平方和の冪乗                              戻る

 当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さんからの出題です。
                                      (平成25年12月15日付け)

 n=x2+y2 に対して、

  n2=(x2-y2)2+(2xy)2

  n3=(x(x2-3y2))2+(y(3x2-y2))2

  n4=(x4-6x22+y4)2+(4xy(x2-y2))2

という関係式を利用すれば、次々と平方数の和でnの冪乗が構成できることになる。

 そこで、現在、n4までしかないものを、もっと拡張させて、n5、n6、n7、・・・ なるものを作っ
てほしい。




























(答) らすかるさんが考察されました。(平成25年12月15日付け)

 適当にあてずっぽうで作りました。

  n5 = (x(x4-2x22-3y4))2 + (y(y4-2y22-3x4))2

  n6 = (x6-5x42-5x24+y6)2 + (4xy(x4-y4))2

  n7 = (x(x6-x42-5x24-3y6))2 + (y(y6-y42-5y24-3x6))2

 これ以上はきりがないのでやめようと思ったのですが、式を因数分解したら、当たり前の
法則性がありました。

 n2m = ((x2+2xy-y2)(x2-2xy-y2)(x2+y2)m-2)2 + (4xy(x+y)(x-y)(x2+y2)m-2)2

 n2m+1 = (x(x2-3y2)(x2+y2)m-1)2 + (y(y2-3x2)(x2+y2)m-1)2

 つまり、左辺にn2を掛けたら、右辺の A2+B2 のA、Bにも x2+y2 を掛ければ成り立つとい
うことです。(当たり前ですね!)

 偶数の方は、n4 の式から作ると上のようになりますが、n2 の式から作ると、

 n2m = ((x+y)(x-y)(x2+y2)m-1)2 + (2xy(x2+y2)m-1)2

となります。n4 の式は、

 n4 = ((x2-y2)(x2+y2))2+(2xy(x2+y2))2= (x4-y4)2+(2xy(x2+y2))2

とも書けるということですね。


(コメント) n=x2+y2 に対して、n2=(x2-y2)2+(2xy)2 、n3=(x(x2-3y2))2+(y(3x2-y2))2 から、
      機械的に順次、n4、n5、n6、n7、・・・ なるものが作れるという訳ですね!


 当HPがいつもお世話になっているHN「数々の和」さんからのコメントです。
                                      (平成25年12月17日付け)

 この問題は、単に高校2年で出てくる恒等式を帰納的に利用するだけだと思います...。

(1) 高校2年で出てくる恒等式 : (a2+b2)(c2+d2)=(ac+bd)2+(ad−bc)2 によって、

 n=x2+y2 のとき、

  n2=(x2+y2)(y2+x2)=(xy+yx)2+(x2−y2)2=(x2-y2)2+(2xy)2

 nk=Xk2+Yk2 (k≧2) が成り立つとする。

 nk+1=(x2+y2)(Xk2+Yk2)=(xXk+yYk)2+(xYk−yXk)2 だから、

  Xk+1=xXk+yYk 、Yk+1=xYk−yXk

とすればよい。ただし、 X2=x2−y2 、Y2=2xy


(コメント) 数々の和さんの示された手順で、求め方が明確になりましたね!数々の和さん
      に感謝します。


 数々の和さんから追加のコメントです。(平成25年12月19日付け)

(2) ただ単に、nkを二つの平方数の和で表せということだったら、上記のようなことをせず
  に、次の式が最も簡単です。

 kが奇数のとき、k=2m+1 とおくと、 nk={x・nm}2+{y・nxm}2

 kが偶数のとき、k=2m+2 とおくと、 nk={(x2−y2)・nm}2+{2xy・nm}2

 2つの平方数に分けたとき、両者が互いに素であるものを作るには(1)では不完全です。
次に示すやり方が簡単です。

(3) 複素数を使えばよい。

 n=x2+y2=(x+yi)(x−yi) だから、 nk=(x+yi) k*(x−yi) k

 それぞれのk乗を先に計算(二項定理)したのち、両者を掛ければ目的の式が得られる。


 空舟さんからのコメントです。(平成25年12月20日付け)

 まだ指摘されていないようなので...。

 (x+i・y)k の実部をA、虚部をBとすれば、A2+B2=(x2+y2)k が成り立ちます。


(コメント) A2+B2=(A+Bi)(A−Bi)=(x+i・y)k(x−i・y)k=(x2+y2)k
      数々の和さんの(3)と同様に、最後は、計算(二項定理)が必要ですね!


