戻る
062 令和4年度  防衛医科大学   医学部 ・・・ 種々の問題  標準

 少々骨のある7題を、90分で解かなければならないという、かなりハードな入試形態である。
最後の1問を除いて、解答のみというスタイルで、テキパキと問題を要領よく処理する力が要
求される。医者として期待される人物像なんだろう。


防衛医科大学校 医学教育部(2022)

T. ∠CAB=π/10、∠ABC=π/2の直角三角形ABCにおいて、辺AB上に AD=CD=4
   となる点Dがあるとする。このとき、次の問いに答えよ。

  

(1) BDの長さを求めよ。
(2) △ABCの外接円の半径をR、BCの長さを a とするとき、積 Ra の値を求めよ。


(解)(1) ∠CAB=θとおくと、BD=4cos2θ

 5θ=π/2 より、 3θ=π/2−2θ なので、 cos3θ=cos(π/2−2θ)=sin2θ

このとき、 4cos3θ−3cosθ=2sinθcosθ で、cosθ≠0 より、

 4cos2θ−3=2sinθ すなわち、 4sin2θ+2sinθ−1=0

よって、 sinθ=(−1±)/4 で、 sinθ>0 なので、 sinθ=(−1+)/4

 このとき、 cos2θ=1−2sin2θ=(1+)/4 より、 BD=1+

(2) R=4cosθ で、 cos2θ=1−sin2θ=(5+)/8

 a=2Rsinθ=8sinθcosθ なので、

 Ra=32sinθcos2θ=32・(−1+)/4・(5+)/8=4  (終)


 防衛医科大学校(2022)の他の問題について、興味・関心のあるものを眺めてみよう。

U. 2次方程式 x2+ax+b=0 (a、bは実数の定数)の異なる2解α、βが.ある実数の
  定数 c を用いて、

 α=(√(c−1)+√(c+8))/(√(c−1)−√(c+2))

 β=(√(c−1)−√(c+8))/(√(c−1)+√(c+2))

と表されるとする。

 α=−3のとき、a の値を求めよ。このとき、c は有理数となり、c=n/m (n、mは互いに

素な自然数)と表すことができる。m+nの値を求めよ。

(解) 解と係数の関係から、 α+β=−a 、αβ=b

 このとき、 αβ=((c−1)−(c+8))/((c−1)−(c+2))=3

 α=−3 なので、 −3β=3 より、 β=−1

 よって、 −a=α+β=−4 より、 a=4 となる。

このとき、 (√(c−1)+√(c+8))/(√(c−1)−√(c+2))=−3

 (√(c−1)−√(c+8))/(√(c−1))=−1 から、

 4√(c−1)−3√(c+2)+√(c+8)=0

 2√(c−1)+√(c+2)−√(c+8)=0

辺々加えて、 6√(c−1)−2√(c+2)=0 より、 3√(c−1)=√(c+2)

両辺を平方して、 9(c−1)=c+2 から、 c=11/8

 c=n/m なので、 m+n=19 となる。  (終)


V. (→ 参照:「絶対値について」)


W. 複素数平面上で、複索数 z が方程式 |z|=1 を満たして動くとき、複索数

 w=(−i)/z が描く図形を求めよ。また、複素数 α(αキ0)、β=1/α について、αが

|α−(2+i)|=2 を満たして動くとき、点αが描く図形をC1、点βが揺く図形をC2とする。

C1、C2の図形の内部の共通部分の面積を求めよ。ただし、i は虚数単位である。

(解) |w|= より、w が描く図形は、原点中心で半径の円である。

 また、 |1/β−(2+i)|2=4 より、 (1/β−(2+i))(1/−(2−i))=4

展開して、 1/β−(2−i)/β−(2+i)/+1=0

よって、 β−(2+i)β−(2−i)+1=0 より、 |β−(2−i)|=2

 以上から、C1 の中心O1は、2+i で半径は2

 C2 の中心O2は、2−i で半径は2 となるので、 C12=2 から、C1、C2の交点を

A、Bとすると、 △C12A と △C12B はともに一辺の長さが2の正三角形となる。

よって、求める面積は、 2(4π×(1/3)−(1/2)・4・(/2))=8π−2  (終)


X. 四角形ABCDは点Oを中心とする半徒1の円に内接し、∠Aと∠C、∠Bと∠Dはそれ
  ぞれ対角であり、BC=CD、24OA+7OB+25OD を満たしている。

  ∠BAD=α、∠ABD=β とするとき、cosα、cosβを求めよ。

  また、Cから直線ABに下ろした垂線とABの交点をHとするとき、CHの長さを求めよ。

(解) 24OA+7OB+25OD より、(24OA+7OB)/(7+24)=−(25/31)OD

よって、線分ABを7:24に内分する点をEとおくと、 OE=−(25/31)OD

このことから、以下の図を得る。

  

