最大と最小                               戻る

 平成20年11月5日付けで、当HPの掲示板「出会いの泉」に、S(H)さんが、次のような
最大最小の問題を提案された。

  2+y2=1 がなりたつとき、(x+y)4+(x−y)2 の最大値と最小値を求めよ。

 S(H)さんからの情報によれば、判別式を用いたり、その他に媒介変数を用いたりなどし
て、少なくとも7通りの解法が存在するという。

 S(H)さんは、瞬時に5個の解法を思いつかれたという。私も、この問題の別解がどれほ
どあるのか、どのような別解が可能なのか大いに興味があったので、このページにそれら
の別解をまとめたいと思う。

別解その1 ・・・ 一番最初に思いついた解法

 x=cosθ、y=sinθ とおくと、

 与式=(cosθ+sinθ)4+(cosθ−sinθ)2

 =(1+sin2θ)2+1−sin2θ=(sin2θ)2+sin2θ+2=(sin2θ+1/2)2+7/4

−1≦sin2θ≦1 より、 最大値は 4、 最小値は 7/4

別解その2 ・・・ ちょっと強引とも思える解法(解法の指針は別解その1とほとんど同じ)

 与式=x4+4x3y+6x22+4xy3+y4+x2−2xy+y2

 =(1−y22+4xy(1−y2)+6(1−y2)y2+4xy3+y4+1−y2−2xy+y2

 =−4y4+4y2+2xy+2=4y2(1−y2)+2xy+2=(2xy)2+2xy+2

 =(2xy+1/2)2+7/4

ここで、相加平均と相乗平均の関係より、 x2+y2≧2|xy| で、 x2+y2=1 より、

 1≧2|xy| すなわち、 −1≦2xy≦1

このとき、 最大値は 4、 最小値は 7/4

(補足) 上記の計算では、与式を単純に展開したが、次のように計算してもよい。

 x2+y2=1 より、 (x+y)2−2xy=1 なので、 (x+y)2=2xy+1

よって、

与式=(2xy+1)2+x2−2xy+y2=(2xy+1)2−2xy+1=(2xy)2+2xy+2

 以下、上記と同様である。

(コメント) 息子にこの問題を考えてもらったら、別解その2の補足の方で解いていましたね!
     こちらの方が解き方として自然なのでしょうか?その1で解いた私って、もしかして変
     わり者かな?