 空舟さんからのコメントです。(平成25年12月20日付け)

 本質的にはたぶん同じことでしょうが、複素数の絶対値の性質で説明された方がピンとく
るんではないでしょうか?「(複素数のn乗)の絶対値=(複素数の絶対値)のn乗」という性質
は説明なしで良いと思いますが、その複素数として x+iy を考えるということです。


(コメント) 確かに、A2+B2=(A+Bi)(A−Bi)=(x+i・y)k(x−i・y)k=(x2+y2)k は、
      A2+B2=(x+i・y)k の絶対値の平方
           =(x+i・y の絶対値の平方)のk乗=(x2+y2)k  とも考えられますね!


 GAI さんからのコメントです。(平成25年12月18日付け)

 自然数nが2つの平方和で表せる(n=x2+y2 (x、y:自然数))ためのnの条件は何でしょう?


 らすかるさんからのコメントです。(平成25年12月18日付け)

 Webサイト:二個の平方数の和にあります。


(コメント) 当HPの「2次体の整数論」−「整数論の基礎知識」も参考になるでしょうか?

 定理(フェルマー・オイラーの素数定理)

  有理素数 p が、4で割って1余る数のとき、方程式 x2+y2 = p は、有理整数
 解を必ず持つ。



 GAI さんからのコメントです。(平成25年12月18日付け)

 らすかるさん、情報ありがとうございます。これだと、nを素因数分解したときの素数pが、
4k+1型と4k+3型に分類され、4k+3型の指数が偶数であるときでほとんどのものは発
見できるのですが、素数2についての情報がないので、例えば、

  9=3^2、36=2^2*3^2、144=2^4*3^2 では不可能(4、16、64でも不可能)
 18=2*3^2、72=2^3*3^2、162=2*3^4、180=2^2*3^2*5 では可能(8、32、128でも可能)

になることをどのように判定できるのでしょうか。


 らすかるさんからのコメントです。(平成25年12月18日付け)

 4k+3型の素因数の指数が偶数ならば、「高々二個」の平方数の和で表されます。これは、
9=0^2+3^2 のようなものも含むから「高々二個」なわけですよね。

 18、72、162、180は、その数自身が平方数ではないので、「0^2+○^2」という形にはならず、
「高々二個」の平方数の和で表されることから、「ちょうど二個」の平方数の和で表されます。

 9、36、144はその数自身が平方数なので、「0^2+○^2」という形しかないかも知れませんが、
それは、二個の平方数の和の下の方に書いてある「ヤコビの二平方定理」で判定できま
す。

 9の奇約数は、1、3、9なので、 (-1)^((1-1)/2)+(-1)^((3-1)/2)+(-1)^((9-1)/2)=1

つまり、符号と入れ替えを無視して、1通りしかないので、9=0^2+3^2しかありません。

(「ヤコビの二平方定理」ではその4倍ですが、9=(±3)^2+0^2=0^2+(±3)^2の4通りです。)

 同様に、36や144の奇約数も1、3、9ですから同じです。そしてこの式をもう少し調べると、
結局、2の偶数乗と4n+3型の素数の偶数乗の積で表される数は、「0^2+○^2」の形でしか表
せず、自然数二個の平方和では表せないことになります。

 従って、ちょうど二個の自然数の和で表せる数は、

「4n+3型の素因数の指数が偶数」かつ(「2の指数が奇数」または「4n+1型の素因数を含む」)

 言い換えれば、(4k+1型以外の素因数)^2で割れるだけ割った結果が、

  「4k+3型の素因数を含まない2以上の数」となる数

となりますね。