各位の数の和
ある数 N を平方すると非常に大きな数が得られるが、この平方数 N2 にはどのような数
理が潜んでいるだろうか?
たとえば、 N=111 のとき、 N2=12321 である。( → 参考:「連綿と続く1」)
また、 N=111111111 のとき、 N2=12345678987654321 である。
このとき、平方数の各位の数の和に着目すると、
N2=12321 の場合は、 1+2+3+2+1=9
N2=12345678987654321 の場合は、
1+2+3+4+5+6+7+8+9+8+7+6+5+4+3+2+1=45+36=81
となり、何れも9の倍数となっている。
これは、 N=111が3の倍数であること、N=111111111が9の倍数であることから
当たり前のことだろう。
N=1111 のとき、 N2=1234321 であり、 1+2+3+4+3+2+1=16 から、
脆くも、平方数 N2 に潜む数理は予想だにできない...雰囲気。
それでは、電卓では求められない平方数 N2 の各位の数の和を求めることに専心するこ
とにしよう。
N=3333・・・・・・33 (3が100個並ぶ数) に対して、その平方数
N2 の各位の
数の和を求めよ。
(解) 3N=9999・・・・・・99=10100−1 なので、
9N2=(10100−1)2=10200−2・10100+1=10200−1−2(10100−1)
よって、 N2=10199+10198+・・・+102+10+1
−2(1099+1098+・・・+102+10+1)
=10199+10198+・・・+10100−(1099+1098+・・・+102+10+1)
=1111・・・・・・1108888・・・・・・889
(1が99個、0が1個、8が99個、9が1個)
したがって、N2 の各位の数の和は、
1×99+0+8×99+9=900
である。
(コメント) Excel さんに、 3333333×3333333 を計算してもらうと、
11111108888889
となり、上記の計算の理論と一致する。
(追記) 令和4年8月22日付け
整数Nに対して、その各位の数の和をS(N)とする。
例 N=111 のとき、 S(N)=3
S(N)=3 が3の倍数なので、 Nは3の倍数である。
S(N)=1 となるNは、N=1 、10 、100 、・・・ がある。
S(N)=2 となるNは、 N=2 、11 の他に、N=20、200、・・・ や、N=101、・・・
などがある。
上限に限りがないので、 N≦2022 と制限を設ける必要がある。さらに、NはS(N)で
割り切れるという条件を設定すると、Nは数えられる領域になるだろう。
問題 S(N)=3 となるNを全て求めよ。
(解) N=3 、30 、300
N=12 、120 、102 、1200 、1020 、1002
N=21 、210 、201 、2010 、2001
N=111 、1110 、1101 、1011
以上から、Nは全部で、18個ある。
問題 S(N)=4 となるNを全て求めよ。
(解) N=4 、40 、400
N=1300
N=220 、2020
N=112 、1120 、1012
以上から、Nは全部で、9個ある。
問題 S(N)=5 となるNを全て求めよ。
(解) N=5 、50 、500
N=140 、1400 、1040
N=230
N=320
N=410
N=1130
N=1310
N=1220
以上から、Nは全部で、12個ある。
(コメント) 全ての場合を数え上げるしか方法はないのだろうか?何かしらの公式は存在し
ないのだろうか?
上記では、虱潰しに数え上げたが、次のように計算すると楽かもしれない。
問題 S(N)=5 となるNを全て求めよ。
(別解) Nは5の倍数なので、一の位は、0または5である。
N=0**0 のタイプについて、 *+*=5 より、Nは6通りできる。
N=0**5 のタイプについて、 *+*=0 より、Nは1通りできる。
N=1**0 のタイプについて、 *+*=4 より、Nは5通りできる。
N=1**5 のタイプについて、S(N)≧6で不適。
N=2**0 のタイプについて、 *+*=3 より、N≦2022を満たすものはない。
N=2**5 のタイプについて、S(N)≧7で不適。
以上から、求める場合の数は、 6+1+5=12(通り)
(コメント) N=0**0 のタイプは、 50 、500 、140 、230 、320 、410
N=0**5 のタイプは、 5
N=1**0 のタイプは、1400 、1040 、1130 、1310 、1220
と分類することができる。
S(N)に関する問題は、中学入試で散見される。
東大寺学園中学の入試問題(2022)では、
問題(一部改題)
整数Nに対して、Nの各位の数の和をS(N)と表す。.整数Nについて、次のような【特性】を
考える。
【特性】 NはS(N)で割り切れる
この【特性】をもつ整数について、次の問いに答えよ。
(1) 整数Nは【特性】をもち、1以上2022以下とする。このような整数Nの中で、S(N) = 5 と
なる Nは全部で何個あるか。
(2) 整数Nは【特性】をもち、1以上2022以下とする。このような整数Nの中で、S(N) = 9 とな
る Nは全部で何個あるか。
(3) 整数Nは【特性】をもち、1以上2022以下とする。このような整数Nの中で、S(N) = 18 と
なる Nは全部で何個あるか。
(4) 整数Nは【特性】をもち、1以上2022以下とする。S(N)の値として考えられるものの中で、
大きいものから 3 番目の値を求め、そのときのNをすべて求めよ。
この東大寺学園中学の問題は、その前年の灘中学の入試問題(2021)が背景にあるよ
うに感じる。
問題(一部改題)
各位の数の和が 5 である 4 桁の整数は、2021 を含めて全部で何個あるか。そして、それ
らの整数の中で、2021 は小さい方から数えて何番目であるか。
灘中学の問題を考えてみよう。
(解) N=1*** のタイプについて、 *+*+*=4 より、Nは、6C2=15(通り)できる。
