手頃な確率の問題                           戻る

 1個のさいころを投げて、4の目が出る確率は?と問われて、十中八九「1/6」と答えるも
のと思っていたが、意外にも「2/3」と答えるものが少なからずいて困惑してしまう。

 「手頃な」というのは、確率の計算のコツが分かっていれば出来るが、そうでないと難しい
という意味である。上記のような問題とは趣旨が異なる。

 そのような「手頃な」確率の問題に習熟すれば、入試レベルの確率の問題は百戦錬磨だ
ろう。

例題  赤、青、黄の3色のカードが3枚ずつ計9枚ある。各色のカードには、それぞれ1か
  ら3までの番号が一つずつ書いてある。

 (赤1)、(赤2)、(赤3)、(青1)、(青2)、(青3)、(黄1)、(黄2)、(黄3)

 この9枚の中から2枚を一度に取り出すとき、次の確率を求めよ。

(1) 2枚がすべて同じ番号となる確率

(2) 2枚が色も番号もすべて異なる確率


 このように、「色」と「番号」という、属性が2つ以上ある問題設定は、教科書ではあまり見ら
れない。解く人の力量が判断できる良問と思う。

(解) まず、起こりうる全ての場合の数は、 92=36(通り)

(1) 3つの番号から1つ選ぶ場合の数は、 31=3(通り)

 その1通りに対して、色の選び方は、 32=3(通り)

 よって、2枚がすべて同じ番号となる場合の数は、 3×3=9(通り) なので、

求める確率は、 9/36=1/4

(2) 3つの番号から2つ選ぶ場合の数は、 32=3(通り)

 その1通りに対して、3色から2色選んで並べる方法の数は、 32=6(通り)

 よって、2枚が色も番号もすべて異なる場合の数は、 3×6=18(通り) なので、

求める確率は、 18/36=1/2  (終)


 この例題を少し変形してみよう。

問題  赤、青、黄の3色のカードがあり、赤は4枚、青は3枚、黄は2枚の計9枚ある。各色
  のカードには番号が次のように一つずつ書いてある。

 (赤1)、(赤2)、(赤3)、(赤4)、(青1)、(青2)、(青3)、(黄1)、(黄2)

 この9枚の中から3枚を一度に取り出すとき、次の確率を求めよ。

(1) 3枚の数の和が6となる確率

(2) 3枚がすべて異なる色で、3枚の数の和が6となる確率

(解) まず、起こりうる全ての場合の数は、 93=84(通り)

(1) 3枚の数の和が6となるのは、 1+1+4=1+2+3=2+2+2 となる場合

 1+1+4 となる場合の数は、 11×32=3(通り)

 1+2+3 となる場合の数は、 21×31×31=18(通り)

 2+2+2 となる場合の数は、 33=1(通り)

 よって、3枚の数の和が6となる場合の数は、 3+18+1=22(通り) なので、

求める確率は、 22/84=11/42  (終)

(2) 3枚がすべて異なる色で、3枚の数の和が6となる場合は、

1+1+4 のとき、 (赤4)(青1)(黄1) の1通り

1+2+3 のとき、 (赤3)(青1)(黄2)、(赤3)(青2)(黄1)、(赤1)(青3)(黄2)、
(赤1)(青3)(黄2) の4通り

2+2+2 のとき、 (赤2)(青2)(黄2) の1通り

よって、3枚がすべて異なる色で、3枚の数の和が6となる場合の数は、 6通り なので、

求める確率は、 6/84=1/14  (終)


 確率の有名問題として、ド・メレのサイコロ問題が知られている。

問題 1つのサイコロを4回振って6の目が1以上出る確率Pと、2つのサイコロを24回振っ
  て6のゾロ目が1回以上出る確率Qではどちらが大きいか?

(解) P=1−(5/6)4=671/1296(=0.5177469・・・) 、Q=1−(35/36)24

ここで、 log10(35/36)24=24(log105+log107−2log106)
 =24(0.6990+0.8451−1.5564)=−0.2952=(−1)+0.7048

なので、常用対数表より、 (35/36)24=0.1×5.067=0.5067

 よって、 Q=1−0.5067=0.4933・・・  より、 P>Q である。  (終)


(補足) Excel さんに計算をお願いすると、Q=0.491403・・・

 1つのサイコロを1回振って6の目が出る確率は、1/6

 2つのサイコロを1回振って6のゾロ目が出る確率は、1/36

 このことから、両者の確率を等しくするためには(実際はそうはならないが)1つのサイコロ
を振る回数(4回)の6倍(24回)を振ればよいとド・メレは考えたらしい。

 ところで、上記P、Qの計算を一般化すれば、単調減少な関数 y=1−(1−1/x)^{(2/3)x}
が背景にあることに気づかされる。

 特に、 x → ∞ のとき、 (1−1/x)^x → 1/e (e は自然対数の底)

 この関数の収束は速いので、2つの確率P、Qはほぼ 1−e-2/3 と近似されるが、6<36
なので、P>Qとなることは、上記のように具体的に計算しなくても直感で分かるだろう。

