質問に対する回答(18)                    戻る

 当HPの掲示板「出会いの泉」に、当HP読者のHN「中年A」さんより、質問の書き込みが
あった。(平成24年3月8日付け)

 図形かつ三角関数的な問題です。

    左図において、

   ∠EBDの大きさを求めよ。

 この問題は、もう10年以上前に知人から尋ねられた問題です。図示すれば角度の予測が
ついて、そこから,「天下り的」というか、逆方向をたどると、その予測角度の正しさは説明が
ついたのですが...。私の中で、まだストレートな解法を見いだせていないのです。



 空舟さんからのコメントです。(平成24年3月8日付け)

 20°ですか...こういうタイプは、

 図示すれば角度の予測がついて、そこから,「天下り的」というか、逆方向をたどると、その
予測角度の正しさは説明がついたのですが...。


 こんな風に解くしかないと私は認識しています。補助線を上手く引いて、初等幾何的に求め
られる方法はあるかもしれません。それは、私はまだ見つけていません。なぜなら、一般には
角度が有理数°になる保証がないからです。たぶん...。せっかくなので「発想はみんなちがう
がみんないい。」という精神に則って1つの発想を示しておきます。

 最近考察している多項式を使って、DE=であることを示します。(というより確かめます。

 f(x)=x3-3x-1=0 の解の1つが、2cos20°になります。(→ 参考:「角の3等分方程式」)

その解を、αとおきます。(このf(x)は、y18-1の因数の1つ(y6-y3+1)において、x=y+1/y とおくと得ます)

 AB=4cos20°=2α 、DE=(2α+1)tan20°ただし、tan20°=√((4-α2)/α2) です。

 このとき、 DE2=(2α+1)2(4-α2)/α2 で、これから3を引いてコンピュータに因数分解

させると、 DE2-3=-4(α+1)(α3-3α-1)/α2=0

 このf(x)は、私の投稿のk=18、m=2の場合の代表的な場合です。この場合、f(x)の素因数
は、3か18N±1型素数のみで、逆に、

 18N±1型素数の積であるpに対して、f(x)がpで割り切れる x が存在する。

が成り立つと思います。

 上記の問題の幾何的な解答です。

 ACの中点をPとする。直線DEに関してBと対称な点B’をとる。PとB、B’を結ぶ。このとき、

  AP=CP=PB=BB’=2

である。よって、二等辺三角形PABの底角は20°なので、二等辺三角形BPB’の底角は10°

 よって、∠B’PE=40°-10°=30°

 直線AEに関してB’と対称な点B”をとると、△PB’B”は、頂角60°の二等辺三角形になる

から正三角形となり、三辺相等で、 △PBB”≡△B’BB” である。

  左図において、△BB’B” に注目する。

  △PBB”≡△B’BB” より

   ∠BB”B’=60°/2=30°

   ∠B’BB”=∠PBB’/2=80°

  また、∠BB’B”=∠BB’P+60°=70°

 一方、B’の定義より、BE=B’E で、B”の定義より、B’E=B”E

 ここで、∠EBB’=∠EB’B=x°、∠EBB”=∠EB”B=y°、∠EB”B’=∠EB’B”=z°と

おくと、 x+y=80 、y+z=30 、z+x=70 であるから、 x=60、y=20、z=10

 よって、∠EBD=∠EBB’=x°=60°を得ました。


(コメント) 空舟さんの幾何的な解答に感動しました!ACの中点Pをとって、正三角形
      PB’B”を考える発想が素晴らしいです...。


 S(H)さんからのコメントです。(平成24年3月9日付け)

 Aを座標軸の原点とし、AB方向を、x 軸とする。∠EBD=β、DE=Y とすると、

 (4cos(π/9) + 1,Y) を、直線 y = x・tan(π/9) に代入して、

   Y = (4cos(π/9) + 1)・tan(π/9) = 4sin(π/9) + tan(π/9)

 また、 Y = tanβ である。計算により、 Y =  となる。よって、 β=60°


(コメント) Y =  であることは、手計算で追認出来ませんでした!

