不思議な論理                         戻る

 人を巧妙に騙す数学が統計学ならば、人を巧妙に説得する数学が論理学だろう。
これは、あくまでも私見です。統計学を専門にしている方に他意はありません。アシカラズ!

 先日、大阪府の高校数学教師の件が新聞紙をはじめとするマスコミを賑わせた。「高校
入試の問題を解いてもらったところ、80点満点(受検生平均40点?)のところ、24点しか
とれなかった」とかで、分限免職(民間企業の「解雇」に相当)になった事例である。

 私の周辺でも、このことが随分話題になった。「24点」という数字だけが一人歩きして、

    「高校入試→易しいはずだ!」.....「24点→できないね!」

という図式で、一般大衆を翻弄するには十分であった。

 しかし、考えてみると、実際に、どのような問題を解いたのか、平均点40点の受検生は、
どのような学力レベルの生徒なのか、また、その先生が本当に積極的に問題を解こうとし
たのか、どのような環境のもとで解いたのかなど、分からない点が多い。ましてや、一般大
衆が何の準備もしないで、何点とれるものなのかすら分からないのに、なぜかしら「24点」
という数字だけに反応してしまうところが怖い。

 ここら辺が、統計のマジックで、慎重に判断しなければならないところである。

 次の問題は、論理学では有名な問題である。(ただし、超が付くくらいの難問である。)

問題    前方に分かれ道があり、右が天国に通じ、左が地獄に通じている。分かれ道

 
に、一人の道案内が立っている。この人は正直者か嘘つきのどち
らかであるが外見からは区別できない。正直者は、必ず真実を答
え、嘘つきは必ず嘘(真実の逆)を答える。

  今、ある人が、この分かれ道にさしかかった。この人には道案
 内に一回だけの質問が許されている。道案内は、「はい」 または
 「いいえ」としか答えない。

  この人が正しく天国に通じる道に行くためには、どのような質問
 をしたらよいだろうか?

 以前、テスト後のある時間に、「感動した数学の問題」と題して、何の準備もさせないで、
書いてもらったところ、上記のような問題を書いてきた女生徒がいた。確かに、人を魅了
する何かをもった問題である。

 いま、2つの命題を考える。

    P : 右は、天国に通じる道

    Q : あなたは、正直者

 この問題のポイントは、質問された道案内が、正直者であっても、嘘つきであっても、必
ず命題 P が「真」ならば、「はい」と答え、「偽」ならば、「いいえ」と答えてくれるような質問
を考えることにある。

 その質問のもとになる命題を R とする。次の4つの場合が考えられる。

(1) 命題 P が「真」で、命題 Q が「真」の場合
   この場合は、右が天国に通じる道で、正直者が「はい」と答えるためには、
  質問の命題 R の真偽は、「真」でなければならない。

(2) 命題 P が「真」で、命題 Q が「偽」の場合
   この場合は、右が天国に通じる道で、嘘つきが「はい」と答えるためには、
  質問の命題 R の真偽は、「偽」でなければならない。

(3) 命題 P が「偽」で、命題 Q が「真」の場合
   この場合は、右が地獄に通じる道で、正直者が「いいえ」と答えるためには、
  質問の命題 R の真偽は、「偽」でなければならない。

(4) 命題 P が「偽」で、命題 Q が「偽」の場合
   この場合は、右が地獄に通じる道で、嘘つきが「いいえ」と答えるためには、
  質問の命題 R の真偽は、「真」でなければならない。

 このような真理表を持つものを求めれば、どのような質問をすればいいのかが分かる。

たとえば、次のような命題が考えられる。(真理値については、こちらを参照)

         (P かつ Q) または (Pでない かつ Qでない)

  P   かつ   Q または Pでない かつ Qでない

 以上の論理の記号を、日常の言葉で言い表せば、次のような質問になるだろう。

   『 あなたは正直者で、右が天国に通じる道

      または

     あなたは嘘つきで、右が地獄に通じる道、

    この2つのうちのどちらかは正しいですね? 』

 上の真理表からも分かるように、この問題は、嘘つきが必ず嘘をつくという習性を利用し
ていて、気がつかないままに、2重に嘘をつくように仕向けるところがポイントである。

 記号論理学の知識を使うと、普段なかなか思いつかないような質問が思いつくのである。
ここら辺が、記号論理学の面白いところだろう。私自身、記号論理学を学んだのは、大学
1年の哲学の講義においてであったが、当時は、無味乾燥な記号の羅列で、あまり関心が
わかなかった。もっと真剣に勉強しておけばよかったと、今、後悔しているところである。

 ただ、上のような質問は、お世辞にも美しいとは言えない。実は、次のような考え方もある
らしい。こちらのほうが、より分かりやすい表現になっている。

 道案内に対して、次のような質問をする。

   『 あなたは、「右が天国に通じる道か」と聞かれれば、「はい」と答えますか? 』

 もし、右が天国に通じる道で、道案内が正直者のとき、正直者は、「はい」と答える。

 もし、右が天国に通じる道で、道案内が嘘つきのとき、嘘つきらしい答えは「いいえ」だが、
上の質問で、「いいえ」と言ってしまうと、正直者になってしまう。これは、嘘つきらしくないの
で、嘘つきは、「はい」と答えざるを得ない。

 もし、右が地獄に通じる道で、道案内が正直者のとき、正直者は、「いいえ」と答える。

 もし、右が地獄に通じる道で、道案内が嘘つきのとき、嘘つきらしい答えは、「はい」だが、
上の質問で、「はい」と言ってしまうと、正直者になってしまう。これは、嘘つきらしくないの
で、嘘つきは、「いいえ」と答えざるを得ない。

 したがって、上の質問をして、「はい」ならば右が天国に通じる道、「いいえ」ならば右が地
獄に通じる道だということが分かる。

(参考文献:吉田紀雄 著 入試数学と現代数学のあいだ (聖文社)
        野崎昭弘 著 詭弁論理学 (中公新書)
        野崎昭弘 著 逆説論理学 (中公新書))


