosθ≦1 なので、 cosθ=1 のとき、x は最大で、最大値 1+1/ をとる。

cosθ=−1/(2) のとき、xは最小で、最小値 −1/12 をとる。

 同様に、 y=(cosθ+1/)sinθ より、

 y’=−sin2θ+(cosθ+1/)cosθ=2cos2θ+(1/)cosθ−1

 =(1/)(2cos2θ+cosθ−

 =(1/)(2cosθ+)(cosθ−1)=0 とおくと、

 θ=5π/6、7π/6、α、2π−α (ただし、cosα=1/

 α<5π/6<7π/6<2π−α に注意して、

 y は、θ=α、7π/6 で極大で、θ=5π/6、2π−α で極小となる。

θ=α のとき、 cosα=1/ から、 sinα=/3 なので、

 極大値は、 (2/)(/3)=2/3

θ=7π/6 のとき、 cos(7π/6)=−/2 、sin(7π/6)=−1/2 なので、

 極大値は、 (−/2+1/)(−1/2)=/12

 このとき、 2/3>/12 なので、y の最大値は、2/3 となる。

同様にして、

θ=5π/6 のとき、 cos(5π/6)=−/2 、sin(5π/6)=1/2 なので、

 極小値は、 (−/2+1/)(1/2)=−/12

θ=2π−α のとき、 cosα=1/ から、 sinα=−/3 なので、

 極小値は、 (2/)(−/3)=−2/3

 このとき、 −2/3<−/12 なので、y の最小値は、−2/3 となる。  (終)


(コメント) かなりハードな計算でした。



  以下、工事中!