 S(H)さんによれば、「(1 + 4*cos(Pi/9))*tan(Pi/9)」と「Pi=3.14」を、「フリー計算」に代入す
ると求まるそうです。


(追記) 上記話題について、当HP読者のHN「Melty」さんが考察されました。
 (平成25年1月9日付け)

 約1年前のS(H)さんの解答を見て、何とか手計算で解が導けるのではないかと思いました
が、うまくいきませんでした。以下、当方の導いた結果です。

準備  3倍角の公式 sin 3θ = 3sinθ - 4sin3 θ において、θ= 20°とおくと

 sin 60°= 3sin 20°- 4sin3 20°より、 8sin3 20°= 6sin 20°- を得る。

 証明(?)

 4sin 20°+tan 20°= k とおくと、tan 20°= k - 4sin 20°であり、tan 60°= より、

= tan 60°= tan(3*20°) = (3tan 20°-tan3 20°)/(1-3tan2 20°)
= {3(k-4sin 20°) - (k - 4sin 20°)3}/{1-3(k-4sin20°)2}
={(3k-k3)-12(1-k2)sin20°-48ksin220°+64sin320°}/{(1-3k2)+24ksin20°-48sin220°}
={(3k-k3)-12(1-k2)sin20°-48ksin220°+8(6sin20°-√3)}/{(1-3k2)+24ksin20°-48sin220°}
={(-k3+3k-8√3)+12(k2+3)sin20°-48ksin220°}/(1-3k2+24ksin20°-48sin220°)

 であり、分母を払って、

{(1-3k2)+24ksin20°-48sin220°}=(−k3+3k-8√3)+12(k2+3)sin20°-48ksin220°
⇔ (k3-3k2-3k+9)-12(k2-2k+3)sin20°+48(k-)sin220°=0
⇔ (k-){(k2-2k-9)-12(k-)sin20°+48sin220°}=0
⇔ k=-6sin20°±√{24-12(sin20°+1)2}

となる。これでは、k の値が3つ出てきてしまいます。当方の結果のどこに不備があるか、
教えていただけませんか?


 空舟さんからのコメントです。(平成25年1月9日付け)

 理屈だけ説明すると、次のような理屈かと思います。

 =...=(3tan20°-tan320°)/(1-3tan220°)
 ={3(k-4sin20°)-(k-4sin20°)3}/{1-3(k-4sin20°)}

という風に方程式を立てていますが、一般に、

 tan20°=k-4sin20°ならば f(tan20°)=f(k-4sin20°)

は成り立ちますが、

 f(tan20°)=f(k-4sin20°) ならば tan20°=k-4sin20°

であるとは限りません。すなわち他の解が出る可能性が有ります。今回の場合

 f(x)=(3x-x3)/(1-3x2)

です。ソフトでグラフを書くと、確かに、y=f(x) は単射ではありません。


※残りの2つの解は k=4sin20°+tan(20°±60°) に相当するんじゃないかと思います。


 Melty さんからのコメントです。(平成25年1月9日付け)

 空舟さん、ありがとうございます。単射ではなかった為に、逆が成立しなかったのですね。
これを踏まえて、もう一度考え直したいと思います。


 中年Aさんからのコメントです。(平成24年3月9日付け)

 空舟さん、S(H)さん、御教示に感謝です。ありがとうございます。S(H)さんの解法は、小生
には理解できない「記号」などがありまして、これはネットなどで調べつつ学習します。π/9
の正接とは何か、からスタートする小生なのです。大学初等レベル、電子環境での数学、と
いうものに全く疎い小生です。高校レベルも十分ではありませんが。

 空舟さんの投稿は,共に理解できました。三角関数の三倍角の式を用いた方法。これに
たどり着きたかったのが一つ。20度の余弦を2倍する。ここに気づきませんでした。
(まだ十分には理解できてないと思いつつ)