 図より、 0<2α<π 、0<2β<π なので、 0<α<π/2 、0<β<π/2

また、 ∠CBD=∠CDB=θ とおくと、2θ+π−α=π より、 θ=α/2 と表せる。

さらに、 |7OB+25OD2=576|OA2 より、

 49+350OBOD+625=576 なので、 OBOD=−7/25

 よって、 cos2α=−7/25 すなわち、 2cos2α−1=−7/25 より、

 cos2α=9/25  ここで、0<α<π/2 より、 cosα>0 なので、 cosα=3/5

また、 |24OA+7OB2=625|OD2 より、

 576+336OAOB+49=625 なので、 OAOB=0 から、OAOB

よって、2α+2β+π/2=2π より、 β=3π/4−α なので、

 cosβ=cos(3π/4−α)=−(1/)cosα+(1/)sinα

ここで、 cosα=3/5 のとき、 sinα=4/5 なので、

 cosβ=−(1/)(3/5)+(1/)(4/5)=(1/)(1/5)=/10

 次に、CH=AC・sin(α/2) において、

 sin2(α/2)=(1−cosα)/2=1/5 より、 sin(α/2)=/5

 正弦定理より、AC/sin(β+θ)=2 なので、AC=2sin(β+θ)=2sin(β+α/2)

よって、

AC=2(sinβcos(α/2)+cosβsin(α/2))

 =2((7/10)(2/5)+(/10)(/5))

 =2(7/25+/50)

 =3/5

したがって、 CH=(3/5)(/5)=3/5  (終)


(コメント) 見た目以上にハードな計算でした...。


Y. 関数F(x)=cos(log(1/x)) (0<x≦1、kは自然数) について、F(x)=0を満た
  す x を大きい順に a0、a1、a2、・・・ と表すものとする。

 k=2 のとき、 limn→∞Σm=0 を求めよ。

 また、k=3 のとき、 ∫43 F(x)dx を求めよ。

(解) k=2 のとき、 cos(log(1/x2))=0 より、

  log(1/x2)=(2n+1)π/2 (n=0、1、2、・・・)

 −2log(x)=(2n+1)π/2 (n=0、1、2、・・・) より、 x=1/e^{(2n+1)π/4}

 大きい順に並べて、 a=1/e^{(2n+1)π/4} となる。

このとき、limn→∞Σm=0=limn→∞Σm=0 1/e^{(2m+1)π/4} において、

 初項 1/e^(π/4) 、公比 1/e^(π/2) の無限等比級数なので、

 0<1/e^(π/2)<1 より収束し、その和は、

 limn→∞Σm=0=1/e^(π/4)×1/(1−1/e^(π/2))=e^(π/4)/(e^(π/2)−1)

k=3 のとき、 cos(log(1/x3))=0 より、

  log(1/x3)=(2n+1)π/2 (n=0、1、2、・・・)

 −3log(x)=(2n+1)π/2 (n=0、1、2、・・・) より、 x=1/e^{(2n+1)π/6}

 大きい順に並べて、 a=1/e^{(2n+1)π/6} となる。

このとき、 a4=1/e^(3π/2) 、a3=1/e^(7π/6) である。

よって、 ∫43 F(x)dx=∫1/e^(3π/2)1/e^(7π/6) cos(log(1/x3))dx において、

log(1/x3)=θとおくと、 x=e^(−θ/3) なので、 dx=−(1/3)e^(−θ/3)dθ

x=a4=1/e^(3π/2) のとき、 θ=log(e^(9π/2))=9π/2

x=a3=1/e^(7π/6) のとき、 θ=log(e^(7π/2))=7π/2

よって、

与式=−(1/3)∫9π/27π/2 cosθ・e^(−θ/3)dθ=(1/3)∫7π/29π/2 cosθ・e^(−θ/3)dθ

ここで、 I=∫7π/29π/2 cosθ・e^(−θ/3)dθ とおくと、

 I=[sinθ・e^(−θ/3)]7π/29π/2+(1/3)∫7π/29π/2 sinθ・e^(−θ/3)dθ

 =e^(−3π/2)+e^(−7π/6)+(1/3)∫7π/29π/2 sinθ・e^(−θ/3)dθ

ここで、 J=∫7π/29π/2 sinθ・e^(−θ/3)dθ とおくと、

 J=[−cosθ・e^(−θ/3)]7π/29π/2−(1/3)I=−(1/3)I なので、

 I=e^(−3π/2)+e^(−7π/6)−(1/9)I

すなわち、 I=(9/10)(e^(−3π/2)+e^(−7π/6)) から、

 ∫43 F(x)dx=(3/10)(e^(−3π/2)+e^(−7π/6))  (終)


(コメント) この問題も計算が大変でした...。



  以下、工事中!