別解その3 ・・・ 受験テクニックを意識した解法

 x+y=a 、xy=b とおくと、x、y は2次方程式 t2−at+b=0 の2つの実数解なので、

 判別式を D とおくと、 D=a2−4b≧0 が成り立つ。

 このとき、 x2+y2=(x+y)2−2xy=a2−2b=1 なので、上式に代入して、

 a2−2(a2−1)≧0 すなわち、 0≦a2≦2 となる。

よって、

与式=a4+x2+y2−2xy=a4−2b+1=a4−(a2−1)+1=a4−a2+2=(a2−1/2)2+7/4

このとき、 最大値は 4、 最小値は 7/4

別解その4 ・・・ ちょっと媒介変数に凝った解法

 x+y=2m 、x−y=2n とおくと、 x=m+n 、 y=m−n

このとき、 x2+y2=1 より、 (m+n)2+(m−n)2=1 なので、 m2+n2=1/2

 n2=1/2−m2≧0 なので、 0≦m2≦1/2

よって、

与式=16m4+4n2=16m4+4(1/2−m2)=16m4−4m2+2=16(m2−1/8)2+7/4

このとき、 最大値は 4、 最小値は 7/4

別解その5 ・・・ 別解その4の解法を別な視点で試みた解法

 x+y=2m 、x−y=2n とおくと、 x=m+n 、 y=m−n

このとき、 x2+y2=1 より、 (m+n)2+(m−n)2=1 なので、 m2+n2=1/2

 n2=1/2−m2≧0 なので、 0≦m2≦1/2 となる。

ここで、 与式=16m4+4n2 であるので、 m2=X 、n2=Y とおくと、問題は、

 X+Y=1/2 (0≦X≦1/2) のとき、 16X2+4Y の最大値、最小値を問うものに翻訳
される。

 16X2+4Y=k とおき、 Y=1/2−X を代入して整理すると、16X2−4X+2−k=0

という2次方程式が得られる。この2次方程式が、0≦X≦1/2 の範囲において、少なくと

も一つ解があるように、定数 k の値の範囲を定めればよい。

 まず、2次関数 F(X)=16X2−4X+2−k において、

 判別式 D/4=4−16(2−k)=16k−28≧0 より、 k≧7/4

 また、軸の式は、 X=1/8 で、 0≦X≦1/2 の範囲内にある。

 F(1/2)=4−2+2−k=4−k≧0 より、 k≦4

 以上から、 7/4≦k≦4 となるので、 最大値は 4、 最小値は 7/4

別解その6 ・・・ Lagrange の未定乗数法を利用する解法

 G( x , y )=x2+y2−1=0 のとき、 F( x , y )=(x+y)4+(x−y)2 の極値を求め

ることを考える。 Lagrange の乗数を λ とすると、連立方程式

 G( x , y )=0 、F( x , y )+λG( x , y )=0 、F( x , y )+λG( x , y )=0

の解 ( x , y )が、極値を与える候補となる。

 実際に、 4(x+y)3+2(x−y)+2λx=0 、 4(x+y)3−2(x−y)+2λy=0

から辺々引くと、 4(x−y)+2λ(x−y)=0 より、 2(x−y)(λ+2)=0 となる。

 x−y=0 とすると、 x=y=1/ である。

 このとき、 F( x , y )=(x+y)4 の形から、F( x , y )は極大で、

極大値 F( x , y )=4 となる。

 λ=−2 とすると、 4(x+y)3+2(x−y)−4x=0 すなわち、

 4(x+y)3−2(x+y)=0 から、 2(x+y)(2(x+y)2−1)=0

よって、 x+y=0 、1/ 、−1/ となる。

 x+y=0 のとき、 x=1/ 、y=1/ (複号同順)

このとき、 F( x , y )=(x−y)2 の形から、F( x , y )は極大で、極大値 F( x , y )=2

 x+y=1/ のとき、x2+y2=(x+y)2−2xy=1/2−2xy=1 より、 xy=−1/4

このとき、 x 、y は、2次方程式 t2(1/)t−1/4=0 の2つの解なので、

 x=()/4 、y=()/4

または、 x=()/4 、y=()/4 (複号同順)

このとき、 F( x , y )=1/4+(x−y)2 の形から、F( x , y )は極小で、

極小値 F( x , y )=1/4+3/2=7/4 となる。

 以上から、最大値は 4、最小値は 7/4

別解その7 ・・・ グラフ描画による解法(コンピュータ利用)

  x2+y2=1 より、 (x+y)2−2xy=1 なので、 (x+y)2=2xy+1

 よって、

与式=(2xy+1)2+x2−2xy+y2=(2xy+1)2−2xy+1=4x22+2xy+2

そこで、   (青太線

   (赤太線

のグラフを、グラフ描画ソフトを用いて描くと、下図のようになる。

 

上図から、 最大値は 4、 最小値は 7/4


(コメント) このグラフから、別解その6の怪しかった部分が補完されますね!


(追記) 平成21年4月7日付け

 平野次郎 著 「解法の発見」 (学生社) という書籍を何とはなしに読んでいたら、最
大・最小について、新しい視座(少なくとも私にとって...!)と思われる記述に遭遇した。

 変数 x の範囲(定義域)が、命題 D(x) により規定されているとき、関数 y=F(x)

の最小値 M を求めるには、命題 D(x) が真となるある値 x=m に対して、常に、

 条件命題 D(x) → F(x)−F(m)≧0

が成り立つときの M=F(m) の値を定めればよい。


 全く同様に、最大値についても、次のように捉えることが出来る。

 変数 x の範囲(定義域)が、命題 D(x) により規定されているとき、関数 y=F(x)

の最大値 N を求めるには、命題 D(x) が真となるある値 x=n に対して、常に、

 条件命題 D(x) → F(x)−F(n)≧0

が成り立つときの N=F(n) の値を定めればよい。


 これらは、最大値と最小値の定義そのものと言っても過言ではなく、無理なく了解される
ことと思う。このような視点に立つと、定義域が複雑な場合にも対応できそうな...予感!

