063 | 令和3年度 | 防衛医科大学 | 医学部 | ・・・ | 種々の問題 | 標準 |
062で初めて防衛医科大学校の入試問題を拝見して、もっと問題を解きたくなった。令和
4年度では、T.〜Y.が短答式の問題、Z.が記述式の問題であったが、令和3年度まで
は、短答式の数学(1)と記述式の数学(2)に分かれていた。
択一式の数学(1)では15題90分、記述式の数学(2)では4題100分で、それほど易しく
ない問題が並んでいる印象で、相当な計算力が要求されているように感じる。
防衛医科大学校 医学教育部(2021)
(択一式)
T. a=√(14−6) と正の実数 k について、4/(ka)の整数部分が1になるような
k の値の範囲は、α<k≦βである。また、4/(ka)の整数部分が2で小数部分が0
以上0.5以下になるような k の値の範囲は、γ≦k≦δである。
このとき、以下の問いに答えよ。
(1) 積αβの積を求めよ。
(2) 積γδの値を求めよ。
(解)(1) a=3− より、 1/a=(3+)/4 から、 4/a=3+
題意より、 1≦4/(ka)<2 すなわち、 2/a<k≦4/a
したがって、 α=2/a 、β=4/a より、 αβ=(3+)2/2=7+3
(2) 題意より、 2≦4/(ka)≦2.5 すなわち、 8/(5a)≦k≦2/a
したがって、 γ=8/(5a)=(6+2)/5 、δ=2/a=(3+)/2 より、
γδ=(3+)2/5=(14+6)/5 (終)
(コメント) 「整数部分」「小数部分」の処理の仕方がポイントかな?
U. AB=3の△ABCにおいて、点Aから直線BCにおろした垂線と直線BCの交点をDとす
る。DC=3−3/2、∠ABC=2θ、∠CAD=θとするとき、以下の問いに答えよ。
(1) 辺ACの長さをθで表せ。
(2) △ADCの3辺の長さの和を求めよ。
(解)(1) AD=3sin2θ=6sinθcosθ より、AC=AD/cosθ=6sinθ
(2) △ADCの3辺の長さの和は、 6sinθcosθ+6sinθ+3−3/2
ここで、 6sinθ・sinθ=6sin2θ=3−3/2=(6−3)/2 より、
sin2θ=(6−3)/12=(12−2√27)/24
よって、 sinθ=(3−)/2 、cosθ=(3+)/2 より、
sinθcosθ=1/4 なので、
△ADCの3辺の長さの和は、
3/2+(3−3)/2+3−3/2=3(3−−+)/2 (終)
(コメント) 単純な三角比の計算で難しくはない。
V. 実数 x の関数 F(x)=8x−5・4x+2x+2+k(5・2x−4x−4) (kは正の定数)につ
いて、以下の問いに答えよ。
(1) x の方程式 F(x)=0 の実数解がちょうど2つになるようなkの値は2つ存在する。
この2つのkの値の和を求めよ。
(2) x の方程式 F(x+1)=0 の実数解がちょうど2つになるとき、その2解の積を求めよ。
(解)(1) 2x=X とおくと、 X3−5X2+4X+k(5X−X2−4)=0 より、
(X−k)(X−1)(X−4)=0
題意より、 k=1、4 なので、その和は、 1+4=5
(2) 2x+1=Y とおくと、 (Y−k)(Y−1)(Y−4)=0
題意より、 Y=1、4 なので、 2x+1=1、4 より、 x=−1、1
よって、2解の積は、 (−1)×1=−1 (終)
W. 関数F(x)=x4−(2a−6)x3+(a2−6a+10)x2−(2a−6)x+1 (aは実数の定数)
について、以下の問に答えよ。
(1) x が0ではない実数であるとき、数式 x+1/x の取りうる値の範囲を求めよ。
(2) x の方程式 F(x)=0 の解がすべて実数になるような a の値の範囲を求めよ。
(解)(1) x>0 のとき、相加平均と相乗平均の関係から、 x+1/x≧2
x<0 のとき、x=−t とおくと、t>0 なので、t+1/t≧2 即ち、(−t)+1/(−t)≦−2
よって、 x+1/x≦−2
以上から、 x+1/x ≦−2、2≦x+1/x
