辺と角の美しい関係U                     戻る

 このページは、前作「辺と角の美しい関係」をさらに拡充させたものである。

下図の凸四角形(辺8と辺5+3のなす角は、180°より若干小さい!・・・4°くらい)の中
に、こんな美しい辺と角の関係があるとは、驚きです。

  

   ワープロソフトの作図機能を使用しているため、多少、図形はデフォルメされています。

平成18年9月24日なみうさぎ様から、図の誤りのご指摘をいただきました。らすかる様にご検証いただき、
 確かに図の誤りが確認されました。図は既に修正済み!です。小さい三角形をブロックのように積み重ねて
 二等辺三角形らしきものを作ったのですが、十分な確認をしないまま、そのままにしていました。直線だろう
 と思っていたところが実は「くの字」に曲がっていたとは...。ちょっと、うっかりしました!
  図の誤りをご指摘いただいた「なみうさぎ」様、ご検証いただいた「らすかる」様に感謝いたします。


(追記) 角が60度または120度になるような辺の組み合わせは、上記以外にも、もちろん
     たくさん存在する。

  このことについて、栃木県の君島 巌先生が詳しく調べられている。

 60度の角の場合

 60度の対辺の長さを z とし、残りの二辺の長さを x 、y とすると、余弦定理から、

      2=x2+y2−xy

が成り立つ。所要の結果を得るためには、この方程式の自然数解を求めればよい。

 そのために、 x=z−α 、y=z−β とおく。
      (君島先生も指摘されているが、上記の方程式を解くためには、このような置き方が有効らしい。
よって、
      z2=(z−α)2+(z−β)2−(z−α)(z−β)
より、
      (α+β)z=α2+β2−αβ=(α+β)2−3αβ
となる。

 後は、整数 α、βを、z が自然数(もちろん、x、y も自然数)になるよう適宜選んであげれば
よい。

 α+β=1 のとき、α=k ( k は整数 )とおくと、β=1−k で、

    z=1−3k(1−k)=3k2−3k+1 、x=3k2−4k+1 、y=3k2−2k

  この場合、たとえば、( x , y , z )=( 5 , 8 , 7 )、( 16 , 21 , 19 )、・・・

 α+β=−1 のときは、自然数解は存在しない。

 α+β=2 のとき、α=k ( k は整数 )とおくと、β=2−k で、

    z=(4−3k(2−k))/2=(3k2−6k+4)/2 、

    x=(3k2−8k+4)/2 、y=(3k2−4k)/2

  この場合、たとえば、( x , y , z )=( 10 , 16 , 14 )、・・・

 α+β=−2 のときは、自然数解は存在しない。

 α+β=3 のとき、α=k ( k は整数 )とおくと、β=3−k で、

    z=3−k(3−k)=k2−3k+3 、x=k2−4k+3 、y=k2−2k

  この場合、たとえば、( x , y , z )=( 3 , 8 , 7 )、( 8 , 15 , 13 )、・・・

この結果から、冒頭の図の誤りが発見された。図は既に修正済み!このページが初めてアップロードされた
 のは、平成13年10月29日なので、丸々3年間誤ったままであった。誠に申し訳ないです
...m(_ _)m )

 α+β=−3 のときは、自然数解は存在しない。

以下同様にして、α+β が整数の場合を考えれば、無数に解を得ることが出来る。


 120度の角の場合 ・・・ 60度の場合と同様にして求められる。

 120度の対辺の長さを z とし、残りの二辺の長さを x 、y とすると、余弦定理から、

      2=x2+y2+xy

が成り立つ。所要の結果を得るためには、この方程式の自然数解を求めればよい。

 そのために、 x=z−α 、y=β−z とおく。
      (後で、z2 の項を消去するために、y=z−β ではなく、y=β−z と置いていることに注意!)
よって、
      z2=(z−α)2+(β−z)2+(z−α)(β−z)
より、
      (α+β)z=α2+β2−αβ=(α+β)2−3αβ
となる。

 後は、整数 α、βを、z が自然数(もちろん、x、y も自然数)になるよう適宜選んであげれば
よい。

 α+β=1 のとき、α=k ( k は整数 )とおくと、β=1−k で、

    z=1−3k(1−k)=3k2−3k+1 、x=3k2−4k+1 、y=−3k2+2k

  この場合、自然数解は存在しない。

 以下同様にして、

   α+β=−1、±2、±3、±4、±5、±6、±7、±8、±9、±10、±11 のときは、

  自然数解は存在しない。( ← ここの確認作業は少し辛かったです!)