 また、(1−1/x)^x ≒ 1/e=e-1 より、ほぼ 1−1/x ≒ e-1/x と考えられ、

 1−e-2/3 ≒ 1−(1−2/3)=2/3>1/2

と、Pは、1/2より大きい数だろうことは概算できる。

 上記で用いた概算の公式 -p≒1−p (pは1よりも十分小さい正数)はとても便利で、
知っておくと重宝するだろう。

 この概算公式をもっと使ってみたいと希望する読者の方は、次の有名問題「誕生日問題」
に挑戦されるとよいと思う。


問題 40人のクラスの中に、誕生日が同じ人が少なくとも1組いる確率を求めよ。
   ただし、1年は365日とする。

(解) 求める確率Pは、余事象の確率の公式を用いて、

P=1−36540/(365)40=1−364・363・・・・・326/(365)39
=1−(1−1/365)(1−2/365)(1−3/365)・・・(1−39/365)
≒ 1−e^(−1/365)e^(−2/365)・・・e^(−39/365)
=1−e^(−780/365)
=1−e^(−2.1369863)
≒ 1−{e^(−0.2671)}8
≒ 1−(1−0.2671)8
=1−0.73298
≒ 1−0.0832
=0.9168  (終)


(補足) Excel さんに計算をお願いすると、P=1−e^(−780/365)=0.88199・・・
 さらに、詳しい計算をお願いすると、
P=1−36540/(365)40=0.891231809817949・・・


(コメント) この計算は電卓がないと辛いですね!{e^(−0.2671)}8 と式変形したのも
   電卓だと8乗計算は簡単だからです。それにしても、「誕生日が同じ人が少なくとも1組
   いる確率」って予想に反して高いですね。直感的に言って、いそうにないような雰囲気
   なんだけど...。


(追記) 平成28年11月27日付け

 データ分析と確率が融合した次の問題はこれから流行していくのでしょうか?初見の問題
で驚いた方も多いのでは?熊本大学教育学部には知り合いがいますが、専門分野が幾何
系なので、知り合いとは違う方が作問されたのでしょう。今度会ったら聞いてみたいです。

熊本大学 教育学部前期(2016)

 1つのさいころを3回投げる。1回目に出る目の数、2回目に出る目の数、3回目に出る
目の数をそれぞれX1、X2、X3とし、5つの数 2、5、2−X1、5+X2、X3からなるデータを
考える。以下の問いに答えよ。
(1) データの範囲が7以下である確率を求めよ。
(2) X3がデータの中央値に等しい確率を求めよ。
(3) X3がデータの平均値に等しい確率を求めよ。
(4) データの中央値と平均値が一致するとき、X3が中央値に等しい条件付き確率を求めよ。

(解)(1) 題意より、 2−X1<2 、5<5+X2 なので、最大数は、5+X2 、最小数は

 2−X1 である。よって、範囲は、 5+X2−(2−X1 )=X1+X2+3 で、条件より、

 X1+X2+3≦7 すなわち、 X1+X2≦4 

よって、目の出方は、(X1,X2)=(1,1)、(1,2)、(1,3)、(2,1)、(2,2)、(3,1)

なので、求める確率は、 6/36=1/6

(2) X3がデータの中央値に等しいので、 X3=2、3、4、5 より、確率は、 4/6=2/3

(3) X3がデータの平均値に等しいとき、 2+5+(2−X1)+(5+X2)+X3=5X3

 すなわち、 X1+4X3=14+X2

上記の解は、 (X1,X2,X3)=(3,1,3)、(4,2,3)、(5,3,3)、(1,3,4)、(6,4,3)、
  (2,4,4)、(3,5,4)、(4,6,4)

よって、求める確率は、 8/216=1/27

(4) P中央値=平均値(中央値=X3)=P(平均値=中央値=X3)/P(中央値=平均値)

ここで、平均値をMとおくと、 2+5+(2−X1)+(5+X2)+X3=5M

すなわち、 M=(14−X1+X2+X3)/5 が中央値に等しいとき、M=2、5、X3

 M=2 のとき、 14−X1+X2+X3=10 すなわち、 X1=X2+X3+4

 よって、X1=6、X2=X3=1 に限る。

 M=5 のとき、 14−X1+X2+X3=25 すなわち、 X2+X3=11+X1

 よって、X1=1、X2=X3=6 に限る。

 M=X3 のとき、 (X1,X2,X3)=(3,1,3)、(4,2,3)、(5,3,3)、(1,3,4)、
 (6,4,3)、(2,4,4)、(3,5,4)、(4,6,4)

よって、 P(中央値=平均値)=10/216 で、 P(平均値=中央値=X3)=8/216

以上から、求める確率は、 (8/216)/(10/216)=8/10=4/5


(コメント) 問題を最初見て少し身構えてしまったのですが、実際に解いてみると素直に解く
    ことができてちょっと肩すかしを食らった心境です。


 次の問題は、「手頃な」というと語弊があるかもしれない。そんな問題をHN「とるえん」さん
からご投稿いただいた。(平成29年1月7日付け)

 確率の問題ですが、私の残念な数学力では解けませんでした…。どなたかの興味を少し
でもそそるようであれば幸いです。

《問題》 以下の試行を繰り返すことを考える。

〈試行〉 「P」が書かれたカード、「PP」が書かれたカード、「A」が書かれたカードの3種類の
 カードがそれぞれ無数にある。これらのカードの山から無作為に1枚だけを取り出し、カー
 ドに書かれている文字を記録してカードの山に戻す。このとき、いずれの種類のカードも取
 り出される確率は一律1/3であるとする。(一律1/3だと面白味に欠けるかも…?)

