・三角関数の値                         S.H 氏

 パズル&クイズの「calendar」で、よおすけさんが出題した問題

  cot2(π/7)+cot2(2π/7)+cot2(3π/7)=5

について、簡単に解けるだろうと高をくくっていたが、意外に手強い。

 以下で、慎重に計算してみた。

cot2(π/7)+cot2(2π/7)+cot2(3π/7)

=1/sin2(π/7)+1/sin2(2π/7)+1/sin2(3π/7)−3
 (↑ cot2θ=cos2θ/sin2θ=(1−sin2θ)/sin2θ=1/sin2θ−1)

=2(1/(1−cos(2π/7))+1/(1−cos(4π/7))+1/(1−cos(6π/7)))−3
 (↑ sin2θ=(1−cos2θ)/2)

=2(1/(1+cos(5π/7))+1/(1+cos(3π/7))+1/(1+cos(π/7)))−3
 (↑ cosθ=−cos(π−θ))

=2T−3
 (↑ T=1/(1+cos(5π/7))+1/(1+cos(3π/7))+1/(1+cos(π/7))とおく。)

 Tの共通分母

=(1+cos(5π/7))+1/(1+cos(3π/7))+1/(1+cos(π/7))

=1+cos(5π/7)+cos(3π/7)+cos(π/7)+cos(5π/7)cos(3π/7)
 +cos(3π/7)cos(π/7)+cos(5π/7)cos(π/7)+cos(5π/7)cos(3π/7)cos(π/7)

=1+cos(5π/7)+cos(3π/7)+cos(π/7)+(1/2)(cos(8π/7)+cos(2π/7))
 +(1/2)(cos(4π/7)+cos(2π/7))+(1/2)(cos(6π/7)+cos(4π/7))
 +cos(5π/7)cos(3π/7)cos(π/7)
 (↑ 積和の公式)

=1+cos(5π/7)+cos(3π/7)+cos(π/7)−(1/2)(cos(π/7)+cos(5π/7))
 −(1/2)(cos(3π/7)+cos(5π/7))−(1/2)(cos(π/7)+cos(3π/7))
 +cos(5π/7)cos(3π/7)cos(π/7)
 (↑ cosθ=−cos(π−θ))

=1+cos(5π/7)+cos(3π/7)+cos(π/7)−(cos(π/7)+cos(3π/7)+cos(5π/7))
 +cos(5π/7)cos(3π/7)cos(π/7)

=1+cos(5π/7)cos(3π/7)cos(π/7)

 ここで、

 cos(5π/7)cos(3π/7)cos(π/7)

=cos(2π/7)cos(4π/7)cos(π/7)
 (↑ cosθ=−cos(π−θ))

=cos(2π/7)cos(4π/7)sin(2π/7)/(2sin(π/7))
 (↑ 2sinθcosθ=sin2θ)

=cos(4π/7)sin(4π/7)/(4sin(π/7))
 (↑ 2sinθcosθ=sin2θ)

=sin(8π/7)/(8sin(π/7))
 (↑ 2sinθcosθ=sin2θ)

=−sin(π/7)/(8sin(π/7))
  (↑ sin(π+θ)=−sinθ)

=−1/8

 よって、 Tの共通分母=1−1/8=7/8

 次に、Tを通分した分子を計算する。

 Tの分子

=(1+cos(3π/7))(1+cos(π/7))+(1+cos(5π/7))(1+cos(π/7))
 +(1+cos(5π/7))(1+cos(3π/7))

=3+2(cos(π/7)+cos(3π/7)+cos(5π/7))+cos(π/7)cos(3π/7)
 +cos(π/7)cos(5π/7)+cos(3π/7)cos(5π/7)

=3+2(cos(π/7)+cos(3π/7)+cos(5π/7))+(1/2)(cos(4π/7)+cos(2π/7))
 +(1/2)(cos(6π/7)+cos(4π/7))+(1/2)(cos(8π/7)+cos(2π/7))
 (↑ 積和の公式)