(追記) 令和4年2月6日付け

 上記のタイプの論理パズルは1980年代から90年代にかけて流行した。特に、スマリヤン
の「正直村とウソつき村」の論理パズルが有名である。この種のパズルが流行した背景には、
ゲーデルによって1930年に発見された不完全性定理が1960年代になって世の中の話題
になるようになったことがあげられる。

 正直者が住むところを「天国」、嘘つきが住むところを「地獄」として、スマリヤン風に、上記
のパズルの解答をでっち上げると、

 どちらかの道を指さして、『 この道であなたの住むところに行けますか? 』と聞けば
よい

となる。


(追記) 当HPの掲示板「出会いの泉」に当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さん
    が「嘘も使いよう」と題して、上記の問題の類題を出題された。
                                       (平成26年1月30日付け)

 あなたは、さる独房に監禁されたものとする。その部屋には2つの扉があり、一方は赤、他
方は黒に色が塗られている。そして、一方の扉を開けて出て行くと、死が待ち構えており他方
の扉なら自由の身になるという。
(もちろん、あなたはどちらの扉が自由の身に繋がるものか知らない。)

 部屋の中央に電話機が置いてあり、「あなたは、この電話で一度相手に質問することがで
きます。ただし、電話口の向こうに出る人物は常に真実しか言わないTさんか常に嘘しか言
わないFさんかが対応します。どちらが相手になるかは分かりません。」とメモが書かれてい
る。

 さてあなたは、この貴重なる生死をかける一回の質問にどんな問いを発しますか?もちろ
ん、各相談者は扉やもう一人の相談者の素性は知っているものとする。



 カルピスさんが考察されました。(平成26年1月30日付け)

 「他方の相談者は、【あなたは、赤(または黒)の扉は、自由への身に繋がりますか?】と聞
いたら【はい】と答えますか?」と質問します。

 【いいえ】と答えが返ってきたら、その色のドアが、【はい】と答えが返ってきたら、反対のド
アが、自由への扉。


(コメント) 質問される自分の判断ではなく、「他方の相談者」の判断を考慮する必要性を感
      じないので、やはり質問としては上記と同様に、

   あなたは、「赤の扉が自由への道に繋がりますか?」と質問されれば、「はい」と
  答えますか?


でいいのではないでしょうか?「はい」と返答があったら、赤の扉が自由への道、「いいえ」と
返答があったら、赤の扉は死への道になります。


 とんくまさんからのコメントです。(平成26年1月30日付け)

 「あなたとは別の人に、『赤の扉は、死への道ですか?』と質問した場合、答えはYesですか
Noですか?」と、TとFに質問を直列(?)につなげれば、答えは常に嘘。

という答えで良いですか?(少し自信が有りません)


(追記) 平成18年10月16日付け

  当HPの掲示板「出会いの泉」に、平成18年10月1日付けで、加俊さんから次のような
 問題提起がなされた。

   答えがのっていないある問題集で、このような問題がありました。

  『 ある村には、常に嘘をつく嘘つき者、常に正直に答える正直者、そして、時々
   嘘をつき時々正直になるよくわからない者がいる。これらの人々を、見分ける
   方法を述べよ。』


 この問題に対して、当HPがいつもお世話になっている、らすかるさんが解答を寄せられ
た。(平成18年10月1日付け) らすかるさんに感謝いたします。
この時期、いくつかの研修会の講師を務めるなど超多忙で掲示板の方は、ROMに徹していました。
まとめるのが遅くなってしまって申し訳ないです!


(解) それぞれに対して、 「3人のうち、常に正直に答える正直者は1人ですか?」 と

   質問すると、正直者は「はい」、嘘つき者は「いいえ」と答える。

   もし、「はい」と答えた人が2人いれば、そのうちどちらかが「よくわからない者」である。

   2人のうちから1人を選んで、「いいえ」と答えた嘘つき者に

    「この人は常に正直に答える正直者ですか?」と聞く。

    このとき、 「はい」 と答えたら、その人は、「よくわからない者」である。

           「いいえ」 と答えたら、その人が「正直者」である。

   もし「いいえ」と答えた人が2人いれば、そのうちどちらかが「よくわからない者」である。

   2人のうちから1人を選んで、「はい」と答えた正直者に

    「この人は常に嘘をつく嘘つき者ですか?」と聞く。

    このとき、 「はい」 と答えたら、その人は、「嘘つき者」である。

           「いいえ」 と答えたら、その人が「よくわからない者」である。 (終)

(コメント) 素朴な疑問なのですが、村人は3人だけなんですかね?


(追記) 平成19年2月10日付け

 冒頭の問題を、もう少し考えやすい表現に言い換えると次のようになるらしい。

問題    前方に分かれ道があり、右が天国に通じ、左が地獄に通じている。分かれ道

 
に、2人の道案内が立っている。天国からきた人と地獄からきた人
であるが、外見上区別できない。天国からきた人は常に本当のこと
を言い、地獄からきた人は常に嘘を言う。

 今、ある人が、この分かれ道にさしかかった。この人は、道案内の
どちらか一方に一度しか質問できない。

道案内は、「はい」または「いいえ」としか答えない。

 この人が、正しく天国に通じる道に行くためには、どのような質問
をしたらよいだろうか?

 この場合は、どちらか一方を指さして、

   「こちらは、あなたがきたところですか?

