シルベスター数列                            戻る

 シルベスター数列とは、 a0=1、an+1=a01・・・a+1 (n=0、1、2、・・・) で定まる
数列{a}をいう。

 a1=2 、an+1=a2−a+1 (n=1、2、・・・) という漸化式でも表される。

 実際に、 an+1−1=a01・・・a 、an−1=a01・・・an-1 を辺々割ることにより、
      (an+1−1)/(an−1)=a すなわち、 an+1−1=a(an−1) より、
      an+1=a2−a+1 が成り立つ。

例 1,2,3,7,43,1807,・・・・

 このシルベスター数列は、次のような面白い性質を持つ。

 1/a1=1/2

 1/a1+1/a2=1/2+1/3=5/6

 1/a1+1/a2+1/a3=1/2+1/3+1/7=41/42

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・計算結果の分数の分母に1を加えると、次のシルベスター数列の項が得られる。
 ・計算結果の分数において、「分子=分母−1」が成り立つ。

 このシルベスター数列に関連して、富山大学前期理系(2006)で、次のような問題が出
題された。

問 題 次の問いに答えよ。

(1) a、b を、a<b、1/a+1/b<1を満たす任意の自然数とするとき、1/a+1/b の最大
  値が5/6であることを証明せよ。

(2) a、b、c を、a<b<c、1/a+1/b+1/c<1を満たす任意の自然数とするとき、
  1/a+1/b+1/c の最大値が41/42であることを証明せよ。

 最大値が既に与えられているので、入試問題としては標準レベルだろう。最大値が与えら
れていないと、解くのは至難だろう。


 この問題を満たす a、b、c の値は、a=1+1=2、b=1・a+1=3、c=1・a・b+1=7
とすれば得られる。これらは、シルベスター数列の項になっている。

 すなわち、このことは、

 1を下方から近似するとき、シルベスター数列が最良の近似を与える

ということを示している。このカーティスの定理を、2項、3項の場合に示せというのが、富山
大学の問題である。

(解)(1) 不等式より、a≧2である。

  a=2 のとき、 1/b<1−1/a=1/2 を満たす最大の1/bは、b=3のときである。

 すなわち、 a=2、b=3 のとき、 1/a+1/b=1/2+1/3=5/6 である。

 a>2 とすると、 b>a≧3 である。このとき、1/a<1/2 、1/b<1/3 なので、

1/a+1/b<1/2+1/3=5/6 より、a=2、b=3 のときの値5/6を越えることはない。、 

 以上から、 1/a+1/b<1 を満たす任意の自然数 a、b に対して、1/a+1/b が最大

となるのは、a=2、b=3 のときで、最大値は、5/6 である。

(2) 不等式より、a≧2である。

  a=2 のとき、 1/b+1/c<1−1/a=1/2 を満たす最大の1/b は、b=3 のときで

ある。すなわち、a=2、b=3 のとき、 1/c<1−(1/a+1/b)=1/6 である。

この式を満たす最大の1/cは、c=7のときである。

 a>2 とすると、 b>a≧3 である。このとき、1/a<1/2 、1/b<1/3 なので、

1/a+1/b+1/c<1/2+1/3+1/c=5/6+1/c<1 より、1/c<1/6 である。

 よって、c≧7 である。このとき、

 1/a+1/b+1/c<1/2+1/3+1/7=41/42 より、 a=2、b=3、c=7 のときの

値41/42を越えることはない。、 

 以上から、 1/a+1/b+1/c<1 を満たす任意の自然数 a、b、c に対して、

1/a+1/b+1/c が最大となるのは、a=2、b=3、c=7 のときで、最大値は、41/42

である。  (終)


 上記の例 1,2,3,7,43,1807,・・・・ からも分かるように、シルベスター数列の項は
爆発的に大きくなる。次の性質が成り立つことが知られている。

 n≧2 のとき、 22n-2<a<22n-1

例 n=2 のとき、 2<a2<4 実際に、 a2=3

  n=3 のとき、 4<a3<16 実際に、 a3=7

  n=4 のとき、 16<a4<256 実際に、 a4=43

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  以下、工事中!