チルンハウス変換                          戻る

 当HPの掲示板「出会いの泉」で、当HPがいつもお世話になっている A’zさんが「チルン
ハウス変換」の話題を提供されている。(平成19年10月28日〜)

 チルンハウス(Ehrenfried Walter von Tschirnhaus 1651〜1708)はドイツの
数学者で、同時代にニュートンやライプニッツらがいる。

 チルンハウスは、一般の5次方程式が常に「 x5+ax+b=0 」と表されることを証明した
らしい...5次方程式の解の公式を求めようとして!しかし、それは徒労に終わってしまっ
た。

 n 次の多項式 F(x)と、1次以上 n−1 次以下の多項式 φ(x) に対して、終結式

     G(x)=R( F(y) , x − φ(y) )

を、 F(x) の φ(x) によるチルンハウス変換という。

 α を F(x)の根とすると、 φ(α) は、G(x) の根となる。

例(2次式の平方完成

  x2+2ax+b=(x+a)2+b−a2

 したがって、 2次式 x2+2ax+b を考える代わりに、2次式 x2+b−a2 を考えた方が
考えやすい。

 このような考え方が、「チルンハウス変換」と言われるものである。

 実際に、 F(x)=x2+2ax+b 、φ(x)=x+a に対して、求める終結式は

    R( y2+2ay+b , x−y−a )=(x−a)2+2a(x−a)+b=x2+b−a2

なので、 G(x)=x2+b−a2 は、F(x)のφ(x)によるチルンハウス変換となる。

例(3次式のチルンハウス変換

 2次式の場合と同様に、3次式 x3+3ax2+3bx+c については、

   x3+3ax2+3bx+c=(x+a)3+3(b−a2)x+c−a3

               =(x+a)3+3(b−a2)(x+a)+c−3ab+2a3

なので、 F(x)=x3+3ax2+3bx+c の φ(x)=x+a によるチルンハウス変換は、

   G(x)=x3+3(b−a2)x+c−3ab+2a3

となる。実際に、

 G(x)=R( y3+3ay2+3by+c , x−y−a )

    =(x+2a)(x−a)2+c+3b(x−a)

    =x3+3(b−a2)x+c−3ab+2a3

例 F(x)=x3+3x2+6x+4 をチルンハウス変換すると、G(x)=x3+3x

  よって、 G(x)=x3+3x=0 の解は、 x=0 、i 、−

  このとき、F(x)=x3+3x2+6x+4=0 の解は、φ-1(x)=x−1 より、

   φ-1(0)=−1 、φ-1i)=i−1 、φ-1(−i)=−i−1

となる。



  以下、工事中