 いくつか具体例を通して、上記の考え方を会得することにしよう。

例 x ≧ 1 のとき、 F(x)=x2−4x+3 の最小値を求めよ。

 教科書等のよく知られた解法では、次のようであった。

(解) F(x)=x2−4x+3=(x−2)2−1 で、軸の式 x=2 ≧1 から、x=2 で最小で、

 最小値は、−1  (終)

 この問題を新しい視座で捉えると次のようになるであろう。

(解) 命題 x ≧ 1 が真となるある値 x=m を考えるので、m≧1 としてよい。

 このとき、条件命題 x ≧ 1 → F(x)−F(m)≧0 が成り立つように、m の値を定めれ

ばよい。そこで、G(x)=F(x)−F(m) とおくと、2次方程式 G(x)=0 は、x=m を解に

もつ。すなわち、 x2−4x+3−F(m)=0 から、判別式をDとすると、

 D/4=4−(3−F(m))=F(m)+1≧0 より、 F(m)≧−1

 実際に、2次不等式 x2−4x+3−F(m)≧0 を解いて、

 

よって、条件命題 x ≧ 1 → F(x)−F(m)≧0 が常に成り立つためには

 

でなければならない。(← ここの部分の計算で、領域の考えが用いられる!)

 ところで、 x=m は、2次方程式 G(x)=0 の解なので、

 

 m≧1 より、 

したがって、  が成り立つ。

これを解いて、 F(m)=−1 である。これが求める最小値である。

また、 F(m)=−1 より、 m=2

 以上から、 x=2 のとき、 最小値 −1 をとる。 (終)


(コメント) いつもの解答に比べ、大変だったかな? この視座が活躍するときもあることを
     信じることにしよう...。

例 x2−x−2 ≧ 0 のとき、 F(x)=x2−2x+3 の最小値を求めよ。

 教科書等のよく知られた解法では、次のようであった。

(解) x2−x−2 ≧ 0 すなわち、 (x−2)(x+1)≧0 より、 x≦−1、x≧2

  F(x)=x2−2x+3=(x−1)2+2 より、x=2 で最小で、最小値は、3  (終)

 この問題を新しい視座で捉えると次のようになるであろう。

(解) 命題 x2−x−2 ≧ 0 すなわち、 x≦−1、x≧2 が真となるある値 x=m を考

えるので、 m≦−1、m≧2 としてよい。

このとき、条件命題 x≦−1、x≧2 → F(x)−F(m)≧0 が成り立つように、m の値を

定めればよい。

 そこで、G(x)=F(x)−F(m) とおくと、2次方程式 G(x)=0 は、x=m を解にもつ。

すなわち、 x2−2x+3−F(m)=0 から、判別式をDとすると、

 D/4=1−(3−F(m))=F(m)−2≧0 より、 F(m)≧2

実際に、2次不等式 x2−2x+3−F(m)≧0 を解いて、

 

よって、条件命題 x≦−1、x≧2 → F(x)−F(m)≧0 が常に成り立つためには

 

でなければならない。

 ところで、 x=m は、2次方程式 G(x)=0 の解なので、

 

である。

ここで、  (m<1) ならば、m≦−1 より、

でなければならない。これを解いて、 F(m)=6

 また、  (m>1) ならば、 m≧2 より、

でなければならない。これを解いて、 F(m)=3

 3≦6 なので、求める最小値は、 3 である。

また、 F(m)=3 で、 m≦−1、m≧2 に注意して、 m=2

 以上から、 x=2 のとき、 最小値 3 をとる。 (終)


(コメント) 慣れてくると、だんだんはまっていきそうな解法ですね!