と聞けば、天国へ通じる道かどうかが判断できる。

 質問した道案内が天国からきた人の場合は、示した道が天国へ通じる道かどうかを正し
く答えてくれる。

 質問した道案内が地獄からきた人の場合は、

    示した道が天国へ通じる道ならば、「あなたがきたところ」ではないので本当のことを
   言う人だったら「いいえ」だが、地獄からきた人は嘘を答えるので、「はい」と答えざるを
   得ない。

    示した道が地獄へ通じる道ならば、「あなたがきたところ」であるので本当のことを言
   う人だったら「はい」だが、地獄からきた人は嘘を答えるので、「いいえ」と答えざるを得
   ない。

 したがって、示した道に対して、「はい」なら、その道が「天国へ通じる道」であり、「いいえ」
なら、示した道と別の道が「天国へ通じる道」である。

(追記) 平成20年2月28日付け

 2月23日(土)に放送のあったNHK総合の「謎缶」(どうも再放送のよう...)で面白い論
理パズルを紹介していた。趣旨を生かして、若干設定を変えて考えてみよう。

 横一列に並ぶ A、B、C、D の4人が次のような証言をした。ただし、4人の内、一人のみ
が本当のことを言い、他の3人は嘘を言うものとする。また、男性は一人いるものとする。

  A:「私は、女性である。」
  B:「私の隣りに男性がいる。」
  C:「Bは男性である。」
  D:「Aは、嘘を言っている。」

 そこで、問題です。4人の内、男性は誰でしょうか?


 いま、Dさんが本当のことを言っているものとする。すると、A、B、C の証言は嘘なので、

  A:「私は、男性である。」
  B:「私の隣は、女性である。」
  C:「Bは、女性である。」

となるが、AとBの証言が矛盾しているので、Dさんは嘘を言っていることになる。

 すると、Aさんは本当のことを言っていることになり、B、C さんは嘘を言っていることに
なる。

 よって、

  A:「私は、女性である。」
  B:「私の隣は、女性である。」
  C:「Bは、女性である。」
  D:「Aは、本当のことを言っている。」

という証言から、男性は、Dさんであることが分かる。

(コメント) こういう論理パズルは、ちょっと苦手意識が前面に出てしまいますね!

 平成20年2月29日付けで、当HPがいつもお世話になっている、らすかるさんからメー
ルをいただいた。らすかるさんのご指摘で、文言に多少問題があることを気づかされた。
らすかるさんに感謝いたします。

 上記は、既に文言等を修正済みである。

 らすかるさんの手法を参考にさせていただくと、下記の表を作成して、男性を見いだすこ
ともできるようだ。この方が機械的な作業で簡単に答えが見つけられる。

Aの性別 Bの性別 Cの性別 Dの性別 証言A 証言B 証言C 証言D 嘘の人数
男性 男性 男性 男性 ×
男性 男性 男性 女性 ×
男性 男性 女性 男性 ×
男性 男性 女性 女性 ×
男性 女性 男性 男性 × ×
男性 女性 男性 女性 × ×
男性 女性 女性 男性 × ×
男性 女性 女性 女性 × ×
女性 男性 男性 男性 ×
女性 男性 男性 女性 ×
女性 男性 女性 男性 × ×
女性 男性 女性 女性 × ×
女性 女性 男性 男性 × ×
女性 女性 男性 女性 × ×
女性 女性 女性 男性 × × ×
女性 女性 女性 女性 × × ×

  ※ ○は本当、×は嘘の意味

 よって、「3人が嘘」という場合は下段の2通りあるが、「男性が一人だけ」という条件があ
るので、「Dが男性」という結果になる。

(追記) 平成21年5月8日付け

 当HPがいつもお世話になっている麻衣まいさんのブログ「新・かたつむりな日々」の記事
の中に面白い問題:数式も図形もない数学の問題が取り上げられた。

  【問題】  ここに「神様」、「悪魔」、「人間」が一者ずついる。

      「神様」は常に真実を言い、「悪魔」は常に嘘をつく。「人間」は状況により

      真実と嘘とを使い分けて言う。

       この三者を、A 、B 、C とし、それぞれが次のように発言した。

         A : 「私は神様ではない」

         B : 「私は悪魔ではない」

         C : 「私は人間ではない」

      このとき、A 、B 、C は何者になるかを特定せよ。


 この問題に対して、麻衣まいさんの解答は次のようであった。

   まず、「悪魔」は常に嘘をつくので、A や C が「悪魔」の発言ではないことがわかる。

  また、「神様」は常に真実を言うので、A が「神様」の発言ではないこともわかる。

   したがって、正解は、A が「人間」、B が「悪魔」、C が「神様」となる。


 麻衣まいさんのすばらしい解答に感動しました。麻衣まいさんは、この問題が数学の授業
で生徒に配布されたもので「数式も図形も全く出てこない数学の問題ってあるんですね〜!」
と驚かれているが、これは、数学というよりも論理学に分類される問題だと思います。多分、
数学の先生が、息抜きに生徒に考えさせるために用意したものではないでしょうか?

 私は、次のように考えました。

 三者の発言を表にまとめると、

 
 
神様  
悪魔  
人間  

 神様は、常に真実を言うので、「私は神様です」と発言していることになるBまたはCが神
様となる。

 ここで、注目すべき発言は、悪魔の発言だろう。上表の発言の否定を考えると、

 
 
神様    
悪魔    
人間    

 悪魔の発言の否定は必ず真実になるので、「私は悪魔です」と発言していることになるB
が悪魔となる。

 このとき、消去法により、Cが神様で、Aが人間となる。

(追記) 平成21年9月10日付け

 最近次のような論理の問題に遭遇した。

 犯人を含む5人の被疑者が次のような証言をした。犯人は一体誰であろうか?

