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031 平成26年度前期  信州大学   理系 ・・・ 場合の数(数学A)  標準

 経験的に知っていることを改めて問われると、一瞬ドギマギするというタイプの問題である。
落ち着いて考えれば完答できるだろう。

信州大学 前期理系(2014)

 nを0以上の整数とする。n+1個の自然数 20,21,・・・,2 の中に、最上位の桁の数字
が1であるものはいくつあるか。
ただし、xを超えない最大の整数を表す記号[x]を用いて解答してよい。
注:例えば2014の最上位の桁の数字は2であり、14225の最上位の桁の数字は1である。


 注にある「2014」は、出題年度ということから理解できるが、「14225」という数がどこから
きたのか大いに興味があるところである。ただ適当にあげただけかもしれないが...。

 DD++さんから「国公立前期試験日程(20)14年2月25日かと思います。」と伺って、合点がい
きました!ありがとうございました。(平成26年7月6日付け)


 いくつか実際に計算してみると、解き方の方針が立つことが多い。

0=       
1=       2
2=       4
3=       8
4=      
5=      32
6=      64
7=     28
8=     256
9=     512
10   1024
11=   2048
12=   4096
13=   8192
14  16384
15=  32768
16=  65536
17= 31072
18= 262144
19= 524288
20048576
 ・・・・・・・・・・・・

 上記の計算から気がつくのは、最上位の桁が「1」になるのは桁数が増えた瞬間であると
いう点である。この気づきを突破口に解答をでっち上げてみよう。

(解) 1を次々に2倍していって、桁数が1増えたときの最上位の数は必ず1である。

   したがって、求める個数は、2の桁数に等しいので、 [n・log102]+1 個  (終)


 同様の問題が早稲田大学教育学部理学科(2006)でも出題されている。


早稲田大学 教育学部理学科(2006)

 555は十進法で表すと168桁の数で、その最高位(先頭)の数字は1である。
集合{2|nは整数で、1≦n≦555}の中に、十進法で表したとき最高位の数字が4となる
ものは全部で何個あるか。



 問題冒頭のヒントから、2555が、桁が1増えた瞬間の数である。上記で行った実際の計算
から、最高位の数字4となるものが出現する桁数は、1 , 4 , 7 , ・・・・ なので、一
般項は、 1+3(n−1)=3n−1 ... と単純には行かないようだ。

 実際に、Excel さんに協力してもらったところ、

  28桁 の次が 32桁 、 56桁 の次が 60桁 、 87桁 の次が 91桁
 115桁 の次が 119桁 、 146桁 の次が 150桁

と桁が飛ぶところが5ヶ所ある。

 求める個数は、54個で正解なのだが、これを計算で求めるにはどうしたらいいのだろう。


(追記) 平成26年8月17日付け

 上記問題を手計算で解決するために、まず、2の挙動を再確認してみよう。

10 11 12 13 14 15 ・・・
2 4 8 16 32 64 128 256 512 1024 2048 4096 8192 16384 32768 ・・・

 上記の表を見て気がつくことは、最高位に「1」が出現するのは均等ではないという事実で
ある。最高位の数字の変化のパターンを注視すれば、

   1→3→6→1 、1→2→5→1 、1→2→4→8→1

が、上記の表からすぐあげられ、それ以外にも、

   1→3→7→1 、1→2→4→9→1

というパターンが考えられる。このパターンの中で、最高位が4となるのは、

  1→2→4→8→1 と 1→2→4→9→1

の2通りで、24を掛けて1つ桁が増えるという性質Aがある。

 他の3パターンは、23を掛けて1つ桁が増えるという性質Bがある。

 問題のヒントから、2555は168桁の数で、その最高位の数字は1であるので、

{2|nは整数で、1≦n≦555}において、1桁増えるという現象が167回起こっている。

 167回のうち、性質Aがk回起こったものとすると、題意より、

   4k+3(167−k)=555

が成り立つ。よって、 k=555−501=54(回)

 したがって、最高位の数字が4となるものは、全部で、54個ある。


(コメント) 手計算で求められて、何かスッキリした気分です!

 上記の解では、「2555は168桁の数で、その最高位の数字は1」という事実が問題文に与
えられ、それを活用して解かれましたが、「指標と仮数」の知識と「log102≒0.3010」であ
ることを知っていれば自力で導き出される事実でもある。

 実際に、 log10555=555log102≒555×0.3010=167.055 より、2555は168
桁の数であり、仮数が0.055であることから、2555=a×10167 と書いた場合、1<a<2
すなわち、2555 の最高位の数字が「1」であることが分かる。

 現在の学習指導要領では、このような思考まで到達できないのがとても残念です。