 この試行を繰り返し、記録した文字を左から順に一列に書き下していく。こうしてできる文
字列の末尾の4文字が「PPAP」となったとき、試行の反復を終えるものとする。

 このとき、ちょうどn回目の試行で終了する確率を求めよ。ただし、nは3以上の整数とする。


 DD++さんからのコメントです。(平成29年1月7日付け)

 x^4 - x^3 + (2/27)x - 1/81 = 0 という四次方程式を解く必要があって、フェラーリの公式
とカルダノの公式で解けなくはないものの、かなり大変そうです。


 とるえんさんからのコメントです。(平成29年1月7日付け)

 やはり、本当に解くのが難しいのですね…。「P」と「PP」の混在が複雑化の主な要因です
が、改題するとしたらどんなものが適当なんでしょうかね(笑)。何はともあれ、取り組んで頂
いてありがとうございます。


 DD++さんからのコメントです。(平成29年1月7日付け)

 「A」が出る確率をa、「P」が出る確率をpとするとき、私の計算ミスがなければ、解くことにな
る四次方程式は、

 x^4 - x^3 + a*(1-a)*p x - a^2*p^2 = 0

となるので、これが4つの有理数解をもつか、無理数や虚数にしても比較的わかりやすいも
のとなるように a や p の値を設定すれば手計算でも解けなくはないです。それでも手間はか
なりかかりますけど。

 あるいは「回数の期待値を出せ」なら解と係数の関係あたりからゴリ押せると思います。


 DD++さんからのコメントです。(平成29年1月8日付け)

 改題して誘導をつけてみました。(途中まで同じなので略)

  こうしてできる文字列の末尾の4文字が「PPAP」となったとき、試行の反復を終えるものと
する。


 試行の反復が終了するまでに取り出すカードの枚数の期待値を以下の誘導に従って求め
てください。(解と係数の関係が必要かと思ってましたが不要でした……)

----下準備----

(0-1) f(x) = x^4 - x^3 + (2/27)x - 1/81 とします。四次方程式 f(x)=0 は重解を持たないこと
   を証明してください。(面倒ならば、「正しいと信じる」でもいいと思います)

 以下、その解を s, t, u, v とします。

(0-2) s, t, u, v は、全て絶対値が1未満であることを証明してください。
(難しい上に、ただ(0-4)で収束の保証に使うだけなので、「正しいと信じる」でもいいと思います)

(0-3) f(x) を x-1 で割り、商と余りを求めてください。また、その結果と f(s)=0 を用いて、
   1/(1-s) を有理数係数の s の三次以下の多項式で表してください。

(0-4) 無限級数 1 + 2s + 3s^2 + 4s^3 + …… を求めてください。(0-3) の結果も用いて、有
   理数係数の s の三次以下の多項式で表してください。

----下準備ココマデ----

 n≧1 に対し、以下のように5つの確率を定義します。

PPA[n] : n回試行時、末尾が "PPA" である確率
XA[n] : n回試行時、末尾が "A" であるが "PPA" ではない確率
PP[n] : n回試行時、末尾が "PP" である確率
XP[n] : n回試行時、末尾が "P" であるが "PP" でも "PPAP" でもない確率
PPAP[n] : n回試行時、末尾が "PPAP" になり試行終了する確率

(1) PPA[n+1], XA[n+1], PP[n+1], XP[n+1] の4つを、PPA[n], XA[n], PP[n], XP[n] から求め
  る漸化式を作ってください。

(2) PPA[n+4] - PPA[n+3] + (2/27)*PPA[n+1] - (1/81)*PPA[n] = 0 が成り立つことを証明
  してください。

(3) PPAP[n] の値を n=1,2,3,4,5 のときそれぞれ個別に求めてください。

(4) PPAP[n+4] - PPAP[n+3] + (2/27)*PPAP[n+1] - (1/81)*PPAP[n] = 0 が成り立つことを
 証明してください。(n=1 のときの扱いに気をつけてください)

(5) PPAP[n] = S*s^(n-1) + T*t^(n-1) + U*u^(n-1) + V*v^(n-1) という等式が n=1,2,3,4 の
 全てで成り立つような複素数 S,T,U,V が存在することを証明してください。
 (具体的に求める必要はありません。)

(ヴァンデルモンドの行列式についてよく知らなければ、「正しいと信じる」でもいいと思います)

(6) 前問の  S,T,U,V について、

 PPAP[n] = S*s^(n-1) + T*t^(n-1) + U*u^(n-1) + V*v^(n-1)

 が n≧1 の全てで成り立つことを、数学的帰納法で証明してください。

(7) (6), (0-4), (5), (3) を順に用いて、試行の反復が終了するまでに取り出すカードの枚数の
 期待値を求めてください。


 at さんからのコメントです。(平成29年1月8日付け)

 ちょうどn回目の試行で終了する確率をs(n)とするとき、s(n)をnを使った閉じた式で表す方
法はいくつかありますが、次は一例です。(floor(x)はxを超えない最大の整数を表します。)

s(n)=3^(-n)*floor(3^(2*n*(n+1))*(3^(2*(n+1))+2)/(3^(8*(n+1))-3^(6*n+7)+2*3^(2*(n+1))-1)
 -3^n*floor(3^(n*(2*n+1))*(3^(2*(n+1))+2)/(3^(8*(n+1))-3^(6*n+7)+2*3^(2*(n+1))-1)))

 次のように期待値を求めてもいいと思います。

 PPAP[1]〜PPAP[5]の値と、漸化式:

 PPAP[n+4] - PPAP[n+3] + (2/27)*PPAP[n+1] - (1/81)*PPAP[n] = 0

とから、PPAP[n]の母関数 F(x)=納n=1,∞]PPAP[n]*x^n が、

 F(x)=-x^3*(2*x+3)/(x^4-6*x^3+81*x-81)

であることがわかります。ですので、試行の反復が終了するまでに取り出すカードの枚数の
期待値は、F(x)をxで微分した式において、x=1を代入すれば求めることができます。

 求める期待値は、(d/dx)F(x)|[x=1] = 84/5


 DD++ さんからのコメントです。(平成29年1月8日付け)

 母関数を使う場合、級数が収束する保証は、どこから得られるんでしょうか?


 at さんからのコメントです。(平成29年1月8日付け)

 保証はありません。「F(x)を微分して、x=1を代入したら、ある値が出てきた」といっているに
すぎないです。


 DD++ さんからのコメントです。(平成29年1月8日付け)

 なるほど、つまり、「有限値で答えられる問題だと信じるならコレ以外はあり得ない」という
ことなんですね。


(追記) 平成30年4月25日付け

問題 表面が赤の2枚と表面が黒の2枚、計4枚を裏返し、その4枚から2枚を引く。2枚の
  カードが同色ならあなたの勝ち、異なる色なら私の勝ちというゲームを行うとき、私の勝
  算は如何に?