ただし、5人の内、3人だけが真実を証言しているものとする。

         A : 「犯人はDである」

         B : 「私は無実である」

         C : 「Eは犯人ではない」


         D : 「Aの言うことは嘘である」

         E : 「Bの言うことは真実である」


 Aが真実を証言しているものとすると、Dが犯人で、他は無実となる。

このとき、B、C、Eも真実を証言していることになり、題意より、矛盾する。

 よって、Aの証言は嘘で、Dの証言は真実となる。

このとき、Bの証言が嘘とすると、Eの証言も嘘になり、題意より、矛盾するので、Bの証言

およびEの証言は真実となる。

 以上から、B、D、Eの3人だけが真実の証言をし、他のA、Cは嘘の証言をしている。

したがって、犯人は、Eである。


(追記) 平成25年12月4日付け

 論理パズルは公務員試験等に頻出ということもあるが、考えることが好きな人にとって最
高のパズルだろう。上記の加俊さんや麻衣まいさんの問題に類似するものに最近出会うこ
とができた。

 正直者は必ず真実を言い、嘘つきは必ず嘘をつく。普通の人間は、真実を言うときもあれ
ば嘘をつくときもある。

 今、広場に3人A、B、Cがいる。一人は正直者、一人は嘘つき、一人は普通の人間であ
る。

 3人の次のような発言を聞いて、A、B、Cが、「正直者」、「嘘つき」、「普通の人間」の何れ
であるか分かるだろうか?

 A:「私は正直者です。」

 B:「私は嘘つきです。」

 C:「私は普通の人間です。」

(参考文献: 石丸恵彦 著  論理パズル
       筑波大学付属駒場高校 数学科学研究会 編 「Cafe Boll Weck No.7」)


 Bが正直者とすると、Bの言うことは真実なので、Bは嘘つきとなり矛盾。Bが嘘つきとすると、
Bの言うことは嘘なのだが、「私は嘘つきです。」と真実を言っているので矛盾。

 よって、Bは普通の人間となる。このとき、Cは正直者または嘘つきとなるが、Cを正直者と
すると、Cは普通の人間となり、Bが普通の人間と矛盾するので、Cは嘘つきとなる。

 よって、Aが正直者となる。

(コメント) 正直者は必ず真実を言うので、「私は正直者です。」と言っているAが正直者であ
      ることは自明だろう。


 上記の問題をさらに深化させた次の問題も興味深い。

 正直者は必ず真実を言い、嘘つきは必ず嘘をつく。普通の人間は、真実を言うときもあれ
ば嘘をつくときもある。

 今、広場に3人A、B、Cがいる。一人は正直者、一人は嘘つき、一人は普通の人間であ
る。

 3人の次のような発言を聞いて、A、B、Cが、「正直者」、「嘘つき」、「普通の人間」の何れ
であるか分かるだろうか?

 A:「Bは正直者です。」

 B:「Cは嘘つきです。」

 C:「Aは普通の人間です。」


 Aが正直者とすると、Aの発言からBも正直者になり矛盾。よって、B、Cの何れかは正直者
だが、Aの発言からBは正直者でなく、Cが正直者。このとき、Aは普通の人間となり、Bは嘘
つきとなる。


(追記) 平成26年3月31日付け

 3月30日付け朝日新聞朝刊のコラム「高濱正伸の大人にも効く算数サプリ」に次のような
問題が出題された。

 「正直者」が1人以上いるように、8人が「嘘つき」と「正直者」の何れかに分かれた。8人が
何の役割か知らないある人が、「8人の中に『嘘つき』は何人いますか?」と8人に順に質問
したところ、
 「7人」、「7人」、「7人」、「4人」、「3人」、「3人」
と6人答えた時点で、誰が「正直者」か分かったという。さて、「正直者」は誰でしょう?
                                                 (一部改題)

(解) 「嘘つき」が7人と答えた3人が「正直者」とすると、「嘘つき」は最大で、8−3=5人。
  これは7人に足りず矛盾。

 「嘘つき」が4人と答えた1人が「正直者」とすると、「嘘つき」は最大で、8−1=7人。
 このとき、「嘘つき」が7人、3人と答えた5人は「嘘つき」となり、「嘘つき」が4人に矛盾。

 「嘘つき」が3人と答えた2人が「正直者」とすると、「嘘つき」は最大で、8−2=6人。
 このとき、「嘘つき」が7人、4人と答えた4人は「嘘つき」となり、「嘘つき」が3人に矛盾。

 以上から、答えてくれた6人は、何れも「嘘つき」となる。

 残りの2人の少なくとも一人が「正直者」となるが、一人でも「嘘つき」がいると、7人が「嘘
つき」になり、「嘘つき」が7人と答えた3人が「嘘つき」でなくなるので矛盾。

 したがって、残りの2人は何れも「正直者」であることが分かる。  (終)


(コメント) 新聞発表の解答では、「嘘つき」が1人、2人、5人、6人の場合に言及していま
      すが、若干遠回りの解答に感じましたので解答を少し整理させていただきました。


(追記) 令和元年7月15日付け

 読んだだけでは頭が混乱しそうな論理パズルに最近出会った。内容をよく精査すれば何
でもない問題だが、高校の授業ではあまりというかほとんど練習しないので、公務員試験の
問題集を勉強している方からよく質問を受ける。この手の問題は、やはり慣れが必要かな?

問題 5人A〜Eで100m競争をした。5人は、競争の後、次のように証言したという。

A: 私は4着で、Dは5着
B: 私は5着で、Cは4着
C: 私は4着で、Aは3着
D: 私は3着で、Bは2着
E: 私は3着で、Cは2着

 ただし、各人の証言で、1つは本当だが、もう1つは嘘を言っているという。

 さて、1着は誰だったのだろうか?