=3+2(cos(π/7)+cos(3π/7)+cos(5π/7))−(1/2)(cos(3π/7)+cos(5π/7))
 −(1/2)(cos(π/7)+cos(3π/7))−(1/2)(cos(π/7)+cos(5π/7))
 (↑ cosθ=−cos(π−θ))

=3+2(cos(π/7)+cos(3π/7)+cos(5π/7))−(cos(π/7)+cos(3π/7)+cos(5π/7))

=3+(cos(π/7)+cos(3π/7)+cos(5π/7))

=3+(sin(2π/7)+2sin(π/7)cos(3π/7)+2sin(π/7)cos(5π/7))/(2sin(π/7))
 (↑ 2sinθcosθ=sin2θ)

=3+(sin(2π/7)+sin(4π/7)−sin(2π/7)+sin(6π/7)−sin(4π/7))/(2sin(π/7))

=3+(sin(6π/7))/(2sin(π/7))

=3+(sin(π/7))/(2sin(π/7))
  (↑ sin(π−θ)=sinθ)

=3+1/2

=7/2

 以上から、

 cot2(π/7)+cot2(2π/7)+cot2(3π/7)=2((7/2)/(7/8))−3=5  (終)


 DD++ さんより、別解をいただきました。(令和5年4月2日付け)

 cot2(π/7)+cot2(2π/7)+cot2(3π/7)=5 を示せ。

(別解) α = cos(2π/7) 、β = cos(4π/7) 、γ = cos(6π/7) とおく。

 半角の公式より、(cotx)^2 = cos2x/sin2x = (1+cos2x)/(1-cos2x) なので、

 (1+α)/(1-α) + (1+β)/(1-β) + (1-γ)/(1+γ)

を求めればよいことになる。

 ここで、 ζ = exp i(2π/7) = cos(2π/7) + i sin(2π/7) とおく。

 z^7 - 1 = 0 は、1 の 7 乗根を解にもつので、

 z^7 - 1 = ( z - 1 ) ( z - ζ ) ( z - ζ^2 ) ( z - ζ^3 ) ( z - ζ^4 ) ( z - ζ^5 ) ( z - ζ^6 )

= ( z - 1 ) { ( z - ζ ) ( z - ζ^6 ) } { ( z - ζ^2 ) ( z - ζ^5 ) } { ( z - ζ^3 ) ( z - ζ^4 ) }

= ( z - 1 ) ( z^2 - 2αz + 1 ) ( z^2 - 2βz + 1 ) ( z^2 - 2γz + 1 )

 よって、

z^6 + z^5 + z^4 + z^3 + z^2 + z + 1 = ( z^2 - 2αz + 1 ) ( z^2 - 2βz + 1 ) ( z^2 - 2γz + 1 )

両辺を、z^3 で割ると、

( z^3 + 1/z^3 ) + ( z^2 + 1/z^2 ) + ( z + 1/z ) + 1

= ( z + 1/z - 2α ) ( z + 1/z - 2β ) ( z + 1/z - 2γ )

ここで、2x = z + 1/z とおくと、4x^2 = z^2 + 2 + 1/z^2 より、z^2 + 1/z^2 = 4x^2 - 2

8x^3 = z^3 + 3z + 3/z + 1/z^3 より、z^3 + 1/z^3 = 8x^3 - 6x

なので、これを用いて書き換えると、8x^3 + 4x^2 - 4x - 1 = 8 ( x - α ) ( x - β ) ( x - γ )

 t = (1+x)/(1-x) とおくと、x = (t-1)/(t+1) で、これを代入して両辺に (t+1)^3 をかけると

 8(t-1)^3 + 4(t-1)^2*(t+1) - 4(t-1)(t+1)^2 - (t+1)^3
= { (t-1) - (t+1)α } { (t-1) - (t+1)β } { (t-1) - (t+1)γ }

