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005 平成18年度 慶應義塾大学 看護医療学部 ・・・ 数 列  標準

 慶應義塾大学の看護医療学部は2001年4月、第9番目の学部として開設された。主に、
湘南藤沢キャンパス(SFC)を拠点とし、慶應義塾の伝統ある看護職を養成する教育課程
を発展・充実させた学部のようだ。私自身、慶應に看護医療学部があることを、今まで知ら
なかった。

 入試問題をみて、当HPの「お茶の時間 パズル&クイズ」で取り上げた「2006年問題
と同様の問題が出題されていることに驚いた。


慶應義塾大学 看護医療学部(2006)

 連続した自然数の組(500、501、502、503)は、そこに並んだすべての数の総和が
2006になるものである。
                 500+501+502+503=2006

 このように2個以上の連続した自然数の組で、そこに並んだすべての数の総和が2006
になるものをすべて求めなさい。

 ただし、必要ならば、次のように素因数分解できることを利用してよい。
        2006=2×17×59



 多分「ただし、〜」が大学側の温情で、解答のヒントになっている。出題分野は数列である
が、最近高校であまりやらない整数論の知識(進学校では当然補足されている分野だろう)
も使い、慣れていないと難しいかもしれない。

(解) ある数 a (a≧1)から始まって、連続する k 個(k≧2)の数を考える。

       a 、a+1 、a+2 、・・・ 、a+k−1

条件より、  a + (a+1) + (a+2) + ・・・ + (a+k−1)=2006=2×17×59

 ここで、 左辺=ka+k(k−1)/2=k(2a+k−1)/2  なので、

        k(2a+k−1)=22×17×59

 k≧2 に注意して、k の可能性は、

 k=2、22、17、2×17、22×17、59、2×59、22×59、
                              17×59、2×17×59、22×17×59

このうち、 k<2a+k−1 を満たすものは、

        k=2 、22 、17 、2×17 、22×17 、59

の6通りである。これらについて、

 k=2 のとき、  2a+1=2×17×59=2006  この式を満たす整数 a は存在しない。

 k=22 のとき、  2a+3=17×59=1003  この式を満たす整数 a は、 a=500

 k=17 のとき、  2a+16=22×59=236  この式を満たす整数 a は、 a=110

 k=2×17 のとき、  2a+33=2×59=118  この式を満たす整数 a は存在しない。

 k=22×17 のとき、  2a+67=59=118  この式を満たす整数 a は存在しない。

 k=59 のとき、  2a+58=22×17=68  この式を満たす整数 a は、 a=5

 以上から、求める自然数の組は、

  (500、501、502、503) 、 (110、111、・・・、126) 、 (5、6、7、8、・・・、63)

の3組である。(終)

 上記の解に対して、「等差数列の項数が奇数の約数に対応することを知っているとあっ
さり解けますね。」と、当HPがいつもお世話になっている、らすかるさんからご教示いただ
いた。(平成18年2月25日付け)

 ある数 a (a≧1)から始まって、連続する k 個(k≧2)の数を考える。
       a 、a+1 、a+2 、・・・ 、a+k−1
 k が奇数ならば、
  a+(a+1)+・・・+(a+k−1)=(2a+k−1)k/2=2006=2×17×59
より、
    k=17 、 59 、 17×59
の場合しかありえない。
 k が偶数ならば、
  (−a+1)+(−a+2)+・・・+0+・・・+(a−2)+(a−1) (← 和は0で、奇数項)
を上記の和に加えて、
  (−a+1)+(−a+2)+・・・+(a−1)+a+(a+1)+・・・+(a+k−1)=2006
よって、  k(k+(奇数))/2=2×17×59 より、
    k+(奇数)=17 、 59 、 17×59
の場合しかありえない。

 何れにしても、奇数項の等差数列の和が2006になるということなので、項数が、それ
ぞれ 17 、 59 、 17×59 の各場合について、中央の項を求めればよい。

項数が 17 の場合、中央の項は、 2006÷17=118 なので、求める数列は、
    (110、111、・・・118、・・・、125、126)

項数が 59 の場合、中央の項は、 2006÷59=34 なので、求める数列は、
    (5、6、・・・、34、・・・、62、63)

項数が 17×59 の場合、中央の項は、 2006÷17×59=2 なので、数列は、
    (−499、−498、・・・、1、2、3、・・・499、500、501、502、503)
  求める数列は、自然数列なので、数列から、
    (−499、−498、・・・、0、1、2、3、4、・・・499)
 の部分を削除して、求める数列は、
    (500、501、502、503)
となる。