(解) 各人の証言を表にまとめて考えることにしよう。

1着 2着 3着 4着 5着
Aの証言      
Bの証言      
Cの証言      
Dの証言      
Eの証言      

 縦、横で、A、Cの絡みがあるので、そこから考え始めることにする。

 Cが4着でないとすると、Aが4着となる。このとき、Cの証言が2つとも嘘となり矛盾。

 よって、Cは4着、Dが5着、Bが2着、Eが3着と確定する。1着は、Aとなる。  (終)


 DD++さんからのコメントです。(令和元年7月16日付け)

 「Cが4着でないとすると、Aが4着となる」は誤りですね。AでもCでもない人が4着という可能
性はまだ否定しきれないので。正しくは「Aが4着と仮定する」ところからだと思います。


 らすかるさんからのコメントです。(令和元年7月16日付け)

 「A、Bの証言でどちらかの5着は嘘だから、どちらかの4着は本当。従って、Cが4着でないと
すると、Aが4着となる。」

が簡略化されているように思えました。


 DD++さんからのコメントです。(令和元年7月17日付け)

 そういえば、Bの発言は誤記かもしれないんでした。4位の誤記と信じて修正した文なら確
かにそうですね。それでも解説としては少し飛躍しているせいで誤解を招く書き方ではあるよ
うな気もしますね。


(コメント) 確かに、DD++さんの仰る通り、ちょっと推論を急ぎすぎました。らすかるさんの方
      法で、次のように推論をまとめてみました。

 ・Aの証言「Dは5着」が嘘、Bの証言「Bは5着」が嘘の場合、

  Aの証言「Aは4着」が本当、Bの証言「Cは4着」が本当となり、矛盾する。

 ・Aの証言「Dは5着」が嘘、Bの証言「Bは5着」が本当の場合、

  Aの証言「Aは4着」が本当、Bの証言「Cは4着」が嘘となる。このとき、Cの証言「Cは4着」
  が嘘であることから、Cの証言「Aは3着」が本当となり、これは矛盾する。

 ・Aの証言「Dは5着」が本当、Bの証言「Bは5着」が嘘の場合、

  Aの証言「Aは4着」が嘘、Bの証言「Cは4着」が本当となる。このとき、Cの証言「Cは4
  着」が本当であることから、Cの証言「Aは3着」が嘘となる。さらに、Dの証言「Dは3着」
  は嘘で、Dの証言「Bは2着」は本当となる。また、Eの証言「Cは2着」は嘘で、Eの証言
  「Eは3着」は本当となる。このとき、Aは1着となる。

 ・Aの証言「Dは5着」が本当、Bの証言「Bは5着」が本当の場合は起こりえない。

 以上から、1着は、Aとなる。


(追記) 令和3年5月17日付け

 同種の問題を、読者のために練習問題として残しておこう。

練習問題  5人A〜Eで100m競争をした。5人は、競争の後、次のように証言したという。

A: 私は5着で、Bは3着
B: 私は3着で、Cは4着
C: 私は3着で、Eは5着
D: 私は4着で、Bは1着
E: 私は4着で、Aは1着

 ただし、各人の証言で、1つは本当だが、もう1つは嘘を言っているという。

 さて、2着は誰だったのだろうか?


(解) 各人の証言を表にまとめて考えることにしよう。

1着 2着 3着 4着 5着
Aの証言      
Bの証言      
Cの証言      
Dの証言      
Eの証言      

 Cの証言「私は3着」が本当だとすると、Bの証言「私は3着」は嘘となり、その結果、「Cは

4着」が本当になる。これは矛盾するので、Cの証言「私は3着」は嘘となる。

このとき、「Eは5着」が本当で、Eの証言「私は4着」は嘘であることから、Eの証言「Aは1着」

が本当になる。すると、Aの証言「私は5着」は嘘となり、Aの証言「Bは3着」が本当になる。

 このとき、Dの証言「Bは1着」は嘘で、Dの証言「私は4着」が本当になる。

 以上から、2着はCとなる。  (終)


(追記) 令和元年7月18日付け

問題 A、B、Cのうち、2人は嘘つきで、1人は正直者である。3人が次のように証言した。

 A:私は正直者
 B:Aは嘘つき
 C:Bは嘘つき

 3人のうち、正直者は誰?


(解) ・Aが正直者だと仮定すると、B、Cは嘘つき
    Cは、「Bは嘘つき」と本当のことを言っているので、正直者となり、矛盾

・ Bが正直者だと仮定すると、A、Cは嘘つきで矛盾しない

・ Cが正直者だと仮定すると、A、Bは嘘つき
  Bは、「Aは嘘つき」と本当のことを言っているので、正直者となり、矛盾

 以上の推論から、正直者は、B


(追記) 令和元年7月19日付け

問題 1等、2等、3等が1本ずつ入っている袋からA、B、Cの順に1本ずつ引き、3人は次
   のように証言した。ただし、3人のうち2人は正しいことを言い、1人は嘘を言っているも
   のとする。

 A:私は、2等である
 B:私は、2等でない
 C:私は、1等である

(1) 嘘つきは誰か?  (2)A、B、Cの引いたくじは何か?

(解) Aが嘘つきで、B、Cが正直者とすると、Aが正しいことを言っていて矛盾

 Bが嘘つきで、A、Cが正直者とすると、Bが正しいことを言っていて矛盾

 Cが嘘つきで、A、Bが正直者とすると、矛盾がない

 よって、 (1) 嘘つきは、C  (2) Aは2等 、Bは1等 、Cは3等


(追記) 令和元年7月26日付け

問題 A君は今日が何曜日か分からない。そこで、B君、C君に聞いたところ、

 B君:「今日は金曜だよ」  C君:「今日は土曜だよ」

 2人が食い違ったことを言ったので、さらに「じゃ、明日は何曜日?」と聞き返した。

 B君:「明日は火曜だよ」  C君:「明日は月曜だよ」

 さらに、「じゃ、昨日は何曜日?」と聞くと、

 B君:「昨日は水曜だよ」  C君:「昨日は木曜だよ」

 傍らで3人の話を聞いていた常識人のD君は「B、C2人とも1つ正解で2つ間違っている」
と言う。

 果たして、今日は何曜日なのだろうか?

(解) 今日を基準に、B、C2人の話を整理すると、

  B: 金  月  木
  C: 土  日  金

 両者に共通の曜日は、「金曜日」なので、今日は、金曜日である。


(追記) 令和元年10月27日付け

問題 当たりくじ1本を含む5本のくじを、A、B、C、D、Eの5人が1本ずつ引いた。5人は
   次のように証言した。

 A:当たりは、BまたはC
 B:当たりは、AまたはC
 C:当たりは、AまたはB
 D:当たりは、CまたはE
 E:当たりは、DまたはE

 5人のうち2人が嘘をついているとき、当たりくじを引いたのは誰か?