 整理して、

 7t^3 - 35t^2 + 21t - 1 = { (1-α)t - (1+α) } { (1-β)t - (1+β) } { (1-γ)t - (1+γ) }

よって、(1+α)/(1-α) 、(1+β)/(1-β) 、(1-γ)/(1+γ) は方程式

7t^3 - 35t^2 + 21t - 1 = 0 の解なので、解と係数の関係より、その和は、35/7 = 5  (終)


# 7t^3 - 35t^2 + 21t - 1 という、どう見ても 7Ck な係数を見て、上記は、とんでもない遠
  回りをしていたことに気づいてしまった……。

 kπ/7 は 7 倍すると π の整数倍になるので、

 cot(kπ/7) + i = { cos(kπ/7) + i sin(kπ/7) } / sin(kπ/7) は 7 乗すると実数です。

よって、6 次方程式 (x + i)^7 - (x - i)^7 = 0 の解は、

 x = ±cot(π/7) 、±cot(2π/7) 、±cot(3π/7)

であるはずです。

 この方程式の左辺を全部展開したとき、

  x^6 の係数は、2*7C1*i^1

  x^4 の係数は、2*7C3*i^3

その比 7C3/7C1*i^2 = -35/7 = -5 は、6 つの解の異なる 2 つずつの積の総和ですが、

符号違いが打ち消し合うことを考えれば、それは、

  - {cot(π/7)}^2 - {cot(2π/7)}2 - {cot(3π/7)}^2

に他なりません。

 よって、{cot(π/7)}^2 + {cot(2π/7)}2 + {cot(3π/7)}^2 = 5


(コメント) あんなに苦労した計算が、視点を変えることによって、ものの見事に即決されま
      したね!感動しました。DD++ さんに感謝します。


 うんざりはちべえさんからのコメントです。(令和5年4月3日付け)

 2倍角の公式 tan2θ= 2tanθ/(1-(tanθ)^2) 、cot2θ= ((cotθ)^2-1)/(2cotθ) は、

何となく逆数というイメージなのでわかったような気になるんですが、3倍角の公式は、

tan3θ= (3tanθ-(tanθ)^3)/(1-3(tanθ)^2) 、cot3θ= ((cotθ)^3-3cotθ)/(3(cotθ)^2-1)

と全く同じ構造なんですよ。不思議ですね。


 うんざりはちべえさんからのコメントです。(令和5年4月4日付け)

(%i1) float((cot(%pi/7))^2+(cot(2*%pi/7))^2+(cot(3*%pi/7))^2);
(%o1) 5.000000000000001

ならは、tanとcotの先の印象から、

(%i2) float((tan(%pi/7))^2+(tan(2*%pi/7))^2+(tan(3*%pi/7))^2);
(%o2) 20.99999999999999

より、21になりそうな印象ですが・・・・。


 DD++ さんからのコメントです。(令和5年4月4日付け)

  tan の方は、7 次方程式 (1+xi)^7 - (1-xi)^7 = 0 の解が

 x = 0, ±tan(π/7), ±tan(2π/7), ±tan(3π/7)

であることから、7C2/7C0 由来で 21 が得られますね。


 うんざりはちべえさんからのコメントです。(令和5年4月4日付け)

 ちょっと、問題から外れますが、1)、2)を上げます。

1) cot2θ= ((cotθ)^2-1)/(2cotθ) 、cot3θ= ((cotθ)^3-3cotθ)/(3(cotθ)^2-1)

