平行移動                           戻る

 y=F(x−p)のグラフは、y=F(x)のグラフを x 軸方向に p だけ平行移動したものである。
今回紹介する裏技は、この話題に関連するものである。

問 題  F(x−1)=x3+x2+x+1 のとき、F(x)を求めよ。

 腕力で押し切ろうとする方だったら次のように計算するだろう。

(解) x−1=t とおくと、 x=t+1

   よって、 F(t)=(t+1)3+(t+1)2+(t+1)+1

            =t3+3t2+3t+1+t2+2t+1+t+1+1

            =t3+4t2+6t+4

   より、 F(x)=x3+4x2+6x+4  (終)

 このような解法は、F(x)の次数が小さい場合は有効であるが、次数が高い場合は計算が
大変になる。(もちろん、2項定理を用いてもいいが、少し計算が煩雑かな?)

 このような問題に対して、次の様な美しい裏技が知られている。

(裏技の解)  F(x−1)=x3+x2+x+1 の両辺に x−1 を掛けて

       (x−1)F(x−1)=(x−1)(x3+x2+x+1)=x4−1

  ここで、 x−1=t とおくと、 x=t+1 で、

       tF(t)=(t+1)4−1=t4+4t3+6t2+4t+1−1=t4+4t3+6t2+4t

  両辺を t で割って、 F(t)=t3+4t2+6t+4 より、 F(x)=x3+4x2+6x+4  (終)

 この裏技をマスターするために、練習問題を残しておこう。

練習問題  F(x−1)=x+xn-1+・・・+x+1 のとき、F(x)を求めよ。

(解) (x−1)F(x−1)=(x−1)(x+xn-1+・・・+x+1)=xn+1−1

   x−1=t とおくと、 x=t+1 で、 tF(t)=(t+1)n+1−1 より、

       F(t)={(t+1)n+1−1}/t

  このとき、

   F(t)=n+10n+11n-1n+12n-2+・・・+n+1n-1t+n+1  (終)