1次分数関数                         戻る

 新学習指導要領で、高校数学に「1次変換」と思しきものが帰ってきた。ただ教科書では、
「1次変換」という言葉は復活されず、「点の移動」という表現にとどまっている。

 私の世代では、点の移動は専ら複素平面で考えていた。この考え方は旧学習指導要領
で復活したのだが、あまりに評判が悪かったのか、高校数学の表舞台から消えてしまった。

 行列は、見た目は易しそうに見えるが実は奥が深い。次のような計算公式も、よく知られ
た面白い性質である。教えられなくても、自然と発見される性質かもしれないが...?

 2つの1次分数関数  F : x → y

                   

               G : x → y

                   

において、その合成関数 F・G : x → y は、

                   

で与えられる。

 2つの1次分数関数 F 、G を表す行列は、

                     

であるので、これはあたかも、次のような行列の積に対応していることが分かる。

         

 計算自体はさほど難しくはないが、このような対応があることの方に興味がわく。

この対応関係が活躍するのは、逆関数の計算のときだろう。

 1次分数関数  F : x → y

                   

において、その逆関数 F-1 : x → y  は、

                   

となるが、これは、1次分数関数 F を表す行列 F の逆行列

          

に対応している。