・複素数の存在                       AKG 氏

 結論が数学的な物ではないと言う事は重々承知しておりますが、どなたからでも、救いの
言葉が頂けたらと思い、投稿させて頂きます。

 私は現在大学の工学部の電気系学科の1学生をしております。ある授業の中でオイラー
の公式が出てきました。オイラーの公式は様々な計算をする上で大変便利なものであり、
電気系では最重要なものの一つだと教授から教わりました。

 しかしながら、何故複素数がいきなり出てくるのか、という疑問に対し、どの教授も「そうい
うもの。便利だからそうおく。そこは考える必要がない」としか教えてくださらず、結局どうし
て複素数を用いているのか判らないままでした。

 インターネットで検索してゆく内に、実数の表示のためにも複素数が必要であるという記述
を見つけました。

 例えば、 2a = (a+i) + (a-i) とすれば実数も表示できるし、実数の表示のために複素数が
必要であるということも分かりました。

 しかしながら、どうして有り得ない数である複素数が存在するのか?便利だからそう置くと
いう理由は無しにして、どうしてあり得るのか?ということが結局判りません、理解できませ
ん。もしかしたら、理解したくないのかもしれません。

 そこでどなたか、私にお言葉をかけて下さい。数学的な、理屈云々で私の悩みが解決でき
ないのは私も判っています。だからこそ、解決できるならちゃんと解決したいのです。拙い文
章で申し訳ありません。レスポンス頂けたら幸いです。


 当HPがいつもお世話になっているHN「S(H)」さんからのコメントです。
                                       (平成25年1月2日付け)

  i とは何ぞやには、環論的視座 Q[x]/<x2+1> から真摯に答え、j とは何ぞやについて
は、電磁気學の専門家にどうぞと紹介。


(コメント) 私自身は、数の拡張の観点(全ての2次方程式が解を持つようにしたい)から自
      然に複素数の概念を受け入れたように記憶します。

       また、2次の正方行列で単位行列をE、原点中心の90度回転を表す行列をJと
      すると、J=Rotation(π/2)で、J2=−E が成り立ち、aE+bJ は複素数の
      a+b・i と同じ数学的構造を持っています。こんなことから、複素数は想像上のも
      のではなく確かに実在するんだなと実感した覚えがあります。


 当HPがいつもお世話になっているHN「空舟」さんからのコメントです。
                                       (平成25年1月2日付け)

 電気回路は詳しくないので推測になりますが・・・、たぶん微分方程式がキーワードではな
いかと思います。電気回路を含めて物理法則は微分方程式がしばしば現れます。電気回路
では2階線形微分方程式 y"+ay+b=0 が現れると思います。この解は、2次方程式x2+ax+b=0
の解を p、q とすれば、p、q が実数の場合は、y=Aepx + Beqx というふうになります。

 2次方程式の2つの解が複素数 u±vi になるような場合は、先の微分方程式の解は、三角
関数を使ってy=Ceuxcos(vx) + Deuxsin(vx) というふうになると思います。

 一方、y=Aeu+vi + Beu-vi と書いても、適当に任意定数を置き換えればこの表記も正しいこ
とが分かると思います。

 こういうところに電気回路に複素数が出てくるきっかけが有るのではないかと思いました。
参考になれば幸いです。


 当HPがいつもお世話になっているHN「よおすけ」さんからのコメントです。
                                       (平成25年1月2日付け)

 3年半前に、数学感動秘話に僕は「18度の正弦」を投稿しました。このときは、受験問題集
ではあまりみかけない極形式を用いて解いています。18度の正弦を求めること自体は、三
角関数の加法定理や二等辺三角形を用いてもできますが、一般にやろうとすると、どうして
も虚数いや複素数が必要になります。もし、虚数が使えないとなると、特に高次方程式だと
途中の計算で止まってしまう可能性があります。そうすると方程式を解くことすらままならな
いことが
おきます。


 当HPがいつもお世話になっているHN「攻略法」さんからのコメントです。
                                       (平成25年1月2日付け)

 AKGさんの文中で、「どうして有り得ない数である複素数が存在するのか?」とありますが、
『虚数jを存在しない数と習った』ということでしょうか。0や負の数も同じ感覚(有り得ない数)
ですね。


 当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さんからのコメントです。
                                       (平成25年1月2日付け)

 複素数 a+bi に行く前に、i の解釈を次のように思っておく。

 人間には残念ながら数直線で示す部分しか目に入らない世界で生きており、この世界で、
「1*[-1]=-1」の現象を、1にいた物が原点を中心とし180度回転して、ちょうど原点を対象に
して反対側に出現させる操作とみなす。

 こう約束しておけば、「-1*[-1]」の操作は、-1にいた物がやはり180度回転してまた原点を
対象にして1の位置に出現する。こうして、「(-1)*(-1)=1 (規則:マイナス×マイナスがプラス)」
が発生する。

 そこで、今度は人間の目には入らぬが、1を90度回転させて止めることを考える。その操作
をさせる(これは人間世界では目に入らぬ。)ものを"i"とまさにイメージ(imaginary number)す
る。「1*[i]=i 」(これは1を90度回転させているものであるが、人間の目には見えぬ状態にある。)そこで、さら
に、「i*[i]」を考えると、i をさらに90度回転させていくので、今度は人間世界に落ちてきて-1と
して認識できる。

 つまり人間にとって、i とは幽霊のような存在であるが、この幽霊が2匹で力を合わせて i*i
なる働きをすれば、人間にとって認識可能な馴染みの-1という姿になって目の前に立ち現れ
てくる。

 こうして人間世界をもっと高いところから俯瞰する発想をとることによって、目に見えている
世界よりもっと広い世界が広がっていることを認識できるようになる。まさに考え方次第とい
う人間特有の能力をフルに活用しよう。

 でも複素数について不可思議な印象をもつのは当然なことだと思います。かのガウスさえ
オープンにすることを躊躇したのですから・・・。数学を道具のように使い慣れている大学の
先生方はいつの間にかあって当然という錯覚に陥っていますが、果たして誰の力も借りず、
ご自分でこの数をイメージしその有用性を認識できたかははなはだ疑問だと思います。AKG
さんの質問はとっても大切だと思います。


 当HPがいつもお世話になっているHN「よおすけ」さんからのコメントです。
                                       (平成25年1月2日付け)

 僕の方も数学感動秘話にもう1つ「複素数の回転」というのを投稿しています。あの問題も
180°回転のことがあったと記憶しています。この回転を応用した式が以下のようになります。

   (cosθ+isinθ)n=cos(nθ)+isin(nθ)  (nは整数)

 n乗がn倍になる、他ではなかなか見かけない等式だと思います。


 HN「AKG」さんからのコメントです。(平成25年1月3日付け)

 沢山のレスポンスをありがとうございました。皆様の書き込みを見ている内に自分の中で
整理が段々とできてきました。複素数の回転の話や、0や負の値の扱い等のお話のお陰で、
どう付き合っていけばいいのか判った気がします。



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