フェルマー数
0以上の整数nを用いて、 Fn=22n+1の形の数をフェルマー数という。フェルマー数
は素数のときもあれば合成数のときもある。(→ 参考:「フェルマー素数」)
例 F0=3、F1=5、F2=17、F3=257、F4=65537 までは素数が続くが、残念ながら、
F5=4294967297=641・6700417 は合成数である。
Fn−2=F0・F1・F2・・・・・Fn-1
と表される性質を用いて、
どの2つのフェルマー数も互いに素
であることが分かる。
実際に、Fm、Fn が1以外の最大公約数pを持つと仮定すると、
Fn−F0・F1・F2・・・・・Fn-1=2 は、pで割り切れる。
よって、p=2 でなければならないが、すべてのnに対して、Fnは奇数なので、素因数に
2を持つことはあり得ない。矛盾が示されたので、どの2つのフェルマー数も互いに素となる。
2002年度の同志社大学商学部で次の問題が出題された。
216+1、232+1の最大公約数を求めよ。
同志社大学は理系学部も有する総合大学であるが、上記の問題が商学部で出題された
のはとても興味深い。
F4=216+1=65537とF5=232+1=4294967297はともにフェルマー数で、すべて
のフェルマー数は互いに素という事実を知っていれば、答えは、1 ということは即答だろう。
ただ、受験生にそのような知識は望むべくもないので、実際の入試問題は次のように出題
された。
次の各問に答えよ。
(1) 20853と3843の最大公約数を求めよ。
(2) a、b(a>b)を正の整数とし、aをbで割った余りをrとする。r≠0のとき、aとbの
最大公約数はbとrの最大公約数に等しいことを示せ。
(3) 28−1と216−1は3の倍数であることを示せ。
(4) 216+1と232+1の最大公約数を求めよ。
(解)(1) 20853=63×331 、3843=63×61 で、331と61は互いに素より、
最大公約数は、63
(2) aをbで割った商をqとすると、 a=bq+r と書ける。
aとbの最大公約数をdとおくと、 r=a−bq はdで割り切れ、dは、bとrの公約数である。
bとrの最大公約数をd’とおくと、 d’はdで割り切れる。
逆に、bとrの最大公約数をd’とおくと、 a=bq+r はd’で割り切れ、d’は、aとbの公約
数である。
このとき、dはd’で割り切れる。よって、 d=d’となり、aとbの最大公約数はbとrの最大
公約数に等しいことが示された。
(3) 28−1=255=3・85は3の倍数
216−1−(28−1)=216−28=28(28−1)は3の倍数なので、216−1も3の倍数
である。
(4) 216=x とおくと、 216+1=x+1 232+1=x2+1
x2+1=(x+1)(x−1)+2 より、232+1と16+1の最大公約数は、216+1と2の最大
公約数に等しい。
216+1は奇数なので、216+1と2の最大公約数は、1
以上から、232+1と16+1の最大公約数は、1 (終)
(コメント) (4)を解くのに(3)が必要と思いきや、必要なのは(2)の方でしたね。とんだ肩
すかしです!また、(2)が控えているので、(1)で互除法も使いづらい。問題配列
に問題有りと感じた。