直交する円柱
平成21年10月1日付けで当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さんが次の問題
を「腕試し」と称して当HPの掲示板「出会いの泉」に出題された。
半径が1の2つの円柱が直交する物体がある。この共通部分の体積V1はいかほど
か?
また、半径が1の3つの円柱が1ヶ所で互いに直交する物体がある。この共通部分
の体積V2はいかほどか?
この問いかけに対して、平成21年10月4日付けで、ペントミノさんが解答を寄せられた。
(ペントミノさんの解答・・・一部文言等を修正させていただきました)
[1] 2つの円柱の場合
円柱の中心軸を x、y とし、原点で直交しているものとする。このとき、平面 z=k で切
断してできる図形は正方形である。(下図は切り口の正方形の1/4の正方形)
よって、断面積は、 4(1−k2)
となる。
これを、 k=−1〜1で積分して体積が得られる。
すなわち、
[2] 3つの円柱の場合
円柱の中心軸を x、y、z とし、原点で直交しているものとする。このときでき上がる物体
は、1辺の長さがの立方体に、[1]の物体の k=1/〜1 の部分だけ切り出したもの
を立方体の各面に貼り合わせたものになるから、以下のように体積が求められる。
「どちらもπが出てこないところが面白いですね。」と、ペントミノさん。
物体のイメージがつかみにくい場合は、工作してみよう。
[1]であれば、 y=±sin x (0≦x≦π) で囲まれる図形を4枚用意し、貼り合わせる。
[2]であれば、 y=±sin x 、y=±cos x (0≦x≦π/2) で囲まれる図形を12枚用
意し、貼り合わせる。
(→ 参考:「円柱の切り口」)
このことから、表面積も容易に求められる。
[1]の物体の場合は、 S1=16 、 [2]の物体は、 S2=48−24
である。
ここで、 V1 : S1 = V2 : S2 = 1 : 3 となる点が気になったので、
1辺が2の立方体 、半径1で高さ2の円柱 、[1]の物体 、[2]の物体 、半径1の球
の体積と表面積をまとめてみた。
物 体 | 体 積 | 表 面 積 |
1辺が2の立方体 | 8 | 24 |
半径1で高さ2の円柱 | 2π | 6π |
[1]の物体 | 16/3 | 16 |
[2]の物体 | 16−8 | 48−24 |
半径1の球 | 4π/3 | 4π |
いずれも、体積 : 表面積 = 1 : 3 になりました。(偶然なのか、必然なのか・・・?)
この件で、らすかるさんから(平成21年10月4日付け):
必然だと思います。ちょっとうろ覚えですが、
「すべての面が接する内接球が存在する多面体」の表面積は、体積を内接球
の半径で微分したものになる
んだったと思います。求められた物体は、いずれも条件を満たす多面体(の極限)と考
えられ、r3 を微分して、3r2 ですから、r=1 なので、3倍になりますね。
これを受けて、ペントミノさんから(平成21年10月5日付け):
らすかるさん、解説ありがとうございます。勉強になります。私も昨日投稿してから、次
のようなことを考えていました。
表面積を微小面積に分割し、その微小面積を底面に、物体の中心を頂点とする錐を
考えると、その錐の高さはどの微小面積に対しても常に1で、物体の体積はその錐を
全表面積にわたって積分すれば求められ、 体積=(1/3)*表面積 になると!
(コメント) なるほど!ペントミノさんの考え方に「Bingo!」ですね。
私自身は、次の体積比が同じになることにも美しさを感じます... f(^^;) 。
半径1で高さ2の円柱 : 半径1の球 = 3 : 2
1辺が2の立方体 : [1]の物体 = 3 : 2