(解) 1枚を引いて「赤」のとき、残りは、「赤」1枚と「黒」2枚より、私が勝つ確率は、 2/3

 同様に、1枚を引いて「黒」のときも、私が勝つ確率は、 2/3

 以上から、勝つ確率2/3の私に有利なゲームであった。  (終)

 上記の解答では、問題文に反して、1枚ずつ計2枚引いているわけであるが、2枚同時に
引いても同じ結論が得られる。

 「赤」がハートとダイヤ、「黒」がスペードとクラブとして、4枚から2枚取る組合せの数は、

 42=6(通り) ある。このうち、2枚が同色となるのは、2通りであるので、あなたが勝つ

確率は1/3で、私は、2/3 となり、私に有利なゲームとなる。


(追記) 令和4年6月13日付け

 上記の問題と同趣旨であるが、表現を若干変えた問題をあげておこう。

問題 4枚のトランプカードが裏返されている。2枚は赤、2枚は黒である。2枚を無作為に
    選ぶとき、2枚とも同色である確率はいくらか?

(解) 赤1、赤2、黒1、黒2とすると、起こり得る場合は

 赤1赤2、赤1黒1、赤2黒1、黒1黒2、黒2赤1、黒2赤2 の6通り

 このうち、2枚とも同色であるのは、 赤1赤2、黒1黒2 の2通り

よって、求める確率は、 2/6=1/3  (終)


 次の確率の問題も、何となく、直感に反する確率になっていませんか?

問題 正しいさいころを数回投げて、6の目が少なくとも1回出る確率が1/2以上となるため
    には、さいころを何回投げればよいだろうか?

(解) 1−(5/6)≧1/2 より、 (5/6)≦1/2 なので、n≧log(1/2)/log(5/6)=3.8

よって、4回投げればよい。  (終)


(注) 5/6=0.8333、(5/6)2=0.6944、(5/6)3=0.5787、(5/6)4=0.4823


(追記) 令和4年6月30日付け

 手頃な確率の計算をしてみよう。確率計算の基本が身に付いていれば、それほど難しい
問題ではないだろう。

問題 100円硬貨が2枚、50円硬貨が4枚、10円硬貨が5枚ある。この11枚の硬貨を同
   時に投げて、表に出たものの金額を足す。このとき、金額の合計が250円になる確率
   を求めよ。

(解) 起こり得るすべての場合の数は、 211=2048(通り)

 金額の合計が250円になる場合の数は、

100円硬貨2枚+50円硬貨1枚のとき、 4通り

100円硬貨2枚+10円硬貨5枚のとき、 1通り

100円硬貨1枚+50円硬貨3枚のtき、 2×43=8(通り)

100円硬貨1枚+50円硬貨2枚+10円硬貨5枚のとき、 2×42=12(通り

50円硬貨4枚+10円硬貨5枚のとき、 1通り

 よって、求める確率は、 (4+1+8+12+1)/2048=13/1024  (終)


(追記) 令和5年6月16日付け

 「ザワつく!金曜日」(テレビ朝日系)を見ていたら、「心を一つに!みんな揃って美味しい
スイーツ選手権」の中でのルール変更が気になった。3品のスイーツのVTRを見て1番食べ
たいスイーツを相談なしで選び、3人の食べたいスイーツが揃ったら食べられるというルール
だったものが、全員違うものを選んだ場合も食べられるようになった。

 その確率を計算してみた。

 起こり得るすべての場合は、3×3×3=27(通り)

 このうち、3人が揃うのは、3通り

 全員違うものを選ぶ場合が、3!=6(通り)

 従って、今までのルールで食べられる確率が、3/27=1/9 だったものが、新ルールでは、

(3+6)/27=1/3 となり、3倍食べやすくなったわけである。

 番組では、見込み通り、3人が全部違うものを選んで、無事食べることができた!


(追記) 令和5年10月13日付け

問題 1から5までの異なる整数が1つずつ書かれたカードが5枚、箱の中に入っている。箱
 からカードを1枚引き、カードに書かれた整数を記録して箱の中に戻すという操作を4回繰
 り返す。記録された4つの整数の最小値をm、最大値をMとする。

 このとき、m≦3≦M となる確率を求めよ。

(解) P(m≦3≦M)=1−P(m≧4)−P(M≦2) である。

 P(m≧4)=(2/5)4=16/625 、P(M≦2)=(2/5)4=16/625 なので、

 P(m≦3≦M)=593/625  (終)


(追記) 令和6年6月19日付け

 東北大学前期理系(1999)で、次が出題された。

問題 T、O、H、O、K、U、A、O、B、A の10文字をでたらめに一列に並べる。
(1) どの2つのOも隣り合わない確率を求めよ。
(2) どこかで同じ文字が隣り合う確率を求めよ。