(解) 当たりくじを引いたのは、Cである。実際に、

× × ×
× × ×
× × ×
× × ×
× × ×

 Aが当たりくじを引いたとすると、嘘つきが3人(A、D、E)
 Bが当たりくじを引いたとすると、嘘つきが3人(B、D、E)
 Dが当たりくじを引いたとすると、嘘つきが4人(A、B、C、D)
 Eが当たりくじを引いたとすると、嘘つきが3人(A、B、C)

  したがって、当たりくじを引いたのは、C


(追記) 令和元年10月28日付け

問題 A、B、C、D、Eの5人が徒競走をしたところ、A、B、Cは次のように証言した。

 A:「私の後ろに2人いた。」
 B:「私の前には2人以上いた。Dよりは前にいた。」
 C:「私のすぐ前にEがいた。」

 さて、5人の順位はどうなっているのだろう。

(解) 前から、E、C、A、B、D の順。実際に、

 A:「私の後ろに2人いた。」から、Aは第3位と確定。

 B:「私の前には2人以上いた。Dよりは前にいた。」ということから、Bは第4位、Dは第5位
と確定。

 C:「私のすぐ前にEがいた。」ということから、Cは第2位、Eは第1位と確定。  (終)


(追記) 令和2年5月28日付け

問題 A、B、C、Dの4人はそれぞれ1〜4組の何れかで、同じ組のものはいない。
   次のことが分かっているとき、確実に言えることは何か。

・Aは1組か2組の何れかである。
・Cは2組か4組の何れかである。
・Bは1組か2組の何れかである。
・2組はAかCの何れかである。

1.Aは1組である。
2.Cは2組である。
3.Dは3組である。


(解 ) クラスに入らない場合に注目して考えると、論理的に答えが導かれる。

   答えは、3.である。  (終)


 当HPがいつもお世話になっているHN「ks」さんから問題をいただきました。
                                         (令和2年6月4日付け)

 公務員試験からです。

 5組の夫婦の計10人がパーティーで握手をした。どの人も、同伴者、同じ人とは握手しない。

X氏が他の人に聞くと、皆異なる人数と握手したと答えた。X氏の妻は、何人と握手したか?


 らすかるさんからのコメントです。(令和2年6月4日付け)

 4人ですね。


(コメント) 図を書いて、実際に握手した状況をまとめてみました。

 握手は最大で8回。「皆異なる人数と握手した」ので、0〜8の9種類。

 握手したもの同士を線で結ぶと、次のようなグラフが得られる。

 考え方は、握手回数最大の8回がAだとして、後は順次反時計回りに考えればよい。

   

 上図のE、e がx氏夫妻で、X氏の妻は、4人と握手したことになる。


 ksさんからのコメントです。(令和2年6月5日付け)

 丁寧な解答、有難うございます。0%の食塩水や速度0の運動のように、0人と握手したと
いうのに違和感がありますが、常識ですか?


(追記) 令和2年8月14日付け

問題 A、B、C、Dの4人のテストの得点について、同点者はなく、次のことが分かっている
    とき、確実に言えることは何か。

・Aの得点はBの得点より高い。
・Dより得点の低い者が2人以上いる。
・Cの得点はBの得点より高い。

1.最も得点が高いのはDである。
2.Aの得点はCの得点より高い。
3.Dの得点はBの得点より高い。


(解 ) 条件より、起こり得る可能性は、

    B<A<C<D
    B<C<A<D
    B<A<D<C
    B<C<D<A

  以上から、確実に言えることは、 3.である。  (終)


(追記) 令和2年8月15日付け

問題 A、B、C、D、Eの5人が徒競走した。同順位の者はなく、次のことが分かっている
    とき、確実に言えることは何か。

・AはBより順位が2つ上。
・Cより順位が上の者が2人以上いる。
・CはDより順位が上。

1.Aは1位。
2.BよりEの順位は上。
3.Dは4位。


(解 ) 条件より、起こり得る可能性は、

    D<B<C<A<E
    D<C<B<E<A

  以上から、確実に言えることは、 2.である。  (終)


(追記) 令和2年8月18日付け

問題 A、B、C、Dの4人が卓球の試合をリーグ戦で行った。引き分けはなく、次のことが分
    かっているとき、確実に言えることは何か。

・Aは2勝1敗。
・Bは3敗した。
・CはAに負けた。

1.Dは3勝した。
2.CはDに勝った。
3.DはAに勝った。


(解 ) 条件より、起こり得る可能性は、

 
×
× × ×
×  
 

  以上から、確実に言えることは、 3.である。  (終)


(追記) 令和2年8月19日付け

問題 A、B、C、Dの4人が6人席の円卓に座る。ただし、1と5は空席とする。次のように
    4人が座るとき、確実に言えることは何か。

  

・Aの真向かいは空席。
・AとBの間は空席。
・Aの右隣りにC。

1.Aは2。
2.Bは6。


(解 ) 条件より、 Aは4、Bは6、Cは3、Dは2 に座る。

  以上から、確実に言えることは、 2.である。  (終)


(追記) 令和2年12月7日付け

問題 A、B、C、Dの4人が○×式のテストを5問解き、次のように解答した。正答数は表
    の通りとなった。各問いの正解が何であるかを定めよ。

 
問1 問2 問3 問4 問5 正答数
× ×
× × ×
× × × ×
×

(解 ) 問1 ×  問2 ×  問3 ○  問4 ○  問5 ×

 A、B合わせて正答数7なので、A、Bの共通の答(問3と問5)は正解である。

 残りの問1、問2、問4について、C、Dの共通の答(問2)が正解と仮定すると、C、D合わ

せての正答数を超えてしまうので矛盾。よって、問2は×が正解。Aは問2以外の4問が正

解なので、全問題の正解が明らかになった。  (終)


(追記) 令和3年5月19日付け

問題  ある事件について、3人A、B、Cが次のように証言した。

A:私はやっていないし、Cもやっていない。

B:私はやっていないし、Aもやっていない。

C:私はやっていないし、誰がやったかも知らない。

 3人とも証言の半分は本当のことを言い、半分は嘘を言っているという。

 さて、やった人は誰だろうか?