(2) x4−(2a−6)x3+(a2−6a+10)x2−(2a−6)x+1=0 において、x≠0 なので、
x2−(2a−6)x+a2−6a+10−(2a−6)/x+1/x2=0
すなわち、 (x+1/x)2−(2a−6)(x+1/x)+a2−6a+8=0
x+1/x=X とおくと、 X2−(2a−6)X+a2−6a+8=0
(X−(a−2))(X−(a−4))=0 より、 X=a−2 、a−4
(1)より、X≦−2、2≦X なので、題意を満たすためには、
a−4<a−2≦−2 または、 2≦a−4<a−2
よって、 a≦0 または 6≦a (終)
X. 座標空問上の点Pは、実数θを用いて、P(cosθ,sinθ,0) と表され、点Qは実数 s と
t を用いて、Q(3s2,t,3s−s3) と表される。このとき、以下の問いに答えよ。
(1) s が −≦s≦ の範囲の値を取りながら変化するとき、Qの z 座標の最大値
を求めよ。
(2) θ=π/6 とする。s が −≦s≦ の範囲の値を取りながら変化し、t が実数の
範囲の値を取りながら変化するとき、.PとQの距離の最小値を求めよ。
(解)(1) y=3s−s3 とおくと、 y’=3−3s2=0 から、s=±1
このとき、s=± で、y=0 なので、s=1で、y は極大かつ最大になる。最大値は、2
(2) θ=π/6 のとき、P(/2,1/2,0) である。.PとQの距離をLとおくとき、
L2=(3s2−/2)2+(t−1/2)2+(3s−s3)2
=(t−1/2)2+s6+3s4+(9−3)s2+3/4
ここで、s2=u とおくと、 0≦u≦3 で、 y=u3+3u2+(9−3)u+3/4
微分して、 y’=3u2+6u+(9−3)
さらに、微分して、 y”=6u+6 となるが、0≦u≦3 において、 y”>0 から、
y’は単調に増加する。u=0 のとき、 y’=9−3>0 から、0≦u≦3 において、
y’>0 で、yは単調に増加する。u=0 のとき、 y=3/4 から、 y≧3/4
また、(t−1/2)2≧0 なので、 L2≧3/4 となり、Lの最小値は、/2 (終)
Y. 次の問いに答えよ。ただし、i は虚数単位とする。
(1) 複素数ω=(−1+i)/2 とする。複素数 a、b が、a=3ω2+ω、b=ω2+3ω
であるとき、a3+b3 の値を求めよ。
(2) {(2−+i)/(2−−i)}12 の値を求めよ。
(3) 複素数 an=((−)/2+i・(+)/2)n が実数となる自然数nの最小値
を求めよ。
(解)(1) ωは1の3乗根なので、 ω2+ω+1=0 、ω3=1 が成り立つ。このとき、
a+b=4ω2+4ω=−4
ab=(3ω2+ω)(ω2+3ω)=3ω+9+1+3ω2=10−3=7
なので、 a3+b3=(a+b)3−3ab(a+b)=−64+84=20
(2) (2−+i)/(2−−i)=(−1+i)/(−1−i)=(−1+i)/
よって、 与式=(cos(3π/4)+i・sin(3π/4))12=cos(9π)+i・sin(9π)=−1
(3) an=2n(cos(5nπ/12)+i・sin(5nπ/12)) が実数となるためには、
sin(5nπ/12)=0 であればよい。
すなわち、nは12の倍数なので、最小値は、12 (終)
Z. 座標平面上に、原点O、点A(1,0)、B(1,1)、C(0,1) を頂点とする正方形OABCが
ある。OABCの内部(境界を含む)をSとする。また、曲線 y=−x2+a2 (a≧0) と x 軸
で囲まれる領域(境界を含む)をT(a)、SとT(a)の共通部分の面積をh(a)とする。このとき、
以下の問いに答えよ。
(1) ∫01 h(a)da の値を求めよ。
(2) ∫1 ah(a)da の値を求めよ。
(解)(1) h(a)=∫0a (−x2+a2)dx=[−x3/3+a2x]0a=2a3/3 なので、
∫01 h(a)da=(2/3)∫01 a3da=1/6
(2) −x2+a2=1 のとき、 x=√(a2−1) なので、
h(a)=1−∫√(a2−1)1 (1+x2−a2)dx
