質問に対する回答(2)                  戻る

 平成15年5月27日 当HPの掲示板「出会いの泉」に、「momonga」さんという方から、次
のような書き込みがあった。

 はじめまして。平均について教えてください。仕事上、値引率とかのデータを収集して
いるのですが・・平均値引率は相乗平均で求めろと上司に言われましたが、私は速度
と同様に調和平均で求めた方がよいと思うのですが・・・間違ってるんでしょうか?
どなたかアドバイスお願いします...m(__)m。


 この質問に答える前に、いくつか準備をしておく。

 相加平均、相乗平均、調和平均については、当HPの別のページで、既に紹介している。
ここでは、それらの違いを、具体例を通して、確認してみよう。

相加平均の場合

 新入生テストで、5点だったA君は、中間テストで10点、期末テストで80点をとった。A君
の成績で、中間テストと期末テストの平均はいくらか?

 この場合、10点 と 80点 を「ならして」、(10+80)/2=45点 と答えるのが自然であろ
う。

 一般に、2つの数 a 、b に対して、b=a+2d と認識する場合、相加平均を使う。このと
き、相加平均 c は、c=a+d で、3つの数 a、c、b は、等差数列をなす。

相乗平均の場合

 新入生テストで、5点だったA君は、中間テストで10点、期末テストで80点をとった。A君
の成績は、平均して何倍に伸びているか?

 この場合、5点→10点で、2倍、10点→80点で、8倍に伸びているので、平均の伸び率
を X とおけば、X2=2・8=16 すなわち、X=4 と答えるのが自然だろう。

 一般に、2つの数 a 、b に対して、b=a・r2 と認識する場合、相乗平均を使う。このとき、
相乗平均 c は、c=ar で、3つの数 a、c、b は、等比数列をなす。

 このように、相加平均は、得点をならすという意味合いで用いられ、相乗平均は、得点の
伸び具合をならすという意味合いで用いられる。

 球形に膨らむ風船を観察したところ、最初の1分間は2倍に増え、さらに次の1分間には
8倍に増えたとき、全体では最初に比べて、2×8=16倍に増えている。

 これを、16=4×4 という見方をするのが相乗平均である。膨らみ具合をならして、最初
の1分間に4倍、次の1分間に4倍と増え、トータルで16倍に増えるという考え方はごく自然
なものだろう。

調和平均の場合

 同じ仕事を、6時間でこなす人と 3時間でこなす人がいる。2人の仕事の能力は、平均して
いくらか?

 この場合、1/6+1/3=1/n+1/n を満たす n を求めて、4時間で仕事をこなすと考え
るのが自然だろう。

 一般に、2つの数 a 、b に対して、一定数を a、bで除したものをならす場合、調和平均
を使う。

 このように、相加平均、相乗平均、調和平均の使い方の違いを見るとき、質問に対する回
答は、次のようになると思う。

 平均値引率というものを、個々の値引率の平均と考えれば、相加平均だろう。

 平均値引率というものを、1つの商品に対して、値引きして、さらに、値引きする場合は、
相乗平均を考えるのだろう。

 調和平均を使う可能性はないだろう。

 平均値引率というものが、どういうものか不明なので、これ以上の考察はできない。

上記の回答が、「momonga」さんの趣旨に合っているかどうか不安であるが、当HPの一応
の回答としたい。