面積の計算
数学Uで学ぶ微分積分で面積の計算と言ったら、次のような場合が双璧だろう。
これらに対しては何れも次のような公式が知られているので、面積の計算は、ほぼ暗算
で出来るだろう。(もちろん、α 、 β の計算は暗算では出来ないです...(^^;) )
これらの定積分を一般化すれば、次の形の定積分となる。
この右辺の形は、ベータ関数
(ただし、 p>0 、q>0 )
に似ている。
そこで、次のような置換を施せば、 I( m , n ) はベータ関数を用いて表すことができる。
このとき、
において、
であるので、 B( 2 , 2 )=1/6 となり、
が得られる。同様にして、
において、 B( 3 , 2 )=2!/4!=1/12 であるので、
が得られる。
このように統一した考え方をすれば、次のような問題は瞬殺で求まるだろう。
左図のように、4次関数 y=x4−2x3−3x2+6x+3 のグラフと直線 y=2x−1 が2点 ( −1 , −3 ) 、 ( 2 , 3 ) で接している。(→参考:「連立方程式の回避」) このとき、左図の領域の面積を求めよ。 |
(解) 求める面積は、I( 3 , 3 ) なので、
I( 3 , 3 )=(−1)2・{2−(−1)}5・B( 3 , 3 )=35・2!2!/5!=81/10
である。 (終)
(コメント) こんなに簡単に求まってしまうなんて...。
(追記) 令和6年7月15日付け
面積の公式の応用ということで、次の東北大学 文系(1968)の問題をあげておこう。
問題 y=1−|x|に接し、y 軸を軸とし、上に凸な放物線のうちで、x 軸と囲む面積が最
大になるものを求めよ。
(解) 求める放物線を、 y=−ax2+b (a>0) とおく。
x>0 において、y=1−x と接するので、−ax2+b=1−x 即ち、ax2−x+1−b=0
の判別式をDとおくと、 D=1−4a(1−b)=0 より、 b=1−1/(4a)
よって、 y=−ax2+1−1/(4a)=0 を解いて、 x=±(√(4a−1))/(2a)
このとき、放物線と x 軸とで囲まれる面積をSとおくと、
S=(√(4a−1))3/(6a2) より、 S2=(4a−1)3/(36a4)
ここで、1/a=t とおくと、t>0 で、かつ、 b=1−(1/4)t において、 0<b<1 から
0<t<4 となる。このとき、
S2=(1/36)t(4−t)3=(1/36)(−t4+12t3−48t2+64t)
y=−t4+12t3−48t2+64t とおくと、
y’=−4t3+36t2−96t+64=−4(t−1)(t−4)2=0 より、 t=1、4
増減表より、y は、t=1で極大かつ最大となる。このとき、a=1 なので、
求める放物線の方程式は、 y=−x2+3/4 (終)
(コメント) S=(√(4a−1))3/(6a2) の増減を調べてもよいが、S2を求めて、1/a=t
とおくことにより、数学Uの範囲の微分・積分に帰着できるところが上手い!作問者の親心
を感じる。
(追記) 令和6年7月25日付け
次の東北大学 理系(1973)の問題も面積を求めるものである。
第4問
(1) 曲線 y2=x4(x+1) の増減、凹凸を調べ、その概形を描け。
(2) y2≦x4(x+1)、x≦0 の部分の面積を求めよ。
(解)(1) x+1≧0 より、定義域は、x≧−1
yに−yを代入しても不変なので、y≧0とし、y=x2√(x+1) を考察する。
その結果を、x 軸に関して対称移動すれば、もとの曲線の概形が得られる。
y’=(1/2)x(5x+4)/√(x+1)=0 より、 x=0、−4/5
さらに、y”=(1/4)(15x2+24x+8)/{(x+1)√(x+1)}=0 より、x≧−1 に注意して
x=(−12+2)/15
このとき、増減表にまとめて、
よって、
以上から、求める概形は、
(2) 求める部分は、上図の黄色部分で、その面積は、
で求められる。 とおくと、 x=t2−1 なので、 dx=2tdt
よって、求める面積は、
である。 (終)
(追記) 令和6年8月7日付け
次の東北大学 文系(1976)の問題は、面積計算の標準問題と言える。
第4問 2次関数 F(x)=ax2+bx+c が条件
∫03 F(x)dx=9/2 、∫02 xF(x)dx=4(2−a)/3
を満たすとき、次の問に答えよ。
(1) 点(1,F(1))における曲線 y=F(x) の接線Lの方程式を a を用いて表せ。
(2) 直線 x=1 の左側にあって、曲線 y=F(x) と接線Lおよび x 軸とで囲まれた部分の面
積Sを a の関数として表し、そのグラフをかけ。ただし、a<1/2 とする。
(解)(1) 接線Lの方程式は、 y=(2a+b)(x−1)+a+b+c=(2a+b)x−a+c
∫03 F(x)dx=9/2 より、 9a+(9/2)b+3c=9/2 すなわち、 2a+b+(2/3)c=1
∫02 xF(x)dx=4(2−a)/3 より、 (16/3)a+(8/3)b+2c=8/3
すなわち、 2a+b+(3/4)c=1
よって、 c=0 で、 2a+b=1
したがって、接線Lの方程式は、 y=x−a
(2) (1)より、 F(x)=ax2+(1−2a)x=a(x+1/(2a)−1)2−1/(4a)+1−a
F(x)は2次関数なので、a≠0 である。
0<a<1/2 のとき、 1−1/(2a)<0
このとき、
S=∫01(F(x)−x+a)dx−(1/2)a2=a∫01(x−1)2dx−(1/2)a2=−(1/2)a2+(1/3)a
a<0 のとき、
S=∫a0(x−a)dx−a∫01(x−1)2dx=(1/2)a2−(1/3)a
したがって、求めるグラフは下図である。
(終)
次の東北大学 文系(1979)の問題も面積計算である。
問題 F(x)=x4−x3+x2−x とする。
(1) 曲線 y=F(x) が x 軸と交わる点の座標を求めよ。
(2) これらの点におけるこの曲線の接線の方程式を求めよ。
(3) これらの接線とこの曲線で囲まれた部分の面積を求めよ。
(解)(1) F(x)=x(x−1)(x2+1)=0 から、 x=0、1
よって、曲線 y=F(x) が x 軸と交わる点の座標は、 (0,0)、(1,0)
(2) F’(x)=4x3−3x2+2x−1 より、
(0,0)における接線の方程式は、 y=−x
(1,0)における接線の方程式は、 y=2(x−1)=2x−2
(3) y=−x と y=2x−2 の交点は、 (2/3,−2/3) なので、
求める面積は、
1・(2/3)・(1/2)+∫01 (x4−x3+x2−x)dx
=1/3+1/5−1/4+1/3−1/2=7/60 (終)
以下、工事中!