(解) T、H、K、U、B と、O1、O2、O3、A1、A2 を並べるとき、並べ方の総数は、

 10!通りである。

(1) どの2つのOも隣り合わないためには、T、H、K、U、B、A1、A2 を並べて、両端を含

 む隙間からOが入る隙間を3個選べばよいので、その場合の数は、

 7!×83 通りである。

よって、求める確率は、 7!×83/10!=8・7・6/(10・9・8)=7/15

(2) どこかで同じ文字が隣り合うの余事象は、どこでも同じ文字は隣り合わない。

 (ア) T、H、K、U、B と、O1、O2、O3 を並べるとき、どの2つのOも隣り合わない場合

は、 5!×63=5!×6・5・4 通りである。その1通りに対して、どの2つのAも隣り合わ

ない場合は、92=9・8 通りである。

 よって、(ア)の場合の数は、 5!×6・5・4 ×9・8 通りである。

 (イ) T、H、K、U、B を並べて、その隙間に、OO とO が入る場合は、

 5!×62×3!=5!×6×5×3! 通りである。その1通りに対して、OOの間には必

ずAが入る場合は、2×8 通りである。

 よって、(イ)の場合の数は、 5!×6×5×3!×2×8 通りである。

(ウ) T、H、K、U、B を並べて、その隙間の一つに、OOO が入る場合は、

 5!×6×3! 通りである。そのうちの1通りに対して、OAOAO と入る場合の数は、

 2! 通りである。

 よって、(ウ)の場合の数は、 5!×6×3!×2! 通りである。

以上から、

 5!×6・5・4 ×9・8+5!×6×5×3!×2×8+5!×6×3!×2!

=5!×(8640+2880+72)=5!×11592 通りなので、

 どこでも同じ文字は隣り合わない確率は、

 5!×11592/10!=11592/(10・9・8・7・6)=23/60

したがって、求める確率は、 1−23/60=37/60 である。  (終)


(コメント) (2)は、数え漏れしそうですね!大変でした。


 上記では、O 3個について、(1,1,1)、(2,1)、(3)と3つの場合に分けて、場合の数を
求めたが、A 2個について、(1,1)、(2)と2つの場合に分けて、場合の数を求めた方がベ
ストであった。

((2)の別解) T、H、K、U、B、O1、O2、O3、A1、A2 を並べる。

(ア) T、H、K、U、B を並べて、かつ、2つのAが隣り合わない場合は、

 5!×62=5!×30 通りである。その1通りに対して、どのOも隣り合わない場合は、

83=8・7・6=336 通りである。

 よって、(ア)の場合の数は、 5!×30×336=5!×10080 通りである。

(イ) T、H、K、U、B を並べて、かつ、2つのAが隣り合う場合は、

 5!×6×2=5!×12 通りである。その1通りに対して、1個のOは、AOAと2つのAの

間に入り、他の2個のOは隣り合わない場合は、 3×72=3・7・6=126 通りである。

 よって、(イ)の場合の数は、 5!×12×126=5!×1512 通りである。

以上から、 5!×10080+5!×1512=5!×11592 通りなので、

 どこでも同じ文字は隣り合わない確率は、

 5!×11592/10!=11592/(10・9・8・7・6)=23/60

したがって、求める確率は、 1−23/60=37/60 である。  (終)


(追記) 令和6年7月26日付け

 東北大学 理系(1974)で、次が出題された。

 k個の1のばらまきの方法の数とk個の−1のばらまきの方法の数が同じと言うことは直
感的に分かるのだが、それを示すのに、次の問題は大いに参考になった。

第5問  N、n(n≦N)は与えられた正の整数とする。1からNまでの番号をつけたN枚の
  カードから任意にn枚のカードを取り出したとき、それらに書かれている数の和をSとす
  る。

(1) Sがとりうる値の範囲を求めよ。
(2) Sの最小値をm、最大値をMとする。S=m+k となる確率をp、S=M−k となる
 確率をqとするとき、p=q であることを示せ。ただし、kは、0≦k≦M−m を満たす
 整数である。
(3) Sの期待値をNとnで表せ。

(解)(1) Sの最小値は、 1+2+・・・+n=n(n+1)/2

 Sの最大値は、N+(N−1)+・・・+(N−n+1)=nN−n(n−1)/2 なので、

Sのとりうる値の範囲は、 n(n+1)/2≦S≦nN−n(n−1)/2

(2) (1)より、 m=n(n+1)/2 、M=nN−n(n−1)/2

S=m+k となるn個の整数を、a1<a2<・・・<a とおくと、 a1+a2+・・・+a=m+k

このとき、n個の整数 N+1−a<N+1−an-1<・・・<N+1−a1 を考えると、

その総和は、

 (N+1−a)+(N+1−an-1)+・・・+(N+1−a1

=nN+n−m−k

ここで、 nN+n−m=M+n(n−1)/2+n−n(n+1)/2=M なので、

 n個の整数 N+1−a<N+1−an-1<・・・<N+1−a1 の総和は、M−k となる。

 以上から、S=m+k となる場合とS=M−k となる場合は、1対1に対応するので、両者

の場合の数は等しく、よって、確率も等しい。すなわち、 p=q である。

(3) 求める期待値をEとおくと、 E=Σk=0M-m (m+k)p=Σk=0M-m (M−k)q より、

2E=Σk=0M-m (m+k)p+Σk=0M-m (M−k)q

 =Σk=0M-m (M+m)p=(M+m)Σk=0M-m

 =M+m=nN−n(n−1)/2+n(n+1)/2=(N+1)n

 よって、求める期待値は、 E=(N+1)n/2  (終)


(コメント) (2)は、なかなか秀逸な誘導ですね!期待値の面白い計算が堪能出来ました。


(追記) 令和6年8月6日付け

 東北大学 理系(1976)で、次が出題された。確率の問題というと答えに自信が持てない
せいか、いつもドキドキしてしまうが、この問題は、そのような不安もなく確実に解けるので、
受験生に優しいと言える。

第4問  動点Pは数直線上の原点から出発し、正しい貨幣を投げて、表が出たら正の方向
  に1進み、裏が出たら負の方向に1進むものとする。これを2n回繰り返したとき、点Pの
  座標が2である確率をpとする。また、2n−1回目に点Pの座標が1で、2n回目に点P
  の座標が2である確率をqとする.

