・連立方程式 S.H 氏
大阪大学の日比孝之先生が、数学セミナー(’12年2月号)で次の連立方程式を題材に
グレブナー基底を説明されている。
F1(x,y,z)=x2+y+z−1=0 ・・・ (1) F2(x,y,z)=x+y2+z−1=0 ・・・ (2) F3(x,y,z)=x+y+z2−1=0 ・・・ (3) 連立方程式を可視化すると、右図のようになる。 (少し分かりにくいかな?想像をふくらませてください。) |
日比先生によれば、受験数学の常套手段を用いると、この連立方程式は、
G1(x,y,z)=x+y+z2−1=0
G2(x,y,z)=yz2+(z4−z2)/2=0
G3(x,y,z)=y2−y−z2+z=0
G4(x,y,z)=z6−4z4+4z3−z2=0
と変形されるとのことであるが、その式変形が悩ましい...。
{G1,G2,G3,G4}が、{F1,F2,F3}のグレブナー基底となるらしい。
連立方程式を解くだけだったら簡単だ。次のように解けばよい。
(解) (1)−(2) より、 (x−y)(x+y−1)=0 なので、 x=y または x+y=1
x=y のとき、(2)(3)に代入して、 y+y2+z−1=0 、 2y+z2−1=0
z=1−y−y2 を、2y+z2−1=0 に代入して整理すると、 y4+2y3−y2=0
よって、 y2(y2+2y−1)=0 より、 y=0、−1±
y=0 のとき、 z=1
y=−1± のとき、 z=1−y−y2=−1± (複号同順)
x+y=1 のとき、 (3)より、 z2=0 なので、 z=0
このとき、 x2+y−1=0 で、 y=1−x を代入して整理すると、 x2−x=0
よって、 x=0 、 1
x=0 のとき、 y=1
x=1 のとき、 y=0
以上から、求める連立方程式の解は、
(x,y,z)=(0,1,0)、(1,0,0)、(0,0,1)、
(−1±,−1±,−1±) (複号同順)
空舟さんからのコメントです。(平成24年2月21日付け)
連立方程式
F1(x,y,z)=x2+y+z−1=0 ・・・ (1)
F2(x,y,z)=x+y2+z−1=0 ・・・ (2)
F3(x,y,z)=x+y+z2−1=0 ・・・ (3)
について、「放物線の交点」を参考にして、立体座標幾何的に考えてみました。
(1)+(2)+(3)=0 を考えると、 x2+y2+z2+2x+2y+2z-3=0 を得る。
(x+1)2+(y+1)2+(z+1)2=6 ・・・ (-1,-1,-1) を中心とする半径の球面Sである。
(1)-(2)、(2)-(3)を連立すると、[(1)=(2)=(3)ということ]
(x-y)(x+y-1)=0 、 (y-z)(y+z-1)=0
グラフを考えると、2つの"+柱"の交わりで、4本の直線からなります。
直線 x=y=z 、点(-1,0,0)を通る(-1,1,1)向きの直線、
点(0,-1,0)を通る(1,-1,1)向きの直線、点(0,0,-1)を通る(1,1,-1)向きの直線
・・・ まとめると、点(1/2,1/2,1/2)を通る4つの直線
これらの直線と球面Sとの交点が求める解になります。
一般の球と直線の交点を考察する方法を一応書いておきます。
球の中心をA、直線上の有る点をB、直線ベクトルを p とします。垂線の足Hは、
H=B+{(A-B)・p/|p|}p
と得ます。(いわゆるシュミットの方法の一部と言えます。)
そうすれば、直線と球の中心の距離が分かります。あとは、三平方の定理で垂線の足か
らの距離を求めればよいです。
今回では、直線 x=y=z は、球の中心を通るのは自明ですが、その他の3本の直線は球
の中心との距離がで、球面Sに接していることが分かりました。
[その接点が、(1,0,0)、(0,1,0)、(0,0,1)]
S(H)さんからのコメントです。(平成24年2月23日付け)
参考→講義(動画)
n = 2 のとき、 I2={xn + y + z - 1, x + yn + z - 1, x + y + zn - 1}={0,0,0}
n = 3 のとき、 I3={xn + y + z - 1, x + yn + z - 1, x + y + zn - 1}={0,0,0}
n = 4 のとき、 I4={xn + y + z - 1, x + yn + z - 1, x + y + zn - 1}={0,0,0}
.
.と、カルビー型の問題に。「数学セミナー グレブナー基底」絡みの濃厚な話題の導入問題
らしい........。K[x,y,z]/In の考察でどうにも.....。