N=2*** のタイプについて、 *+*+*=3 より、Nは、5C2=10(通り)できる。
N=3*** のタイプについて、 *+*+*=2 より、Nは、4C2=6(通り)できる。
N=4*** のタイプについて、 *+*+*=1 より、Nは、3C2=3(通り)できる。
N=5*** のタイプについて、 *+*+*=0 より、Nは、1通りできる。
以上から、求める場合の数は、 15+10+6+3+1=35(通り)
また、2000以上の数で、小さい順に 2003 、2012 、2021 なので、
2021は、小さい方から数えて15+3=18(番目)である。 (終)
次に、東大寺学園中学の問題を考えてみよう。
(解) (1)については既に上記で解いてある。
(2) S(N)=9のとき、Nは9の倍数である。
N=0*** のタイプについて、 *+*+*=9 より、Nは、11C2=55(通り)できる。
N=1*** のタイプについて、 *+*+*=8 より、Nは、10C2=45(通り)できる。
N=2*** のタイプについて、 2007 、2016 の2通りできる。
以上から、求める場合の数は、 55+45+2=102(通り)
(3) S(N)=18のとき、Nは9の倍数かつ偶数である。
N=0**0 のタイプについて、 *+*=18 すなわち、18−(*+*)=0 より、
(9−*)+(9−*)=0 と考えて、これを満たす ** は99のみで、Nは、1通りできる。
N=0**2 のタイプについて、 18−(*+*)=2 より、Nは、3C1=3(通り)できる。
N=0**4 のタイプについて、 18−(*+*)=4 より、Nは、5C1=5(通り)できる。
N=0**6 のタイプについて、 18−(*+*)=6 より、Nは、7C1=7(通り)できる。
N=0**8 のタイプについて、 18−(*+*)=8 より、Nは、9C1=9(通り)できる。
N=1**0 のタイプについて、 18−(*+*)=1 より、Nは、2C1=2(通り)できる。
N=1**2 のタイプについて、 18−(*+*)=3 より、Nは、4C1=4(通り)できる。
N=1**4 のタイプについて、 18−(*+*)=5 より、Nは、6C1=6(通り)できる。
N=1**6 のタイプについて、 18−(*+*)=7 より、Nは、8C1=8(通り)できる。
N=1**8 のタイプについて、 18−(*+*)=9 より、Nは、10C1=10(通り)できる。
以上から、求める場合の数は、 1+3+5+7+9+2+4+6+8+10=55(通り)
(4) S(N)≦28 である。
S(N)=28 となるNは、1999で、これはS(N)=28の倍数でないから不適
S(N)=27 となるNのうち、999はS(N)=27の倍数なので、適
S(N)=26 となるNのうち、1898はS(N)=26の倍数なので、適
S(N)=25 となるNは、799、979、997、889、898、988、1699、1969、1996、
1789、1798、1879、1897、1978、1987、1888で、これはS(N)=25の倍数でな
いから不適
S(N)=24 となるNのうち、1896はS(N)=24の倍数なので、適
S(N)=24 となるNは、699、789、798、879、888、969、978、987、1599、
1689、1698、1779、1788、1797、1869、1878、1887、1896、1959、1968、
1977、1986、1995
このうち、S(N)=24で割り切れるものは、888、1896、1968 の3個である。
以上から、S(N)の値として考えられるものの中で、大きいものから 3 番目の値は、24で、
そのときのNの値は、888、1896、1968 の3個である。 (終)
(コメント) 定数で割り算が出来る電卓を用いても結構大変な作業量であった。小学生達は
受験会場でどんな匠の技を駆使して計算しているのだろうか?
S(N)=24 で割り切れるということは、4の倍数なので、下2桁が4の倍数
この事実を用いれば、
699、789、798、879、888、969、978、987、1599、1689、1698、1779、
1788、1797、1869、1878、1887、1896、1959、1968、1977、1986、1995
の取消線の数は除外され、
888、1788、1896、1968、1986
の5個だけを調べればよいことが分かる。この方がずっと簡単でしたね!
さらに、S(N)=24 で割り切れるということは、8の倍数なので、
888、1788、1896、1968、1986
から8の倍数を探すと、 888 、1896 、1968 が直ぐ見いだせる。
S(N)の値に対して、Nを求める問題は、順列組合せの問題のいい練習となるだろう。
上記で設けた制限:「N≦2022」のもとで、「NはS(N)で割り切れる」という条件で、次の
問題を考えていこう。
問題 S(N)=6 となるNを全て求めよ。
(解) S(N)=6 のとき、Nは、3の倍数で、かつ、偶数である。
N=0**0 のタイプについて、 *+*=6 より、Nは、7C1=7(通り)できる。
N=0**2 のタイプについて、 *+*=4 より、Nは、5C1=5(通り)できる。
N=0**4 のタイプについて、 *+*=2 より、Nは、3C1=3(通り)できる。
N=0**6 のタイプについて、 *+*=0 より、Nは、1通りできる。
N=1**0 のタイプについて、 *+*=5 より、Nは、6C1=6(通り)できる。
N=1**2 のタイプについて、 *+*=3 より、Nは、4C1=4(通り)できる。
N=1**4 のタイプについて、 *+*=1 より、Nは、2C1=2(通り)できる。
N=20*0 のタイプについて、 *=4 は不適
N=20*2 のタイプについて、 *=2 より、Nは、1通りできる。
N=20*4 のタイプについて、 *=0 より、Nは、1通りできる。
以上から、求める場合の数は、 7+5+3+1+6+4+2+1+1=30(通り)
以下、工事中!