(1) p、q を求めよ。
(2) Σn=28 log2/(p−q) を求めよ。

(解)(1) 表が x 回、裏が y 回出るとすると、 x+y=2n 、x=y+2 から、

 x=n+1 、y=n−1

よって、 p2nn+1(1/2)2n=2n!/{(n+1)!(n−1)!}・(1/2)2n

同様にして、x+y=2n−1 、x=y+1 から、x=n 、y=n−1

よって、 q2n-1n(1/2)2n-1・(1/2)=(2n−1)!/{n!(n−1)!}・(1/2)2n

(2) p−q=(2n−1)!/{(n+1)!(n−2)!}・(1/2)2n より、

 p/(p−q)=2n/(n−1) なので、

 Σn=28 log2/(p−q)=Σn=28 log2 {2n/(n−1)}=log210=10  (終)


(追記) 令和6年9月9日付け

 東北大学 理系(1980)で、次が出題された。

第4問  2つのさいころを投げ、出た目の差の絶対値をXとする。Aのさいころでは、どの目
  の出る確率も1/6であるが、Bのさいころでは、1、3、5の目の出る確率がいずれも1/9
  で、2、4、6の目の出る確率がいずれも2/9であるとする。

(1) 確率変数Xの確率分布を求めて表にせよ。
(2) 確率変数Xの平均値(期待値)を求めよ。

(解)(1) X=0 となるのは、

(A,B)=(1,1)、(2,2)、(3,3)、(4,4)、(5,5)、(6,6)

なので、その確率は、 (1/6)((1/9)・3+(2/9)・3)=1/6

X=1 となるのは、

(A,B)=(1,2)、(2,1)、(2,3)、(3,2)、(3,4)、(4,3)、(4,5)、(5,4)、(5,6)

なので、その確率は、 (1/6)((1/9)・5+(2/9)・5)=5/18

X=2 となるのは、

(A,B)=(1,3)、(2,4)、(3,1)、(3,5)、(4,2)、(4,6)、(5,3)、(6,4)

なので、その確率は、 (1/6)((1/9)・4+(2/9)・4)=2/9

X=3 となるのは、

(A,B)=(1,4)、(2,5)、(3,6)、(4,1)、(5,2)、(6,3)

なので、その確率は、 (1/6)((1/9)・3+(2/9)・3)=1/6

X=4 となるのは、

(A,B)=(1,5)、(2,6)、(5,1)、(6,2)

なので、その確率は、 (1/6)((1/9)・2+(2/9)・2)=1/9

X=5 となるのは、

(A,B)=(1,6)、(6,1)

なので、その確率は、 (1/6)((1/9)・1+(2/9)・1)=1/18

以上から、Xの確率分布表は、

1/6 5/18 2/9 1/6 1/9 1/18

(2) 期待値は、

0・(1/6)+1・(5/18)+2・(2/9)+3・(1/6)+4・(1/9)+5・(1/18)=35/18  (終)


(追記) 令和6年9月21日付け

 簡単そうで、引っかかりそうな確率の問題を考えてみよう。

問題  10回中1回は当たるくじがある。このくじを10回引いたとき、必ず1回は当たると言
  えるだろうか?

(解) 1回の試行で当たる確率が、1/10 なので、ハズレの確率は、9/10

 10回の試行で、少なくとも1回当たる確率は、 1−(9/10)10=0.65・・・

 したがって、必ず1回は当たるとは言えない。  (終)


(コメント) 確率1/10で、10回チャレンジしたら1回は当たりそうだが、残念ながら当たる
  確率は、0.65止まりで、確率1(必ず起こる)にはならない。日常生活の感覚からすると
  とても不思議な感覚である。


(追記) 令和6年10月15日付け

 次の東北大学 理系(1982)の問題は、確率分布の計算である。

問題6  袋の中に 1、2、3、4 の番号をつけた球がそれぞれ1個ずつ合計4個入っている。
  球を1個取り出し、番号を見てから袋に戻す。偶数の番号の球を取り出さない限りはこの
  操作をn回行うが、偶数の番号の球を取り出したときはそれでやめることにする。取り出し
  た球の番号の最大値の確率分布を求めよ。

(解) 取り出した球の番号の最大値をXとおく。Xの取り得る値は、1、2、3、4の何れか。

X=1 のとき、n回全てが番号1なので、求める確率は、 (1/4)

X=2 のとき、1回目に番号2が出ると終了で、確率は、1/4

 1回目に番号1で、2回目に番号2が出ると終了で、確率は、(1/4)2

 ・・・・・・・

 n−1回目までが番号1で、n回目に番号2が出ると終了で、確率は、

 (1/4)n-1・(1/4)=(1/4)n

 したがって、求める確率は、 1/4+(1/4)2+・・・+(1/4)n=(1/3)(1−(1/4)n

X=4 のとき、1回目に番号4が出ると終了で、確率は、1/4

 1回目に番号1、3で、2回目に番号4が出ると終了で、確率は、(1/2)(1/4)