 平成21年8月9日付けで、S(H)さんより次の問題を頂いた。
(遊び心で追加してください...とのことなので追加しました・・・ f(^^;) )

 平成20年度の埼玉大学大学院理工学研究科数理電子情報専攻数学コース(博士前期
課程)の入試問題らしいです。


2 で定義された関数 F( x , y )= x2y 、G( x , y )= x2+y4 を考える。

(1) F=λG 、F=λG 、G( x , y )=1 を満たす実数の組 ( x , y ,λ )
  をすべて求めよ。

(2) 条件 G( x , y )=1 の下で,関数 F( x , y )の最大値と最小値を求めよ。


 (1)の与え方が、Lagrangeの乗数なので、その解法に従って解いてね!ということなのだ
ろうが、(2)だけを考えれば、そんな仰々しく解かなくても、数学Vの範囲で解決できそうな
...予感!

 (1)については、指示通りに解くしかないですよね!

(解) 条件より、 2xy=λ・2x なので、 x=0 または y=λ

 また、 x2=λ・4y3 、 x2+y4=1 が成り立つ。

 x=0 のとき、 y=±1 で、 λ=0

 y=λ のとき、 1−λ4=4λ4 より、 λ=±1/ なので、 x=±2/

以上から、

( x , y ,λ )=( 0 , 1 ,0 )、( 0 , −1 ,0 )、

  ( 2/ , 1/ ,1/ )、( 2/ , −1/ ,−1/ )、

  ( −2/ , 1/ ,1/ )、( −2/ , −1/ ,−1/ )、

の6組ある。 (終)

 (2)については、次のように解く方が簡明だろう。

(解) x2+y4=1 より、 x2=1−y4≧0 なので、 −1≦y≦1

このとき、 z=x2y=y−y5 (−1≦y≦1) の最大・最小を求めればよい。

 z’=1−5y4=0 とおくと、 y=±1/

 z”=−20y3 より、

 y=1/ のとき、 z”<0 より、 z は極大  このとき、 x=±2/

 y=−1/ のとき、 z”>0 より、 z は極小  このとき、 x=±2/

となる。グラフを描けば、下図のようになる。

        

 グラフからも明らかなように、

 ( x , y )=( 2/ , 1/ )、( −2/ , 1/ ) のとき、最大で、

最大値は、 4/(5) である。

 ( x , y )=( 2/ , −1/ )、( −2/ , −1/ ) のとき、最小で、

最小値は、 −4/(5) である。


(コメント) Lagrange の乗数を用いる場合は、y の符号から最大・最小を判断するのかな?


(追記) 令和6年9月6日付け

 大学入試では、最大値と最小値を求める問題は頻出であろう。
次が東北大学 理系(1980)で出題された。

問題2  −4≦x≦1 の範囲で、関数 F(x)=∫x+1 |(t+1)(t+2)|dt の最大値と最
  小値を求めよ。

(解) x≦−3 のとき、

F(x)=∫x+1 (t+1)(t+2)dt=∫x+1 {(t+1)2+(t+1)}dt

=[(t+1)3/3+(t+1)2/2]x+1={(x+2)3−(x+1)3}/3+{(x+2)2−(x+1)2}/2

このとき、F’(x)=(x+2)2−(x+1)2+(x+2)−(x+1)=2(x+2)<0

−3≦x≦−2 のとき、

F(x)=∫-2 {(t+1)2+(t+1)}dt−∫-2x+1 {(t+1)2+(t+1)}dt

=[(t+1)3/3+(t+1)2/2]-2−[(t+1)3/3+(t+1)2/2]-2x+1

=1/3−{{(x+2)3+(x+1)3}/3+{(x+2)2+(x+1)2}/2}

このとき、F’(x)=−2(x+2)2≦0 で、 F’(x)=0 より、 x=−2

−2≦x≦−1 のとき、

F(x)=−∫-1 {(t+1)2+(t+1)}dt+∫-1x+1 {(t+1)2+(t+1)}dt

=−[(t+1)3/3+(t+1)2/2]-1+[(t+1)3/3+(t+1)2/2]-1x+1

={(x+2)3+(x+1)3}/3+{(x+2)2+(x+1)2}/2

このとき、F’(x)=2(x+2)2≧0 で、 F’(x)=0 より、 x=−2

x≧−1 のとき、

F(x)=∫x+1 {(t+1)2+(t+1)}dt=[(t+1)3/3+(t+1)2/2]x+1

={(x+2)3−(x+1)3}/3+{(x+2)2−(x+1)2}/2

このとき、F’(x)=(x+2)2−(x+1)2+(x+2)−(x+1)=2(x+2)>0

以上から、x=−2 のとき、F(x)は極小かつ最小で、最小値は、

 F(−2)=−1/3+1/2=1/6

ここで、F(−4)=(−8+27)/3+(4−9)/2=23/6

 F(1)=(27−8)/3+(9−4)/2=53/6

なので、x=1 のとき、F(x)は最大で、最大値は、 53/6  (終)