(解) 3人のうち、Cの証言が特異的である。すなわち、Cの証言「私はやっていない」が嘘

 とすると、「私はやった」となり、これは、「誰がやったかも知らない」という証言と矛盾する。

したがって、Cの証言「私はやっていない」は本当となるので、Aの証言「私はやっていない」

は嘘となる。よって、やった人は、Aである。このとき、Bの証言は矛盾しない。  (終)


(追記) 令和3年5月23日付け

問題  A〜Eの5人がくじを引いたところ、1人だけが当たったという。このとき、5人は、
    次のように証言した。

A:当たったのは、E。

B:私は当たっていない。

C:当たったのは、D。

D:Cが言ったのは嘘。

E:当たったのは、C

 5人のうち1人は本当のことを言い、他の4人は嘘を言っている。

 果たして、当たった人は誰だろうか?

(解) 5人のうち、CとDの証言が相反しているので、どちらかの証言は本当である。本当の

ことを言うのは1人だけなので、A、B、Eの証言は嘘となる。

 すなわち、当たった人は、Bであることが分かる。  (終)


(追記) 「真の命題」と題して、HN「くう」さんから問題を頂きました。(令和3年6月6日付け)

問題 次のA君からD君が、それぞれ以下のような発言をした。

A君:「D君は嘘つきだ」
B君:「C君は嘘つきだ」
C君:「A君かB君のどちらかが嘘つきだ」
D君:「A君かC君のどちらかが嘘つきだ」

 このとき、次ののアーエの命題で確実に真なものをすべて選びなさい。

ア.A君は嘘つきではない
イ.B君は嘘つきではない
ウ.C君は嘘つきである
エ.D君は嘘つきではない

上記の問題が分かる方、解くまでのプロセスをわかりやすく教えて下さい。


 らすかるさんからのコメントです。(令和3年6月6日付け)

 細かい仮定がありませんが、「嘘つきは必ず正しくない発言をする」と仮定します。

 A君の発言から、A君が正直ならD君は嘘つき、A君が嘘つきならD君は正直とわかります。

 B君の発言から、B君が正直ならC君は嘘つき、B君が嘘つきならC君は正直とわかります。

 この二つの発言によって、あり得るものは、

(1) A君が正直、B君が正直、C君が嘘つき、D君が嘘つき
(2) A君が正直、B君が嘘つき、C君が正直、D君が嘘つき
(3) A君が嘘つき、B君が正直、C君が嘘つき、D君が正直
(4) A君が嘘つき、B君が嘘つき、C君が正直、D君が正直

の4通りに絞られます。

 このうち、(3)は、C君の発言(AもBも嘘つきでない)と矛盾、(1)はD君の発言(AもCも嘘つきでない
と矛盾しますので、全員の発言と矛盾しないものは、

(2) A君が正直、B君が嘘つき、C君が正直、D君が嘘つき

(4) A君が嘘つき、B君が嘘つき、C君が正直、D君が正直

の二つです。よって、確実に真であるものは一つもありません。

 ただし、「○君と□君のどちらかが嘘つき」の意味を「○君と□君のどちらか一人だけが嘘
つき」と解釈した場合は、(4)がC君の発言(A、Bのどちらか一人だけが嘘つきでない)と矛盾すること
になって(2)だけが残りますので、確実に真であるものはアとなります。

# 数学では通常「○君か□君のどちらかが嘘つき」と言った場合、両方とも嘘つきである場
 合を含みますので、その意味では、真であるものは存在しません。もしマークシートなどで
 確実に一つだけ答えがあるならば、後者の解釈と考えられます。


(追記) 令和3年6月12日付け

問題 A、B、C、D、Eの5人が徒競走した。同順位の者はなく、5人が次のように証言した。
    5人とも証言の半分は本当のことを言い、半分は嘘を言っている。

A:私は4着で、Dは3着
B:私は3着で、Cは4着
C:私は4着で、Aは5着
D:私は5着で、Bは1着
E:私は5着で、Cは1着

 このとき、2着だったのは誰だろうか?

(解 ) 5人の証言を表にまとめると、

  1着 2着 3着 4着 5着
     
     
     
     
     

 Cについて、B、Cの2人が証言していることに着目する。

 Cの4着が嘘と仮定すると、Aの5着、Bの3着が本当になり、Bの1着は嘘、Dの5着は本
当になる。このとき、5着がA、Dの2人になり、同順位の者はないことに矛盾する。

 よって、Cの4着は本当になり、Bの3着は嘘、Aの4着と5着は嘘から、Dの3着は本当に
なる。このとき、Dの5着は嘘なので、Bの1着が本当になる。

 さらに、Cの1着は嘘なので、Eの5着が本当になる。

 以上から、 B:1着 、C:4着 、D:3着 、E:5着 となるので、2着はAとなる。  (終)


(追記) 令和4年6月23日付け

問題 A、B、C、Dの4人が徒競走をした。同順位の者はなく、4人が次のように証言した。
    ただし、1着・2着の人は本当のことを言い、3着・4着の人は嘘を言っている。

A:Bは2着
B:私は1着
C:私は4着
D:私は2着

 それぞれの順位はどうなっているのだろう?

