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066 令和6年度前期  東京大学   理系 ・・・  整数(数A)  やや難

東京大学 前期理系(2024)

第6問 2以上の整数で、1とそれ自身以外に正の約数を持たない数を素数という。以下の
 問いに答えよ。

(1) F(x)=x3+10x2+20x とする。F(n)が素数となるような整数nをすべて求めよ。

(2) a、bを整数の定数とし、G(x)=x3+ax2+bx とする。G(n)が素数となるような整数n
 の個数は、3個以下であることを示せ。


京都大学前期文・理系の類題ではと、当HPがいつもお世話になっているHN「よおすけ」さん
 からご指摘いただきました。(令和6年3月2日付け)

 確かに、京都大学では頻出の問題形式ですね!

(解)(1) F(n)=n3+10n2+20n=n(n2+10n+20) が素数であることから、

 n=±1 または、 n2+10n+20=±1

が成り立つ。

 n=1のとき、 F(1)=31 は素数

 n=−1のとき、 F(−1)=−11 は負数となり、素数にはならない。

 n2+10n+20=1 すなわち、 n2+10n+19=0 のとき、

 判別式D/4=25−19=6 より、n2+10n+19=0 は整数解を持たない。

 n2+10n+20=−1 すなわち、 n2+10n+21=0 のとき、

 (n+3)(n+7)=0 より、 n=−3、−7

 このとき、F(−3)=3、F(−7)=7 はともに素数である。

以上から、求めるnは、 n=1、−3、−7

(2) (1)と同様にして、

 G(n)=n3+an2+bn=n(n2+an+b) が素数であることから、

 n=±1 または、 n2+an+b=±1

が成り立つ。

 n=1 のとき、 G(1)=a+b+1 が素数となる場合がある。

 n=−1 のとき、 G(−1)=a−b−1 が素数となる場合がある。

 n2+an+b=1 すなわち、n2+an+b−1=0 を満たす素数 n>0 がある場合がある。

 n2+an+b=−1 すなわち、n2+an+b+1=0 を満たす素数 m>0 があれば、

 n=−m と書ける。すなわち、 m2−am+b+1=0

ここで、 n2+an+b−1=0 、m2−am+b+1=0 がともに成り立つと仮定すると、

 n2+an+b−1−(m2−am+b+1)=0 即ち、(n+m)(n−m)+a(n+m)−2=0

より、 (n+m)(n−m+a)=2 が言える。

ところが、 n+m≧4 より、上式を満たす整数 n、m、a は存在しない。

 以上から、n2+an+b−1=0 、m2−am+b+1=0 がともに成り立つことはない。

ここで、

 H(n)=n2+an+b−1=0 を満たす2以上の正数解が2個存在する場合、

  H(−1)=−a+b>0 から、a−b<0 なので、a−b−1 が素数となることはない。

 H’(m)=m2−am+b+1=0 を満たす2以上の正数解が2個存在する場合、

  H’(1)=−a+b+2>0 から、a−b<2 なので、a−b−1 が素数となることはない。

 以上から、G(n)が素数となるような整数nの個数は、3個以下である。  (終)



  以下、工事中!