三角錐の体積
当HPの読者のK.S.さんより、平成24年10月10日付けで標記話題をメールで頂いた。
原点をOとし、空間上の3点A(a1,a2,a3)、B(b1,b2,b3)、C(c1,c2,c3)とする。
このとき、三角錐 O-ABC の体積Vは、次式で与えられる。
(証明1) 3点A(a1,a2,a3)、B(b1,b2,b3)、C(c1,c2,c3)を通る平面の方程式を
ax+by+cz=1 とすると、原点Oから平面への距離 h は、
また、△ABCの面積 S は、 S=(1/2)|AB×AC|
よって、 V=(1/3)Sh から、
(証終)
(証明2) x、y、z軸に対する回転行列により、点A、Bが平面 z=0 上にのるようにするこ
とができる。回転行列の行列式の値は1なので、体積も変化しない。具体的には、
点Aが平面 y=0 上にあるようにz軸回転し、さらに、y軸回転により、点Aをx軸上
に移動させる。次に、点Bをx軸回転により、平面z=0上に移す。 (証終)
(コメント) (証明2)の方法は、行列式の簡略化を考えればいいのだろう...。
(追記) 平成26年1月21日付け
1辺4の立方体ABCD-EFGHがある。BC上にBP=1、EF上にFQ=1、GH上にHR=2
となる点P、Q、Rをとる。
このとき、四面体APQRの体積を求めよ。
(参考:筑波大学附属駒場高校数学科学研究会編 「Cafe Bollweck No.Z」)
(解) A(0,0,0)、B(4,0,0)、D(0,4,0)、E(0,0,4)とおくと、
P(4,1,0)、Q(3,0,4)、R(2,4,4)
よって、AP=(4,1,0)、AQ=(3,0,4)、AR=(2,4,4) が定める三角錐の体積
は、上記の公式に代入して、34/3となる。 (終)
「Cafe Bollweck No.Z」によれば、次のように幾何的に解けるとのこと。素晴らしい!
(別解) FG上にFS=1となるSをとり、ESとQRの交点をTとする。すると、面AESPとQR
は垂直に交わるので、四面体APQRの体積は、
△APT・QR/3=(AP・AE/2)・QR/3=(ES・4/2)・QR/3
=ES・QR・2/3=ES2・2/3=17・2/3=34/3 (終)
(追記) 令和4年10月29日付け
北海道大学 前期理系(2009)で、三角錐の展開図から元の立体図形の体積を求めさ
せる問題が出題された。
1.下図は、ある三角錐の展開図である。ここで、AB=4、AC=3、BC=5、∠ACD=90°
で、△ABEは正三角形である。このとき、三角錐の体積を求めよ。
(解) A(0,0,0)、B(4,0,0)、C(0,3,0)とおき、三角錐の頂点をP(x,y,z)とおく。
体積の計算なので、 z>0 としてよい。
題意より、 PA=PB=4 、PC= なので、
x2+y2+z2=16 ・・・ (1)
(x−4)2+y2+z2=16 ・・・ (2)
x2+(y−3)2+z2=7 ・・・ (3)
(1)−(2)より、 8x−16=0 なので、 x=2
(1)−(3)より、 6y−9=9 なので、 y=3
(1)に代入して、 4+9+z2=16 より、 z=
よって、求める体積は、 6××(1/3)=2√3 (終)
以下、工事中!