Newton算                                  戻る

 次の問題1は、アイザック=ニュートンが1669年に出している有名問題である。その解法
は、Newton算と言われる。Newton算については、当HPの「S(H)さんからの話題6」で、
多方面からの解法が多くの方々によって試みられた。最近、Newton算について触れる機
会があり、再度新規にページを起こし整理していこうと思う。

問題1 ある牧場で牛10頭を放牧したところ、5日で牧草を食べつくしました。牛12頭の
    場合では、4日で食べつくしました。では、牛6頭の場合、何日で牧草を食べつくす
    でしょうか。ただし、牛は毎日同じ量を食べ、草も毎日一定の量だけ生えてくるもの
    とします。

(解) 最初の牧草量をW、1日当たり増える牧草量をa、牛1頭が1日当たり食べる牧草量

 をbとおくと、題意より、 W+5a=10b×5=50b 、W+4a=12b×4=48b

 よって、辺々引いて、 a=2b となり、 W=40b である。

 牛6頭がx日で牧草を食べ尽くすとすると、 W+xa=6b・x

 よって、 40b+2bx=6bx より、 4bx=40b なので、 x=10(日)  (終)


(コメント) 問題1は、上記のように連立方程式で解かれうるが、もっとエレガントな解法が
      Newton算である。

 当HPがいつもお世話になっているHN「攻略法」さんからNewton算の考え方をご教示い
ただいた。(平成24年6月22日付け)

(解) 牛1頭が1日に食べる草の量を1とする。牛が食べた草の量は、

   10頭で5日なので、1×10×5=50

   12頭で4日なので、1×12×4=48

   1日に生える草の量は、50−48=2 で、はじめの草の量は、50-2×5=40

   6頭の牛ならば、40÷(1×6−2)=10(日)  (終)


(コメント) Newton算の考え方は、初めの草の量と増える草の量を分けて考えるところが
      肝要である。


 攻略法さんから別解をいただきました。(平成24年6月22日付け)

(別解) 牛1頭が1日に食べる草の量を1とする。はじめの草の量をN、1日に生える草の量
    をMとすると、

   牛10頭で5日、牛12頭で4日 なので、 10−M:12−M=4:5 が成り立つ。

 このとき、 M=2 となる。よって、初めの草の量は、 10×5−5×2=40

 以上から、牛6頭の場合は、 40÷(6−2)=10(日)


(別解) ・・・ 中学生向け(追いつき算(旅人算)、相似三角形)

 原点をOとする。y=2x+40 のy切片をAとする。y=2x+40 と y=12x との交点をBとする。

y=2x+40 と y=10x との交点をCとする。y=2x+40 と y=6x との交点をDとする。y=10x と点Dを

通る垂直線との交点(すなわち、y=10x と x=10 との交点である)をEとする。y=12x と点Dを

通る垂直線との交点(すなわち、y=12x と x=10 との交点である)をFとする。

△OAB∽△FDB なので、AB:BD=OA:DF より、 (4-0):(x-4)=OA:(12-6)

よって、OA=24/(x-4)頭(に相当する)

同様に、△OAC∽△EDCなので、AC:CD=OA:DEより、(5-0):(x-5)=24/(x-4):(10-6)

より、x=10 (終)


(別解) ・・・ 高校生向け(連立方程式)

 y=2x+40 と y=12x との交点をBとする。y=2x+40 と y=10x との交点をCとする。y=2x+40 と

y=6x との交点をDとする。y=12x と点Bを通る垂直線との交点(すなわち、y=12x と x=4 との

交点である)をB’とする。y=10x と点Cを通る垂直線との交点(すなわち、y=10x と x=5 との

交点である)をC’とする。△DBB’∽△DCC’なので、DB’:DC’=BB’:CC’ より、

(x-4):(x-5)=(12-6)*4:(10-6)*5 より、 x=10 (終)


 攻略法さんからのコメントです。(平成24年6月24日付け)

 「通常、牛1頭が1日に食べる草の量を1とする。」について、牛1頭が1日に食べる草の量
をCとする。はじめの草の量をN、1日に生える草の量をMとすると、

  「はじめの草の量 + x日に生える草の量 = x日にB頭の牛が食べた量」

なので、連立方程式

 N+5M=5*10C ← 式1 ← N+xM=xBの形
 N+4M=4*12C ← 式2
 N+xM=x*6C  ← 式3

を得る。式1-式2より、M=2C ← 式4  式1-式3より、(5-x)M=(50-6x)C ← 式5
式4を式5に代入して、(5-x)2C=(50-6x)C ∴10C-2Cx=50C-6Cx ∴4Cx=40C ∴x=10

 牛が1日にどれだけ食べようとそれはいっこうにかまわない。牛が大食いであればそれだ
けNもMも比例して増える計算になる。Cを1と決めれば極めて簡単になってしまう。

・4つの未知数が3つになる。
・数値が小さくなる。
というメリットがある。

 攻略法さんからのコメントです。(平成24年6月25日付け)

 「通常、牛1頭が1日に食べる草の量を1とする。」について、

(別解) ・・・ 役割分担

 牛1頭が1日に食べる草の量を1とする。1日に生える草の量をMとすると、10頭の場合、1

日に生える草の量は、(M÷1)倍なので、M頭が担当して食べつくす。はじめの草の量は、5

日間(10-M)頭が担当して食べつくす。12頭の場合、条件から、「生える草の量」の担当は10

頭の場合と同じ数である。

 したがって、はじめの草の量は、4日間(12-M)頭が担当して食べつくす。

これより、はじめの草の量=(10-M)×5日=(12-M)×4日 ∴50-5M=48-4M ∴M=2

 よって、はじめの草の量は、(10-2)×5日=40 または、(12-2)×4日=40

はじめの草の量がなくなったとき、草が食べつくされた状態になるので、6頭の牛なら、

40÷(6-2)=10日  (終)


