フォードの円                                戻る

 「隣り合う分数」の話題の中で、フォードの円なるものが登場した。



 数学において、フォードの円とは、中心が (p/q,1/(2q2)) で、半径が 1/(2q2) の円
のことである。ただし、p/q は既約分数。

 フォードの円では、次の公式が基本的である。

  半径aの円と半径bの円が外接し、さ
 らに共通の直線にも接している。

  このとき、2接点間の距離dは、次で
 与えられる。

   

(証明) 三平方の定理より、 (a−b)2+d2=(a+b)2 なので、 d2=4ab

    よって、   (証終)

例 この公式を冒頭の図に適用すると、半径1/2の円と半径1/8の円が外接しているので、
  その2接点間の距離dは、 d2=4・(1/2)(1/8)=1/4 より、 d=1/2 となり、確か
  に図と合っている。


 上記の公式の応用例として次がある。

  半径aの円と半径bの円が外接し、さ
 らに共通の直線にも接している。

  その2つの円と接線に接する半径c
 の円がある。このとき、

   

(証明) 公式より、  なので、

      

が成り立つ。  (証終)

例 この公式を冒頭の図に適用すると、半径1/2の円と半径1/8の円に接する円の半径を
  c とすると、

   1/√c=√2+2√2=3√2

 から、 c=1/18 となる。よって、半径1/2の円と半径1/18の円の共通接線上の2接点
 間の距離dは、

  d2=4・(1/2)(1/18)=1/9 より、 d=1/3 となり、確かに図と合っている。


(追記) 令和3年12月30日付け

 上記の公式を問う問題が、お茶の水女子大学前期(2021)で出題された。文理共通問題
で、受験生の学力を見る手頃な問題なのだろう。

お茶の水女子大学前期(2021)

 共通の接線 L を持つ円 C1、C2、C3 の半径をそれぞれ a、b、c とする。これらの円
のどの二つも互いに外接しており、C3 は L、C1、C2 に囲まれた領域に含まれているもの
とする。以下の問いに答えよ。

(1)    となることを示せ。

(2) c=1 のとき、a+b の取り得る値の最小値を求めよ。

(解)(1)については、上記の(証明)から明らかだろう。

(2)については、相加平均と相乗平均の関係から、 a+b≧2√(ab) なので、a=b のとき、

a+b は最小となる。c=1 で、(1)と a=b から、a=b=4と定まるので、

a+b の最小値は、2√(4・4)=8 である。  (終)


(コメント) 問題の意味するところが理解できれば、三平方の定理を使うだけなので、中学
      3年生レベルの問題と言える。お茶の水女子大学受験生の方は完答だったかな。


(追記) 令和7年7月2日付け

 次の東北大学 前期理系(1996)の問題は、フォードの円に関する問題である。お茶の水
女子大学前期(2021)の(1)の等式が、解決のポイントである。

(参考) 「隣り合う分数」におけるファレイ数列

問題  xy平面の点(0,1)を中心とする半径1の円をCとし、第1象限にあって x軸とCに接
  する円C1を考える。次に、x 軸、C、C1で囲まれた部分にあって、x 軸とこれら2円に接す
  る円をC2とする。以下同様に、Cn (n=2、3、・・・)を x 軸、C、Cn-1で囲まれた部分に
  あって、これらに接する円とする。

(1) C1の中心の x 座標を a とするとき、C1の半径 r1 を a を用いて表せ。
(2) Cnの半径 rn を a と n を用いて表せ。

(解)(1) (1+r12=a2+(r1−1)2 より、 r1=a2/4

(2) 公式より、 1/√rn=1+1/√rn-1 なので、数列{1/√rn}は、初項1/√r1=2/a、

 公差1の等差数列である。

よって、 1/√rn=2/a+(n−1)=((n−1)a+2)/a から、

 rn=a2/((n−1)a+2)2  (終)



  以下、工事中!