 α+β=12 のとき、α=k ( k は整数 )とおくと、β=12−k で、

    z=(144−3k(12−k))/12=(k2−12k+48)/4 、

    x=(k2−16k+48)/4 、y=(−k2+8k)/4

   ここで、 y >0 より、 k=1、2、3、4、5、6、7 であるが、 x 、 y 、z がともに自然

  数となるのは、k=2 の場合のみで、このとき、( x , y , z )=( 5 , 3 , 7 )

以下同様にして、α+β が整数の場合を考えることにより解を得ることが出来る。


(コメント) 上図からも分かるように、( x , y , z )=( 8 , 7 , 13 )も解になるが、これ

      は、α+β=25 の場合に相当する。60度の場合に比べて、120度の場合は、

      解の検出の能率が非常に悪い。もっと別な手立てはないものだろうか?


(参考文献: 君島 巌 著  2=x2+y2±xy の自然数解 (数研通信(数研出版)))


(追記) 平成18年9月25日付け

 当HPがいつもお世話になっているらすかるさんから、

  120度の場合は、60度の場合から得られる!

とのご指摘をいただきました。

 「解の検出の能率が非常に悪い」というのは、「方程式を解いても、適する解がなかなか
見つからない」という意味ですが、図で考えた方が、この場合はよいようです。

   △ABCで、A=60°、AB<AC のとき、辺AC上に
  AB=ADとなるように点Dをとると、
      ∠BDC=120°
  となる。

 このことから、60度の場合に得られた結果を用いると、120度の場合も同時に得られる
ことが分かる。逆に、120度の三角形に正三角形をくっつければ(例えば、上図の△BDC
に対して△ABDを追加)、60度の三角形が得られる。ここで、辺の長さを自然数と限定す
れば、120度の三角形は二等辺三角形にはならないので、120度の三角形から60度の
三角形は2個作られる。(BDでくっつく場合とCDでくっつく場合の2通り!)

 らすかるさんが作られた表を若干補足して、下表を得る。
                     (ただし、 x < y で、60°に対する辺が z とする。)

60° 120° 60°
( x , y , z ) ( x , y−x , z ) ( x , y , z )   ( y , y−x , z )
(1) ( 5 , 8 , 7 ) ( 5 , 3 , 7 ) ( 5 , 8 , 7 ) ( 8 , 3 , 7 )
(2) ( 8 ,15 ,13 ) ( 8 , 7 ,13 ) ( 8 ,15 ,13 ) ( 15 , 7 ,13 )
(3) ( 10 ,16 ,14 ) ( 10 , 6 ,14 ) ( 10 ,16 ,14 ) ( 16 , 6 ,14 )
   この三角形は、(1)の三角形と相似!
(4) ( 16 ,21 ,19 ) ( 16 , 5 ,19 ) ( 16 ,21 ,19 ) ( 21 , 5 ,19 )

(コメント) 120度の場合は自動的に60度の場合から生成されると知って安心しました。
      らすかるさんに感謝いたします。


(追記) 平成22年10月26日付け

 120度の対辺の長さを z とし、残りの二辺の長さを x 、y とすると、余弦定理から、

      2=x2+y2+xy

が成り立つ。この整数解が、互いに素な自然数 m、n を用いて

     x=m2−n2 、 y=2mn+n2 、 z=m2+mn+n2

と書けるということを最近知ることができた。日本大学文理学部数学科の渡辺敬一先生に
感謝します。

 アプローチの方法は、「ピタゴラス数の発見」と同様である。

(証明) 条件を満たす3つの数を求めることは、楕円 a2+b2+ab=1 上の有理点を求める

    ことに等しい。点(−1,0)を通る傾き k の直線の方程式は、b=k(a+1) と書ける。

     この直線と楕円との交点を求めると、

        a=(1−k2)/(1+k+k2) 、 b=(2k+k2)/(1+k+k2

    である。このとき、k=n/m ( m、n は互いに素な自然数)を代入して、

        x=m2−n2 、 y=2mn+n2 、 z=m2+mn+n2

    と書けることが分かる。 (証終)