(解 ) 4人の証言を表にまとめると、

  1着 2着 3着 4着
      
      
        
       

 1着・2着の人は本当のことを言い、3着・4着の人は嘘を言うことから、まず、Cは嘘つき。

 以下、場合分けをして考える。

 1着・2着の人が、A、Bのとき、Bが1着かつ2着となり矛盾するので、起こり得ない。

 1着・2着の人が、A、Dのとき、2着がBとDで矛盾するので、起こり得ない。

 1着・2着の人が、B、Dのとき、Bが1着でDが2着。このとき、AとCが言うことは嘘なので、
Cが3着、Aが4着となる。

 以上から、 A:4着 B:1着 、C:3着 、D:2着 となる。  (終)


(コメント) 着順で嘘つきと正直者に分かれるという問題設定は新鮮でした!


(追記) 令和4年6月24日付け

問題 A、B、Cの3人のうち、嘘つきは1人で、残り2人は本当のことを言う。今、3人が次の
    ように証言した。嘘つきは誰だろうか?

A:Bは嘘つき
B:Cは嘘つき
C:私は私は嘘つきでない

(解) B、Cの証言から、どちらかは嘘つきである。よって、Aは嘘つきでなく、本当のことを
   言っている。すなわち、Bは嘘つきで、Cは嘘つきでない。  (終)

(別解) Aは嘘つきとすると、Bは本当のことを言いCは嘘つきとなり、嘘つきは1人に矛盾

 Bは嘘つきとすると、Cは本当のことを言い、Aも本当のことを言っている。

 Cは嘘つきとすると、A、Bが本当のことを言っているので、Bも嘘つきになる。これは、嘘つ
きは1人に矛盾。

 以上から、嘘つきは、B である。  (終)


(コメント) 過去にも同様の問題をアップしていました...f(^^;)


(追記) 令和4年8月14日付け

問題 A、B、C、Dの4人が12個の饅頭を分け合って食べた。最も多く食べた人は1人だけ
   で、各人最低でも1個は食べた。4人が次のように証言した。

A:私とDで合計8個食べた。
B:Aは本当のことを言っている。
C:私とAで合計6個食べた。
D:私は4個食べた。

 ただし、饅頭を最も多く食べた人は嘘を言い、他の3人は本当のことを言うものとする。

 A、B、C、Dの4人が食べた饅頭の個数を求めよ。

(解) Aが最大個数食べたものとすると、Aは嘘つきで、Bも嘘つきとなり、嘘つきは一人に
   矛盾する。

 Bが最大個数食べたものとすると、Bは嘘つきで、Bの証言からAも嘘つきになるが、条件
から、Aは本当のことを言っているはずで、これは矛盾する。

 Cが最大個数食べたものとすると、 A+D=8 かつ D=4 から、A=4
このとき、B≧1なので、C≦3となり、Cが最大個数であることに矛盾する。

 Dが最大個数食べたものとすると、 A+D=8 、A+C=6 から、 D=C+2
C=1とすると、D=3で、A=5となり、Dが最大個数であることに矛盾する。

C=2とすると、D=4で、A=4となり、Dが最大個数であることに矛盾する。

C=3とすると、D=5で、A=3となり、B=1である。これは、題意を満たす。

したがって、それぞれが食べた饅頭の個数は、 A:3個、B:1個、C:3個、D:5個  (終)


(追記) 令和5年1月1日付け

問題 A、B、C、Dの4人が徒競走をした。4人の順位はバラバラで、4人は次のように証
   言した。

A:私の順位は、奇数番だった。
B:私とCの順位は一つ違いだった。
C:Bは3位だった。
D:私の順位は、Bより下だった。

 4人のうち3人は本当のことを言い、順位が3位の人だけが嘘を言っているとき、果たして
嘘つきは誰だろうか?

(解) Cが本当のことを言っているとすると、Bは3位で、嘘を言っていて、A、Dは本当のこ

 とを言っているので、証言から、

 1位:A 2位:C 3位:B 4位:D

となる。すると、BとCの順位は一つ違いとなり、Bは嘘を言っていないことになるので、矛盾。

 以上から、Cが嘘を言っていることになる。


(追記) 令和5年12月18日付け

問題 A、B、C、Dの4人でポッキーを合計12本食べた。食べた本数はバラバラで、1本〜
   7本の間の数である。4人は次のように証言した。

A:私はちょうど3本食べた。
B:4本食べた人はいない。
C:私の食べた本数より少ない人が一人いた。
D:私はちょうど5本食べた。

 4人のうち一番多く食べた人だけが嘘つきで、他の3人は本当のことを言っているとき、果
たしてA、B、C、Dの4人は何本ずつ食べたのだろうか。

(参考) サンデー毎日 ’23 12.31/’24 1.7 合併号

(解) 食べた本数は、A:3本、B:1本、C:2本、D:6本

 実際に、Aが嘘つきとすると、他の3人は本当のことを言ってるので、Aの食べた本数は、

 6本 または 7本 で、ポッキーを食べられなかった人が出てしまい、これは題意に矛盾。

 よって、Aは本当のことを言っている。

 Bが嘘つきとすると、他の3人は本当のことを言ってるので、Aの食べた本数は、3本、Bの

食べた本数は、4本、Dの食べた本数が5本で、ポッキーを食べられなかった人が出てしまい、

これは題意に矛盾。

 よって、Bは本当のことを言っている。

 Cが嘘つきとすると、他の3人は本当のことを言ってるので、Aの食べた本数は、3本、Bの

証言から4本食べた人はいない。Dの食べた本数が5本で、Cの食べた本数は、6本 または

7本 で、食べたポッキーの本数が12本を超えてしまい、これは題意に矛盾。

 よって、Cは本当のことを言っている。

嘘つきは必ず一人いるので、Dが嘘つきとなる。他の3人は本当のことを言っているので、

食べた本数は、Aが3本で、Bの証言から4本食べた人はいないので、Dの食べた本数は、

6本 または 7本 となるが、7本とすると、食べた本数が1本と1本で重なってしまうので

不適。よって、Dの食べた本数は、6本で、Bは、1本、Cは2本 と確定する。  (終)



   以下、工事中!