 を使って、(cotθ)^2+(cot2θ)^2+(cot3θ)^2=5 をやってみる。

cotθ= x とおくと、 x^2+((x^2-1)/2x)^2+((x^3-3x)/(3x^2-1))^2=5

 (49x^8-72x^6+62x^4-8x^2+1)/(4x^2(3x^2-1)^2)=5

 49x^8-72x^6+62x^4-8x^2+1=20x^2(3x^2-1)^2 より、(7x^2-1)(7x^6-35x^4+21x^2-1)=0

これより、7x^2-1=0 と 7x^6-35x^4+21x^2-1=0 が成り立てば

 (cotθ)^2+(cot2θ)^2+(cot3θ)^2=5 は、正しい。

 7x^2-1=0 では、x=±1/√7 実数解がある。

 7x^6-35x^4+21x^2-1=0 では、実数解はないが、複素数解はある。

 ゆえに、(cotθ)^2+(cot2θ)^2+(cot3θ)^2=5 は、実数解があるので正しい。

2) tan2θ= 2tanθ/(1-(tanθ)^2) 、tan3θ= (3tanθ-(tanθ)^3)/(1-3(tanθ)^2)

 を使って、(tanθ)^2+(tan2θ)^2+(tan3θ)^2=21 をやってみる。

tanθ=x とおくと、x^2+(2x/(1-x^2))^2+((3x-x^3)/(1-3x^2))^2=21

 2x^2(5x^8-16x^6+40x^4-28x^2+7)/((x-1)^2(x+1)^2(3x^2-1)^2)=21

 2x^2(5x^8-16x^6+40x^4-28x^2+7)=21(x-1)^2(x+1)^2(3x^2-1)^2

 (2x^2-1)(5x^2-3)(x^6-21x^4+35x^2-7)=0 より、

 2x^2-1=0、5x^2-3=0とx^6-21x^4+35x^2-7=0が、成り立てば、

 (tanθ)^2+(tan2θ)^2+(tan3θ)^2=21 は、正しい。

 2x^2-1=0 では、x=±1/√2 実数解がある。

 5x^2-3=0 では、x=±√3/√5 実数解がある。

 x^6-21x^4+35x^2-7=0 では、実数解はないが複素数解はある。

ゆえに、(tanθ)^2+(tan2θ)^2+(tan3θ)^2=21は、実数解があるので正しい。


 通りすがりさんからのコメントです。(令和5年4月4日付け)

 7x^6-35x^4+21x^2-1=0 では、実数解はないが、複素数解はある。

 実数解が6個ありますね。x=±0.2282432,±0.7974733,±2.0765214
最後ので、θ=π/7 が合うと思います。


 うんざりはちべえさんからのコメントです。(令和5年4月4日付け)

 大変、ありがとうございます!やっと、ケリがつきました。

(%i12) fpprec:50; 50桁指定
(%o12) 50
(%i13) x:bfloat(cot(%pi/7));
(%o13) 2.076521396572336567163538861485840330705720206626b0
(%i14) 7*x^6-35*x^4+21*x^2-1;に代入
(%o14) - 6.8422776578360208541197733559077936097669040130689b-49

答え ほぼ0です。

 近似解を求めると、

(%i1) allroots( 7*x^6-35*x^4+21*x^2-1);
(%o1) [x = 0.2282434743901499, x = - 0.2282434743901499,

x = 0.7974733888824038, x = - 0.797473388882404, x = - 2.076521396572337,
x = 2.076521396572336]

と通りすがりさんの結果になります。

また、tan(π/7)は、

float(tan(%pi/7));
(%o3) 0.4815746188075286

で、近似解を求めると、

(%i2) allroots(x^6-21*x^4+35*x^2-7);
(%o2) [x = - 0.4815746188075286, x = 0.4815746188075286,
x = - 1.253960337662704, x = 1.253960337662703, x = 4.381286267534823,
x = - 4.381286267534823]

となり、tan(π/7)がありました。


 DD++ さんからのコメントです。(令和5年4月4日付け)

 うんざりはちべえさんの記事だけ全然違う問題に向かっているのは意図的にやっているも
のなんでしょうか?そして意図的なのだとしたら、向かっている問題を述べてから始めてくだ
さい。なんか4回ほど「ただしい」と言っていますが、「何がただしい」のか誰にもわかりません。


 うんざりはちべえさんからのコメントです。(令和5年4月4日付け)

