15°の正接
当HPがいつもお世話になっているHN「よおすけ」さんからの出題です。
(平成27年1月1日付け)
三角形 BC=1+、CA=2、∠C=60°を解くことにより、tan15°の値を求めなさい。
(答) 15°の三角比の計算というと、どうしても次の図が目に浮かぶ。
ただ、この図を用いると、どうしても2重根号の計算が避けられない。2重根号の計算を回
避する方法も知られている。(→ 参考:「2重根号」)
よおすけさんから与えられた三角形は、2重根号の計算を回避する第3の方法になります
ね!よおすけさんに感謝します。
左図より、
tan15°=(−)/(+)
=2−
当HPがいつもお世話になっているHN「S(H)」さんより、別解を頂きました。
(平成27年1月4日付け)
単位円周上の2点A(1,0)とB(/2,1/2)を結ぶ線分の中点M((2+)/4,1/4)
と原点を通る直線の方程式は、 y=(2−)x である。このとき、直線 x=1 との交点は、
(1,2−)なので、 tan15°=2−
(コメント) S(H)さん、ありがとうございます。S(H)さんの別解を見てて次のような求め方
があることに気づきました。
a= 、c=2 、∠B=30°、∠C=90°の直角三角形ABCにおいて、∠Bの2等分
線が辺CAと交わる点をDとおく。このとき、角の2等分線の性質から、Dは、辺CAを、
:2に内分する点である。よって、 CD=/(2+)=(2−)
よって、 tan15°=CD/BC=2−
DD++さんからのコメントです。(平成27年1月4日付け)
線分 AB を直径とする半径 の半円周上に、∠CAB=60°, ∠DAB=15° となるように
2点 C、D を取り、線分 CB と線分 AD との交点を E とする。
線分 AB、BD、DA の長さを求めることにより 15° の三角比を求めよ。
※半径 なのは分数計算が出ないようにするだけの目的。半径 1/2 でやると BD と DA
に直接 sin15° と cos15° が出てきます。
(コメント) 円の中心をOとすると、∠AOD=30°なので、余弦定理より、
AD2=2+2−4・/2=4−2 なので、 AD=−1
また、BD2=(2)2−(−1)2=8−4+2=4+2 なので、BD=+1
よって、 sin15°=(−1)/(2)=(−)/4
cos15°=(+1)/(2)=(+)/4
tan15°=(−1)/(+1)=2−
DD++さんからのコメントです。(平成27年1月6日付け)
上記の(コメント)にある解法は、私の意図した手順ではありませんでした。二重根号が出
てくるので、この図の価値がなくなってしまいます。もうちょっと誘導をつけるべきでしたね。
まず、AB は直径なので、 AB=2
△ACB は直角三角形で、 AC= 、CB=
△ACE は直角二等辺三角形なので、 CE= 、AE=2
よって、 EB=CB−CE=−
△DEB も直角二等辺三角形なので、 DE=DB=−1
よって、 AD=AE+DE=+1
したがって、sin15°=(−1)/(2)=(−)/4
cos15°=(+1)/(2)=(+)/4
tan15°=(−1)/(+1)=2−
(コメント) DD++さんの問題条件とは全く真逆な図で計算していました。2重根号の計算が
出てくるので変だとは思いました...。今再計算してみると、なかなか味のある
図になっていますね!
よおすけさんからのコメントです。(平成27年1月5日付け)
解答を見て、こんなに簡単にできるとは思いませんでした。僕は、以下でやっていたので・・・。
正接定理 {(BC-CA)/(BC+CA)}={tan((A-B)/2)}/{tan((A+B)/2)}・・・(1)
を使います。証明については、正弦定理から導けますので、ここではやりません。
(補足) 正弦定理から、
(a−b)/(a+b)=(sinA−sinB)/(sinA+sinB)
=cos{(A+B)/2}sin{(A−B)/2}/sin{(A+B)/2}cos{(A−B)/2}
=tan{(A−B)/2)}/tan{(A+B)/2)} (終)
右辺より、A+B=180°-C=120°から、tan((A+B)/2)=
左辺より、{(BC-CA)/(BC+CA)}={(+1-2)/(+1+2)}=(-3+2)/3
(1)より、
{tan((A-B)/2)}=tan((A+B)/2)×{(BC-CA)/(BC+CA)}=×(-3+2)/3=2-・・・(2)
2-≒0.2679 なので、三角関数の表より、{(A-B)/2}≒15°
(2)より、 tan15°=2-
(コメント) 何となく計算が遠回りしているような雰囲気かな?
よおすけさんからのコメントです。(平成27年1月6日付け)
元々、正接定理(ネイピアの法則)の応用として出したのが本問題です。Wikipediaの「正接
定理」-「応用」を見て、つくりたい!と思い、出しました。正接定理のことをもっと知って欲し
かった、というのもありましたが、問題自体がtan15°の値に辿り着くまでの解法というイメ
ージが強すぎて、目立たなくなってしまったことに戸惑っています。正接定理は、また別の形
で投稿したいと思っています。
らすかるさんからのコメントです。(平成27年1月5日付け)
一辺が2の正方形ABCDの内部に正三角形EBCを作り、ADの中点をMとすると
AM=1、ME=2- だから、tan15°=ME/AM=2-
(コメント) らすかるさんの解がとてもエレガントですね!今日偶然にも、折り紙を折って15°
を作るという問題を考えていて、らすかるさんのアイデアを復習したばかりです!
円に内接する四角形の性質から、∠MAE=15°は明らかですね。
よおすけさんから解答をいただきました。(平成28年7月19日付け)
余弦定理より、 AB2=(1+)2+22-2・(1+)・2cos60°=6 AB>0より、AB= また、22=2+(1+)2-2・(1+)cosB |
より、 cosB=1/ から、 ∠B=45°で、∠A=75°
このままでは直接tan15°を導けないので、点Aから辺BC上へAD=DC=2となるような点Dを
取ると、△ADCは1辺が2の正三角形となり、 BD=1+-2=-1+
また、△ABDについて、∠BAD=∠BAC-∠DAC=15゜ だから、余弦定理より、
cos15°=(+)/4
三角比の相互関係より、 tan215°=-1+1/cos215°=(2-)2
以上から、tan15°=2-
# 冒頭の解法との違いは、△ABDで点Dから辺ABへ垂線を引かず、そのまま使ったところ
です。