超関数                                  戻る

 当HP読者のHN「K」さんより、「成分表示型の超関数」と題して投稿をメールで頂いた。
私の専門は代数幾何学で、これまで多分「超関数」というものを、名前は知っていたものの
専門的に学ぶことはなかったように思う。Kさんからの投稿を理解して、少しでも超関数の
やろうとしていることに近づけたらいいなと思う。(平成25年8月13日付け)

(参考) ・分布と超関数(当HP)   ・成分表示型の超関数(KさんのHP)

 超関数といえば、「Schwartzの超関数( distribution)」や「佐藤の超関数(hyperfunction)」
が知られています。Schwartzの理論や佐藤の理論は理論としては厳密にできていると思う
のですが、関数概念の拡張として超関数を理解しようとする立場から、不満を感じます。不
満を解消するために、成分表示型の超関数を新たに提案します。

 超関数の概念の元になる関数の概念について考えると、独立変数から従属変数への対
応が関数の基本的な定義です。対応関係が存在しない点は定義域外で、定義域外は議論、
考察の対象外です。関数概念の拡張を行うとき、関数の基本的な概念、関数の中心的な性
質は保存されなければいけないと思います。超関数についても、議論の対象とする点の全
てについて関数値が定義されるべきです。

 ディラック関数δ(x)の点 x=0 において関数値が存在しないことに不満を感じます。関数
値が存在しなければ、定義域外になってしまいます。本来的には、定義域外は議論、考察
の対象外です。ディラック関数について、点 x=0 を議論の対象外にしてしまっては、超関数
の理論の意味がありません。

 定義域内にするために、関数値らしきもの=広義の関数値を定義したい。ディラック関数
δ(x)の点 x=0 においては大きさ1の量が集中していると説明したいが、単純にδ(0)=1と
するのは適切でない。

 このとき工学的には、単位について注意しておくべきです。横軸が位置を表すために、長
さの単位mを持ち、縦軸が質量分布を表すために、単位kg/mを持つとき、ディラック関数に
ついて縦軸が単位kg/mを持つが、点 x=0 における大きさ1の量の単位はkgです。

 単位の違いを説明するために、超関数の表現として、成分を導入しました。超関数の関数
値を数ベクトルのように、成分を並べて、表現します。ディラック関数について、次のようにな
ります。

 δ(x)=(0,0,1,0,0,・・・)  (x=0)  、δ(x)=(0,0,0,0,0,・・・)  (x≠0)

 質量分布を念頭に置くと、最初の2つの成分の単位がkg/m、3つめの成分の単位がkg、4
つめの成分の単位がkgm、・・・ です。

 成分表示型の超関数の着想の要点は点の内部変動です。近似関数における微小長さ区
間と超関数における点を同一視し、超関数における点の性質を、近似関数の微小長さ区間
における変動で説明しようという着想です。特異点における内部変動が激しいのに対し、通
常点の内部変動は激しくないと理解します。


   以下、工事中