・ 正八面体に親しむ                  S.H氏

    正8面体というと、左図のような立体図形を想起される方が
   大多数だろう。

   平成20年度の東京大学 前期 理系の問題3に、

    正八面体のひとつの面を下にして水平な台の上に置く。
   この正八面体を真上から見た図(平面図)を描け。


  という問題が出題された。

 空間把握に弱点を持つ現役の高校生にとっては難問に映ったろう。普段から、このような
立体図形に親しんでいる方にとって何でもない問題なのだが、採点が大変そうな...予感。
多分、図を書けば満点に近い点数を貰えるのかな?

 各予備校の分析も「やや難」ということで、数学がポイントゲッターの人にとっては厳しい春
となりそうだ。

 このような問題は、随分昔に出題された「立方体の平面への投影」以来かな?

 下図のようにイメージ出来れば、何とか正解にはたどり着けるだろう。

           

 正解図は、2つの正3角形の重心が重なった下図の正6角形となる。

           

 上図のようになることを言葉で説明することは、少し悩ましいかな?

(追記) 平成20年4月7日付け

 正八面体の1辺の長さを、a とすると、その体積は、

        

で与えられる。(→ 参考:「正多面体が5種類しかない理由」 )

   これは、正方形の対角線の長さの半分が、a/ なので、

       a2×(a/)×(1/3)×2=

  と簡単に求められる。



 東京大学の問題風に正八面体という図形をとらえるとき、体積の計算には不向きであろ
うと思われたが、次のような見方をすると容易であることを、当HPがいつもお世話になって
いるzk43さんにご教示いただいた。zk43さんに感謝いたします。


   左図の立体図形の側面に3個、上部に1個の、何れも1辺の長さが a
  の正四面体を追加して貼り合わせると、1辺の長さが 2a の正四面体が
  1個できる。



               

 したがって、1辺の長さが a の正八面体の体積を V、1辺の長さが a の正四面体の体積
を W とおくと、

   V+4W=8W  (←右辺は、相似比の性質「体積比は相似比の3乗に比例」より)

より、  V=4W  が成り立つ。

 数学Tで学ぶ公式  W=(/12)a3  を用いれば、体積 V は明らかに、

       

で与えられる。

 (このWの公式を導くのに、教科書では1ページを割いているくらい大変です。zk43さんも指摘してい
 るように、V=4W の関係を知っていれば、V を求めることは上記で見たとおり易しいので、直ぐにW
 が求められますね!これって、裏技...かも?


(コメント) 上図のように正四面体を補充すると、また正四面体ができるなんて美しすぎま
      すね!このような見方が可能ということを知ったら、やはり東京大学の問題には
      深遠なる趣がヒシヒシと伝わってくるような気高さを感じます。

 東京大学の問題の視点で、次のような問題が想起される。

 上面の正三角形と底面の正三角形の幅は如何ほどだろうか?

 この問題は、三平方の定理を活用すれば直ちに求められる。

   左図において、Hは正三角形の1辺BCの中点である。

  このとき、Hより底面に下ろした垂線の足とAを結ぶ線分の長さは、

   (/2)a×(1/3)=(/6)a である。

  この長さの2倍、すなわち、 (/3)a が左図の正六角形の
 1辺の長さとなる。

 以上から、2つの面の幅は、
                    (/3)a

で与えられる。

 読者のために、練習問題を残しておこう。


   上面と底面が正方形で、側面が正三角形の立体
  図形を考える。正方形の1辺の長さを a として、上
  面の正三角形と底面の正三角形の幅を求めよ。


     答えは、    となる。できたかな?





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