 この公式を用いると、頂角の1つが120度である三角形が量産できる。

 
 
13  
16 19  
15 21 ← m=2、n=1 の場合に相似 
33 37  
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


(追記) 平成28年5月17日付け

 60°や120°をはさむ三角形の3辺の比の覚え方を最近知ることができた。

(60°をはさむ三角形) 7:5:8 名古屋 、7:8:3 悩み

        ・・・何れも、長さ「7」の対角の大きさが60°となる。

(120°をはさむ三角形) 7:5:3 七五三

        ・・・長さ「7」の対角の大きさが120°となる。


 カルピスさんからのコメントです。(令和2年11月26日付け)

 三角形において、七五三

  753+005=758(名古屋)
  753+030=783(悩み)

 初めて知った。


 moonlightさんからのコメントです。(令和2年11月28日付け)

 随分昔に描いたものをどうぞ。とはいえ、この先がうまく続きません。(5,16,19)などが上手
に入れば良いのだけど...。
  


 りらひいさんからのコメントです。(令和2年11月30日付け)

 (5,16,19)などは入りませんが、特定の系列を続けるだけならば、左下から右方向に3,5,7と
いう並びと、左下から右上60°方向に3,5,7という並びの先に、奇数を続けていけばいいだけ
ではないでしょうか?

 一辺3の正三角形を第0段、
 一辺5の正三角形と長さ5,3の平行四辺形を第1段、
 一辺7の正三角形と長さ7,8の平行四辺形を第2段、
  …

とする。

 第k段の正三角形の一辺の長さは 2k+3 。

 第k段の平行四辺形の一つの辺の長さは 2k+3 、もう一つの辺の長さは k(k+2) 。

 第k段の平行四辺形の長いほうの対角線の長さは k^2+3k+3 。

 そういう意味ではなかったのならすみません。

 ところで、「辺と角の美しい関係U」に関して次のようなことを思いました。

 z^2=x^2+y^2+xy の自然数解を求めるときに、z=x+y-t とおけば、(x-2t)(y-2t)=3t^2 とな
るので、3t^2を二つの自然数の積で表す方法のそれぞれに対して、対応するx,y,zの組が求
まる。


 らすかるさんからのコメントです。(令和2年11月30日付け)

 (5,16,19)、(7,33,37)、(9,56,61)、(11,85,91)などは、それ自体は入りませんが、

 第6段が(5,16,19)の3倍
 第9段が(7,33,37)の3倍
 第12段が(9,56,61)の3倍
 第15段が(11,85,91)の3倍

のようになって、相似形はかなりカバーされていますね。
(それでも(16,39,49)や(24,95,109)などはカバーされませんが)

 互いに素かその3倍のどちらかなので、

 第1段は、(5ft,3ft,7ft)
 第2段は、(7ft,8ft,13ft)
 第3段は、(3yd,5yd,7yd)
 第4段は、(11ft,24ft,31ft)
 第5段は、(13ft,35ft,43ft)
 第6段は、(5yd,16yd,19yd)
 第7段は、(17ft,63ft,73ft)
  ・・・

のように、ft(フィート)とyd(ヤード)の単位を付ければ結構綺麗な図が作れると思います。


 moonlightさんからのコメントです。(令和2年11月30日付け)

 某所で話題になってるので、もう少し。少しイレギュラーに見える線を描き込むと、ほぼ網
羅されているようです。あと、アイゼンシュタインという名前が出てきました。アイゼンシュタ
イン整数とかの人なのか関係あるのか...。

   


(追加) HN「一読者」さんから情報をいただきました。(令和3年1月1日付け)

 上記の話題に関連する記事を見つけました。

  木村嘉宏 著 「表計算ソフトで遊ぶ」(数研通信97号 2020年5月)


(追記) 令和4年2月11日付け

 moonlightさんからいただいた三角形を再度簡略化して描いてみました。



 問題作成に何かと使えそうな...予感。


(追記) 令和4年9月28日付け

 名古屋(7:5:8)、悩み(7:8:3)、七五三(7:5:3)の三角形を組み合わせると、次のよ
うな三角形を構成することができる。問題作成に活用できるかな?

     



  以下、工事中!