 DD++ さんからのコメントです。(令和6年9月8日付け)

 |t+1||t+2| は連続関数なので、微分積分学の基本定理が使えて、

 F’(x)=|x+2||x+3| - |x+1||x+2|

がいきなり得られ、F’(x)= 0 ならば x= -2 とすぐにわかりそうです。どうでしょう?


(コメント) DD++ さん、ご指摘ありがとうございます。確かに、そうやってもよかったですね。

 |t+1||t+2| の原始関数を G(t)とおくと、 G’(t)=|t+1||t+2| である。

 F(x)=∫x+1 |t+1||t+2|dt=[G(t)]x+1=G(x+1)−G(x) なので、

 F’(x)=G’(x+1)−G’(x)=|x+2||x+3|−|x+1||x+2|=|x+2|(|x+3|−|x+1|)

よって、 x≦−3 のとき、 F’(x)=2(x+2)≦0

 −3≦x≦−1 のとき、 F’(x)=2(x+2)|x+2|

 x≧−1 のとき、 F’(x)=2(x+2)≧0

より、x=−2 のとき、F(x)は極小かつ最小で、最小値は、1/6

また、x=1 のとき、F(x)は最大で、最大値は、 53/6


(追記) 令和6年9月25日付け

 次の問題は、微分法ではちょっと荷が重いが、図形的に考えると比較的容易に解くことが
出来ることに驚かされる。

問題  実数 x に対して、関数 の最小値を求めよ。

(解)  と式変形する。

 このとき、P( x ,0)、A(−2,1)、B(2,−2)とおくと、 F(x)=AP+BP と表される。

よって、F(x)が最小となるのは、3点A、P、Bが一直線上にあるときである。

 直線ABの方程式は、y=−(3/4)x−1/2 で、y=0 とおくと、x=−2/3 から、

P(−2/3,0) のとき、最小で、最小値は、5 である。  (終)


(追記) 令和6年9月28日付け

 次の東北大学 理系(1981)の問題は、入試の定番ともいえる問題である。

問題2  平面上で不等式 0≦y≦2x≦6 および −x2+4x−3≦y≦2 を同時に満たす領
  域をDとする。
(1) a は 0≦a≦2 の範囲の定数とする。このとき、不等式 a≦x≦a+1 を満たす領域とD
 との共通部分の面積S(a)を求めよ。

(2) a が 0≦a≦2 の範囲を動くとき、S(a)の最大値および最小値を求めよ。

(解)(1) 0≦a≦1 のとき、

 S(a)=∫a1 2xdx+∫1a+1 (2−(−x2+4x−3))dx

 =∫a1 2xdx+∫1a+1 (x2−4x+5)dx=(1/3)a3−2a2+2a+1

1≦a≦2 のとき、

 S(a)=∫aa+1 (2−(−x2+4x−3))dx

 =∫aa+1 (x2−4x+5)dx=a2−3a+10/3

(2) 0≦a≦1 のとき、S’(a)=a2−4a+2=0 から、 a=2− で極大かつ最大で

 最大値は、 (4−1)/3

 a=0 のとき、 S(0)=1 、a=1 のとき、 S(1)=4/3

1≦a≦2 のとき、S(a)=a2−3a+10/3=(a−3/2)2+13/12≧13/12>1

以上から、S(a)は、a=2− のとき最大で最大値 (4−1)/3

 a=0 のとき最小で、最小値 1 である。  (終)


