三角形の辺と角の関係
三角形の辺と角の関係というと、正弦定理や余弦定理が直ぐに思い起こされるが、
A ≦ B ならば、 a ≦ b
という関係も、基本的であり重要な性質と言えるだろう。 スローガン風に言えば、
最大辺には最大角が対応する
となる。いろいろな問題解決に役立つ知識である。
最近、次のような関係も成り立つことを知ることができた。
△ABCにおいて、
中央の項は、三角形の内角の加重平均(重み付き平均)である。
加重平均については次の定理が基本的である。
定理 実数 A、B、C
の加重平均を、WM(A,B,C)と書くとすると、
Min(A,B,C)≦WM(A,B,C)≦Max(A,B,C)
が成り立つ。
(証明は、加重平均(重み付き平均)を参照)
上記の定理において、
Min(A,B,C)の最大値は、60°
なので、不等式の左側は納得されるが、Max(A,B,C)の取り得る範囲を考えると、不等
式の右側は直ぐには納得し得ない。三角形の内角という性質が大きく関与するためだろう。
(証明) 三角形の内角の和は、180°なので、上記の不等式を書き直せば、
2(aA+bB+cC)<(a+b+c)(A+B+C)≦3(aA+bB+cC)
となる。この不等式が成り立つことを証明する。
(a+b+c)(A+B+C)−2(aA+bB+cC)
=aA+a(B+C)+bB+b(C+A)+cC+c(A+B)−2(aA+bB+cC)
=a(B+C)+b(C+A)+c(A+B)−(aA+bB+cC)
=(b+c−a)A+(c+a−b)B+(a+b−c)C
三角形において、
b+c>a 、c+a>b 、a+b>c
が成り立つので、
(a+b+c)(A+B+C)−2(aA+bB+cC)>0
すなわち、 2(aA+bB+cC)<(a+b+c)(A+B+C) が成り立つ。
3(aA+bB+cC)−(a+b+c)(A+B+C)
=3(aA+bB+cC)−aA−a(B+C)−bB−b(C+A)−cC−c(A+B)
=2(aA+bB+cC)−a(B+C)−b(C+A)−c(A+B)
=2aA−a(B+C)+2bB−b(C+A)+2cC−c(A+B)
=a(A−B)+a(A−C)+b(B−C)+b(B−A)+c(C−A)+c(C−B)
=(a−b)(A−B)+(b−c)(B−C)+(c−a)(C−A)
ここで、冒頭の関係を用いて、
(a−b)(A−B)≧0 、(b−c)(B−C)≧0 、(c−a)(C−A)≧0
が成り立つので、
3(aA+bB+cC)−(a+b+c)(A+B+C)≧0
すなわち、 (a+b+c)(A+B+C)≦3(aA+bB+cC) が成り立つ。
以上から、
が成り立つ。 (証終)
(コメント) 直観では信じられない結果が示されてちょっと感動的ですね!
(追記) 当HPがいつもお世話になっているK.S.さんから、平成25年4月23日付けで「三
角形に関する不等式」と題してメールで頂いた。K.S.さんに感謝します。
角を A、B、C とし、辺を a、b、c とする。
1.a<b+c 、b<c+a 、c<a+b
2.a/(b+c−a)+b/(c+a−b)+c/(a+b−c)≧3
3.abc≧(a+b−c)(b+c−a)(c+a−b)
4. 1/(s−a)+1/(s−b)+1/(s−c)≧9/s (2s=a+b+c)
5.a/(s−a)+b/(s−b)+c/(s−c)≧6 (2s=a+b+c)
6.(a2+b2+c2)/≧√{(a+b+c)(a+b−c)(b+c−a)(c+a−b)}
7. 三角形の内部の任意の点をOから、各辺への垂線の足をP、Q,Rとすると、
(1) OA+OB+OC≧2(OP+OQ+OR) (Erdos-Mordes)
(2) OA・OB・OC≧(OP+OQ)(OQ+OR)(OR+OP) (Oppenheim)
(3) 1<cosA+cosB+cosC≦3/2
(4) −1<cosA・cosB・cosC≦1/8
(5) 2≦sinA+sinB+sinC≦3/2
(6) 0<sinA・sinB・sinC≦3/8
(7) 3≦tanA+tanB+tanC<∞
(コメント) 多分、どこかしこで見たことのある不等式だと思います。数学好きなら、ちょっと証明でも...と食
指が動きそうな雰囲気かな?
以下、工事中!