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034 平成27年度前期  東京大学   理系 ・・・ 数列と確率(数AB)  標準

 今年度の東京大学の入試問題を見て、解いてみようと一番食指が動いた問題。受験問題
集によくある漸化式を利用する問題で、漸化式を作るまでが大変ですが、漸化式が出来てし
まえば3項間漸化式の解法で一直線でしょう。
(→ 参考:「自然対数の底 e の体感」・・・漸化式の作り方が分かると思います!)


東京大学 前期理系(2015)

 どの目も出る確率が1/6のさいころを1つ用意し、次のように左から順に文字を書く。

 さいころを投げ、出た目が1、2、3のときは文字列AAを書き、4のときは文字Bを、5のと
きは文字Cを、6のときは文字Dを書く。さらに繰り返しさいころを投げ、同じ規則に従って、
AA、B、C、Dをすでにある文字列の右側につなげて書いていく。

 たとえば、さいころを5回投げ、その出た目が順に2、5、6、3、4であったとすると、得られ
る文字列は、「AACDAAB」となる。このとき、左から4番目の文字はD、5番目の文字はAで
ある。

(1) nを正の整数とする。n回さいころを投げ、文字列を作るとき、文字列の左からn番目
  の文字がAとなる確率を求めよ。

(2) nを2以上の整数とする。n回さいころを投げ、文字列を作るとき、文字列の左からn−1
  番目の文字がAで、かつn番目の文字がBとなる確率を求めよ。


(解)(1) n回さいころを投げ、文字列を作るとき、文字列の左からn番目の文字がAとなる
     確率をpとおく。さいころを投げ、文字列を作るとき、文字列の左からn+2番目の
     文字がAとなる場合は次の何れかに分類される。

 (イ) n回のうち最初の1回目に出た目が1、2、3のとき、AAの次に書き加えられる文字
    列の長さをnとして、AAから始まる文字列の左からn+2番目の文字がAとなる確率
    は、 (1/2)p

 (ロ) n回のうち最初の1回目に出た目が4、5、6のとき、1回目に書かれる文字の次に書
    き加えられる文字列の長さをn+1として、文字列の左からn+2番目の文字がAとなる
    確率は、 (1/2)pn+1

 したがって、漸化式

   pn+2=(1/2)p+(1/2)pn+1 、p1=1/2 、p2=(1/2)・1+(1/2)2=3/4

が成り立つ。このとき、

n+2−pn+1=(−1/2)(pn+1−p)より、pn+1−p=(−1/2)n-1(p2−p1)=(−1/2)n+1

n+2+(1/2)pn+1=pn+1+(1/2)p より、 pn+1+(1/2)p=p2+(1/2)p1=1

 よって、 (3/2)p=1−(−1/2)n+1 より、 p=(2/3){1−(−1/2)n+1

(2) n回さいころを投げ、文字列を作るとき、文字列の左からn−1番目の文字がAで、か
  つn番目の文字がBとなる確率をqとおく。このとき、(1)と同様にして、さいころを投げ、
  文字列を作るとき、文字列の左からn+1番目の文字がAで、かつn+2番目の文字がB
  となる場合を考えて、次の漸化式を得る。

   qn+2=(1/2)q+(1/2)qn+1 、q2=0 、q3=(1/2)・(1/6)=1/12

 このとき、

n+2−qn+1=(−1/2)(qn+1−q)より、qn+1−q=(−1/2)n-2(q3−q2)=(1/3)(−1/2)

n+2+(1/2)qn+1=qn+1+(1/2)q より、 qn+1+(1/2)q=p3+(1/2)p2=1/12


よって、 (3/2)q=(1/3){1/4−(−1/2)} より、 p=(2/9){1/4−(−1/2)

                                                    (終)