 もともと、(cotθ)^2+(cot2θ)^2+(cot3θ)^2=5 を証明せよ。だったので、そっちに主眼を
置きました。θ=π/7が見えなかったからです。(tanθ)^2+(tan2θ)^2+(tan3θ)^2=21 も
そうです。でも、通りすがりさんの研究結果から、θ=π/7 が見えてきたのです。そこで、
流れがこういう風になったのです。すみません。


 DD++ さんからのコメントです。(令和5年4月4日付け)

 そうですよね。θが π/7 に限らない話をしていますよね。だとしたら、「正しい」とは何のこ
とを言っているのですか?

 θが定まっていないならば、θの値によって等式は成り立ったり成り立たなかったりするは
ずですが...。


 うんざりはちべえさんからのコメントです。(令和5年4月4日付け)

 だとしたら、「正しい」とは何のことを言っているのですか?

 (cotθ)^2+(cot2θ)^2+(cot3θ)^2=5 が成り立つかということです。

 式を展開整理したら、 (7x^2-1)(7x^6-35x^4+21x^2-1)=0 となったので、7x^2-1=0 か、
あるいは、7x^6-35x^4+21x^2-1=0 となり、これより、

 (cotθ)^2+(cot2θ)^2+(cot3θ)^2ー5=0

は、θによっては成り立つので、正しいと言っているのです。

もちろん、不等式にはならなかったですしね。

 θが定まっていないならば、θの値によって等式は成り立ったり成り立たなかったりするは
ずですが...。


 そうです。これは、8つの解があるので、θは、8通りあります。


 通りすがりさんからのコメントです。(令和5年4月4日付け)

 調べていませんが、x=±0.2282432,±0.7974733,±2.0765214の残り2つで、2π/7と3π/7
に対応しているのではないでしょうか。(調べて頂けると納得出来ます。)


 うんざりはちべえさんからのコメントです。(令和5年4月4日付け)

 maximaで、

%i1) solve(x^3+1=0,x);                  {解を求めよ}
        sqrt(3) %i - 1   sqrt(3) %i + 1       {%iは虚数}
(%o1) [x = - -----------------, x =--------------------, x = - 1]
          2        2
(%i2) allroots(x^3+1=0);
(%o2) [x = 0.8660254037844386 %i + 0.5, x = 0.5 - 0.8660254037844386 %i,x = - 1.0]

となりますので、通りすがりさんは実数解を求めていたのですね。近似解とはすみませんで
した。さて、ご推察のとおり、

(%i5) float(cot(%pi/7));
(%o5) 2.076521396572337
(%i6) float(cot(2*%pi/7));
(%o6) 0.797473388882404
(%i7) float(cot(3*%pi/7));
(%o7) 0.22824347439015

π/7、2π/7、3π/7でした。さすがです。


 DD++ さんからのコメントです。(令和5年4月4日付け)

 だとしたら、「(cotθ)^2+(cot2θ)^2+(cot3θ)^2ー5=0 は、特殊なθのときに成り立つ場合
がある」が「正しい」ときちんと述べてください。我々は超能力者じゃないので、はちべえさんの
頭の中にしか存在しない文は読めません。


 うんざりはちべえさんからのコメントです。(令和5年4月4日付け)

 「(cotθ)^2+(cot2θ)^2+(cot3θ)^2ー5=0 は、特殊なθのときに成り立つ場合がある」が
「正しい」ときちんと述べてください。


 これが不等式になれば成り立つ場合がありませんので、方程式として「正しくありません」。
成り立つ場合があるのであれば、方程式として「正しい」と言ったら納得していただけますか?