 ・・・・・・・

 n−1回目までが番号1、3で、n回目に番号4が出ると終了で、確率は、(1/2)n-1・(1/4)

 したがって、求める確率は、

 1/4+(1/2)(1/4)+・・・+(1/2)n-1・(1/4)=(1/2)(1−(1/2)n

X=3 のとき、求める確率は、

 1−(1/4)−(1/3)(1−(1/4)n)−(1/2)(1−(1/2)n

=1/6+(1/2)n+1−(2/3)(1/4)n

 以上で、確率変数Xの確率分布が求められた。  (終)


(コメント) 上記では、P(X=3)の計算を、Σk=14 P(X=k)=1 という確率分布の性質を
     利用して求めたが何となく気持ち悪い。直接計算してみた。

 X=3 のとき、

・番号2を使わないとき、 (1/2)−(1/4)

・番号2を使うとき、 

 2回目で終了するとき、 1回目に番号3が出て、2回目に番号2が出るので、確率は、

(1/4)・(1/4)=1/16 であるが、3回目で終了、4回目で終了、・・・ を考慮して、

 (1/2)・(1/4)−(1/4)2=(1/2)3−(1/4)2

としておく。

 3回目で終了するとき、1回目、2回目に番号1、3が出て、3回目に番号2が出る場合から、

1回目、2回目に番号1が出て、3回目に番号2が出る場合を引けばよいので、

 (1/2)2・(1/4)−(1/4)3=(1/2)4−(1/4)3

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 n回目で終了するとき、1回目、2回目、・・・、n−1回目に番号1、3が出て、n回目に番号2

が出る場合から、1回目、2回目、・・・、n−1回目に番号1が出て、n回目に番号2が出る場

合を引けばよいので、 (1/2)n+1−(1/4)n

 以上から、求める確率は、

(1/2)−(1/4)+((1/2)3+(1/2)4+・・・+(1/2)n+1)−((1/4)2+(1/4)3+・・・+(1/4)n

=(1/2)−(1/4)+(1/2)2(1−(1/2)n-1)−(1/12)(1−(1/4)n-1

=(1/2)−(1/4)+1/4−(1/2)n+1−1/12+(1/3)(1/4)n

=1/6+(1/2)n+1−(2/3)(1/4)n  (終)


(追記) 令和6年10月22日付け

 次の東北大学 理系(1983)の問題も、確率分布と期待値の基本的な計算である。

問題4  n枚(n≧2)のカード C1、C2、・・・、Cn があり、C1に1、C2に2、・・・、Cnにnと
  記入してある。この中から任意に2枚のカードを取り出すとき、取り出されたカードに記入
  してある数のうち小さい方をX、大きい方をYとする。次の問に答えよ。

(1) Xの確率分布とYの確率分布を求めよ。
(2) Xの期待値とYの期待値を求めよ.

(解)(1) k=1、2、・・・、n に対して、 P(X=k)=(n−k)/2=2(n−k)/{n(n−1)}

h=1、2、・・・、n に対して、 P(Y=h)=(h−1)/2=2(h−1)/{n(n−1)}

(2) E(X)=Σk=1n k・2(n−k)/{n(n−1)}

  =2/{n(n−1)}・Σk=1n (nk−k2

  =2/{n(n−1)}・(n2(n+1)/2−n(n+1)(2n+1)/6)

  =n(n+1)/{n(n−1)}・(n−(2n+1)/3)

  =(n+1)/3

 E(Y)=Σh=1n h・2(h−1)/{n(n−1)}

  =2/{n(n−1)}・Σh=1n (h2−h)

  =2/{n(n−1)}・(n(n+1)(2n+1)/6−n(n+1)/2)

  =(n+1)/(n−1)・((2n+1)/3−1)

  =2(n+1)/3  (終)


(追記) 令和6年11月11日付け

 次の東北大学 理系(1985)の問題は、あまり経験のない確率の問題である。

問題4  数直線上を原点から出発して点が動く。サイコロを投げて、1、4の目のいずれか
  が出れば、負の方向に1だけ動き、2、3、5、6の目のいずれかが出れば、正の方向に
  2だけ動く。

(1) 8回サイコロを投げたとき、0.94以上の確率で点が存在する最小の範囲を求めよ。
(2) 8回サイコロを投げたとき、点の位置の平均値を求めよ。

(解)(1) 点の位置の座標をXとおくと、Xの取り得る値は、

 X=−8、−5、−2、1、4、7、10、13、16 である。

P(X=−8)=88(1/3)8(2/3)0=1/6561=0.000152415・・・

P(X=−5)=87(1/3)7(2/3)1=16/6561=0.002438652・・・

P(X=−2)=86(1/3)6(2/3)2=112/6561=0.017070568・・・

P(X=1)=85(1/3)5(2/3)3=448/6561=0.068282274・・・

P(X=4)=84(1/3)4(2/3)4=1120/6561=0.170705685・・・

P(X=7)=83(1/3)3(2/3)5=1792/6561=0.273129096・・・

P(X=10)=82(1/3)2(2/3)6=1792/6561=0.273129096・・・

P(X=13)=81(1/3)1(2/3)7=1024/6561=0.156073769・・・

P(X=16)=80(1/3)0(2/3)8=256/6561=0.039018442・・・

以上から、0.94以上の確率で点が存在する最小の範囲は、X=1、4、7、10、13

(2) 点の位置の平均値は、

−8・P(X=−8)−5・P(X=−5)−2・P(X=−2)+1・P(X=1)+4・P(X=4)

+7・P(X=7)+10・P(X=10)+13・P(X=13)+16・P(X=16)

=7.999999999・・・  (終)


(コメント) 計算には電卓を利用しましたが、電卓がないと辛いですね!