(追記) 令和6年10月4日付け

 次の東北大学 文系(1981)の問題も、入試の定番といえる問題である。

問題  区間 0≦x≦1 において、関数 F(x)=−x3+3ax (a は定数) の最大値と最小
  値を求めよ。

(解) F’(x)=−3x2+3a=−3(x2−a)

a≦0 のとき、F’(x)≦0 から、F(x)は単調に減少する。

よって、x=0 のとき、最大で、最大値 0 、x=1 のとき、最小で、最小値 3a−1

0<a<1 のとき、x=√a のとき、極大かつ最大で、最大値 2a√a

 このとき、F(0)=0 、F(1)=3a−1 から、

 0<a≦1/3 のとき、 最小値 3a−1 (x=1)

 a=1/3 のとき、 最小値 0 (x=0、1)

 1/3<a<1 のとき、 最小値 0 (x=0)

a≧1 のとき、区間 0≦x≦1 において、F’(x)≧0 から、F(x)は単調に増加する。

よって、x=0 のとき最小で、最小値 0 、x=1 のとき最大で、最大値 3a−1  (終)


(追記) 令和6年11月19日付け

 次の東北大学 理系(1986)の問題は、速度が絡む問題である。

問題2  数直線上の2つの動点P、Qは時刻0のとき原点にあり、時刻 t こおける、それぞ
  れの速度 u(t)、v(t) は、u(t)=4t2−6at−a2、v(t)=t2+6at−10a2 である。ただし、
  a は実数とする。
(1) 時刻 t における2点P、Qの間の距離 F(t) を求めよ。
(2) 0≦t≦3 における F(t) の最大値と、そのときの t の値を求めよ。
(3) (2)で求めた最大値を最も小さくする a の値を求めよ。

(解)(1) P((4/3)t3−3at2−a2t)、Q((1/3)t3+3at2−10a2t) より、

 F(t) =|t3−6at2+9a2t|=|t|(t−3a)2

(2) (1)より、

 

 0≦t≦3 において、F(t) =t3−6at2+9a2t より、

 F’(t) =3t2−12at+9a2=3(t−a)(t−3a)

a>0 のとき、x=a で極大、x=3a で極小

 F(a) =4a3 で、t3−6at2+9a2t=4a3 とおくとき、(t−a)2(t−4a)=0

0<a≦3/4 、3≦a のとき、x=3 のとき、最大値 27(a−1)2

3/4≦a≦3 のとき、x=a のとき、最大値 4a3

a=0 のとき、F(t) =t3 で、0≦t≦3 において、x=3 のとき、最大値 27

a<0 のとき、x=3 のとき、最大値 27(a−1)2

以上から、a≦3/4、3≦a のとき、x=3 のとき、最大値 27(a−1)2

 3/4≦a≦3 のとき、x=a のとき、最大値 4a3

(3) (2)のグラフから、

  

 よって、求める a の値は、 a=3/4  (終)


(追記) 令和6年12月15日付け

 次の東北大学 理系(1988)の問題は、素朴な長方形の面積が絡む問題である。

問題2  点Oを中心とする半径1の円を中心角4θ(0<θ<π/4)で切ったおうぎ形に、
  下図のように内接する長方形ABCDを考える。

  

(1) ∠AOB=2x として、長方形ABCDの面積 Sθ(x)を求めよ。
(2) Sθ(x)を最大にする x の値と、最大値M(θ)を求めよ。
(3) θが 0<θ<π/4 の範囲で変化するとき、関数M(θ)のグラフをかけ。

(解)(1) AB=2sinx である。また、AD=h とおくと、(cosx−h)tan2θ=sinx より、

 h=cosx−sinx/tan2θ なので、長方形ABCDの面積は、

  Sθ(x)=2sinx(cosx−sinx/tan2θ)=sin2x−2sin2x/tan2θ

(2) S’θ(x)=2cos2x−4sinxcosx/tan2θ=2cos2x−2sin2x/tan2θ

 =(2sin2θcos2x-2cos2θsin2x)/sin2θ=2sin(2θ-2x)/sin2θ

 0<θ<π/4 で、0<x<2θ より、 0<2θ<π/2 、−4θ<−2x<0 なので、

 −4θ<2θ−2x<π/2 すなわち、 −π<2θ−2x<π/2

この範囲で、sin(2θ-2x)=0 を解くと、 x=θ で、

 0<x<θ のとき、 sin(2θ-2x)>0 で、θ<x<2θ のとき、 sin(2θ-2x)<0

よって、x=θ のとき、Sθ(x) は極大かつ最大となる。最大値は、

 M(θ)=sin2θ−2sin2θ/tan2θ=sin2θ−sinθcos2θ/cosθ

 =sin(2θ−θ)/cosθ=sinθ/cosθ=tanθ

(3) 求めるグラフは下図。

    (終)