 DD++ さんからのコメントです。(令和5年4月5日付け)

 「方程式として正しい」とは、通常、その式が方程式の定義に該当するという意味です。
すなわち、式(定義された計算記号が正しく使われている数字と記号列)が等号の両辺に書
いてあり、そこに未知数が含まれているものである、ということです。

 だから、「(cotθ)^2+(cot2θ)^2+(cot3θ)^2-5=0」と書かれただけで、「方程式の定義に該
当しているのだから、方程式として正しい」とみんな認めますよ。

 念のため言っておくと、方程式の定義に、実際に成り立つ場合があるかどうかは言及され
ていません。解がない方程式は、ただ解がないという特徴があるというだけの正しい方程式
です。

 だから、はちべえさんが「正しい」と言っている内容は、おそらく「方程式として正しい」じゃ
なく、「特殊なθのときに成り立つ場合がある」と書かれるべきものじゃないかと思うのです
が...。


 GAI さんより、三角関数の値を求める問題をいただきました。(令和5年4月5日付け)

(1) {sin(π/7)}^2+{sin(2*π/7)}^2+{sin(3*π/7)}^2

(2) {cos(π/7)}^2+{cos(2*π/7)}^2+{cos(3*π/7)}^2

の値を求めるには?


 らすかるさんからのコメントです。(令和5年4月5日付け)

 複素平面上の単位円に内接する正七角形の重心が原点であることから、

 Σ[k=0〜6] cos(2kπ/7)=0

 これと、cos(2kπ/7)=cos(2(7−k)π/7) と cos(0)=1 から、

A=cos(2π/7)+cos(4π/7)+cos(6π/7)=-1/2 なので、

{sin(π/7)}^2+{sin(2π/7)}^2+{sin(3π/7)}^2

={1−cos(2π/7)}/2+{1−cos(4π/7)}/2+{1−cos(6π/7)}/2=(3−A)/2=7/4

{cos(π/7)}^2+{cos(2π/7)}^2+{cos(3π/7)}^2

={1+cos(2π/7)}/2+{1+cos(4π/7)}/2+{1+cos(6π/7)}/2=(3+A)/2=5/4


 うんざりはちべえさんからのコメントです。(令和5年4月5日付け)

 正7角形だったので、π/7と「/7」がでてきたのですね。これも、2倍角、3倍角でやれば、い
くつか解があるのでしょうね?

 通りすがりさんの、(cotθ)^2+(cot2θ)^2+(cot3θ)^2=5 のθは、±π/7か±2π/7か
±3π/7というのは、正7角形の回転をイメージすれば、良いのでしょうか?

 また、(cosθ)^2+(cos2θ)^2+(cos3θ)^2=5/4 のθも、±π/7か±2π/7か±3π/7という
のは、正7角形の回転をイメージすれば、良いのでしょうか?


 通りすがりさんからのコメントです。(令和5年4月5日付け)

 「折り紙と正多角形」の正七角形の図で、

 Σ[k=0〜6]cos(2kπ/7)=0

  これはOAのx座標の値+OBのx座標の値+…+OHのx座標の値=0を意味しています。

 cos(2kπ/7)=cos(2(7-k)π/7)

 これはOBとOHのx座標の値、OCとOGのx座標の値、ODとOFのx座標の値が等しい事を
意味しています。それらと cos(0)=1 と考えると、

 cos(2π/7)+cos(4π/7)+cos(6π/7)=-1/2

が出ます。

{sin(π/7)}^2+{sin(2π/7)}^2+{sin(3π/7)}^2
={1−cos(2π/7)}/2+{1−cos(4π/7)}/2+{1−cos(6π/7)}/2


 これは半角の公式を考えれば分かります。以上を整理すると、7/4が出ます。
(素晴らしい解法ですね。)


