円の詰め込み                              戻る

 ある決まった図形に円とか球を詰め込む問題は適度な入試問題になりやすい。最近解
いたもので、1998年度の東京工業大学の入試問題は適度に面白い問題だった。考えよ
うによっては、中学校数学レベルかもしれない。近頃、難関と言われる大学ほど、ときどき
中学校数学レベルの問題を平気で出題するから困ったものだ!
                       (例えば、平成20年度前期京都大学 など...。)

東京工業大学 前期(平成10(1998)年度)

 Rを、隣り合う2辺の長さ a 、 b が 2a>b>a をみたす長方形とし、Aを、次の性
質(P)を持つ半径 x の円とする。

  (P) Rの内部にあって隣り合う2辺にだけ接する。

(1) 性質(P)を持つ円で円Aに外接するものが4つ存在するために、円Aの半径 x
  がみたすべき条件を a 、 b を使って表せ。

(2) x が(1)の条件をみたすとき、円Aに外接する4つの円のうち2番目に大きい
  円をBとする。 x が変化するとき円Aと円Bの面積の和の最小値を求めよ。


 上記の(1)は中学校数学レベルで解きうる問題だろう。

 a=8、b=9 と問題を具体化して考えることにしよう。一般の場合も解法は同様である。

 Rを、縦、横の長さがそれぞれ 8 と 9 である長方形とし、Aを、次の性質(P)を持
つ半径 x の円とする。

  (P) Rの内部にあって隣り合う2辺にだけ接する。

(1) 性質(P)を持つ円で円Aに外接するものが4つ存在するために、円Aの半径 x
  がみたすべき条件を求めよ。

(2) x が(1)の条件をみたすとき、円Aに外接する4つの円のうち2番目に大きい
  円をBとする。 x が変化するとき円Aと円Bの面積の和の最小値を求めよ。

                  ((2)は、微分積分の範疇なので、中学生には無理かな?

(解)(1) この場合の解法のポイントは極端な場合を考えることであろう。

     x が最大となるのは、右図のように  

    円Aが目一杯に拡張する場合である。

     よって、題意より、

         x<4

    となる。
 
    x が最小となるのは、左図のように

円Aに接する右側の円が目一杯に拡

張する場合である。

 三平方の定理より、

(x+4)2=(5−x)2+(4−x)2

これを解いて、

           x2+8x+16=25−10x+x2+16−8x+x2

                x2−26x+25=0

           (x−1)(x−25)=0 より、 x=1、25

              0<x<4 なので、 x=1

 以上から、求める x の値の範囲は、 1<x<4


(2) 面積が2番目に大きい円は、下図のように配置している。

  このとき、 (x+r)2=(x−r)2+(9−x−r)2

  (x+r)2=x2−2rx+r2+81−18(x+r)+(x+r)2

     r2−2(x+9)r+(x−9)2=0

  r<9 なので、 r=x+9−6√x=(√x−3)2

  よって、円Aの面積+円Bの面積をSとすると、

   S=πx2+πr2=π(x2+(√x−3)4

 √x=t とおくと、 1<t<2 で、 S=π(t4+(t−3)4

     S’=π(4t3+4(t−3)3

      =4π(t+t−3)(t2−t(t−3)+(t−3)2

      =4π(2t−3)(t2−3t+9)=0 より、   t=3/2

 t=3/2 でSは極小かつ最小で、最小値は、81π/8 (終)

  同様の趣旨の問題を空間に拡張して考えてみよう。

 1辺の長さが4の立方体の8つの隅で、半径1の球を、1点で交わる3平面の何れ

にも接するように配置する。このとき、8つの球の何れにも外接する球Sを考える。

 このときの球Sの半径を求めよ。


 空間把握がしっかりしていれば何でもない問題だが、頭の中に図形がイメージできないと
少し辛いかもしれない。

  左図は、8つの隅に接する半径1の球
 のうちの一つが球Sと接する状況を示し
 たものである。

    直角三角形OHO’において、

   三平方の定理より、

       OH2+O’H2=OO’2

   すなわち、球Sの半径を r とすると、

       2+12=(r+1)2

   これより、 r=−1 となる。






  以下、工事中