=1−[x3/3+(1−a2)x]√(a2−1)1=a2−1/3−(2/3)(a2−1)√(a2−1)
よって、
∫1 ah(a)da
=∫1 (a3−(1/3)a−(2/3)a(a2−1)√(a2−1))da
=∫1 (a3−(1/3)a)da−(2/3)∫1a(a2−1)√(a2−1))da
ここで、 ∫1 (a3−(1/3)a)da=[a4/4−(1/6)a2]1=7/12
∫1a(a2−1)√(a2−1))da において、a2−1=t とおくと、2ada=dt で、
∫1a(a2−1)√(a2−1))da=(1/2)∫01t√tdt=1/5
よって、∫1 ah(a)da=7/12−2/15=9/20 (終)
(記述式)
1.以下の問いに答えよ。
(1) 2345 を30で割った余りはいくらか。
(2) a1=3、an+an+1=n2+2n+3 (n=1、2、3、・・・) で定義される数列{an}について、
a2m−a2m-1 をmを用いて表せ。ただし、mは自然数である。
(3) AB=6、BC=4、CA=8 である△ABCの内心を I とする。また、△ABCの内接円と
辺BCの接点をDとする。このとき、△ADI の面積はいくらか。
(解)(1) 25=32≡2 (mod 30) なので、
2345=(25)69≡269=(25)13・24≡217=(25)3・22≡25≡2 (mod 30)
よって、2345 を30で割った余りは、2
(2) a1=3、an+an+1=n2+2n+3 より、a2=3、a3=8 である。
bn=an+1−an とおくと、 b1=0 、b2=5 で、 bn+bn+1=2n+3
cn=bn+1−bn とおくと、 c1=5 で、 cn+cn+1=2
よって、 cn+1−1=−(cn−1) を解いて、 cn−1=4(−1)n-1
すなわち、 cn=1+4(−1)n-1 である。
n≧2 のとき、 bn=b1+Σk=1n-1 ck=n+1−2(−1)n-1
この式は、n=1のときも成り立つ。
n≧2 のとき、 an=a1+Σk=1n-1 bk=(n2+n+2)/2+(−1)n-1
この式は、n=1のときも成り立つ。
このとき、 a2m=2m2+m 、a2m-1=2m2−m+2 なので、
a2m−a2m-1=2m−2 となる。
(3) 題意より、下図を得る。
s=(6+4+8)/2=9 より、△ABC=√(9・3・5・1)=3
よって、内接円の半径 r は、 9r=3 より、 r=/3
また、BD=x とおくと、 8−(6−x)+x=4 より、 x=1
このとき、四角形ABDI の面積=6r/2+r/2=7/6
また、cosB=(36+16−64)/48=−1/4 なので、 sinB=/4
よって、△ABD=(1/2)・6・1・/4=3/4 なので、
△ADI =(四角形ABDI の面積)−△ABD=7/6−3/4=5/12 (終)
2.A、B、C、D の4人で、すペて種類の異なる果物k個を分ける。ただし、果物をもらえない
者が現れる分け方についても、果物を4人で分けたと考える。
このとき、以下の問いに答えよ。
(1) k=5 のとき、果物の分け方は何通りあるか。
(2) k=9 のとき、A、B、C、D の4人のうち、1人が0個、残りの3人は少なくとも2個以上
もらえる果物の分け方は何通りあるか。
(3) k=6 のとき、A、B、C、D の4人のうち、1人が0個、残りの3人は少なくとも1個以上
もらえる果物の分け方は何通リあるか 。
(4) A、B、C、D、E の5人で、すべて種類の異なる果物k0個を分けるとする(k0>4)。
このとき、5人のうち、1人が0個、残りの4人は少なくとも1個以上もらえる果物の分け方
の総数を Σi=14 ai・ik0 と表すとする。ここで、ai (i = 1、2、3、4) はk0に無関係な値で、た
だ1通りに定まる。このとき、a3 の値はいくらか。
(解)(1) 4個から重複を許して5個選ぶ場合の数は、 45=1024(通り)
(2) A=0 のとき、 B+C+D=9 より、起こり得る場合は、