 DD++ さんからのコメントです。(令和5年4月6日付け)

 sin の場合。cot や tan のときと類似の手段をとると、√(1-x^2)+ix)^7 = (√(1-x^2)-ix)^7
という 7 次方程式(根号は全部消える!)の解が x = sin(kπ/7) (k=0,±1,±2,±3) ですので、
そこから解と係数の関係で。しかし、tan ほどは係数をスパッと求める方法はなさそうで、全
部二項展開して地道に整理して 64x^7 - 112x^5 + 56x^3 - 7x = 0 を得るしかないのかな?
そうなると半角の方が早そう。

 cos の場合は、(x+i√(1-x^2))^7=(x-i√(1-x^2))^7 を整理しても √(1-x^2) が残るのでこの
手は直接は使いにくいですね。

 まあ、x≠±1 を想定していると言って、両辺 √(1-x^2) で割ってしまえば、対処可能ではあ
りますが、やっぱり半角の方が早そう。


 通りすがりさんからのコメントです。(令和5年4月7日付け)

 ド・モアブルの公式を知らない人でも、「正多角形と方程式 xn−1=0 の不思議な関係
というサイトはいいですね。


 GAI さんからのコメントです。(令和5年4月6日付け)

 ということは、

P=sin(Pi/11)^2+sin(2*Pi/11)^2+sin(3*Pi/11)^2+sin(4*Pi/11)^2+sin(5*Pi/11)^2

Q=cos(Pi/11)^2+cos(2*Pi/11)^2+cos(3*Pi/11)^2+cos(4*Pi/11)^2+cos(5*Pi/11)^2

R=cot(Pi/11)^2+cot(2*Pi/11)^2+cot(3*Pi/11)^2+cot(4*Pi/11)^2+cot(5*Pi/11)^2

S=tan(Pi/11)^2+tan(2*Pi/11)^2+tan(3*Pi/11)^2+tan(4*Pi/11)^2+tan(5*Pi/11)^2

も簡単に求められるということかな?

 各自のお手並みを見てみたい。


 らすかるさんからのコメントです。(令和5年4月6日付け)

 分母が 7 のときと比較して、

Pは、(3-A)/2 が (5-A)/2 に変わるので、11/4

Qは、(3+A)/2 が (5+A)/2 に変わるので、9/4

Rは、7C3/7C111C3/11C1 に変わるので、15

Sは、7C2/7C011C2/11C0 に変わるので、55

となりますね。


 DD++ さんからのコメントです。(令和5年4月7日付け)

 7 や 11 と言わず、一般の奇数でやりましょう。

 ということで、私から GAI さんに問題。GAI さんのお手並み拝見です。

 n を自然数とし、記事の見やすさのため N=2n+1 とします。

(1) {cot(π/N)}^2 + {cot(2π/N)}^2 + …… + {cot(nπ/N)}^2 を求めてください。
(n = 3 と n = 5 の場合は既に解答が出ていますので、検算をしたければどうぞ)

(2) {csc(π/N)}^2 + {csc(2π/N)}^2 + …… + {csc(nπ/N)}^2 を求めてください。
(csc と cot の間には csc^2 = 1 + cot^2 の関係があります)

(3) 突然ですが、x を 0 < x < π/2 の範囲の実数とするとき、0 < sin(x) < x < tan(x) で
 あることを示してください。
(高校数学の sin(x)/x -> 1 (x->0) を示すときのアレです)

(4) (3) を用いて、1≦k≦n である任意の自然数 k について、

 (π/N)^2*{cot(kπ/N)}^2 < 1/k^2 < (π/N)^2*{csc(kπ/N)}^2 であることを示してください。

(5) 何か気がついたことがあればどうぞ。


 GAI さんからのコメントです。(令和5年4月7日付け)

(1) n*(2*n-1)/3

(2) 2*n*(n+1)/3

(3) 半径1、中心角x (0<x<π/2)の扇形OAP (Oは原点、Aはx軸上にとる。)で、Aにおける
 接線とOPとの延長との交点をTとしたとき、面積を考えると、