 平均値が「7.99・・・」となっていて、ちょっと気になったので再計算してみました。

−8・P(X=−8)−5・P(X=−5)−2・P(X=−2)+1・P(X=1)+4・P(X=4)

+7・P(X=7)+10・P(X=10)+13・P(X=13)+16・P(X=16)

=Σk=08 (3k−8)8k(1/3)8-k(2/3)k

=3Σk=08 k・8k(1/3)8-k(2/3)k−8Σk=08 8k(1/3)8-k(2/3)k

=3・8・(2/3)−8 (← 参考:「第3章 2項分布と正規分布」)

=8

#きっちりと「8」になるんでした!


(追記) 令和6年12月2日付け

 次の東北大学 理系(1987)の問題設定は面白い。

問題4  4枚1組のカードが2組ある。正しいサイコロを投げて、1、2、3、4の目が出たと
  きは、枚数の多い組から、5、6の目が出たときは、枚数の少ない組からカードを1枚除く。

 ただし、2組のカードの枚数が等しいときには、どちらの組から除いてもよい。このような試
行を続けて、どちらか一方の組のカードが全部なくなったときに他方の組に残っているカード
の枚数をXとする。

 確率変数Xの確率分布と期待値を求めよ。

(解) 1回の試行で、1、2、3、4の目が出る確率は、2/3で、5、6の目が出る確率は、
 1/3である。

 2組のカードの枚数を(a,b) (a≧b)で表すことにする。(a,a)のとき、確率1で(a,a−1)
にできることに注意する。

X=4 のとき、

 (4,4)→(4,3)→(4,2)→(4,1)→(4,0) の場合なので、確率は、

 P(X=4)=1×(1/3)×(1/3)×(1/3)=1/27

X=3 のとき、

 (4,4)→(4,3)→(3,3)→(3,2)→(3,1)→(3,0) の場合の確率は、

 1×(2/3)×1×(1/3)×(1/3)=2/27

 (4,4)→(4,3)→(4,2)→(3,2)→(3,1)→(3,0) の場合の確率は、

 1×(1/3)×(2/3)×(1/3)×(1/3)=2/81

 (4,4)→(4,3)→(4,2)→(4,1)→(3,1)→(3,0) の場合の確率は、

 1×(1/3)×(1/3)×(2/3)×(1/3)=2/81

 よって、P(X=3)=2/27+2/81+2/81=10/81

X=2 のとき、

 (4,4)→(4,3)→(4,2)→(4,1)→(3,1)→(2,1)→(2,0) の場合の確率は、

 1×(1/3)×(1/3)×(2/3)×(2/3)×(1/3)=4/243

 (4,4)→(4,3)→(4,2)→(3,2)→(3,1)→(2,1)→(2,0) の場合の確率は、

 1×(1/3)×(2/3)×(1/3)×(2/3)×(1/3)=4/243

 (4,4)→(4,3)→(4,2)→(3,2)→(2,2)→(2,1)→(2,0) の場合の確率は、

 1×(1/3)×(2/3)×(2/3)×1×(1/3)=4/81

 (4,4)→(4,3)→(3,3)→(3,2)→(3,1)→(2,1)→(2,0) の場合の確率は、

 1×(2/3)×1×(1/3)×(2/3)×(1/3)=4/81

 (4,4)→(4,3)→(3,3)→(3,2)→(2,2)→(2,1)→(2,0) の場合の確率は、

 1×(2/3)×1×(2/3)×1×(1/3)=4/27

 よって、P(X=2)=4/243+4/243+4/81+4/81+4/27=68/243

よって、 P(X=1)=1−(P(X=4)+P(X=3)+P(X=2))=136/243

したがって、期待値は、

 4×1/27+3×10/81+2×68/243+1×136/243
=398/243(=1.6・・・)  (終)


(コメント) (a,a)→(a,a) が確率1で起こる点がポイントですね!


(追記) 令和6年12月21日付け

 次の東北大学 理系(1988)の問題も確率分布を求める問題である。

問題4  nを2以上の整数とする。1から2nまでの整数から無作為に相異なる3つの数を
  とり出して、それらのうち最大の数と最小の数の差をXとする。

(1) 確率変数Xの確率分布を求めよ。
(2) Xの値がn以下となる確率を求めよ。

(解)(1) Xの取り得る値は、2、3、・・・、2n−1 の 2n−2 通り

 そのうちの1通り X=k となる場合は、選ばれた3つの数が、

 (1,□,k+1)、(2,□,k+2)、・・・、(2n−k,□,2n) で、

 □に入る数は、何れも k−1通りある。

したがって、X=k となる場合の数は、 (2n−k)(k−1) 通りなので、確率は、

 P(X=k)=(2n−k)(k−1)/2n3 (k=2、3、・・・、2n−1)

(2) P(X≦n)=Σk=2n (2n−k)(k−1)/2n3

 =(1/2n3)Σk=2n (−k2+(2n+1)k−2n)

 =(1/2n3)Σk=1n (−k2+(2n+1)k−2n)

 =(1/2n3)Σk=1n (−n(n+1)(2n+1)/6+n(n+1)(2n+1)/2−2n2

 =(6/{2n(2n−1)(2n−2)}{n(n+1)(2n+1)/3−2n2

 =(1/{2(2n−1)(n−1)}{(n+1)(2n+1)−6n}

 =(1/{2(2n−1)(n−1)}(n−1)(2n−1)

 =1/2  (終)



  以下、工事中!