(B,C,D)=(2,2,5)、(2,3,4)、(2,4,3)、(2,5,2)、(3,2,4)、(3,3,3)、
(3,4,2)、(4,2,3)、(4,3,2)、(5,2,2)
(B,C,D)=(2,2,5)のとき、 9C2・7C2・5C5=756(通り)
(B,C,D)=(2,3,4)のとき、 9C2・7C3・4C4=1260(通り)
(B,C,D)=(2,4,3)のとき、 9C2・7C4・3C3=1260(通り)
(B,C,D)=(2,5,2)のとき、 9C2・7C5・2C2=756(通り)
(B,C,D)=(3,2,4)のとき、 9C3・6C2・4C4=1260(通り)
(B,C,D)=(3,3,3)のとき、 9C3・6C3・3C3=1680(通り)
(B,C,D)=(3,4,2)のとき、 9C3・6C4・2C2=1260(通り)
(B,C,D)=(4,2,3)のとき、 9C4・5C2・3C3=1260(通り)
(B,C,D)=(4,3,2)のとき、 9C4・5C3・2C2=1260(通り)
(B,C,D)=(5,2,2)のとき、 9C5・4C2・2C2=756(通り)
以上の合計は、11508通り
B=0、C=0、D=0 の場合も同様で、求める場合の数は、11508×4=46032(通り)
(3) A=0 のとき、 B+C+D=6 より、起こり得る場合は、
(B,C,D)=(1,1,4)、(1,2,3)、(1,3,2)、(1,4,1)、(2,1,3)、(2,2,2)、
(2,3,1)、(3,1,2)、(3,2,1)、(4,1,1)
(B,C,D)=(1,1,4)のとき、 6C1・5C1・4C4=30(通り)
(B,C,D)=(1,2,3)のとき、 6C1・5C2・3C3=60(通り)
(B,C,D)=(1,3,2)のとき、 6C1・5C3・2C2=60(通り)
(B,C,D)=(1,4,1)のとき、 6C1・5C4・1C1=30(通り)
(B,C,D)=(2,1,3)のとき、 6C2・4C1・3C3=60(通り)
(B,C,D)=(2,2,2)のとき、 6C2・4C2・2C2=90(通り)
(B,C,D)=(2,3,1)のとき、 6C2・4C3・1C1=60(通り)
(B,C,D)=(3,1,2)のとき、 6C3・3C1・2C2=60(通り)
(B,C,D)=(3,2,1)のとき、 6C3・3C2・1C1=60(通り)
(B,C,D)=(4,1,1)のとき、 6C4・2C1・1C1=30(通り)
以上の合計は、540通り
B=0、C=0、D=0 の場合も同様で、求める場合の数は、540×4=2160(通り)
(4) A=0 のとき、 B+C+D+E=k0 で、起こり得る場合は、N=4k0(通り)である。
B、C、D、Eは少なくとも1個以上もらえるので、B、C、D、Eのそれぞれが1個ももらえない
場合を、b、c、d、e で表すと、求める場合の数は、N−n(b∪c∪d∪e) (通り)
ここで、個数定理から、
n(b∪c∪d∪e)
=n(b∪c∪d)+n(e)−n((b∪c∪d)∩e)
=n(b)+n(c)+n(d)−n(b∩c)−n(c∩d)−n(b∩d)+n(b∩c∩d)+n(e)
−n((b∪c∪d)∩e)
=n(b)+n(c)+n(d)−n(b∩c)−n(c∩d)−n(b∩d)+n(b∩c∩d)+n(e)
−n((b∩e)∪(c∩e)∪(d∩e))
=n(b)+n(c)+n(d)−n(b∩c)−n(c∩d)−n(b∩d)+n(b∩c∩d)+n(e)
−n(b∩e)−n(c∩e)−n(d∩e)+n(b∩c∩e)+n(c∩d∩e)+n(b∩d∩e)
−n(b∩c∩d∩e)
=n(b)+n(c)+n(d)+n(e)
−n(b∩c)−n(c∩d)−n(b∩d)−n(b∩e)−n(c∩e)−n(d∩e)
+n(b∩c∩d)+n(b∩c∩e)+n(c∩d∩e)+n(b∩d∩e)
−n(b∩c∩d∩e)
ここで、a3・3k0 を求めるには、k0 個を4人のうちの3人に分ける場合を考えればよいので、
−(n(b)+n(c)+n(d)+n(e))=−4・3k0 である。
よって、 a3=−4×5=−20 となる。 (終)
以下、工事中!