  △OAP < 扇形OAP < △OAT

 よって、 1/2*sin(x) < 1/2*x < 1/2*tan(x) より、不等式は成立する。

(4) 今、任意の自然数nに対し、n/(2*n+1)<1/2 なので、k=1,2,3,・・・,n なるkに対し、

  x=k*π/(2*n+1) と置くと、0<x<π/2 が成立するので、(3)での不等式から、

  1/{tan(x)}^2 < 1/x^2 <1/{sin(x)}2

 これに、x=k*π/(2*n+1)=k*π/N を代入して、

  {cot(kπ/N)}^2 < N^2/(k*π)^2 < {csc(kπ/N)}^2

 これから、 (π/N)^2*{cot(kπ/N)}^2 < 1/k^2 < (π/N)^2*{csc(kπ/N)}^2

 k=1,2,3,・・・,n とおいて和をとれば、(1)、(2)の結果から、

 π^2/(2*n+1)^2*n*(2*n-1)/3 < 納k=1〜n]1/k^2 <π^2/(2*n+1)^2*2*n*(n+1)/3

π^2/3*(2*n^2-n)/(4*n^2+4*n+1)<納k=1〜n]1/k^2 <π^2/3*(2*n^2+2*n)/(4*n^2+4*n+1)

π^2/3*(2-1/n)/(4+4/n+1/n^2)< 納k=1〜n]1/k^2 < π^2/3*(2+2/n)/(4+4/n+1/n^2)

n→∞ とすれば、π^2/6 ≦ζ(2) ≦ π^2/6

したがって  ζ(2)=π^2/6

(5) 何とバーセル問題の結論が出たではないか!

 うんざりはちべえさん、納得できない部分は何処ですか?

 n→∞ の時の1/n,1/n^2→0 が受け入れ出来ないんでしょうね〜。確かに、この値までもっ
ていくには、nは莫大な大きさまでの数が必要なことは分かります。しかし、この値に限りなく
近づいていくことは絶対に正しいと私は信じられます。

 具体的には踏み込めない奥深さを持っているけど、その世界のあり様を思考力を使って
探れることこそ、人類が持っている物凄い文化だと感じます。


 うんざりはちべえさんからのコメントです。(令和5年4月8日付け)

 なるほど。


 DD++ さんからのコメントです。(令和5年4月8日付け)

 GAI さん、お見事でした。GAI さんなら (5) まではまだ浅瀬でチャプチャプしてただけだと
お気づきのことと思います。深淵に向かって続きをどうぞ。

(6) N-1 次の係数と N-3 次の係数の比は、{cot(kπ/N)}^2 の総和の -1 倍を意味しました。
 では、N-1 次の係数と N-5 次の係数の比は何を意味するでしょうか?

(7) {cot(π/N)}^4 + {cot(2π/N)}^4 + …… + {cot(nπ/N)}^4 を求めてください。

(8) {csc(π/N)}^4 + {csc(2π/N)}^4 + …… + {csc(nπ/N)}^4 を求めてください。

(9) 1≦k≦n である自然数 k について、1/k^4 の評価およびそれらの総和の評価をどうぞ。

(10) 同様にして、1/k^6 もどうぞ。

(11) さらに、1/k^8 もどうぞ。

(12) ところで、1/k^3 は?


 GAI さんからのコメントです。(令和5年4月8日付け)

 (7)、(8)のみ溺れかけながら考えてみました。

(7)1/45*n*(2*n-1)*(4*n^2+10*n-9)
(8) 8/45*n*(n+1)*(n^2+n+3)

 これ以上は壁が高すぎて、登る気力が湧きませんので、踵を返すことにします。


 DD++ さんからのコメントです。(令和5年4月8日付け)

 (7) と (8) が出たなら (9) はもう (4) と全く同じ方法ですよ。

(12) について、cot^3 や cot^5 のような奇数乗の場合のことを考えようとすると、+cot(kπ/N)
を解に持つが -cot(kπ/N) は解に持たないような方程式を作る必要があって難しいんですよ
ね。

 等号は欲張りすぎにしても、不等号で評価できたりすればなにか面白いことが起きそうなん
ですが、誰か何かいいアイデアはないものでしょうか。



  以下、工事中!


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