可換性の発見法                         戻る

 2次の正方行列を F 、G とする。すなわち、

          

 この2つの行列に対して、

      FG=GF

が成り立つとき、可換であると言われる。

 F、G の少なくとも一方が単位行列の実数倍であるならば、常に可換である。

 このようなトリビアルな場合はつまらない。もっと一般の行列で、一見して可換かどうか分
からない場合に、可換と瞬時に判断できる方法があれば、それを裏技と呼んでも差し支え
なかろう。

    

    

より、

   ak+bm=ak+cl  すなわち、 bm=cl

   al+bn=bk+dl  すなわち、 (a−d)l=b(k−n)

   ck+dm=am+cn  すなわち、 (a−d)m=c(k−n)

   cl+dn=bm+dn  すなわち、 bm=cl

 したがって、 a−d : b = k−n : l

         a−d : c = k−n : m

           b : c = l : m

より、

     a−d : b : c = k−n : l : m

 これが、2つの2次の正方行列 F 、G が可換であるための必要十分条件である。

 このことを知っていれば、可換な行列を瞬時に量産することができる。

例 2次の正方行列 F 、G として、

        

 とすると、明らかに、FG=GF が成り立ち、F 、G は可換である。

 (F、G の作り方)

  ・ Fの各成分は任意。

  ・ Gの(1,2)成分、(2,1)成分は、Fの(1,2)成分、(2,1)成分の2倍

  ・ Fの(1,1)成分−(2,2)成分=−3の2倍は−6なので、
   Gの(1,1)成分−(2,2)成分=−6となるように、Gの(1,1)成分、(2,2)成分を適
   当に選ぶ。上記では、(1,1)成分=−2、(2,2)成分=4

(コメント) 作問するうえで、可換か可換でないかが瞬時に判断できるので、何かと重宝する
      裏技になりそうですね!