ガウスの方法
自然数の 1 から 100 までの和を求めるという問題は、珠算をやった方なら即座に
答え
は、5050 と答えるだろうし、特に珠算を習っていなくても、等差数列の和の公式を習って
いる方だったら、やはり、即答できるだろう。もしかしたら、よくある問題ということで、答えを
暗記している方がいられるかもしれない。
この和は、通常、次のような解き方がなされる。求める和を S として、
S=1+2+3+4+・・・・・・+97+98+99+100
ここで、加える順番を逆にしても和は変わらないから、
S=100+99+98+97+・・・・・・+ 4+ 3+ 2+ 1
S= 1 + 2+ 3+ 4+・・・・・・+97+98+99+100
二つの式を辺々加えると、
2S=101+101+・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・+101+101
=101×100 ( 101 がちょうど100個あるから!)
したがって、
S=101×100/2=5050
このような計算方法は、ガウスが小学生時代に行った計算と言い伝えられている。
最近、このような手法を用いる問題に接することができた。
問 題 8個の数字 1、2、3、4、5、6、7、8 から異なる3個の数字を選び、それらを並
べて3桁の整数を作る。このとき出来る3桁の整数の総和を求めよ。
このような問題は古くから大学入試問題として出題され、入試対策の問題集には必ずとい
っていいくらい載っている問題である。したがって、上記の問題は、ある意味で、陳腐な問題
かもしれない。
おそらく、世の多くの人は、次のように解くであろう。
百の位、十の位、一の位のうちの1つの位で、1つの数字を固定すれば、他の2つの位の
並べ方は、7P2=42 通りある。
したがって、3桁の整数全体の中で、たとえば、一の位が、1、2、3、4、5、6、7、8
であ
るものは、それぞれ42通り存在する。
よって、3桁の整数全部を加えるとき、一の位のみの総和は、
(1+2+3+4+5+6+7+8)×42=36×42=1512
同様にして、3桁の整数全部を加えるとき、十の位のみの総和は、
(10+20+30+40+50+60+70+80)×42=360×42=15120
3桁の整数全部を加えるとき、百の位のみの総和は、
(100+200+300+400+500+600+700+800)×42=3600×42
=151200
したがって、求める総和は、 1512+15120+151200=167832
このような解法に対して、次のような新鮮な裏技が存在する。
(別解) 求める和を S とすると、
S=123+124+125+・・・・・・・・・・+875+876
加える順序を逆にして、
S=876+875+・・・・・・・・・・・・・・・・+124+123
二つの式を辺々加えると、
2S=999+999+・・・・・・・・・・・・・・・・+999+999
=999×8P3
=999×336
よって、 S=999×336/2=(1000−1)×168=168000−168=167832 (終)
(注意) 上記の計算で、厳密には、
3桁の整数 XYZ に対して、3桁の整数 (9−X)(9−Y)(9−Z)を対応させる方法
が一対一の対応であることを意識する必要があるであろう。