 読者のために、Newton算の練習問題をいくつか残しておこう。

問題2 ある牧場で牛を25頭を放牧したところ、8日で牧草を食べつくしました。また、15頭を
    放牧した場合は、18日で食べつくしました。では、この牧場で48日間放牧を続けるに
    は、牛を何頭まで放牧できますか。但し、牧草は一定のペースで増えるものとします。
    (答:10頭)

問題3 満水の貯水池の水をポンプ25台でくみ出すと14時間でくみつくし、30台でくみ出すと
    12時間でくみつくします。では、満水の貯水池を放置しておくと、何時間で水は空にな
    りますか。ただし、この貯水池には用水路が付いていて、一定の割合で水が流出して
    います。(答:84時間)

(解) ポンプ1台が1時間にくみ出す量を1とする。

    25台、14時間なので、1×25×14=350
    30台、12時間なので、1×30×12=360

    1時間で流出した量は、360-350=10 より、10÷(14-12)時間=5

    貯水池の全体の量は、350+5×14時間=420 または、360+5×12時間=420

    そのままなら、420÷5=84時間 (終)

問題4 満水の貯水池の水をポンプ15台でくみ出すと104時間でくみつくし、19台でくみ出すと
    91時間でくみつくします。では、満水の貯水池を放置しておくと、何時間で水は空にな
    りますか。ただし、この貯水池には用水路が付いていて、一定の割合で水が流出して
    います。


問題5 水そうに、給水口から一定量の水が入り続けています。この水そうに水がいっぱい
     に満たされた状態から排水ポンプを動かし始めたとき、空の状態にするのに、排水
     ポンプ2台では12分間、排水ポンプ3台では6分間かかります。どの排水ポンプか
     らも毎分一定量の水が出ていきます。この水そうに水がいっぱいに満たされた状態
     から、2分間で空の状態にするには、排水ポンプが何台必要ですか。

問題6 ある草原にやぎを放ち、草を食べさせます。20匹のやぎなら15日で、30匹のやぎ
     なら9日で、この草原の草を食べ尽くしてしまいます。はじめに生えている草の量は
     同じで、やぎを放ってから草は毎日同じ量だけ生えてくるとします。草原の草が減ら
     ないのは、やぎが何匹以下のときですか。

(解) 1匹のやぎが1日に食べる草の量を1とすると、
     はじめの草+生えてくる草=やぎが食べる草
     はじめの草+15日で生える草=1×20匹×15日
     はじめの草+9日で生える草=1×30匹×9日
     ─────────────────────
           差:6日で生える草=30

   よって、1日で生えてくる草の量は、30÷6=5

   したがって、草原の草が減らないのは、5÷1=5で、やぎが5匹以下のとき。  (終)

問題7 ポンプで井戸の水をすべてくみ出すのに4台では12時間かかり、7台では6時間
     かかります。9台では何時間かかりますか。ただし、はじめ井戸には一定の量の
     水が入っていて井戸の底からは一定の量の水が常に湧き出ているものとします。

問題8 ある井戸には一定の水量が貯まっており、そこに毎分一定量の水量が流れ込ん
     でいる。此れを 1台のポンプで汲み出すと 15分後に空になり、2台のポンプで
     汲み出すと6分後に空になる。3台のポンプで汲み出すと何分後に空になるか?

問題9 今、ダムには一定量の水が溜まっており、さらに毎日一定量の水がダムに流入す
     る。1日に40トンずつ放流すると15日でダムは空になり、30トンずつ放流すると30
     日間で空になる。
      1日に50トンずつ放流するとダムは何日で空になるか。

(解) 1日当たりの流入量をxとおくと、 40−x : 30−x = 30 : 15 = 2 : 1 より、

    x=20 となるので、ダムの初めの貯水量は、 40×15−20×15=300

    よって、1日に50トンずつ放流すると、 300÷(50−20)=10(日)かかる。 (終)

(別解) ダムの初めの貯水量をW、1日当たりの流入量をxとおくと、

   W+15x=40×15=600 、W+30x=30×30=900

  これを解いて、 x=20、W=300

 1日に50トンずつ放流して、a日でダムが空になるとすると、

  300+20a=50a より、 a=10(日)  (終)

問題10 改札前に80人並んでいる。改札を3箇所開放すると20分で行列がなくなる。改札
     を5箇所開放すると8分で行列がなくなる。それでは、2箇所の改札では何分で行列
     がなくなるか?ただし、改札前には一定の速さで人が並んでいくものとする。

(解) 1分間に新しく並ぶ人数をN、改札1箇所で1分間で処理出来る人数をMとすると、

   80+20N=3M×20=60M 、80+8N=5M×8=40M

  これを解いて、 N=5 、M=3

  よって、改札を2箇所開放してa分で行列がなくなるとすると、

   80+aN=2M・a より、 80+5a=6a なので、a=80(分)  (終)


(コメント) この計算をNewton算でやろうとすると結構複雑だったりして...。


問題11 コンサートのチケット販売開始時刻に160人の行列が出来ていた。窓口では1分
     間当たり5人の割合で販売を開始した。1分間に3人の割合で並び続ける。

(1) 開始から行列がなくなるまで何分かかるか。
(2) 40分で行列をなくすには1分間に何人販売すればよいか。

(解)(1) 160÷2=80分
   (実際に減る量に注目するのがニュートン算のポイント・・・1分間で2人減る)

(2) (160+3×40)÷40=7  (終)