約数の話題                            戻る 

 集合{1,2,3,4}の部分集合{}、{}、{}、{,3,}を、ぼんやり
と眺めていると、各部分集合の要素の中に、必ず約数、倍数関係にある2数の存在に気がつく。

 同様のことを、今度は、集合{1,2,3,4,5,6}の部分集合

{1,2,3,4}、{1,2,3,5}、{1,2,3,6}、{1,2,4,5}、{1,2,4,6}、{1,2,5,6}、

{1,3,4,5}、{1,3,4,6}、{1,3,5,6}、{1,4,5,6}、{2,3,4,5}、{2,3,4,6}、

{2,3,5,6}、{2,4,5,6}、{3,4,5,6}

について確認してみると、やはり、各部分集合の要素の中に、必ず約数、倍数関係にある2数
が存在している。

 実は、このことは一般にも成り立つことらしい。すなわち、次の定理が成り立つ。

定理 集合{1,2,3,・・・,2n}の 2n 個の要素から、任意に n+1 個の要素を選ぶ。
    このとき、どんな選び方をしても、必ず、 n+1 個の要素の中には、約数、倍数
    関係にある2数が存在する。


(証明) n+1 個の要素 a1、a2、・・・、an+1 からなる集合を、A とおく。
    このとき、任意の a∈A は、必ず、2s(2t+1) の形に書けるので、
    集合 A から集合{1,3,5,・・・,2n−1}への写像 F を、
           F(a)=2t+1
    により、定義する。
    集合 A の要素の個数は n+1 で、集合{1,3,5,・・・,2n−1}の要素の個数は、n
    なので、写像 F は、1対1の写像ではない。(ここで、鳩ノ巣原理を用いてもよい。)
    したがって、a、b∈A (a≠b)に対して、F(a)=F(b)=m となるものが存在する。
    このとき、a=2sm、b=2m と書けるので、a、b は、約数、倍数関係にある2数となる。

(参考文献:小野寛晰 著 情報代数 (共立出版))