面積計算27                                  戻る

 下図のような四角形ABCDの面積の最大値を求めよ。

  

































(答) 多分 30 かな?


 DD++ さんからのコメントです。(令和6年1月9日付け)

 高校数学範囲で、以下より速い解法(特に、式をこねくり回さない初等幾何的解法)はある
んでしょうか?

 凸四角形のみ考えればいいことは明らかです。

 ∠D の大きさを変数 θ とおきます。凸四角形のみ考えているので、0 < θ < π です。
∠B の大きさを変数 φ とおきます。こちらは辺の長さの都合で、「0 < φ < π よりは狭い
ある範囲」を動きます。

 余弦定理で AC^2 を 2 通りに表すことにより、

 3^2 + 5^2 - 2*3*5*cosθ = 10^2 + 12^2 - 2*10*12*cosφ

すなわち、 34 - 30cosθ = 244 - 240cosφ より、 cosθ + 7 = 8cosφ …… (A)

 「0 < φ < π よりは狭いある範囲」では、cosφ は狭義単調減少関数なので、θ を決め
れば φ が 1 つに決まる、つまり、φ は θ の関数とみなすことができます。

 (A) 式を θ で微分すると、 -sinθ = -8sinφ*(dφ/dθ) つまり、

 dφ/dθ = (1/8)*(sinθ/sinφ) と導関数が得られます。

 また、sinθ > 0、sinφ > 0 であることから、φ は θ の単調増加関数であることがわかり
ます。

 四角形の面積 S を考えます。

 S = (1/2)*3*5*sinθ + (1/2)*10*12*sinφ= (15/2)sinθ + 60sinφ なので、

dS/dθ = (15/2)cosθ + 60cosφ*(dφ/dθ)= (15/2)cosθ + (15/2)cosφ*(sinθ/sinφ)

 = (15/2)*sin(θ+φ)/sinφ

sinφ > 0 であることから、

 θ+φ ≦ π となる範囲では S は単調増加、θ+φ ≧ π となる範囲では S は単調減少

です。これと φ が θ の単調増加関数であることを合わせて考えると、θ+φ = π となると

きが、S が最大になるときです。

 そのとき、(A) 式から、cosθ = -7/9、cosφ = 56/9 より、sinθ = sinφ = 4/9 なので

 S = (15/2)*(4/9) + 60*(4/9) = 30


(コメント) DD++ さん、証明をありがとうございます。

 四角形ABCDの面積が最大になるのは、4点A、B、C、D が同一円周上にある場合とい
うことを、次の図で考えました。DD++ さんは、このことを、「θ+φ = π」と計算で示されてい
ますね!

  

 3点A、B、C を通る円はただ一つ定まるが、∠ABCの大きさが小さすぎると第4の頂点
がD’のように円外に出てしまうので、∠ABCの大きさを増やして面積を増やすことを考える。

 しかし、∠ABCの大きさを増やしすぎて、∠ABCの大きさが大きくなりすぎると第4の頂点
がD”のように円の内部に入ってしまう。

 第4の頂点Dが、3点A、B、C を通る円周上にあるように、∠ABCの大きさを定め
れば、ちょうどそのとき、四角形ABCDの面積が最大となる。

 このとき、余弦定理より、 32+52−30cos∠ADC=122+102+240cos∠ADC

よって、 cos∠ADC=−7/9 より、sin∠ADC=4/9 なので、

 四角形ABCDの面積=(1/2)・3・5・4/9+(1/2)・12・10・4/9=30


 らすかるさんからのコメントです。(令和6年1月10日付け)

  初等幾何的でもないし速くもないですが、とりあえず三角関数を使わない解法です。

 BD^2=x とおくと、

 3辺の長さの2乗がp、q、r である三角形の面積は、

 (1/4)√{2(pq+qr+rp)-(p^2+q^2+r^2)}


というヘロンの公式の亜種により、

4△ABD=√{2(1296+153x)-(81+20736+x^2)}=√{(x-81)(225-x)}

4△BCD=√{2(2500+125x)-(625+10000+x^2)}=√{(x-25)(225-x)}

より、 4S=4(△ABD+△BCD)=√{(x-81)(225-x)}+√{(x-25)(225-x)}

{4S}'=(306-2x)/{2√{(x-81)(225-x)}}+(250-2x)/{2√{(x-25)(225-x)}}

 ={(306-2x)√(x-25)+(250-2x)√(x-81)}/{2√{(x-25)(x-81)(225-x)}}

 ={(153-x)√(x-25)+(125-x)√(x-81)}/√{(x-25)(x-81)(225-x)}

ここで、(153-x)√(x-25)+(125-x)√(x-81)=0 とすると、

(153-x)√(x-25)=-(125-x)√(x-81) の両辺を平方して、(x-25)(153-x)^2=(x-81)(x-125)^2

すなわち、(x-25)(x^2-306x+23409)=(x-81)(x^2-250x+15625) より、

 x^3-331x^2+31059x-585225=x^3-331x^2+35875x-1265625

 よって、4816x=680400 より、43x=6075

よって、面積の最大値は、

S=(1/4){√{(x-81)(225-x)}+√{(x-25)(225-x)}} = (√(225-x)/4){√(x-81)+√(x-25)}

 ={√(225*43-43x)/(4*43)}{√(43x-43*81)+√(43x-43*25)}

 ={√(9675-6075)/(4*43)}{√(6075-3483)+√(6075-1075)}

 ={√3600/(4*43)}{√2592+√5000}

 ={60/(4*43)}(√2){√1296+√2500}

 ={30/(2*43)}(√2)(36+50)

 =(30/86)(√2)*86

 =30√2


 GAI さんからのコメントです。(令和6年1月10日付け)

 DD++ さんの計算結果から、四角形ABCDは円に内接することから、

A(-6,0)、B(6,0) と x 軸上にとり、中点を原点とし、y 軸上の正の方向にCをとると、

 C(-16/9,40/9*sqrt(2))

これより、4点を通る円の方程式が、 x^2+(y-3/8*sqrt(2))^2=(3/4*sqrt(129/2))^2
となりました。


 Dengan kesaktian Indukmu さんからのコメントです。(令和6年1月10日付け)

 ブレートシュナイダーの公式で示される四辺形の面積をぐっと睨むと、面積が最大になるの
は、公式中の cos() に引き渡される変数の値が π/2 になるときとわかります。

 この場合に四辺形は円に内接します。この四辺形の面積はブラーマグプタの公式で求め
られます。

...ということに?


 DD++ さんからのコメントです。(令和6年1月10日付け)

 ブレートシュナイダーの公式そのものは高校範囲ではなく、じゃあ高校範囲の知識でブレー
トシュナイダーの公式の証明を書くかというと、多分私の解法より長くなりそうな気がします。

 あと、ブラーマグプタは何のために持ち出されているんでしょう?持ち出すことに何の意味
もないような?


 Dengan kesaktian Indukmu さんからのコメントです。(令和6年1月11日付け)

 DD++さん、まさしくおっしゃる通りですね。高校数学のシバリを失念しておりました。

 なお、ブラーマグプタについては、GAIさんが「ABCDは円に内接する」と書いておいででして
そのことが私の頭に反響しておりました。ならばブラーマグプタで面積が出ると。ならばブラー
マグプタでは処理できないときのブレートシュナイダーの公式から、【最大】が得られてもよい
だろうとの逆算の発想です。舞台裏はこんなところなのでした。



  以下、工事中!