(追記) 令和7年1月7日付け

 次の東北大学 文系(1988)の問題は、基本的な良問である。

問題  3次関数F(x)は、x=1 で極小値0、x=−3 で極大値32をとる。

(1) F(x)を求めよ。
(2) 点A(0,F(0))における曲線 C:y=F(x) の接線LがふたたびCと交わる点をBとする。
  点PがC上をAからBまで動くとき、PとLとの距離の最大値を求めよ。

(解)(1) 題意より、 F’(x)=a(x−1)(x+3)=a(x2+2x−3) とおける。

 すなわち、 F(x)=a((1/3)x3+x2−3x)+b

このとき、 F(1)=−(5/3)a+b=0 、F(−3)=9a+b=32

これを解いて、 a=3 、b=5 より、 F(x)=x3+3x2−9x+5

(2) 点A(0,5)における曲線 C の接線Lの方程式は、 y=−9x+5

3+3x2−9x+5=−9x+5 より、 x3+3x2=0 なので、B(−3,32)

P(t,t3+3t2−9t+5)とL:9x+y−5=0との距離hは、 h=|t3+3t2|/√82

 y=t3+3t2 とおくと、 y’=3t2+6t=3t(t+2)=0 より、 t=0、−2

y”=6t+6 より、t=−2 のとき、y”=−6<0 から、y は、t=−2 のとき、極大かつ最大

で最大値は、 4 となる。

 したがって、PとLとの距離の最大値は、 4/√82  (終)


(追記) 令和7年1月15日付け

 次の東北大学 理系(1989)の問題は、よく考えられた良問である。

問題5  a、b を a≧1、a≠2、b>0 なる定数とし、x の関数 F(x)=2e2x−aex+bx を
  考える。
(1) F(x)が単調増加となるとき、a、b の満たすべき条件を求めよ。
(2) y=F(x)、y=bx、x=0 により囲まれる図形の面積Sを求めよ。
(3) (1)の条件のもとで、a を動かすとき、Sの最大値Mをbの関数として表せ。

(解)(1) F’(x)=4e2x−aex+b≧0

x=t とおくと、t>0 において、 4t2−at+b≧0

y=4t2−at+b とおくと、 y=4(t−(1/8)a)2+b−a2/16

a≧1、a≠2 なので、 y≧0 であるための必要十分条件は、 b−a2/16≧0

(2) F(x)=bx とおくと、 2e2x−aex=0

 ex≠0 なので、 2ex−a=0 即ち、 ex=a/2 より、 x=log(a/2)

a≧1、a≠2、F(0)=2−a に注意して、

1≦a<2 のとき、F(0)=2−a>0 で、x=log(a/2)<0

F(x)は単調増加なので、

S=∫log(a/2)0 (2e2x−aex)dx=[e2x−aex]log(a/2)0=a2/4−a+1

a>2 のとき、F(0)=2−a<0 で、x=log(a/2)>0

F(x)は単調増加なので、

S=∫0log(a/2) (−2e2x+aex)dx=[−e2x+aex]0log(a/2)=a2/4−a+1

したがって、何れにしても S=a2/4−a+1 である。

(3) (1)より、b−a2/16≧0 なので、 −4√b≦a≦4√b 即ち、

 1≦a≦4√b (a≠2)

この範囲で、S=a2/4−a+1=(1/4)(a−2)2 の最大値Mを求める。

1≦4√b<3 即ち、 1/16≦b<9/16 のとき、a=1 で最大で、最大値M=1/4

3≦4√b 即ち、 b≧9/16 のとき、a=4√b で最大で、

 最大値M=(1/4)(4√b−2)2=(2√b−1)2  (終)



  以下、工事中