曜日計算
毎年11、12月の時期になると、来年のカレンダーで文房具店の店先が賑わう。選り取り
みどりで、どれにしようかと選ぶのに困ってしまうほどだ。以前の景気がいい頃は、各企業
が競うようにしてカレンダーを無料配布していた。我が家も、その恩恵に与ってカレンダー
を買うこともなく毎年過ごしていた。それが今はカレンダーを買う時代になってしまった。
ところで、皆さんは、毎年毎年、実はカレンダーを買う必要がないことをご存知だろうか?
1868年から2067年までの200年間で本当に異なるカレンダーは、驚くなかれ、たった
14種類しかないのである。特に、2002年から2028年までの27年間にその全14種類が
あらわれるので、それらを全て集めれば、来年以降2067年までの66年間は、14種類の
カレンダー代だけで済んでしまうことになる。カレンダー1部1000円として、5万2千円の出
費が浮くことになる。不景気の折、無駄なものに節約をお考えの方に、おすすめです。
さて、本論です。
手元にカレンダーがあれば、所用の日の曜日は直ぐ分かるが、ないと、もうお手上げとい
う方が大多数だろう。パソコンにはカレンダー機能がついているが、年数の制限があって、
1980年〜2099年の間しか分からない。
ある年月日の日が何曜日かという問いに対して、パソコンでは答が出ない場合もありうる。
この問いに対して、「ツェラーの公式」という、有名な曜日計算の公式がある。
h百y年m月d日の曜日を求めることを考える。
(例えば、2001年11月3日の場合、h=20、y=1、m=11、d=3 である)
(注意) 1月、2月は、前の年の13月、14月として計算する。
まず、W=y+[y/4]+[h/4]−2h+[13(m+1)/5]+d の値を求める。
(但し、[X] は、ガウスの記号(→参考:ガウスの記号)と呼ばれる記号で、Xを超えない最
大の整数、つまり、Xの整数部分を表す。例えば、[156/5]=31、[5]=5 である。)
このWを7で割った余りをRとすると、曜日は、次の表で求まる。
R | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 0 |
曜日 | 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
例 2001年11月3日が土曜日であることを確認してみよう。
(解) h=20、y=1、m=11、d=3 だから
W=1+[1/4]+[20/4]−2×20+[13(11+1)/5]+3
=1+0+5−40+[156/5]+3=1+0+5−40+31+3=0
Wを 7 で割った余りは、0 だから、R=0
従って、上の表から、確かに、土曜日であることが分かる。(終)
(参考文献 淡中忠郎著 数学の学校(東京図書)、和田秀男著 数の世界 (岩波書店))
(付記) 2002年から2067年までのカレンダーは、次の表の通りである。
年 | '02 | '03 | '04 | '05 | '06 | '07 | '08 | '09 | '10 | '11 | '12 | '13 | '14 | '15 | '16 | '17 | '18 | '19 | '20 | '21 | '22 | '23 |
型 | A | B | C | D | E | F | G | H | I | D | J | A | B | H | K | E | F | A | L | I | D | E |
年 | '24 | '25 | '26 | '27 | '28 | '29 | '30 | '31 | '32 | '33 | '34 | '35 | '36 | '37 | '38 | '39 | '40 | '41 | '42 | '43 | '44 | '45 |
型 | M | B | H | I | N | F | A | B | C | D | E | F | G | H | I | D | J | A | B | H | K | E |
年 | '46 | '47 | '48 | '49 | '50 | '51 | '52 | '53 | '54 | '55 | '56 | '57 | '58 | '59 | '60 | '61 | '62 | '63 | '64 | '65 | '66 | '67 |
型 | F | A | L | I | D | E | M | B | H | I | N | F | A | B | C | D | E | F | G | H | I | D |
直ぐ分かるように、表の範囲では2002年〜2029年のパターンが繰り返されている。
(追記) 平成18年8月28日付け(このページは、平成13年11月3日にアップしたもので、
およそ5年ぶりの更新です!)
上記で述べたツェラーの公式は、強力ではあるが覚えきれないくらい複雑な式になってい
る。もっと簡便な方法はないものかと思案したところ、その方法は確かにあった。
その方法は、次の取り決めを基本としている。
うるう年の取り決め ・・・・・ 「うるう年」では、2月が平年より1日だけ多い!
(1) 西暦の年号が4で割りきれる年は、「うるう年」である。
(2) (1)の例外として、100で割りきれる年は、「うるう年」ではない。
(3) (2)の例外として、400で割りきれる年は、「うるう年」である。
この取り決めに従うと、西暦2000年は、「うるう年」である。
例 2001年11月3日が土曜日であることをツェラーの公式とは違う方法で求めてみよう。
・ 2001年11月3日〜2006年8月28日までの日数計算
2001年〜2006年の中で、「うるう年」は2004年の 1 回のみ。
よって、 (30−3+1)+31+365×4+1+31×4+30×2+28+28=1760日
・ 上で計算した総日数を7で割った余りの計算
1760÷7=251 ・・・ 余り 3
・ 2006年8月28日が月曜日から2001年11月3日の曜日を計算
|
余りが 3 なので、上記の表から、確かに、2001年11月3日は土曜日であることが分か
る。
(コメント) 今日の曜日を既知とすることに何の異論もないだろう。上記のように計算すれ
ば、何も難しい公式を覚えなくても曜日は自由自在に計算できる。
読者の方への練習問題として、「自分の誕生日は何曜日であったか?」を残すことにしよ
う。ぜひ、計算してみてください。
(追記) 令和5年9月28日付け
例 「ツェラーの公式」を用いて、2024年4月1日が何曜日であるか計算してみよう。
(解) h=20、y=24、m=4、d=1 だから
W=24+[24/4]+[20/4]−2×20+[13(4+1)/5]+1=24+6+5−40+13+1=9
Wを 7 で割った余りは、2 だから、R=2 で、2024年4月1日は、月曜日であることが
分かる。 (終)
「ツェラーの公式」を用いなくても、今日の曜日が分かれば、2024年4月1日が何曜日で
あるかは、次のようにして求められる。
令和5年9月28日は木曜日である。今日から数えて、2024年4月1日は、2024年がう
るう年であることを考慮して、
3+31+30+31+31+29+31+1=187(日目)
である。187≡5 (mod 7) なので、木曜日から数え始めて5日目は月曜日である。
以下、工事中!