 初等幾何的方法。「B’のAEに関する対称点」。これは全くトライしませんでした。「うーん」
です。BE=2の予想から、ACの中点PやBD=B’Dの点Dなどはトライしたのですが、そこ
から先は、私は、直線ABに関して全体の対称な図形を下に描くという方向ばかりを企てま
した。それこそ、いく通りの図を描いたか...。「角の二等分線の比」「メネラウス」「チェバ」
など、現状では徒労に終わっていることばかりです。空舟さんの解法、嬉しき限りです。

 一体、この問題のネタ、大元は何か。これも考えたいと。40度、70度、70度の二等辺三
角形から作れるのだろうと今は思っているのですが。

 改めて、皆さん、有難うございます。


 S(H)さんからのコメントです。(平成24年3月10日付け)

 上記の問題を「角A問題」と命名します。

 角A問題 <--- EQ ---> ED問題 <--- EQ ---> 角EBD です。
 20度 <-------------->    <-----------> 想定の範囲内過ぎの60度

 角Aが 36度のとき、多様な発想で解き愉しみなさいと飯高先生。

(1) 分度器を文房具店でかってもらった、アバウトであったあの頃へ:

   36度 <---> メジャ-で:_____ <---> 分度器で:____度

(2) ED=√(5 + 2) と導出過程を隠匿し云った學生が存在した。近似値を「フリー計算
  で求め、図を描き、分度器で角EADを計測すると、約=__________。それを弧度法で表し、約
  _____π(ラジアン)

 隠匿した學生の発想で、ED=√(5 + 2)を導出して下さい。他の多様な発想で、
 ED=√(5 + 2)を導出して、「みんなちがって、みんないい」の賛同者を国外にも増やし
 てください。

  二重根号がお気に入りな先生がいたなぁと思い出して、√(5 + 2)の根号が外せるか
否かを考察し、ついでに代数學の講義で出された演習問題 9-3、4、5 をも解いて愉しんで
ください。

 √(5 + 2)にかえり、そのQ上の最小多項式(は有理係数多項式上既約多項式である)
f[X] を求め、(→ 参考

  Q[X]/(f[X]*Q[X])
  |
  Q

 α=X+f[X]*Q[X] (<---注視!) として、他の「も解」達をσj[α]∈Q[α]で表してください。

 σ1[α]=-α 、σ2[α]=α 、σ3[α]= 、σ4[α]=

 √(5 + 2) の Q 上の共軛元を全て求め、各共軛元を、√(5 + 2) のQ 係数多項
式で表現してください。


 空舟さんからのコメントです。(平成24年3月10日付け)

 36°=2π/10 ということは、W[10,2]を引っ張ってくる: x2-x-1 である。
素因数は、5か10N±1 (#2π/k だったら、[φ(k)/2]次式 になるでしょう。)

 ED2=(2α+1)2(4-α2)/α2 [ここはこの前と同じ式] ・・・この後はこの前と同様。


 空舟さんからのコメントです。(平成24年3月10日付け)

 9-5(2)に挑戦してみます。 x=√(10+2√17)について、(mod p)において、

  √17が有理化できる: pは、17N±1、2、4、9

  √32が有理化できる: pは、8N±1

 まとめると、pは、136N±1、33、15、49、55、47、9、25

(これは、xが、mod p で有理化できる必要条件ですが、十分とは限りません)

 17・8=136次の円分多項式を見て、(150次までの円分多項式の表を公開している方がいる)

 Ax64-x60+x56-x52+x48-x44+x40-x36+x32-x28+x24-x20+x16-x12+x8-x4+1

resultant(A,x+x^33+x^15+x^49+x^55+x^47+x^9+x^25

   +1/x+1/x^33+1/x^15+1/x^49+1/x^55+1/x^47+1/x^9+1/x^25-y,x),factor;

と打ち込むと...、(y^4-18*y^2+64)^16 で、解は±√(9±√17) ・・・残念ながらちょっと違い
ましたね!良く考えれば、√(10-2√17)=√(10+2√17) / √32 なので、これはきっと
√(10+2√17)の有理多項式では表せないですね。



   以下、工事中!